幻想郷に店を構えてます【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 次話からようやくある人物の出番が戻ります。
 三人称視点が最近多い。
 では本編どうぞ。


十六話『異変の後処理』

 フランドールとの戦いを終え。封結は眼鏡を額に掛けて鬼切を再び封印した後、咲夜にとある事を話し掛ける。

 

「フランドールの狂気を封じたのは良いが……結局、この感じからだと霊夢が異変の元凶を退治したって事だろ? さっさと外の紅い霧を収めてもらいたい。店の経営もこのままじゃ出来ないからな……」

 

「……それは……そうね。まずはお嬢様を呼ばないといけないわね……」

 

 どこか名残惜しそうに、彼の言葉に同調する咲夜。その二人をよそに、魔理沙は霊夢に今回の異変の犯人について話し合っていた。

 

「そういや、この異変の犯人はフランの姉なんだろ? どういう奴だったんだ?」

 

「そこのフランっていうの? 姉妹といっても翼が違ったわね。こっちは七色に対して、向こうは悪魔の翼っていうの? そういう──」

 

 

 

 

 

『──!? まさか……フランの狂気が抑えられている……!?』

 

『……博麗の巫女はいるっていうのは知っていたけど……他に男? あれが【ふゆ】という異変解決者の一人……?』

 

 

 

 

 

 扉から聞こえた声。その二人の人物は封結達に近寄っていく。最初にフランドールの狂気について指摘したのは姉であり、異変の当事者でもある──レミリア・スカーレット。

 

 一方、男である封結を見て疑問を抱いているのは図書館を管理している魔女──パチュリー・ノーレッジ。

 

 二人の存在を確認した咲夜は傍に能力で駆け寄り、安否を確かめるかのように話し掛ける。

 

「お嬢様……パチュリー様……! お体は大丈夫ですか!?」

 

「えぇ……今となれば、大丈夫よ。それで咲夜……その男に負けたのね」

 

「……申し訳ありません……」

 

「……しょうがないわ。霊夢の従者は咲夜以上だった。それだけの事よ。これからも精進しなさい」

「……はい」

 

「へぇー? あの男が博麗の巫女の従者なのね……初めて聞いたけど……」

 

 レミリアから言う情報にパチュリーは興味がありげな視線で封結を見るが……レミリアの言った言葉を封結は戸惑いながら問いかける。

 

「……ちょっと待て? 俺が霊夢の従者ってどういうことだ?」

 

「……え? だって霊夢、あなたは私の従者って言っていたわよ? 私との弾幕ごっこの最中何度も」

 

「いや、俺と霊夢は腐れ縁ではあるが……他人だぞ? 俺は霊夢とそういう関係じゃない」

 

「…………えっ」

 

 目を丸くしながら驚いているレミリア。その会話内容に一番引っかかったのは魔理沙だ。彼女は霊夢に少し怒りを込めて問いかける。

 

「……おい霊夢。何時から封結は霊夢の従者になったんだ? 封結は否定しているじゃないか……!」

 

「向こうが従者自慢してくるから封結を借りたわ。従者には従者を、という事でね」

 

「対抗意識燃やしてどうするんだぜ!?」

 

 当然なように言った霊夢に魔理沙は疑問しか湧かない。

 

 段々と賑やかになっていく中で……少しの間、意識を失っていたフランドールが目を覚まし始めた。

 

「──あれ? 私……眠っちゃってたの?」

 

「妹様……大丈夫なのですか?」

 

「うん、平気……」

 

 咲夜の背中から降りて、現状を確認するフランドール。そして彼女の首筋に貼ってある御札に目が行ったパチュリーは彼女に問いかける。

 

「……妹様? その首筋にある御札は何かしら?」

 

「え……あ、本当だ……何か貼ってあるけど……取れない……」

 

 フランドールは手で剥がそうとするも剥がれない。その事に当事者である封結は説明する。

 

