三人称視点。
では本編どうぞ。
魔理沙の戦闘を受け継ぎ、フランドールを対峙するのは名も無き店の店主である封結。そしてもう一人は紅魔館のメイドである十六夜咲夜。二人はフランドールの放つ弾幕を各々の行動で回避していた。
「咲夜! 左に回って攻撃を! 俺は右に回る!」
「わかったわ!」
封結の指示に咲夜は動き、封結は円球状の弾幕を。咲夜はナイフの投擲を。フランドールは機敏に機敏に動きながら、スペルカードを構えて宣言。
「禁弾【スターボウブレイク】!」
彼女の宣言と同時に、空中から色とりどりな多数の弾幕の出現。それぞれ時間差をつけながら、二人に襲いかかる!
「おっと! 咲夜! なるべくは被弾するなよ!」
「極力そうするわ!」
お互いに確認しながら声を出し、回避行動をとりながらフランドールに弾幕を浴びせる。
「ムゥ……中々当タラナイ……!」
当たらないことにしびれを切らしているのか、フランドールは弾幕の量を多くする。その結果、回避が難しいレベルになってしまい、二人の体は彼女の弾幕に被弾するが──何ともないように見える。
「! 当タッタハズナノニ──」
「封結! 今で接近して!」
「了承した!」
咲夜は時を止め、封結はフランドールの弾幕を八卦ローラーで俊敏に躱しながら──彼女に斬りつけようとする。しかし、フランドールはその場を離れて回避したが……スペルブレイク。
今の被弾した自身の箇所を咲夜は見て、感心したように封結に言う。
「……あなたの能力で外傷がそんな無いわね。一応、まだ能力は続いているわ」
「それは結構。まだ数発は耐えられるとは思うが……それよりも、早く決着を付けるぞ!」
「……えぇ、そうね!」
二人はフランドールの動きに対応していく。一人は誘導、または囮に。そしてもう一人は隙を見つけては攻撃をする。二人の今まで会った時間がかなり少なく、即席の組み合わせだが……お互いを助けるようなコンビネーションを見せていた。
彼の知る、遠くから回復を図っている腐れ縁の魔理沙は二人の光景に疑問を持つのと同時に……苛立ちが募っていく。
「(何なんだよ封結は!? どうして異変側とあそこまで仲良く出来るんだよ!? しかも霊夢じゃない、私の知らない奴と……!)」
彼女の疑問については……少し前に遡る。
「──うぅ……ここ、は……?」
小さなうめき声を上げながら、レミリア・スカーレットの従者である──十六夜咲夜は目を覚ました。目を開けると……映った景色は紅い天井。
『お? どうやら気がついたようだな?』
近くに男の声。咲夜はすぐに起き上がり、その声の主を確認すると……この異変を解決する側の一人であり、弾幕ごっこに負けた人物である──名も無き店の店主である封結。彼女はすぐさま警戒し、能力を使おうとしたが……発動できない。
「!? 時が……操れない!?」
「……ほぉ。空間干渉かと思ったが……まさか【時を操る】能力とはたまげた。まぁ、今その能力は簡単に言うならば封印させてもらっているがな。意識が封じさせてもらった後、改めて能力を封じさせてもらった」
彼の言葉に、一度右手の甲を見てみると……黒い六芒星の御札が黒い光を放っている。もう、これは彼女の先ほどの経験で体感した。
「……あなたの能力は何かを封じる能力ってわけね……」
「半分ほどはそうだな。もっとも、もう少し強力な封印を施すにはとある事を結びつかせなきゃいけないが……まぁ、これは良いか。それよりも……異変は何とか出来ないのか? お前の主に頼んでさ?」
会話を切り上げるように、彼としての本題を咲夜に持ちかけた。当然、彼女は否定。
「……出来るわけ無いじゃ無い。私はレミリアお嬢様の従者なのよ? 主の言う事は絶対。それにこの異変は……妹様の為でもあるんだから……」
「……主に妹もいるのか……それで従者……時に我が儘を言っても良いと思うけどな。人間、甘えも必要だと思うが」
