幻想郷に店を構えてます【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 ……察するかもしれませんが。
 三人称視点。
 では本編どうぞ。


二十話『現れていた謎の女性』

 来客が去った後の図書館。パチュリーは本を盗った魔理沙にどういう作戦で取り返すか計画を立てていたが、小悪魔はある事を主に尋ねる。

 

「あの……パチュリー様。私が図書館に居たとき、白い光が発生した後、さらにまた白い光広がったんですが……妹様とあの男の方は確認出来たんですが……他に誰かいました?」

 

「ん? そういえば、こぁは図書館から出るのを促さなかったわね──! もしかして妹様の狂気の取り除き方を見たというの!?」

 

「いえ、あの……私がその二つ目の白い光を確認出来た頃は妹様と男の方は確認出来たんですが……凜々しい声をした女性の姿がどうして見れなかったんですよね……本棚が異様に重なっている所為で」

 

 パチュリーは結梨華を使ってでの狂気の取り除き方を使い魔に尋ねるが、彼女は首を横に振りながら答える。しかし、彼女の言った【凜々しい声】に反応するパチュリー。

 

「……凜々しい声? 少なくともあの【結梨華】という謎の少女は凜々しくないわよ? 声の質も幼かったし……」

 

「ですよねぇ? どうも、同一人物としては思えないんですよね……。あの幼い少女の声は子供みたいな声でしたが……姿を見れなかった女性の声はその……艶のある声でした。凄い喋り方が女性らしいというか……」

 

「…………何かを召喚でもして、その人物を使って取り除いたのかしら──まぁ、それはともかく。魔理沙から本を取り返す方法を思いつかないとね……!」

 

 考えが憤ったパチュリーは再び本の奪取について考える。それでも彼女の使い魔でもある小悪魔は……納得のいかない様子だった。

 

「(そうなると……あの人は誰なんでしょう? その時の【結梨華】という少女は黙っていたのでしょうか……?)」

 

 小悪魔は出来るだけ、図書館であった会話を思い出す──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──これはこの棚に入れてと……」

 

 パチュリー達が図書館から出ていた頃、それを知らない(教えられていない)小悪魔は本棚の整理を続けていた。パチュリー曰く、「異変についてはもう良い」という事。その際に使った資料を片付けていたのだ。

 

「(……妹様のための異変、叶いませんでしたね……まぁ、人間達は危害が及ぶようなので、異変解決者達が来るのは仕方ないかもしれませんが……)

 

 そう振り返りながら本棚の整理をしていた小悪魔なのだが──

 

 

 

 

 

 急に、白い光が図書館中に広がる。

 

 

 

 

 

「こぁっ!? 一体何が!?」

 

 彼女としてはパチュリーの実験か何かと思い、作業を中断して光源の元へと向かっては本棚に隠れて状況を把握する。そこに居たのは紅魔館の主の妹であるフランドール・スカーレットはかなり驚いているような表情をしており、男──異変解決者と同行した封結もいるのだが……フランドールの目線の先は、小悪魔の視線からでは見えない。何故か、本棚が重なって見えない。フランドールはその何かを見て、驚きの言葉を言う。

 

「っ!? あなたは一体誰!?」

 

『──ふふふ。さすが純真なフランさんは(わたくし)の姿を見て驚いて何よりですわ♪ こうして驚いてくれるのも、私としても嬉しく思いましてよ』

 

 フランドールの言葉に答える、謎の女性の声。声から判断するならば上品に聞こえ、どこからか気高く、凜々しい声。

 

 その見えない謎の人物に封結は話し掛ける。

 

「まぁ……久しぶりだな。その──は」

 

「あら、封結様? お望みならばずっと今日はこのままで過ごしてもいいですのよ?」

 

「そのお前は目立つから駄目だ。何のために普段から能力を掛けていると思っている? それと様付けはやめろと何回言っていると思っているんだ?」

 

「それはとんでもないですわ。私がこうして楽しく過ごしているのは封結様のおかげ。封結様に敬意を持つのは当然な事。まぁ……封結様はそういうならば、やることを終えたらいつもの──に戻りますわ。惜しいですけど……」

 

 どこか艶のある声で、封結に親しみの言葉を言う人物。小悪魔は会話を聞いて、ある不自然に気づく。

 

「(あれ……名前が聞こえない……?)」

 

 何かのノイズが入るように、謎の女性の名前が聞こえない。封結が話す際には彼女の名前を呼んだはずなのだが……それでもノイズが走り、聞こえない。

 

 そういう疑問はあるものの会話は続き、謎の女性はフランドールに話を振る。

 