「その札は気にしなくていい。その札はお前の悪いモノを閉じ込める札だ。しばらくの間、お前は機嫌を損ねたりすることは無い」

 

 彼の言い回しに察しがついたレミリアは、確認するように問いかける。

 

「……悪いモノ──狂気のこと? 霊夢の従者ではない──【ふゆ】かしら? あなたが狂気を鎮めたというの?」

 

「まぁ、そこの──パチュリーだったか? いつもやっている方法とは違うんだろうが……俺が封じ込めたな」

 

「……ふぅん。それじゃあこの御札を貼っている限り妹様の狂気は封じ込めることが出来るってワケね」

 

 パチュリーの言った考察に、一瞬レミリアの反応が変わったが……彼はある事を否定する。

 

「とは言っても、一時しのぎだけどな。これはあくまで【封じた】だけ。実際、封じ込めるのに精一杯だったんだ。俺の封印というのは、定期的にしなければいけない。今回は札を使ってでの封印、それとあの狂気の強さから見て……一日で封印が解かれる。間違いなくな」

 

「……それじゃあ、あなたが定期的にフランの狂気を封印し続ければ解決ね(霧を通さずとも、この能力でフランは──)」

 

 レミリアは当然のように、封結に声を掛けたのだが──

 

 

 

 

 

「は? 何で俺がしないといけないんだ?」

 

 

 

 

 

 

 ──否定した。レミリアの言葉を疑問に持ちながらの否定。霊夢と魔理沙以外は封結の態度に驚きを隠せない。

 

 その否定した封結に、少し焦りを含むような言葉でレミリアは詰め寄って問いかけた。

 

「何を言っているのよお前は!? ここまでの流れだとお前がフランの狂気を何とかしてくれるんじゃないの!?」

 

「別に今まで何とか出来ていたんだろ? 俺は仕方なく、咲夜からの情報提供で魔理沙が危ないと思ったから、その副産物として封印しただけだ。それに今まではそこのパチュリーが対処していたんだろ?」

 

 彼はパチュリーに視線を向けると、彼女は少し言葉を溜めながらも彼の言葉に答えた。

 

「……そうね。今までで妹様の狂気が現れることがあった。その際には私が対処していた。でも……あなたの場合、大した苦はなくて対処出来るんじゃないの?」

 

「対象が静かだったらな。だが言わせて貰うならば──どうでも良い」

 

 興味がなさそうに、どうでも良いと言った封結に魔理沙は察しがついているのか、確かめるように話し掛ける。

 

「……封結。そう言うとは思っていたが……まさか自分の利益にならないからか?」

 

「無償労働が一番つまらん。異変に関しては霊夢が解決したわけだし、店もちゃんと経営出来る。こちらは商売して生計を立てているんだ。よそのことまで構っていられるか」

 

 吐き捨てるように言った封結に──レミリアは妖力を漏らし始め、威嚇するように言葉を飛ばす。

 

「……たかが人間如きが私の命令に聞けないっていうの? だったら──体でわからせても良いのよ?」

 

「…………」

 

 封結はレミリアの様子を見て──『鬼切』の封印を再び外した。その瞬間、レミリアの妖力は引っ込み、急に後すざって体が恐れるかのように震えだした。

 

 ……同時にフランドールも怯え始めてしまったが。

 

 すぐに反応したのはレミリア。彼に疑問を投げつけるようにしながら言葉を。

 

「!? な、何なのよその剣は!? 嫌な気配がするんだけど!?」

 

「……フランドールに関してはとばっちりだな。それはすまない。お前に対しては敵意は無いから安心してくれ」

 

「…………うぅ」

 

 震えながらも、こくりと頷くフランドール。パチュリーは封結の持っている刀に疑問しか持たない。

 

「何の武器なのその剣!? レミィと妹様が剣の札を外したぐらいで怯えるだなんて……!?」

 

「まぁ、訳ありの武器だ。それで……レミリアとか言ったか? 一言二言言わせて貰うぞ──」

 

