最初は男主人公視点。
では本編どうぞ。
「──今日はこれだけ採れたか。中々に上々だな」
人里と魔法の森の境目付近にある俺の畑。無駄に少し広い畑から旬の野菜を採っていた。野菜を手に取りながら昼食に何を作るか考える。
「さてとと、茄子を使った料理……外界から紛れたレシピ本で【まーぼー茄子】だったか? それでも作って──」
『待ちなさい【冬】! 今日こそアタイが勝つんだから!』
カゴに野菜を入れて帰ろうとしたとき──聞き覚えのある声が俺を呼び止めた。何となくイントネーションが違うような名前の呼び方だが……振り返って確認。そこには全体的に青い服をきて、胸元には赤いリボン。背中には氷で出来た妖精の羽。そこからわかるのは──
「はぁ……懲りないな、チルノ」
「いつもいつも勝ち逃げばかりして! 今日こそはアタイが勝ってやるんだからーっ!」
「……大妖精はどうした?」
氷の妖精、チルノ。きっかけは俺の畑に悪戯しようとしていたときだっただろうか……? ぶっちゃけてしまえば畑は俺の【能力】で被害は出ないようにしている。それでもなお、俺が注意して……何故かある意味逆ギレされた。その時に霊夢が作ったルール【弾幕ごっこ】で対決して……勝利。
……いくら何でも正面安置はないと思う。
そんな回想をよそに、いつも傍にいる他の妖精である【大妖精】の所在を尋ねると、自慢げに胸を張って応える。
「大ちゃんはアタイの為にゆーしを募って貰ってるの! アタイ達のこんびねーしょんを舐めない事ね!」
「それは強そうだな。今回は俺の負けで良いから戦利品としてこれを受け取るといい」
さすがに一対複数はめんどくさいと感じたため、能力を駆使してできた苺を数十個手渡した。それを手渡されたチルノは困惑するも、一つ口に入れると──
「──甘くて美味しい!」
「良かったな。それをちゃんと友達に分けてやるんだぞ?」
「わかったー!」
……チルノに勝利した際、氷を貰ってかなり役立っているからな。そのお礼と言っても良い。
喜んで食べているチルノを置いていき、店に戻っていった……。
『──チルノちゃーん? 皆連れてきたけど……あれ? 封結さんは?』
『皆には悪いけどアタイが勝った! それで戦利品ってゆーことで、これ手に入れた! 皆に分けてやれって!』
『(……大人な対応で済まされちゃったんだ……)これって……封結さんの畑にある苺?』
『うん。どうしてか分からないけどアタイ達が入れない畑の。でもこれ、美味しいよ!』
『そうなのかー……私も食べて良いー?』
『もちろんよ! みすちーとリグルも食べて良いわ!』
『じゃあ、貰おうかな──あ、美味しい』
『虫たちにも、この苺食べさせてあげたかったな……』
歩いて店に戻ると……店の前に見慣れない服装の女が結梨華と話していた。もしかするとお客かもしれない。ちょうど俺がいないときは結梨華が店番しているからな。
少し遠くで立ち止まり、会話を聞くことに。
『……ここって基本どんな物を売っているの?』
『えっと、お野菜だったり、お総菜だったり、服だったり、道具だったり、それと物々交換で仕入れた博麗神社の御札と調合された栄養豊富(?)の飲み物とか色々あります!』
『え? これ全部あなたが作っているの? まだこんなに幼いのに……?』
『違いますよ。結梨華はたまにお手伝いで作ることがありますが──って、結梨華はそんな幼くないですよーっ!? 少なくとも人間のあなたよりも長い時間生きているのです!』
『……人里には妖怪も住んでいるらしいけど、じゃあ妖怪なの?』
『はっ!? これ以上は【きみつじこう】です! 必要以上結梨華の事を話すのはよろしくないことなので! それと妖怪じゃありませんっ! これは断言できます!』
『(……見た目【お嬢様】と変わらない外見しているけど……そんなプレッシャーとか、そんな類いな事は感じられないわね……)』
……ちゃんと自制は出来ているが、ちょくちょく危ないワードが出ているな。これ以上ボロが出ないように、フォローするか。
「──ウチの店に何かお求めで? お客様?」
後ろから声をかけると、その人物は振り返った。その人物は頭に【かちゅーしゃ】をしており、清潔そうな服を着ている。髪の毛の両側には三つ編みされており、リボンで留められていた。
その人物は俺に気づくと返事をした。
「……【ウチの店】? これはあなたのお店なの?」
「あぁ。そうだ。名も無き店の店主だ。結梨華の事は気にしないでくれ。ちょっと頭がアホなんだ」
