side/アルジュニー
第7宇宙にやってきたはいいが、どこへ行こうかと考えあぐねていた私は、Aの惑星からBの惑星へ、というように、あちこちの惑星を転々と…と言うか放浪していた。
幸い、どこかの惑星の神でもない限りは私の正体に気づくことはなく、割と気ままにやってはいた…が、どうにも時間を持て余していた。
要するに、暇。
「…そうだ、地球行こう」
そんな旅行のCMみたいなノリで、地球行きを決行したのであった。
××××
「ここは、あまり変わらないな」
まあ、原作開始まで20年くらいしかないのだから、そこまで大幅に違うことはないだろう。というか、ここがそんなにホイホイ変わっていたらおかしい。
現在地は、ユンザビット高地である。
「あ、宇宙船」
特に何も考えずにふらふらと歩いていたら、神様が乗ってきた宇宙船を見つけた。地球に飽きたら、ナメック星に行ってみるのもいいかもしれないな。
それにしても、この場所は本当にこれ以外何も無いな。食べられそうな草木どころか、水もろくにない。こんな環境で生きるのは、苦しかっただろうに。
「…ん」
妙な違和感。はて、何だろう。
…ああ、そうか。
いったいどなただろう。私を見ていると考えるならば、大神官様か、シン様か、あるいは…
「地球の神…」
ほぼ無意識につぶやくと、一瞬、見られている感覚が揺らいだ。驚かせてしまっただろうか。
「急にお邪魔して、申し訳のうございます。あまり問題を起こす気はございませんので、どうか無礼をお許しください。少ししたら出て行きます」
この声、ちゃんと届いているといいのだが。
××××
side/地球の神
「か、神様…今の」
「あ…ああ、心配ない」
下界にいきなり強い力を感じ、何事かと焦って下界を見下ろした私の目に飛び込んできたのは、灰色の胴着を着た、黒い髪と褐色の肌の青年。頭上の2本の角と、爬虫類のような長い尾、とがった耳は、地球上のどの種族とも似ていない。強烈な力は、間違いなくその青年から発せられていた。
いったい何者なのか、見極めようとした瞬間、青年の口から「地球の神…」とこぼれ落ちた。…見ていることに気づかれたのは、初めてのことだった。
青年は、いきなりやって来たことへの謝罪や、少ししたら出て行くことなどを丁寧な口調で述べ、次の瞬間には別の場所へと移動していた。
あれは明らかに、神の気。それも、あれほどの力の持ち主となれば…
「大界王様…いや、もしや…」
それよりも、上。
「何故、そのようなお方がここに…」