幻想郷に店を構えてます【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 大雑把な封結の過去。
 とある烏天狗視点。注意。
 では本編どうぞ。


三話 『烏天狗からの見た店』

 ──最近、ネタがありませんねぇ。【妖怪の山】でも面白いことは起きていませんし、特ダネの人物もいませんし……。

 

「……異変解決者に所にお尋ねして、それを新聞にしましょうか──」

 

 人里について適当に昼食を取ろうと歩き回ろうとしたときに──とあるお店から会話が聞こえてきます。私はその方角に視線を向け、耳を澄ましてみる事に。

 

 

 

 

 

「──お金ありがとうございます! ではお総菜をどうぞ!」

 

『結梨華ちゃんは偉いわねぇ。まだ幼いのにお店の手伝いまでして』

 

「うぅ……本当はそんなに幼い年齢じゃないんですが……」

 

『背伸びしたいお年頃なのよ。孫も『子供扱いにするな』って言われちゃうし……あ、博麗神社の御札も良いかしら? もしもの護身用で重宝しているのよ』

 

「霊撃札ですね。人里から少しでも外に出るとき、不審者が現れたときには重宝しますからね〜。持っておいて損はないと思いますよ? では、セットという事でお安くお売りしますね」

 

『おや? そんな安く売って貰っても良いのかい? 店主さんに聞いた方が良いんじゃないかえ?』

 

「多く買ってもらえるほど安く値引きしても良いと言われているので! 最低限の境界線はきちんと把握しています!」

 

『ありがとうねぇ、結梨華ちゃん。店主さんにも伝えておいてくれないかい?』

 

「はい! きちんと伝えておきます!」

 

 

 

 

 

 ……あんなお店あったでしょうか? あんな人里の隅にお店が……? それに、気になる単語が聞こえましたし……。

 

「……【博麗神社】の御札。つまりあの店は博麗の巫女である霊夢さんと関係がある……」

 

 それに……あの【結梨華】と呼ばれたお勘定をしていた存在……。長く生きてきた私ですが、あの子は人間では……ない? 何か【モヤ】があるような不自然が……? それと同時に……妖怪の気配もしない。そのような人物の存在があり得るのでしょうか……?

 

 ……どうだったとしても──

 

「──久々の取材対象、発見です!」

 

 私はそのお店に向かっていった……。

 

 

 

 

 

 

 

「あのー、ここのお店の店員さんですか? 少々聞きたいことがあるのですが?」

 

 私はその店の前に行き、椅子に座って何かの本を読んでいる幼い少女(結梨華さん)に声をかけると顔を上げてこちらに向いて言葉を返してくる。

 

「? どちら様ですか? お客様?」

 

「いえ、その前に──私は【文々。】の新聞記者である烏天狗の射命丸文です。以後お見知りおきを」

 

「あ、ご丁寧に。結梨華は結梨華っていう名前です。主人様が名前を付けてくださいました!」

 

「……【主人様】? それは誰かに仕えているということですか?」

 

「う〜ん……仕えているというよりは……お世話になっている? 的な事だと思います。主人様のおかげで【今】の結梨華がいますし」

 

 嬉しそうに大雑把な説明をする結梨華さん。

 

 ……名前を付けてくれたということは【孤児】というものなのでしょうか? 人里の片隅にそういう人間の子供達がいると聞いていますが……? 大抵の孤児の理由は親が妖怪に襲われたという理由が多数のようですが。でも、目の前の結梨華さんは人間の気配がしない。その事に問いかけようとしましたが──

 

 

 

『文? 封結の店で何しているのよ?』

 

 

 

 背後から聞き覚えのある声。振り返ってみると脇の空いた紅白の巫女服。その人物は博麗霊夢さん。

 

「あや? 霊夢さんこそこのお店に何か用──って、そういえば何故かこのお店に博麗神社の御札があるんですよね……それと何か関係が?」

 

「当たり前じゃない。御札でここのご飯たかりに来ているんだし」

 

「…………え?」

 

「それでこの日は【アレ】ね。月一で【あそこ】に封結は行っていると。まぁ、今日もよろしくお願いするわ、結梨華」

 

 私の疑問をよそに、博麗神社の御札を取り出しては結梨華さんに手渡す霊夢さん。彼女の行動を見て悩むように言う結梨華さんでしたが──

 

「霊夢さん……お金でご飯を買おうと思わないんですか?」

 

「封結は何だかんだ言いながらちゃんと受け取ってご飯振る舞ってくれるじゃない。それに私にとっては御札がお金。適度に作ればここでの通貨になるって……素敵じゃない?」

 

「主人様も主人様です! 本当に霊夢さんと魔理沙さんに甘すぎます! この間作ってくれたおはぎのように!」

 

「あー、あれは適度な甘さで良かったわねー……また食べたくなってきたわ」

 

「それを見通してはわかりませんが、作り置きで今日のお昼はおはぎです! セットで緑茶も付いてきます」

 

「わかってるじゃない封結♪」

 