「……あなた、私の能力に何にも思わないの?」
「……ん? どうしてだ?」
急な咲夜の問いかけ。彼は彼女に耳を傾ける。
「……この能力は、以前の人間達に化け物扱いにされているのよ? だって、他の人物が普通の時を過ごしているのに……私だけがその時に干渉出来る。その気になれば、恐怖を植え付ける事だって……。この能力を踏まえて、私という存在を受け入れてくれたのがお嬢様。名前も与えてくれて……私はどんなことがあっても、忠誠を誓ったわ」
「……まぁ、何にも無い人生を送っている奴らに対して畏怖の対象かもしれないが……俺はそう思わないね」
「……どうして?」
彼女の言い分の否定。咲夜はその理由を尋ねたが……彼はこう答えた。
「俺だったらお前が欲しい」
「……………………えぇっ!? あ、あなた!? 何を言っているか分かっているの!?」
第三者から見れば、大胆な告白。まともな好意を受けたことが無かった頬を染めて困惑するばかりだ。
大胆不敵な言葉を言った封結は言葉を続ける。
「だってさ、何処まで出来るかわからないが……その能力があれば、店の商品の幅が広がると思うわけさ。食料保存も出来るのか? 物の耐久性も維持出来るのか? そして場合となっちゃ、急用が入ったときとかに素早く、時間を無駄にしない素晴らしい能力じゃないか! それに、そんな長い時間を過ごしたわけじゃないが……対人の対応が丁寧という点! 初めて会ったときからの丁寧な言葉遣いや話しやすさ……これはもう店員として欲しいレベルだったんだよ! 最近、客それなりに入るようになって忙しくなっているんだ。腐れ縁の常連は手伝いもしないし……本当に最近、店員募集しようか迷っているぐらいだからな……」
前者は覇気があるように、後者から悩むように言う封結。普段物事を冷静に対処している彼が熱く語っている話がある。
……同時に、彼女が思っていた事と彼の思っていた事の違いの差に恥ずかしくなったのもあるが。少ずつクールダウンをする。
少なくとも、咲夜の彼のイメージはクールな感じと思い込んでいたので、少し確かめるように彼に話し掛けた。
「……仮にも、お嬢様よりも先にあなたと会っていた場合……同じ事が言えるのかしら? 当時の私には生きるのに必死だった。それで……お店をやっているのなら尚更。その時は襲っていたかもしれないわ」
「……生きるのに必死、か……。少なくとも、俺は事情さえ話してくれれば……お前の事を受け入れるぞ。先ほども言った通り、店員募集しようか迷っているぐらいだからな。その際ならば、衣食住を提供する代わりに働いて貰うからな。多分、もっと早く咲夜と会っていたならばそういう事を俺は言っていたと思うぞ?」
「……変な人。こんな私を受け入れる人間がいるだなんて」
「正直、お前より変な人間と過ごしているからな。人間じゃ無くとも、訳ありの居候看板娘だったり、腐れ縁の常連だったり。そこから言えば、咲夜は随分まともの方だと俺は思うね」
「……そう」
彼の変わった言葉に、少し咲夜は笑みをこぼした。彼女は、彼の言った【もしも】の事を思い浮かべてみる……。
『──品出しはこんな感じで良いのかしら?』
『おう、そんな感じで頼む。それで……昼にするか。結梨華は何が食べたい?』
『美味しいものが食べたいです!』
『…………そうか。咲夜、お前の思う美味しいモノを作ってくれ』
『難しい事を言うわね……まぁ、なるようにやってみるわ』
『あぁ。頼んだ』
「……何か、店員と店主というよりは【夫婦】というのがしっくりくるんだけど……あのお店を手伝っている少女とかの影響で」
「まぁ、実質的な店員は結梨華ぐらいだからな。同年代の店員もいないし。結梨華は外見上本当に子供に見えるしな。一種の家族に見えるかもしれない。だが、ここだけの話……結梨華はあぁ見えて──」
──ドゴォンッ!!
