三人称。
では本編どうぞ。
十七話『事情の説明、その準備』
幻想郷を紅い霧で覆う【紅霧異変】が解決され、無事に幻想郷に天気と環境が戻ってきた。
人里で【名前の無い店】の店主である封結は自身が構えている店へと戻った。扉に手を掛けながら、居候している少女の名前を呼ぶ。
「結梨華ー? 帰ってきたぞー?」
『はーい! ただいま向かいますー!』
丁寧な言葉遣いと共に、花結びの簪を着けた少女──結梨華が出迎える。彼女は家主にまず労りの言葉をかけた。
「異変解決、お疲れ様です! 無事に紅い霧は去ったみたいだったので安心しましたよー!」
「まぁ、いつもの二人が異変を解決してくれた。それと──ルーミアは来てないか?」
彼が言う第三者の名前。彼女は心当たりがあるような表情を見せて、説明しようとしたが──
『あー。ふゆなのかー?』
居間から出てきたであろう、赤いリボンみたいなのをした、黒い服のベースの妖怪少女──ルーミアも玄関に現れた。
……口元に食べ物の痕がついているが。
その事を踏まえて説明を始める結梨華。
「主人様紹介の元で来てくださったのはわかりました。服の袖に、主人様の御札もありましたし。ルーちゃんは私の言う通りに人里の人達を助けるのを手伝ってくれました!」
「そうか。それは良かった」
「ただ……物凄い多く食べるんですよね、ルーちゃん……。まだストックはありますが……このままいくと、少々危ない気が……」
「……まぁ、よほど空腹だったという事だろう? それなら仕方ない」
少し疲れたような溜息をしながらも封結は、満足そうな表情を浮かべるルーミアに声を掛ける。
「腹はふくれたか?」
「うんー。こんなに食べたのは久しぶりー」
「今回は人里を助けるという名目で食わせてやったが……次からは金を持ってこい。それかもしくは価値相応のモノでな」
「そうなのかー。じゃあ、またー」
彼女は別れの挨拶をすると、自身を闇で包みながら店を出て行った。彼女をずっと見ていた結梨華は、とある事を封結に言おうとしたが──
「主人様……ルーちゃんは──」
「言いたいことはわかる。どう思った?」
「……正直、嬉しかった方の気持ちが強いですね。理由や環境は違えど、結梨華と同じような子っているんですね……」
「……まぁ、誰がやったのかは知らないけどな──それはともかく。結梨華、明日は店を休みにするぞ」
話を打ち切り、新しい話を持ち出す封結。彼の言葉に彼女は覇気があるような言葉で反応する。
「結梨華達二人でお出かけですか!?」
「……違う。ちょっと今回の異変の元凶場所である──紅魔館に行くんだ。吸血鬼が住んでいる場所な」
「! それでも結梨華は嬉しいですよー♪ 吸血鬼さんとはまだ会った事がありませんからね! 楽しみです♪」
「ここから本題なんだが……少々、とある事で結梨華の制限を解く必要があるんだ」
彼が悩むようにそう言うと、彼女は少し間の抜けた表情になったが……切り替えて、何故かどこか嬉しそうな表情になりながら封結に問う。
「ほぅほぅ♪ 結梨華の力が必要なんですね♪ どんとこいですよ! ……それで、結梨華は何をすれば良いんです?」
「……それはだな──」
彼はゆっくりと、明日行う予定の行動について彼女に話した……。
翌日。早朝ですでに起きて、封結と結梨華は朝食を食べ終わり、身支度をしている頃。彼女はいつもの服、封結は普段来ている作務衣に額に掛けた眼鏡、後ろ髪をくくって整えていた。
彼は身支度が終わり、『鬼切』を腰に下げながら結梨華に行動を促す。
「それじゃあ……さっさと行くか。紅魔館に」
「はいですよ!」
外に出て店を閉めて、行動しようと歩き出したとき──空から見える人影。その人物は烏の翼を広げて、地上に降り立ち──二人に話しかけてくる烏天狗。
「おはようございます封結さん、結梨華さん! 少々昨日の異変で色々起き着たいことがあるんですよ!」
「……文か」
「文さん、おはようございます! やっぱり、昨日の異変の事が気になるんですね?」
妖怪の山で暮らしている、射命丸文。彼女は二人に挨拶をした後、手帳とペンを持ちながら言葉を続けた。
「昨日、紅い霧が幻想郷を覆いましたよね? その事で霊夢さんと親しい人物である封結さんにお聞きしたいんです! 彼女なら異変に行っていない封結さんでも、話を少々していると思いましてね! 霊夢さんに聞く前に、事前に聞いておこうかと!」
昨日の異変の詳細。少なくとも文の中では彼は異変に関わっていないと思っているらしい。彼女の中では異変解決者である霊夢と関わりはあるものの、異変と関係無いと思い込んでいる。実際、彼は異変解決者である事は知られていない。
だからこそ──彼は言う。
「あぁ。話ならちゃんと聞いている。昨日の異変は──博麗霊夢ともう一人の異変解決者である、霧雨魔理沙によって解決した。大雑把に話すぞ」
「どうぞどうぞ! それで、今回の異変というのは──」
──彼はわざと、異変に関わっていることを喋らない。
店主説明中……
「──とまぁ、こんな感じだ」
「成る程……今回の異変はあの赤い館──紅魔館に住む吸血鬼が起こした異変だったんですね」
相槌を打ちながらメモ帳に書き込んでいく文。封結の説明を聞き終わり改めてお礼を言った後、二人の行動について尋ねる。
「いやぁ〜、情報提供ありがとうございました! ところで……お二人は何処に出かけるんですか? お店も【臨時休業】と貼りだしているみたいですし……」
「その紅魔館にとある事で呼ばれていてな。霊夢がおそらく何か喋ったんだろ。それで結梨華も連れて行った方が良いから二人で向かおうとしているところだ」
「……ふむ──! それならば私も同行しても良いですか!? その紅魔館の吸血鬼さんやそこの住民さん達にお話を色々とお伺いしてみたいですっ!」
彼の言葉を聞いて悩むような仕草を見せた後……決断。文は封結達に同行したいと願い出た。
彼が話すよりも、結梨華が先に反応して文に意見を言う。
「良いですね! 多い人数で行った方が楽しくなりますっ!」
「ありがとうございます結梨華さん! それで……封結さんはどうですか?」
「……よほどな事を突っ込まない限りは大丈夫何じゃないか?」
「ではこの清く正しい射命丸、ご同行させていただきます!」
結梨華は賛成。封結は傍観。彼女は同行出来る事についてこう思う。
「(紅魔館住民の方々と、最近の取材対象である封結さんと結梨華さんの普段ではわからない秘密もあるかもしれませんからね! きっとネタがたくさんです!)」
自分の発行している新聞の事を考えながら、彼女は封結と結梨華と行動を共にすることになった……。
続編をだせるとしたら、今回の設定を使いたいなぁ……。
ではまた。