 二人特有の会話でしたが……分かることは霊夢さんと【ふゆ】さんは良好な関係だということ。結梨華さんはもう諦めているかのように、霊夢さんをお店の中へと誘導し始める。

 

 まだお店に入っていない霊夢さんに聞きたいことがあるので、引き留めて話を聞いてみることに。

 

「れ、霊夢さん? その【ふゆ】さんとどんな関係なんでしょうか……?」

 

「封結? 封結は──」

 

 顎に手をつけながら霊夢さんは応える。

 

「──腐れ縁、よ」

 

 そう答えると霊夢さんはお店の中へと入っていった。私が動いていないのを見て、結梨華さんは誘うように声をかけてくる。

 

「文さんもお昼ご飯どうですか? 一応まだ量はありますし」

 

「あやや? 私も良いのですか?」

 

「あ、でも商品でもあるのでお金はいただきます。でも大丈夫ですよ。初回の方には安くしているので」

 

「それはお気遣いありがとうございます……では、いただきましょうか!」

 

「毎度ありです!」

 

 ……ここでお誘いに乗れば、ネタが盛りだくさんな気がします……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 居間へと案内してもらい、おはぎと緑茶をもらう。手始めにおはぎから一口食べてみたところ──

 

「あやや……これはこれは何とも……」

 

「主人様の料理でお客さん、ゲットです!」

 

 結梨華さんが私の表情を見てか嬉しそうにしています。これ……普通に美味しいです。緑茶もいただきますが、口の中の甘みをさっと流してすっきりさせるお茶。

 

「……これって結構高い茶葉なんじゃないですか?」

 

 少し不安になって聞いたものの、代わりに霊夢さんが答えた。

 

「確かそれも封結が作っているのよね。そうよね結梨華?」

 

「はい。お茶っ葉まで主人様の手作りなのです。えっへん」

 

「それはあんたが自慢げにすることではないでしょう……?」

 

「だって結梨華だってお手伝いしているんです! 水やりをきちんとやってましたよ!」

 

 他愛のない会話をしながら箸を進めるお二方。

 

 ……【ふゆ】さんはよほど女子力が高いようですね……聞いたところ、ほとんどの商品は【ふゆ】さんの手作りだとか。でも、少々気になるところが。

 

「畑にしても、このお店にはないですよね? 何処の土地で作っているんですか?」

 

「その事ですか? 主人様は魔法の森で土地を耕して作っているのです」

 

「……え? 普通の人間は瘴気でアウトですよ? まさか人間ではないのですか?」

 

 魔法の森はキノコの胞子などの関係で、耐性のある人物か人外の存在しか入れないはず。可能性が高いとしたら、もしかして人間ではないのでしょうか?

 

 しかし、結梨華さんは首を横に振って否定する。

 

「主人様は人間ですよ。人里に住んでいる人間では珍しく、能力持ちなのです。能力で影響がでないかと」

 

「そうなのですか!? それは大変興味深い……一体どんな──」

 

「文。結梨華に尋ねても答えてくれないと思うわよ?」

 

 結梨華さんに【ふゆ】さんの能力についてお聞きしていたところ、何故か霊夢さんから制止の声が。当然私は疑問の声をあげる。

 

「あやや? それはどうしてなのですか?」

 

「封結はあまり能力は知られたくないのよ。本人にとって能力は生活にしか基本使わないし。というよりも……基本的に知られたら近寄りがたい能力でもあるから」

 

「ふーむ……霊夢さん、結梨華さん。ちょこっとだけでも教えてくれませんか?」

 

 少しでもヒントを貰えるかお二人に譲歩してみたものの──

 

「ご飯が買えなくなるから嫌よ」

 

「おやつ抜きにされてしまうのでそれは無理です……ごめんなさい」

 

「あなた達食事に釣られすぎですよ!?」

 

 結梨華さんはともかく、霊夢さんはお金で払っていませんよね!? 御札で物々交換みたくしているだけですよね!? そして結梨華さんの理由が可愛いっ!?

 

 

 

『──何か知らない声が聞こえたんだが……誰かいるのか?』

 

 

 

 急に居間の扉が開かれ、作務衣という人里ではメジャーな服に、頭には眼鏡を掛け、髪が長いせいかポニーテールにしている……男の方?

 

 その方は私に視線を移すと話し掛けてきます。

 

「……見ない顔だな? 客か?」

 

「あ、はい……私は烏天狗の射命丸文っていいます。失礼ですが……あなたは?」

 

「名も無き店の店主である封結だが?」

 

「…………あややっ!? 男の方でしたのか!? てっきり女の方がこのお店を構えていると思っていましたのに!?」

 

 予想と違う光景を見て私は驚愕しました。結梨華さんの言っていたことはまりっきり女の方と思わせる話でしたよ!? 家事が出来て、言葉を少しぶっきらぼうの時がありますが優しい人だと!?