封結が喋っている途中で、下から響く音と振動。急なことに封結は驚いた様子を見せるが……咲夜は、心当たりがあった。
「まさか──妹様が癇癪を!? パチュリー様はもしかして喘息で対応出来ていない……!?」
「……妹? 明らかにこれは……妖怪の類いか? まだ誰かいたのか?」
「いるも何も……その方はお嬢様の妹君である、フランドール・スカーレット様よ!」
「……下から音がしたという事は……魔理沙が応戦しているかもな……。すぐに向かった方が良いかもしれない……」
彼は考えをまとめている間、咲夜はベッドから降り、彼に詰め寄って行動を促す。
「封結! この御札を剥がしてちょうだい! すぐに妹様を止めに行かないと!」
「……別に、俺はそのフランドールだかどうなっても構わないんだけどな……。でも、俺は地下にいるであろう魔理沙が心配ってのもある……仮に、咲夜が応戦しにいったとして……止められるのか? そのフランドールは?」
「……正直、難しいわ。普段はパチュリー様が癇癪を止めてくれるのだけど……もしかしたら持病である喘息で体調が良くないのよ。最悪の場合だと、妹様の狂気がパチュリー様の実力を上回って、そのまま暴れ出すかもしれない……!」
彼女の悩ましい声に、封結は考える。考えた結果として──彼はある事を持ちかけた。
「……なら、俺と一緒に止めにいくか?」
「……えっ!? あなた、正気なの!? 間違いなく、あなたの特殊な能力でも妹様の方が間違いなく実力が上だわ! 正直、私達二人でも厳しいのに……!」
彼の提案に難しい事を告げる咲夜。だが彼は、ある事を咲夜に問いかける。
「……一応聞いておきたいんだが……種族は吸血鬼で合っているよな?」
「……吸血鬼だけど……何か関係あるの?」
「いや、この刀の封印を解いても良いと考えたんだ……若干種族に語弊はあれど、吸血【鬼】には変わりは無いからな。一応聞きたいんだが……炒り豆とか苦手か? お前の主は」
「……確かに苦手だけど……それがどうかしたのよ?」
「……その時の場合で考えよう。それと……咲夜の札は剥がす。だが……その代わり、俺の違った能力の効果を結びつける」
「……? あなたの能力は、何かを封じる能力じゃないの?」
彼女の尤もな疑問。現に彼の能力は咲夜の能力を封じているのだ。しかし、彼は首を横に振りながら答える。
「単純で、時間継続が短いならば単なる封印として捉えられるが……より強く封印する事で、俺が念を込めた事と結びつかせる事が出来るんだ。それで聞きたいんだが……咲夜は地上戦と空中戦で応戦するのだったら、どっちが得意だ?」
「それは……地上戦の方が良いわね。地上でナイフ投げた方は安定するし」
彼の質問に彼女は答えると……封結はある事を言いながら行動に移した。
「じゃあ、飛翔を封じる代わりに──身体能力の強化に結びつけるぞ」
──彼の施した咲夜へのデメリットとメリット。デメリットというのは言葉の通り、咲夜のある箇所には彼の【印】が描かれている。そして彼の能力により咲夜は飛翔する事が封じられている、
一方、先ほどフランドールの弾幕が体に当たっても平気な顔でいられたのはメリットである──身体能力の底上げに結びつかせたのだ。吸血鬼の身体能力は上位だ。それに少しでも追いつかせるために彼は咲夜の飛翔を封じる代わりに、彼女の身体能力を上げる事に結びつかせた。それが本来の彼の能力であり、博麗霊夢曰くの【結び繋ぐ程度の能力】。何かを封じる代わりに、他の何かを新しく結びつかせる。それが彼の本来の使い方だ。時間が短ければ封印だけにおさめることが出来るのだが、それ以上となると何かに結びつかせなければならない。
……使い方によっては、メリットとメリット、デメリットとデメリットの両方を生み出す事もあるが。
飛翔を封じる代わりに、人間以上の身体能力が付加されている咲夜。自身の能力と合わせながらフランドールに対応していた。無論、封結もフランドールに弾幕を撃ち込んでいく。
