幻想郷に店を構えてます【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 ストックが増えたので投稿です。
 三人称視点。
 では本編どうぞ。


十三話『異変はまだ終わらない』

 紅魔館のとある廊下。咲夜は封結の持つ霊撃札を確認した後……咲夜は心の中で彼の行動を笑っていた。

 

「(……どうしてわざわざ丁寧にまだストックがある事をバラしたんでしょうね? 私ならバラさないで、いざという時にとっておく。それで何枚持っているか攪乱すべきでしょうに……それをしないで手の内を明かしてきた。余程その道具の力に過信でもしているのかしら……?)」

 

 そして咲夜はそれを踏まえ、作戦を考える。

 

「(もし、また使う様子を見せたのなら私の【時を操る程度の能力】で──あの上着のポケットに紙束をしまった……その時に、使おうとしたタイミングで奪い取って無効化する!)」

 

 彼女は作戦を遂行するために、新しいスペルカードを宣言する。

 

「これでその御札を消費させてあげるわ──メイド秘技【操りドール】!」

 

 宣言し終えると、彼女の手元から多数のナイフが投擲される。そして、彼女以外の時が止まり──制止されている世界で咲夜は行動し、ナイフを設置。制止している封結をナイフで取り囲むようにするのも忘れない。

 

「そして──時は動き出す」

 

 彼女が能力を自分の意思で、再び時間が動きだし──取り囲んでいたナイフも一斉に動きだし、封結に襲いかかる!

 

「……大体、予想はついていたさ!」

 

 刀でさばき、手からの弾幕で相殺させ、ローラーでグレイズしながら最小限の負担にとどめる。このスペルカードでのナイフはどうやら壁、床にあたると反射をするみたく、彼はその攻撃にも対応していた。

 

 そして、彼は自分の動きに限界が来たのか──ポケットに手を伸ばそうとしているところを彼女は意識した。

 

「(させないわ!)」

 

 再び彼女は、時を止める。彼女以外の時の進みが止まり……封結はポケットに手を伸ばそうとしているところで止まった。それを確認しながら彼女は歩いて、彼には聞こえていないが話しかけながら、彼のポケットに手を伸ばす。

 

「……幻想郷の人間にしてはよくやった方だと思うわ。あなたの敗因はやっぱり、手の内を明かしたこと。道具に頼りすぎている……そういう点かしら?」

 

 咲夜は彼の手を伸ばしているポケットに手を伸ばし、そこに入っている紙束をすべて取り出した。彼女は紙束を自分の目で確認をし始めたが──

 

「さてとと……使い方はさっき見てたから良いとして──? 二種類の紙?」

 

 彼女が手元に広げて確認したのは、赤い文字で漢字が連ねられている御札と……疑似結界を張るのに使用した──黒い六芒星が描かれている御札。その御札が一枚紛れ込んでいた。

 

 

 

 

 

 そして──その内の黒い六芒星の御札が黒く光り出す。

 

 

 

 

 

「!? 何、この黒い光!?」

 

 とっさに咲夜は身体の反射で持っていた彼が所有していた霊撃札、六芒星の御札を離して距離をとった。しかし、その光った一枚の六芒星の御札は彼女の右手の甲に張り付く。

 

 彼女の手の甲に張り付いた瞬間──静止していた世界が動き出した。目の前にいる封結の時間も動き出す。彼はポケットに手を入れる動作を中断し、目の前にいた咲夜に反対のポケットから違う紙の種類である──スペルカードを取出し、宣言!

 

「──()符【結晶流界】!」

 

 彼の宣言と同時に、封結の周りに計八個前後の小さな白と黒の弾幕が出現。その弾幕は咲夜に向かう道中で、同じ色同士の色の弾幕が距離を詰めていくうちに──隣接していた弾幕が結びつくかのようにし、肥大化して襲い掛かる!