「こうして見ると、(わたくし)が大人の女性と見えるでしょう? 少なくとも、レミリアさんよりはお姉ちゃんだと思いますわ」

 

「うん! 凄いお姉様よりお姉様に見える!」

 

「何なら(わたくし)の事を『──お姉ちゃん』とでも呼んでもよろしいのよ? こうして会えたのは何かの縁。私はその縁を大事にしたいですわ」

 

「わかった! ──お姉ちゃん!」

 

「ふふふ……♪ 私もフランさんみたいな妹さんも大好きですわ♪」

 

 最初は驚いていたフランドールだが、謎の女性に懐き始めている。少なくともこの楽しそうな、嬉しそうなフランドールの姿を見るのは小悪魔でも初めての事だった。

 

 二人が楽しそうな会話をしている中、封結が本題を振る。

 

「会話は後で時間を作っても良いが、今はフランドールの狂気を取り除く方が先だろ」

 

「おっと、そうでしたわね……私としては少々最初に話しすぎたようです。では、さっそく取りかかりますわ。フランさんの【狂気】を操って、無い状態にします。フランさんは目を閉じてください。すぐに終わりますわ」

 

「う、うん……」

 

 少し不安にしながら、フランドールは目を瞑る。

 

 

 

 

 

 そして──フランドールに白い光が包む込む。

 

 

 

 

 

「(これってさっきの光ですか!? それで、これで妹様の狂気を取り除くって……!?)」

 

 小悪魔は呼吸するのを忘れるぐらいに、その光景を見続けていた。そして──その光が収束されていき、フランドールの姿が確認出来る程になった。

 

 少し息を吐きながら、謎の女性は彼女に伝える。

 

「ふぅ……これでフランさんの狂気は一ミリも無くなりましたわ。これ以降は衝動的に襲われる事はないでしょう。どうです? ご気分は?」

 

「……うん! 何か凄い気持ちが良い!」

 

「その笑顔こそが(わたくし)にとって嬉しいモノですわ。私の力がフランさんに役立てたのなら尚更です♪」

 

 お互いに嬉しそうに言い合いながら、フランドールは笑顔で謎の女性の言葉に答える。

 

「(……お嬢様が長年問題にしていた妹様の狂気が無くなった!? 本当にあの光で!?)」

 

 小悪魔は驚愕しか無い。長年問題としていた彼女の狂気が、数十秒も経たないウチに無くなったという。封結はその様子を見てか、どこか安心しているようにも見える。

 

 しかし……先ほどのフランドールの笑顔とは打って変わって、彼女は落ち込むように言う。

 

「……でも、また地下に閉じ込められるのかな……?」

 

「……? どうしたのですか急に? 少なくとも、私はそういう心配は無いと思いますが」

 

 悩むように言うフランドールに、その事に疑問を持つ謎の女性。

 

「だって……今までだって、私のことを閉じ込めてたんだもん。それって私の事が……嫌いだから、迷惑だから閉じ込めていたんじゃないの?」

 

「……成る程。どうやら長年、レミリアさんはちゃんとした理由を話してはいなかったみたいですわね。まぁ、その時のフランさんの精神年齢や狂気も考慮していたので先延ばし、先延ばし……と、なっていたのでしょう」

 

「え? お姉ちゃんわかるの?」

 

 謎の女性の言葉に驚きの様子を見せるフランドール。そして謎の女性は封結にある許可を求める。

 

「封結様。ここはお二人の為にも、ちゃんとした理由を話した方がよろしいでしょうか?」

 

「──の能力があれば、本心なんてすでに筒抜けだろ。それに……俺もフランドールの事を心配していたレミリアの話を聞いたぞ」

 

 彼は一度そこで言葉を句切り、フランに彼女の言葉を伝える。

 

「レミリアは少なくともお前の事を心配していた。『嫌われてもおかしくない』と言って、狂気を取り除く前のお前と──の会話で仲良く過ごしていたのを嫉妬していたんだ。ここから考えるにはな──レミリアはお前を嫌っていないんだよ。お前と話せている人物に嫉妬していたということは自分がそのポジションになりたかったんだろ」

 

「……お姉様がそんな事を言っていたの!?」

 

「あぁ。言っていた」

 

 彼の言葉に驚きの連続で表情を隠しきれていない中、続くように謎の女性は言葉を続ける。

 