攻撃が当たっても苦にならない二人を見てか、痺れを切らしたかのように新しいスペルカードを宣言。
「コレデ当タッチャエ! 禁弾【カタディオプトリック】!」
彼女の宣言と同時に大きい弾幕が複数形成され、大きい弾幕の後に小さな弾幕が続き、二人に襲いかかる。
咲夜はスペルカードを構え、封結に行動を促した。
「封結! あなたは私の後方に来て! スペルカードを宣言するから!」
「わかった! すぐ向かう!」
彼はすぐさま咲夜の背後へ移動。そして彼女はスペルカードを宣言。
「奇術【エターナルミーク】!」
咲夜は手元を素早く動かしながら、多数の斬撃の弾幕を放つ。その弾幕は丁寧にフランドールの弾幕を相殺し、微量ながらフランドールに被弾させてダメージを与える。吸血鬼としての弾幕の力という観点なら、本来は相殺仕切れなかったかもしれない。だが……彼の能力で飛翔を封じられているが、その分の弾幕の威力、速さが強くなっており対応出来ているのだ。
その結果、何とかフランドールの弾幕を防ぎきり──スペルブレイク。フランドールは咲夜の対応する力に疑問を持ったようで話し掛けてくる。
「……咲夜ッテコンナニ強カッタッケ?」
「一時的ですけどね。それでも……まだ、妹様を満足するまでとはいかないようですが」
「……ハハハッ! ジャアマダマダ遊ベルンダネ! モットイクヨ──禁弾【過去を刻む時計】!」
愉しむようにフランドールは次のスペルカードを宣言。二人の両脇には十字型の回転した質量のある弾幕を。そして正面にいるフランドールからは膨大な数の円球弾幕を放っていた。
「! このスペルも使うんですか……! これは、対処が出来ない──」
苦虫を噛み潰したかのように、悔しげな声を上げた咲夜だったが……後方で待機していた封結が前に出て、刀を構え始める。
「咲夜。次は俺の番だ。後方で待機していろ」
「無理よ! あなた、この弾幕を対処出来るの!?」
「……普通なら、難しいだろうな。ここでスペルカードは使うわけにはいかないし。ならば──この刀の封印を解いて──一か八か、対処するだけだ!」
彼は鞘に貼られている黒い六芒星が描かれた御札を剥がした。
二人は弾幕に囲まれて、姿が見えなくなった頃──その弾幕達は一瞬にして切り裂かれた。
遠くで見守っていた魔理沙はその光景に驚きしかない。彼の刀に能力を掛けているのは知っていたのだが……何を封印しているのか、知らなかったのだ。
「おい!? 封結の御札を剥がした瞬間に弾幕が切り裂かれるって……一体何が──」
ふと、魔理沙はフランドールの様子を見ていたのだが──彼女の様子がおかしい。何かを恐れるように──体が小刻みに震えていた。
「ナ……何ナノソノ嫌ナ剣!? サッキマデ何トモナカッタノニ……!?」
フランドールは警戒した目で、刀を持つ封結に視線を向ける。彼は彼女の怯えている表情を見て、安堵したかのように言葉を繋げた。
「やっぱり、吸血鬼にも有効だったか……。この刀は霖之助がやけに勧めた刀でな。どうして、この刀を俺に押しつけるようにしたのかはわからない。霖之助は『これは君が持っておくべきだ』と言われて、この刀の性質を教えて貰ったらすぐに俺の能力で封印したさ。その封印と結びつかせて【弾幕を斬ることが出来る】にして……ようやく、この刀の本来の力を発揮出来る」
彼はそう言い、刀を改めて構え、刀の名前を言った。
「──封刀『鬼切』。元々は対、鬼の刀だ。鬼の力を凌駕することが出来る──それだけの刀だ」
改めて刀の能力について彼は言った時、咲夜は彼の言葉に納得し始める。
「だからあの時封結は炒り豆が苦手かどうか聞いたのね……!」
「あぁ。漢字でまがりなりでも、吸血鬼で【鬼】が入っているからな。もしかしたらこの刀で対処が出来ると思ったんだ。幸い……効いているみたいだ。この刀は鬼から見たら恐怖の対象らしい。そしてフランドールは……あの様だ」
封結は彼女に視線を向けるも……フランドールは怯え始め、手を構えて弾幕を乱発し始めた。
「ク──来ルナ来ルナーッ!?」