「主人様!? お客様の前でそんなことを言うのは酷くありませんか!?」
「【バカ】というよりは随分マシだろう?」
「あ、そうですね! だったら良いです!」
……さすがに言い過ぎたと軽く反省している。変な目でお客は見ているし。
そしてそのお客は少し冷たい目で話し掛けてくる。
「……見た目幼い少女に【主人様】って呼ばせているの? それはどうかと思うわ……」
「俺は呼び方を強要させた覚えはない。結梨華が勝手にそう呼んでいるだけだ」
「ですよ! 結梨華は主人様にいろいろ厄介になっていますから、それ相応の態度で接しているのです! 主人様がいてくれたこそ、【今】の結梨華がいます!」
何故か俺への非難に結梨華はムキになってフォローを。そして疑問に思ったのか、話し掛けてくるお客(仮)。
「……一応聞きたいのだけど、あなたは人間よね?」
「俺は人間だが……それがどうした?」
「いえ……何でもないわ」
聞きたいことが一応聞き終えたのか、話題を変えてきた。
「せっかく来たのだから、旬なお野菜でも貰おうかしら? 幻想郷に来たばかりだからあまりどんな野菜があるのか分からないのよ」
「毎度あり。それしても【外来人】だったのか……いろいろ聞きたいことはあるが、引き留めるわけにはいかないな。適当な詰め合わせで用意してくる」
お客(確信)の要望で俺は店の中に入り、旬な野菜、食べやすいだろう野菜を適当な袋に詰めていく。そしてその袋を持って行き値段を伝えると。
「……この量で安すぎない? 予算の半分近くの値段なんだけど……?」
「儲けているからな。これくらい構わないさ。一応、初回限定のやつには少し多めに入れて、安くしているんだ。これ以降も買い物するときは量に応じて値引きされる。これからも常連になるようにな」
「……中々良いお店ね。また来るとするわ」
「おう。よろしく」
「ありがとうございましたー!」
お金を受け取って商品を渡し、結梨華の挨拶を最後にそのお客は歩いて帰っていった。そして──結梨華があることを伝えてくる。
「主人様……あの人から【妖怪】のにおいが付いていました……」
「……結梨華、一応聞きたいんだが彼女は人間か? 妖怪か?」
「あの人自身のにおいは主人様と同じ人間ですね。それは結梨華の鼻がそう判断しています。妖怪については複数のにおいが感じるので、種族の断言は出来ませんが……」
結梨華は鼻が良く効くからななぁ……。言っていることは間違いないだろう。
そして……気がかりなことが一つ。
「魔理沙の言う赤い洋館の出現と、彼女が外来人である事は重なっているような気がするな……」
「……お腹がすきました……」
「場違いな発言をするな」
俺の推理とは全く関係発言をしやがった。俺の言葉に抗議を申し立てる結梨華。
「だってもうそろそろお昼ですよ!? 結梨華のお腹は腹ぺこ丸です! お店の商品に手を出さなかっただけ良かったと思ってくださいよ!?」
「手を出したら間食抜きだったな」
「……危なかったです……」
「ま、そろそろそういう時間帯だしな。外界のレシピ本を元に作ってやるから」
「やったー♪」
一先ずは俺達は昼食を摂る事にした……。
〜side out〜
とある湖の近くの洋館。そこでとある二人の人物が話をしていた。
「それで人間達が住む人里はどうだったの──咲夜」
「……至って普通の人間ばかりに思えましたが……とある名前がないお店に、少々気になるところがありました」
「……気になるところ?」
「はい。多様な商品を売っているお店なのですが……幼い少女の存在が気になりまして。本人曰く、私より長く生きており妖怪ではないとか……」
「……さすがに本人をみない限り運命は見えないわね。それで咲夜より幼く長く生きている……? それで妖怪ではない……他は?」
「他と言いますと……あの店の主人──というよりも私と同じぐらいの外見の少年でしょうか? その人物は【博麗神社】と繋がりがあると思います。お店の商品で博麗神社の御札が売られていました」
「博麗神社への道中は危険だと聞くけど……その店自体がその神社の【分社】という事かしら? つまり博麗の巫女もそこによく出現すると……」
「……どうしますか?」
「どうするも何も、予定に変更はないわ。吸血鬼の時代がこの幻想郷中に広がるのよ……!」
紅魔郷にいくのは後三話ほどしたら入る予定です。あくまで予定ですが。
ではまた。