 

「また、さっきのような弾幕のスペルカード版!?」

 

「驚いている暇があるのならば能力を使うべきだったな!」

 

「しまっ──」

 

 彼女は封結の言う通りに能力を使おうとしたが……何故か発動できず。そのまま被弾した。そのまま彼女は彼の張っている結界にうちつけられるようにぶつかる。彼はすぐさま地面に散らばっていた一枚の六芒星の御札を手に取り、彼女に接近し──彼女の手の甲にあった御札を剥がし、張り替えた。それと同時に──咲夜の意思がゆっくりと闇に堕ちていく。

 

「(!? 急に……意識が……)」

 

 そのまま咲夜は意識が沈んでいく。彼女は横になり、意識を失った。

 

 封結は散らばった霊撃札、六芒星の御札を集めてポケットに収めた後、彼女に彼は近寄り謝りの言葉を。

 

「……手荒かもしれないが、意識を封じさせてもらった。その点についてはすまない。一先ずは、ちゃんとしたところで寝かせるか……」

 

 彼は彼女を抱き上げ、疑似結界を解いて足を進めた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻。紅魔館の主であるレミリア・スカーレットは博麗霊夢の言った事を復唱して問いかけていた。

 

「……能力を封じられたら? まさか……お前の従者は呪術の使い手だというの!?」

 

「まぁ、大体そんな感じね」

 

 彼女の言葉を霊夢は肯定した。レミリアは数秒沈黙したが……否定するように、彼女の言葉を非難した。

 

「……例え、そのような能力を持っていたとしても人間が咲夜に敵うはずがない。咲夜は【時を操る程度の能力】を持っているのよ? 能力の優劣ならば咲夜の方が上。さっきお前は『条件を満たせば』と言った。条件を満たさない限り、咲夜が負けるはずないじゃない!」

 

「……だから?」

 

「なっ!?」

 

 無関心そうな霊夢の返事。レミリアは彼女の反応に驚きを覚えているが……霊夢は解説をし始める。

 

「封結はそれなりに頭が回るほうよ。それぐらいの条件なら、初見の相手なら余裕なのよ。封結は言葉で相手を誘導するから」

 

「……誘導?」

 

「まぁ、あんたの従者の能力を教えてくれたから、私の従者の能力も教えておこうかしら──」

 

 彼女は言葉をそこで区切り、封結の能力名について切り出した。

 

 

 

 

 

「──封結の能力は【結び繋ぐ程度の能力】よ」

 

 

 

 

 

「……【結び繋ぐ程度の能力】?」

 

「そ。命名したのは私だけどね。魔理沙は【封じて結びつかせる程度の能力】って言って、封結自身はよく『封じる』関連で言っているけど……私だとその名前がしっくりとくるのよね。封結は能力名なんてどうでも良いみたいだけど」

 

 霊夢の言葉をレミリアは聞き返し、補足をつけて言葉を彼女は返す。続けて彼女は言う。

 

「能力使用の条件としては自分が残した【印】が必要なのよ。実際に直接で【印】をつけた方が良いんだけど……紙に【印】を書いて貼り付けるのも効果があるのよ。その分効果が薄くなって早い時間で解けてしまうみたいだけど。まぁ……ある事を強く結びつけるためには違う事と結びつかせないといけないけどね」

 

「……それならば、近づかなければ良い事じゃない。わざわざその【印】を書かれなければ良い事なのだから」

 

 フン、と鼻を鳴らし霊夢の話を一蹴しようとしたレミリアだが、霊夢は気にしないように話を続ける。

 

「封結は私の何枚もの【霊撃札】と、彼自身の特製の御札を持っている。初めは霊撃札で誘導するでしょうね。『霊撃札はここにある』というアピールをね。それであんたの従者の時を操る能力……結末が見えているわね。あんたならば相手の距離を離すことが出来る御札の束を持っていたら、時を操る能力を持ってどうする?」

 

「そうね……その札を奪い取るわ。時を止めて、それを無力化する。それが妥当でしょう──」

 

「はい、封結の能力で【能力が使えない】事に結び付いたわー」

 

「…………はっ?」

 

 当然な事を言わんばかりに言ったが──霊夢は挑発するかのようにレミリアの言葉を否定する。彼女は唐突の言葉で呆然しているが。

 

 答え合わせをするかのように霊夢は言う。

 