彼女のスペルカードが乱れてきている。規則性が段々と崩れていき、定まらない弾幕が放たれるも──封結は鬼切で弾幕を払う。
「……作った弾幕にも有効みたいだな……こりゃ良い。予想よりこの鬼切使えるぞ」
次々と封結はフランドールの繰り出した弾幕を無効化していく。そして、フランドールの精神に影響を与えている所為なのか──スペルブレイク。
「さすがに降参しても良いんじゃないか? この刀を恐れて弾幕の狙いがおろそかになっている。それに加え、この鬼切のおかげでお前の力は俺には干渉出来ない。所有者の特権だな。だからさっさと認めろ──この刀の封印を解かれた時点でお前の負けは決定している。さっさと気を鎮めろ」
「──! 嫌ダ! コウナッタラアナタヲ壊ス! 秘弾【そして誰もいなくなるか?】──」
フランドールの宣言。彼女は蝙蝠となって消え──まずは追尾するように、弾幕が蛇が這ってくるように近づいてくる!
「! 咲夜! このスペルはもしかして耐久スペルなのか!?」
「そうよ! このスペルカードをしている間、妹様には攻撃が通らない! おそらくその刀でもスペルカードの耐久スペルは無理でしょう!?」
「確かに……対象がいないんじゃ、防御は出来ても攻撃が出来なくちゃな……! 咲夜は下がれ! どうやらフランドールは俺を狙っているみたいだ! 近くにいると巻き添えを喰らうぞっ!」
「……わかったわ! 気をつけて!」
咲夜は封結の言う通り戦線離脱。彼は追ってくる弾幕を八卦ローラーで俊敏に滑りながら回避していく。回避している途中で──もう一つ、弾幕を追尾する攻撃が現れた。
「ちっ! しつこい!」
封結は弾幕を斬りながら回避していく。だが、回避しているならば着々とスタミナが減っていくのは必然だ。
そして、追尾してくる弾幕は止んできたのだが……今度は四方からそれぞれ違う繰り出し方の弾幕が封結を襲う!
「……これ、さっさと回避しないと隙間がなくなるのか!?」
封結はスタミナが減っていく中、隙間がある内に弾幕と弾幕の間を縫うように躱す。しかし、次には違う軌道の弾幕が封結を攻撃してくる。
「……ハァ、ハァ……」
スタミナがドンドン減り、息づかいが荒くなる。彼は人間だ。一般的に見れば運動能力は優れているのかもしれないが、それはあくまで人間の中での話。確実に彼のスピードが遅くなっていく。
『モウソロソロ壊レチャウカナ? モシコレデマダ体が壊レテイナカッタラ──壊レルマデオ人形サントシテ遊ンデアゲルネ!』
どこからか響くフランドールの声。どこか嬉しそうな声を響かせながら──彼女は弾幕を放ち続ける。その事に魔理沙は駆けつけようとするが間に合わない。咲夜は能力を使っても、瀬戸際。
そして……反応と体の動きが鈍くなった封結は弾幕に囲まれてしまった。確実に数メートルで当たる時に──
『──夢符【封魔陣】!』
空中から地上にいる封結の背後に舞い降り、スペルカードを地面に貼り付けて結界を展開する人物。その人物は立ち上がった後、誰かを理解しながら封結は背中合わせの状態からその人物へと声をかけた。
「……ったく、良いタイミングで来てくれるよな──博麗の巫女!」
「そこは名前で言いなさいよ封結……せっかく助けてあげたのに、私の名前を呼ばないでいるのはどうかと思うけど?」
「俺は今回の場合、そっちの方がしっくりときたんだけどな……まぁ、助かった。霊夢」
「お礼は賽銭箱にお願いするわ」
「気が向いたら五円は入れてやる」
「一円だけじゃないだけまだマシだけど……まぁ、良いわ。それで手打ちにしてあげる」
霊夢が展開した結界でフランドールの弾幕を無効にしていく。そして、時間が来たのか──フランドールのスペルカードはブレイク。蝙蝠が集まるように、その後フランドールは現れたが……霊夢の存在に戸惑うばかり。
「……アナタ誰? 折角ソイツニ勝テソウダッタノニ……」
「私はただの博麗神社の巫女の博麗霊夢よ。それで……あんたがレプリカだかの妹?」
『レミリアお嬢様よ、博麗の巫女……』