 

 私の反応を見てか、溜息をつきながら説明する封結さん。

 

「……まぁ、男の癖に髪の毛を伸ばしている俺がそう見えても仕方ないけどな……」

 

「はぁ……でも、結梨華さんはあなたのことを【主人様】と読んでいるみたいですが……実はお若く見えて年を取っていられるのですか?」

 

「霊夢より少し上だ。そんな老いぼれに見えるか?」

 

「……いえ、そう思ってはいませんでしたが念のために。しかし……霊夢さんは博麗の巫女で仕方ないと思いますが、ご両親はどうしたのですか? 聞く限り繁盛しているお店みたいですが、まさか離れて暮らしを──」

 

 私は安易に聞いてみたのですが……彼は淡々と答えた。

 

 

 

 

 

 

「妖怪に殺された」

 

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

「まだ物心がついてない時だったか……人里に侵入していた妖怪と戦っていたらしい。それで勇敢に死んでいったよ」

 

「そんな淡々と話すものではないですよね!?」

 

 何故両親がそんな事になってしまったことを平坦と話せるんですか!? 人間はそういう事は胸にしまっておくべき事ですよね!?

 

 その中、霊夢さんが封結さんに気遣うように話し掛けた。

 

「……それで今日行ってきたんでしょ?【墓参り】」

 

「月一で行っているからな。何時までも心配かけるわけにはいかないし」

 

「そういうとこは本当に真面目ねぇ……」

 

 霊夢さんは封結さんの行動を理解しているみたいです。結梨華さんは悲しそうに頷いて同意していますが……でも、それでも気になることが。

 

「……封結さんは私のような妖怪を恨んでいるのでは? 大事なご両親がそうなってしまっては──」

 

「何故お前を恨む必要がある? お前は俺の両親を殺したわけじゃないだろう? 別に妖怪を恨んでなんか無いさ。復讐も、ちょうどその時に達成出来たらしい。その時に発現した自分の能力でそいつを、な」

 

 ……何となく、霊夢さん達が封結さんの能力について黙っていたわけが分かるような気がしました。

 

「……どのような能力で? 霊夢さん達は生活に役立てると聞きましたが……殺す事も可能な能力なのですか?」

 

「……そうだな。生かす事も殺す事のも俺次第だ──とは言っても、条件は難しいが。それに霊夢には俺の能力が通用しない」

 

「霊夢さんの【空を飛ぶ程度の能力】ですか……さすが最強と呼ばれる博麗の巫女ですね……」

 

「いや、私としたらそんなつもりはないんだけど?」

 

 呆れた声で反応を返した霊夢さん。そして封結さんは場の空気を変えるように話題を変える。

 

「……辛気くさい話を聞かせたな。詫びに今日食べたと思われるおはぎとお茶の料金はいらない」

 

「あやや? それは良いんですか? 私が話を振ったにも関わらず……?」

 

「店主である俺が良いって言っているんだ。気にすることはない」

 

「封結。だったら私も御札を──」

 

「お前は例外だ。金払うか、別な物を寄越せ」

 

「……いけずー」

 

「結梨華が思うには霊夢さんはかなり優遇されていると思いますけどね……」

 

 ……私が話の原因でもありますのに、心の広い方ですね……。人間ですのに、霊夢さんと大体同じようで肝が据わっているというか……。

 

 あ、それと素朴な疑問が一つ。

 

「あの、封結さん? 少々気になるところが一点」

 

「……何だ?」

 

「結梨華さんとはどういう関係なんですか? 彼女から聞けば、あなたに感謝しているみたいですが……」

 

 話を聞いてからずっと気になっていた話題。どのような過程を経て彼女は封結さんを慕い始めたのか気になります。それに【兄妹】としても──というより、明らかに兄妹じゃありませんね。そこところはどうなのか?

 

 そう問いかけると、封結さんは何かを考えた後に一言。

 

「……訳ありの居候だ」

 

「……ちなみに、どのような理由で居候を──」

 

「文さん! それ以上は【きみつじこう】なのです! 申し訳ないですが、結梨華の秘密を知られるわけにはいきませんっ!」

 

 詳しく聞こうとしたら本人に遮られてしまいました。むぅ。ここからが記者としても私なんですが……。

 

「あの……結梨華さん? そこのところをもう少しだけ──」

 

「……これ以上喋ったら【お爺様】が──」

 

「おいコラ結梨華。喋り掛けたぞ今」

 

「はっ!? 確かに喋り掛けました!? 記者さん、恐ろしいです……!」

 

「いや、今のは結梨華の自爆じゃない……」

 

 封結さんの制止声に、霊夢さんの呆れ声。もしかして霊夢さんは知っているのでしょうか……気になるところです。

 

 ですが……【今】は止めておきましょう。

 

 異変解決者の他に結梨華さん、封結さんといった取材対象が出来ましたからね! それとこのお店についても!

 

 私は名も無き店での料理に舌鼓を再開しました……。

 

 

 




 おそらく、彼女はしょっちゅう来るようになる。多分。

 ではまた。
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