「人は何かしら行動する際には、何かの根拠があってするものですわ。生きるために食べる。仲良くするために話す。そして──今回の場合はフランさんの未来の為に、ワザと閉じ込めていたんですの。そう──精神と狂気が抑えきれないフランさんを、大事な妹を守る為に。そしておそらく、今回の異変は吸血鬼の行動範囲を広めて──一歩ずつ、フランさんの狂気の緩和と精神を落ち着かせたかったのでしょう。紅い霧の中でも見られる自然はそれなりには影響力はあります。ゆっくりと、紅魔館の外というのはどういう世界なのか、学習させてあげたかったのでしょう。フランさんはとても良いお姉さんがいて何よりですわ」

 

 謎の女性が言う言葉にフランドールも聞き入っているのだが……離れたところで聞いていた小悪魔も聞き入っていた。

 

「(!? お嬢様の考えをここまで明確に理解しているんですか!? この方はお嬢様と知り合いなのでしょうかっ!?)」

 

 彼女がそう思っているが、誰が喋っているかわからない。先ほどから謎の女性の姿を確認しようとしている小悪魔だが……本棚が異様に邪魔だ。まるで本棚が小悪魔の行動を妨害しているかのように。

 

 そして謎の女性は言いたいことを言い終えたのか、封結に声を掛ける。

 

「では封結様……後は(わたくし)の出番は必要ないですわね。後は当本人達の問題ですわ。私はこれで失礼します」

 

「……わかったが……何か言いたいことや、伝えたいことはあるか?」

 

「あら? 封結様がそう仰るのは珍しいですわね……」

 

「折角の今のお前なんだ。今度、お前自身で何かしたい事でもあるか?」

 

「そうですわね……お言葉に甘えるのなら──」

 

 悩むようにして謎の女性は黙り込んだ後……彼女は答える。

 

「──ならば今度(わたくし)が出てきた時、デートをお願いいたしますわ♪」

 

「すまん、それは却下で」

 

「私に選択権は無いのですのっ!?」

 

「さすがに露骨にそういう事を言われるとな……」

 

「……封結様の思っている事は未だにわかりにくいですわ。本当に腐れ縁のお二方が羨ましいです……」

 

「羨ましいとか言われてもな……結構大変なんだぞ? あいつらの対応をするの」

 

「そう仰っておきながら優しくする封結様も私は大好きですわ♡」

 

「本格的に色々と制限を付けるぞお前?」

 

「ふふっ。ごめんあそばせ。それならば買い出しに同行という事で宜しくて?」

 

「……まぁ、それなら良いだろう」

 

「では、後日の機会にそういう事でお願いいたしますわ」

 

 二人独自の会話が終わった後、謎の女性は最後にフランドールに約束するように話し掛けた。

 

「フランさん。ここでの出来事は秘密ですわ。(わたくし)の事を特には。でも……先ほどと同じような態度で構いませんから。何せ私達は──友達ですので」

 

「──うん、わかった!」

 

「ではフランさん……また会う日まで、ごきげんよう──」

 

 そうして、挨拶を終えた頃……封結は謎の女性がいるであろう本棚の影に近寄っていく。そして、数十秒後には──

 

『──お店の居候、結梨華! ただいま戻りました!』

 

「見ればわかる」

 

「……主人様〜。そこは結梨華に合わせてくださいよ〜……」

 

 急に幼い少女の声が聞こえてきた。彼女の言葉に冷静にツッコミを入れる封結の反応に物足りない気持ちが伝わってくる。

 

 事が終わったのを確認した封結は、二人にこれからのことを話し始めた。

 

「さてとと……無事に終わったから、扉の近くで待っている奴らを入れるぞ。それまでの間に軽く雑談していたらどうだ?」

 

「ですねっ! ではフランちゃん、お話をしましょう! ……これは主人様の店で魔理沙さんがやって来た時の話なんですが──」

 

「魔理沙って異変の時に最初にあった人間だよね?」

 

「ですね。イメージカラーは白黒に近い方です。それでですね──」

 

 少女二人が話している最中に、男は図書館の扉に向かっていく。一応、何かが起きた事を確認出来た小悪魔だが……自分の作業が止まっていたことを思い出した。

 

「(あ……パチュリー様に頼まれた整理をすぐに終わらせなくては!)」

 

 小悪魔はなるべく気づかれないようにして、フランドールと結梨華から離れて図書の整理を再開した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(……やっぱり、あの大人の女性みたいな方は誰だったんでしょうか……? それで、【結梨華】という少女は何時の間にこの図書館に……?)」

 

 宴会で本を取り戻す作戦を考えているパチュリーをよそに、小悪魔は疑問に思っていた……。

 

 

 

 




 もしも謎の女性がどのような人物か理解したとしても……その事を感想欄に書かないでいただけると嬉しいです。続編を出す事を考えたとしたら、まだ明かす時ではないので。

 ではまた。
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