弾幕が止んだのを確認し、封結の傍に現れる十六夜咲夜。彼女は霊夢の言葉を訂正していたが……霊夢は咲夜にある事を告げる。
「あ、そうそう。そのレミリアだかをちゃんと私はしばいたわ。本来ならばそれで異変解決なんでしょうけど……」
「……!? お嬢様が!?」
『何だ……霊夢が元凶に当たったのか……』
続いてきたのは霧雨魔理沙。彼女の悔しげな言葉を聞いた後、霊夢は声を掛ける。
「魔理沙……あんた、無事だったのね。冗談無しに。下手したら壊されているってレミリアから聞いたけど……」
「確かに危なかったさ。だけどな──封結は私の元に駆けつけてくれたんだ。私を……その……ちゃんと抱き留めながら助けてくれたからなっ!」
「……ふーん……」
魔理沙は一瞬躊躇うように言葉を詰まらせていたが、最後の言葉を強調するように言った。彼女の言葉を聞いた霊夢は封結に冷たい視線を送っている。その事に疑問に思った封結だが──霊夢が彼に早く話し掛けた。
「……封結。あんたには足止めを頼んだわよね? それでこの場にそのメイドがいるってのは気になるけど……それはまぁ、おいておくとして。何で私の元に駆けつけなかったのかしら?」
「さすがに地下から大きな音と地響きしたら魔理沙が気になるだろう? それで咲夜から聞いた話だとそれなりに危ない奴と聞いてな。霊夢なら心配無いと思ったんだ。それに俺の場合は元凶とは会っていなかったし。魔理沙の約束通り、駆けつけたんだ」
「(……バカ)」
「ん? 何となく貶されたような気がしたんだが……どうかしたか?」
「別に。それよりも……さっさとあいつを止めるわよ」
霊夢、魔理沙、咲夜、封結はフランドールに体の向きを変える。彼女はスペルカードを持っており──宣言。
「QED【495年の波紋】!」
彼女の宣言と同時に、空間のいたる場所から弾幕が発生。その弾幕を中心として、水滴が水面に落ちて広がるように、波紋が広がっていく。
四人はそれぞれ躱しながら、封結は咲夜に声を掛けた。
「咲夜! こいつの狂気を鎮める奴はまだ来ないのか!?」
「……実はさっき、時を止めながらあなたを行動している時に……パチュリー様は喘息を発症していたのよ。だから、来れないわ……」
「…………あ」
咲夜の言葉を聞いて、魔理沙は気まずそうな声をあげる。その事に疑問を覚えた一人として、霊夢が魔理沙に問いかける。
「魔理沙……どうしたのよ?」
「いやぁ〜……パチュリーは私が倒したから、多分それで来られないかと……」
「「「…………」」」
苦笑いしながら言う魔理沙を除く三人の沈黙。弁解するように魔理沙は三人に訴える。
「しょ、しょうがないだろ!? この異変が起きて私は地下に元凶がいると思ってたんだ! その道中で邪魔してくる人物がいたら片付けるのが異変解決者だぜ!」
「じゃあどうやってこいつの狂気だかを鎮め──あ。よくよく考えれば適任がすでにいたじゃない……」
始めは魔理沙に非難の言葉を言おうとしていた霊夢だが……冷静になって打開策を見つけた。その行為が出来る人物──封結に声を掛ける。
「封結。あんたが狂気を封じなさい。あんたしかこの場で鎮める奴はいないわ」
「……俺が封じるのか。それしかないなら仕方ないよな……なら、お前達であいつの行動を制限してくれ! 札をフランドールに貼り付ける!」
「頼んだわよ!」
「任せたぜ!」
「……妹様を頼むわよ……!」
三人の了承の声。封結は八卦ローラーで弾幕を躱しながらフランドールに接近していく。彼に当たりそうな弾幕は針で相殺されたり、レーザーで相殺されたり、ナイフで相殺されたり。彼女達三人は彼のフォローをしていた。
彼はフランドールに近づいていく中……彼女は警戒し、弾幕の量を増やしながら言う。
「アナタハ近ヅケサセナイ……!」
「そう言うな。俺だってこんな面倒事は嫌なんだ。だから──さっさと、終わらせるんだよ──俺の平穏の為に!」
さらっと願望を言いながら彼は御札をは違う紙──スペルカードを宣言!