「その霊撃札の束に一枚以上、封結の御札が紛れ込んでいるのよ。念を込めた御札をね。ポケットに無造作に手を入れた場合、能力の仕込みをしているから。それに他者が触ったら……能力を無事に発動。多分、今頃あんたの従者は能力を封じられて詰んでいる頃よ」

 

「……! ──でも! 何故そう言いきれる!? 実際にそうなっていない可能性もあるのよ!」

 

「いえ、なっているわ」

 

 レミリアの言葉を否定し話を続ける霊夢。段々とレミリアに焦りが見えてき、霊夢は言う。

 

「……封結とは長年の【腐れ縁】なのよ? これぐらい予想できないでどうするのよ? 多分、魔理沙も予想できるわね」

 

「……くっ! ならばさっさとお前を倒して、その従者も追い出すのみ──」

 

 急ぐように、レミリアはスペルカードを取出し宣言。

 

「──呪詛【ブラド・ツェペシュの呪い】!」

 

 彼女の宣言と同時に、最初はナイフに似た弾幕を多方向に繰り出す。ナイフの軌跡を描くように円球状の弾幕が配置され……弾幕と弾幕が交差するようにして霊夢に襲い掛かるが──

 

「……少しずつだけど……あんたの弾幕に慣れてきたわ」

 

 霊夢は最小限の動きで彼女の弾幕を躱していく。躱している最中にアミュレット、追尾するホーミングアミュレットを放ってダメージを蓄積させるのも忘れない。

 

 彼女の様子を見てか、歯ぎしりをしながらレミリアは思う。

 

「(甘く見ていた……! 異変解決者がここまでやるだなんて……!)」

 

 ……実際だと、レミリアは【勝つ】事が出来る能力を持っている。彼女の固有の能力──【運命を操る程度の能力】だ。この能力を行使すれば、霊夢の運命を操って【敗北】させ、この異変を達成する事が出来るだろう。

 

 

 

 

 

 しかし……本来の自身の実力で屈服させなければ意味がない。吸血鬼のプライド──否、彼女のプライドが許さない。

 

 

 

 

 

 彼女も必死に当てるようにしていたが……制限時間が来たのか、スペルブレイク。だが、彼女はあきらめないで次のスペルカードを宣言した。

 

「まだよっ! 紅符【スカーレットシュート】!」

 

 彼女は周りに魔法陣を展開し、前方の五方向に特大の弾幕を放った。後に続くように大小の弾幕が放たれ、霊夢は大きく避けようとしたが──

 

「痛っ!」

 

 ──ようやく、彼女の脇腹に被弾した。一瞬苦痛の表情を浮かべた霊夢を見てか、レミリアは嬉しそうに、挑発するかのように話しかける。

 

「……ふふふ。やっぱり人間が吸血鬼には敵わないのよ。このままいけば、私が優勢になるわ」

 

「……あんた、何か勘違いしてない?」

 

 弾幕を被弾してもなお、霊夢は弾幕を避け続けながらレミリアに忠告するような言い方で言葉を続ける。

 

「弾幕ごっこ──スペルカード勝負はあくまで種族間関係なく、平等にするためのものよ。多少はあるかもしれないけど……種族での優劣なんて関係ないわ」

 

「あら? 負け惜しみかしら? 今の私に大きなダメージは与えられていないわよ」

 

「……はぁ。じゃあさっさと使いますか……」

 

 疲れたようにため息をしながら霊夢はある紙──構えながら、そのスペルカード名を宣言した。

 

 

 

 

 

「──霊符【夢想封印】!」

 

 

 

 

 

 博麗霊夢のスペルカード宣言。彼女の言葉に反応するかのように、色がとりどりな特大の大きな円球状の弾幕が八個前後ほど出現した。レミリアの放ったスペルカードの弾幕を呑み込みながら──レミリアに追尾する!