 彼は、レミリアを視線で射貫きながら言葉を言う。

 

 

 

 

 

「──自分の命令通りになると思うな。我が儘の餓鬼が」

 

 

 

 

 

 冷たい彼の言葉。言い終えたのと同時に封結は再び鬼切を封印する。そのまま翻して帰ろうとしたのだが──咲夜が、彼の袖を掴んで引き止めた。

 

「……私からもお願いします。どうか、妹様の狂気を……鎮め続けてくれませんか……?」

 

「……別に、俺じゃ無くても良いだろう? 今までパチュリーで何とかなっていたみたいだし──」

 

「それでも、私はあなたに『お願い』したいの……」

 

 心配そうに告げる咲夜。その表情を見てか、封結は苦い顔をしながら迷っているような表情を見せる。

 

 その中……今まで黙っていた霊夢がとある事を封結に話し掛けた。

 

「封結。受けてあげても良いんじゃない? こうして『お願い』されているわけだし」

 

「……けどなぁ……正直、封印しなくちゃいけない事を何度も繰り返す事になると──」

 

 

 

 

 

「それだったらてっとり早く──結梨華本来の力を使えば解決じゃない?」

 

 

 

 

 

「……………………マジか?」

 

「マジよ?」

 

 霊夢の言う『結梨華本来の力』に反応してか、その事を知っている一人として魔理沙が霊夢に心配気味に確認する。

 

「……それって結梨華の本来の力を使う……つまりは、結梨華の【アレ】だよな?」

 

「そうね。それが本当に早いじゃない」

 

「でも、結梨華の【アレ】は極力、他人に知られちゃまずいもんだろ?」

 

「詳細を知らなければ大丈夫じゃない? いざというときはそういう事も操れるんだし。このある意味平行線の話を終わらせるにはそれが良いでしょ。そうすれば一回で済むのは確定だし」

 

 共通の認識での話で、封結は悩むような仕草を見せた後……決断。

 

「極力はしたくないんだけどな……だが、咲夜はちゃんとこう頼んできたわけだし──仕方ない。明日、この館に結梨華を連れてくるか……」

 

 折れたように、代替案を承諾した封結。咲夜は少し晴れた顔をしながらも、お礼の言葉を。

 

「……ありがとう……」

 

「はぁ……明日はめんどくさくなりそうだ……」

 

「ちょっと!? 何で咲夜は良くて、私はダメなの──」

 

 レミリアは彼の対応の違いに異議を申し立てようとしたが──その前に、霊夢が彼女に近寄り、小声で話し掛ける。

 

「封結は命令される事が嫌いなのよ。あんたみたいに高圧的に言う輩とかね。でも……『お願い』や『頼み事』なら聞いてくれるのよ。ちゃんと誠意を持って頼めばね」

 

「……納得いかないわ。こうして吸血鬼からの言葉というのに……」

 

「(……正直言って、封結はそれ以上の種族と対面して話したりとかあるんだけどね……)」

 

 不満ありげなレミリアだったが、霊夢は現状を確かめるかのようにレミリアに確認を。

 

「この紅い霧──紅霧異変といったところかしら? この異変解決者である私に退治されたんだからさっさと霧を払う事。それと……封結はあんたの妹を何とかしてくれるから、ちゃんとやりなさいよ」

 

「……この男が少し癪だけど……ルールだものね。約束通り、霧は無くすわよ……」

 

 どこか悔しそうな言葉だったが、レミリアは承諾。どこか申し訳なさそうに、妹であるフランドールを見ながらだが──

 

 

 

 

 

 

 

 ──こうして、紅霧異変は無事に解決した……。

 

 

 

 

 

 

 

 




 次話から結梨華の出番が戻ってきます。ただ、この紅魔郷完結だと正体は明かせないんですが……一応、フラグは建てておきます。後は私のモチベーション次第ですが。

 ではまた。
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