「
彼の宣言と同時に、彼を中心に黒い空間が広がっていく。その空間はフランドールも入っていく。そして──フランドールの放っている弾幕が減少していく。
「……!? 弾幕ガ……ドウシテ!?」
「詳しい効果の説明が必要か? これは攻撃スペルでも何でも無い。制限を付けるだけのスペル。いや、平等にするスペルか? 俺は現状弾幕を放っていないんでね。弾幕を打てる数は、俺を基準とする。俺がそれなりに放っていれば同じ数だけ弾幕を放てるが……現在の俺は放っていない。お前の対処は鬼切で十分だからな。そうなれば今は減りつつ──弾幕が無くなるぞ」
「ソンナ……!?」
「そしてこの鬼切で──お前を斬りかかるぞ!」
八卦ローラーで封結はフランドールに急接近。そのまま彼は大きく振りかぶる。
「──ッ!?」
鬼切の性質での恐怖からか、フランドールは目を閉じた。そのまま防御態勢をとろうとしたのだが──
「──言葉で騙されすぎ。お前を斬ったらおそらくこの洋館の主と──咲夜に恨まれるっての」
フランドールの背後から聞こえる声。そのまま彼──封結は彼女の首筋に黒い六芒星の御札を貼り付けた。貼り付けた瞬間、六芒星が黒く輝き──
「あ──」
──そのまま、フランドールは意識を失い倒れかけたところを封結が倒れないように抱き留める。彼女を背中に乗せ、歩いて咲夜に近寄り……フランドールを渡した。
「……これで良いか? 咲夜?」
「……本当に妹様の狂気を……!? あなたって本当は何者なの……!?」
霊夢の頼まれたようにしてフランドールの狂気を鎮めた封結。改めて咲夜は尋ねるものの……彼はこう答える。
「だから言ったろ? 名も無き店の店主である──封結だ」
彼がフランドールの狂気を鎮めたのを咲夜は確認していたころ、霊夢と魔理沙は彼に近寄り話していた。その光景はとても仲の良い光景に見えて──
「(……っ。何故か、心臓付近が苦しい……?)」
──何故か仲が良さそうに話す封結の様子を見て、違和感を覚える咲夜だった……。
これで異変自体は終了です。後一話続けた後、後日談(という名の最終章)。
今回、過去の活動報告で募集した武器の名前を明らかにしました。多少、私の方でミスが発覚し、一部分を修正したりしましたが……何がともあれ、ありがとうございます。
今回の武器──封刀『鬼切』を採用した理由についてを。
・吸血『鬼』でもあるので、今回のExStageで活用出来る性質だった
・本来は対『鬼』の武器ですが、彼の能力と相性が良かった。『鬼切としての性質を封じる』事にし、結びつかせる事を『弾幕を斬ることが出来る』事にした。彼の黒い六芒星の御札を貼ってある理由はこれ。そもそも紅魔郷では普通の鬼は見かけることがよほどのことが無い限り無いからですね。
・『封』の文字に惹かれた
ではまた。