 

「まさかっ!? ここでスペルカード!? しかもかなり大きい……!」

 

 レミリアは追尾してくる特大の弾幕に焦点を当てて、弾幕を相殺しようとしたが……全ての数は相殺しきれず、残った弾幕が彼女に被弾した。

 

「がっ……!?」

 

 攻撃を数回喰らってしまったレミリアでかなりのダメージを負ってしまったが……気力でその場に体勢を保つ。それと引き換えか偶然か、レミリアのスペルカードはブレイクしてしまったが。霊夢本人としてはこれで勝負が付くと思っていたのか、意外そうに言う。

 

「……やっぱり、種族としての耐久性と言った方が良いのかしら? まだ大丈夫なの?」

 

「紅魔館当主がこんなところでやられるわけにはいかないでしょ! まだあの子に色々と教えなきゃいけないことがあるのに──いい加減このスペルカードで終わりなさい──【レッドマジック】ッ!」

 

 おそらく、レミリア最後の宣言となるであろうスペルカード。彼女の周りに先ほどとは違う魔方陣を展開。その魔方陣から大きな弾幕がレミリアから霊夢に放たれていった。

 

「……そろそろ終わりにしましょう。この異変はさっさと解決させるわ」

 

 霊夢は弾幕をグレイズしながら、アミュレット、ホーミングアミュレット、封魔針を使い分けながらレミリアに弾幕によるダメージを蓄積させていく。確実に霊夢は当ててくる攻撃に、レミリアは着々と疲弊していく。

 

「(……ここで負けたら、あの子の狂気を緩和する事が出来ないのに……!)」

 

 彼女は必死に、霊夢に弾幕を当てようとするが回避されていく。最初とくらべてかするようにはなってきたのだが……決定打にならない。

 

 ……そして──

 

「──そこっ!」

 

「うっ──!?」

 

 ──霊夢はレミリアに急接近し……レミリアの懐に手を当て、零距離で弾幕を放った。彼女は耐え切れず──スペルブレイクし、レミリアは空中から落ちていった。吸血鬼という種族のおかげか、地面にたたきつけられても意識はあるみたいだ。彼女は疲弊しながら、片膝をついて霊夢を見上げながら悔しげな言葉を。

 

「……これが……博麗の巫女……!」

 

「そうよー。泣く子も黙る博麗の巫女よー。さてとと……あんたが異変の元凶者みたいだから……この異変の紅い霧を止めてもらうわよ」

 

「(……もしかして、あの子を落ち着かせる実力もあるから──)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───ドゴォンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 レミリアがもしもの事を考えていたとき──下の方向から、大きな地響きと共に何かが壊れるような音が響いた。その急な出来事に驚く霊夢だったが──

 

「!? 何、このでかい音!? それに下からって──」

 

「まさか……!? フランが暴れているの!? あの子の暴走はパチェが抑えてくれるはず……まさか、こんなときに喘息!?」

 

「……下に誰かいるの? それで誰よ──」

 

 霊夢は疑問に思ったことをレミリアに問いかけていたが……彼女は、あることを思い出す……。

 

 

 

 

 

『こういうのは地下に行く方が正解なんだぜ! 地下に行くほど、敵が強くなるみたいな感じだ!』

 

『魔理沙は下だと思うのか……確かに、霖之助が拾ってきた外界の【げぇむ】では言う通りに、洞窟の下に潜るほど強くなっていったな……』

 

『そういうこった! だから強い奴、つまりは異変の犯人である実力者は地下にいると私は考えた!』

 

 

 

 

 

「──まさか!? 地下に隠し玉がいたの!?」

 

「……隠し玉じゃないないわ。私はあの子──妹のフランをこの異変に関わらせるつもりはなかった。でも……多分、一定以上の動かさせる何かと会ったみたいね……」

 

 彼女の言ったことをレミリアは否定しながら説明する。霊夢はその何かに心当たりがあった。

 

「地下には魔理沙が向かっているのに……! 多分、そいつとやっているのね……!」

 

「……急いだほうが良いわ。こんなときにダメージが重なって動けない私が言えた義理じゃないけど……下手したら、そいつ──壊されるわ」

 

「……っ!? 理性が無いって言いたいわけ!?」

 

「今の場合、無いかもしれない。異変の元凶である私が言うのは悔しいけど──」

 

 レミリアはそこで言葉を区切り──霊夢の目を見ながら頼み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「──フランを止めてちょうだいっ!」

 

 

 

 

 

 




 次話の対決は二話構成の予定です。

 ではまた。
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