三人称視点。
では本編どうぞ。
人里にある勉学を学ぶ場所。一般的には【寺子屋】と呼ばれている場所がある。そこの寺子屋の教師であり、人里の守護者でもある──上白沢慧音。ちょうど本日の勉学は終わったみたいだ。
「──良し。これにて解散。ちゃんと宿題をやってくるんだぞー?」
『はーい!』
元気な生徒の返事。慧音の言葉で生徒達は雑談し始める。これも普段と変わりない光景。明日の為に、瓦版作りをしようと移動しかけていた慧音だったが……とある男子生徒の会話が耳に入ってくる。
『なぁーなぁー? これからどうする?』
『お小遣いもらったからあそこ行こうぜ! えっと……名前の無いお店にいる結梨華ちゃんのところに!』
『お前、結梨華ちゃんの事好きだもんな〜……どんだけ結梨華ちゃん競争率高いんだよ……』
『お前も!? お前もなのかよ!? それにやっぱ結梨華ちゃんってモテるよな〜……』
『何で結梨華ちゃん寺子屋にいないんだよ畜生! あの子がいたらもっと勉強頑張れるのに!』
『逆にお前だとずっと結梨華ちゃんを見続けて頭突きもらうぞ……』
「(……【ゆりか】? そういえば風の噂で聞いたことがあるような……)」
とある三人の生徒で出てきた【結梨華】の話題。その事柄について慧音は思い出す。
「(確か人里の隅である【名前の無い店】の店員という事は聞いたことがある……接待がうまく、対応も丁寧だとか。性格も良い少女だとか……)」
……実はというと、封結の店には名前が無いが、人里から【名前の無い店】と呼ばれている。そして知名度ではというと店主の封結ではなく、結梨華の方が知名度が高い。これにはキチンと理由は有り、封結は商品を作り、その製品を運ぶ事という裏方をメインとしている。無論、たまに勘定もするが。それに対し結梨華は基本常に店におり、勘定も結梨華が基本やっている。お客からみたら、封結よりも結梨華の方が対面する確率が高いのだ。
……それとこれは間違っている認識なのだが、結梨華は封結の妹と勘違いしている人物が多数である。そして慧音もその一人あったり。
「(……一度、【ゆりか】という少女を見ておくか……。同年代なら、噂通りの少女なら寺子屋に誘っても良いかもしれない……)」
慧音は計画を変更し、【名前の無い店】に行くことにした……。
慧音は移動し、【名前の無い店】を遠目で観察していた。何故かというと、先ほど結梨華の話題をしていた生徒が店内に入っていったからだ。
そして慧音は観察し、耳を澄ませて会話を聞くことに。
「──いらっしゃいませ──って、あれ? いつもご贔屓にさせて貰ってる──」
『こ、こんにちは結梨華ちゃん! 颯太です!』
『お前改めて挨拶しすぎ。俺覚えている? 勇二だけど……』
『何だかんだお前もしてるじゃねーか……歩(あゆむ)って名前だけどな』
「皆さん、そんな改めて自己紹介しなくても大丈夫ですよ? 結梨華はちゃんと覚えていますし、幻想郷の人々の名前を覚えようとしているんですから!(ニパー)」
『さすが結梨華ちゃん……自然すぎる笑顔……』
「それで、今回は何をお求めに? 間食関連ですか?」
『そ、そうだな……水飴、貰っても良いか?』
『あ、俺も! 放心している楓太の分もお願いします!』
「毎度ありです! 結梨華としても嬉しい限りです! 主人様のお店にキチンとした常連さんが出来ることは嬉しく思いますよ!」
「(……明らかにお店目的じゃなくて、君自身だと思うが……これも一種の青春なんだろうな……)」
慧音は少し苦笑いしながらも、まだ観察をしながら会話を聞く事に。
『……結梨華ちゃん、ちょっと俺達、聞きたいことがあるんだけど良いかな?』
「? どうしたんですか?」
『結梨華ちゃんって……その、好きな男がいたりするのか……?』
「好きな男の方ですか……? いますよ?」
『!? 本当に!? 誰!?』
「もちろん、主人様ですよー♪ 主人様がいてくれたからこそ、今の結梨華がいますからねー♪」
『『『いや、そういう【好き】じゃなくて』』』
「え? 違うんですか?」
『多分たけど、結梨華ちゃんの【好き】はアレだろ? 家族に対しての【好き】みたいな……』
「あー……言われればそれに近いかもしれませんねー……でも結梨華、主人様が求めるならば捧げても良いぐらいなのですが──」
『いやいやいや!? それはダメだから結梨華ちゃん!? お兄さんとそういう関係(兄妹での)は!?』
「うーん……主人様とそういう関係(兄妹)ではないのですが……この誤解はいつ解けるのか──」
『じゃあアレだ! どんな外見の男が好きなんだ!?』
「……どんな外見、ですか……──主人様みたいな外見の方ですかね?」
『『『(よし、髪の毛伸ばして眼鏡を掛けよう)』』』
「(……何て言うか、お兄さんの事が大好きなんだな、【ゆりか】という子は……)」
またもや苦笑いをしながら慧音は見守る。そして──生徒の恋は長期戦になりそうだと悟った。
三人の生徒が去った事を確認した慧音はタイミングを見計らい、店内に入って結梨華に声をかけた。
「君が【ゆりか】かな? お店の番をしているとは偉いじゃないか」
「はい! ありがとうございます──って、あなたは? 少なくても初回の方ですか? それとも主人様のお知り合いとか……?」
「あぁ。前者だ。私は寺子屋で教師をしている上白沢慧音だ。以後よろしく頼む」
「あ、これはご丁寧に……知っての通り結梨華って言います」
お互いにお辞儀をし、お互いの名前を知ったところで……結梨華が慧音にあることを尋ね始める。
「あの、慧音さん。少々聞きたい事があるのですが……良いですか?」
「? 何だ?」
「慧音さんって──半分妖怪なんですか?」
唐突の言葉。そして慧音は結梨華の言った言葉に驚愕した。実際に彼女は満月で姿を変えるワーハクタクでもあるのだ。目の前の幼い少女が半分妖怪である事に見抜いたことは信じられなかった。
「!? 私と君は初対面のはずだよな!? 何故!?」
「あー、やっぱりそうなんですね? 多分、この
「なっ!?」
さらには種族までも当てられた。慧音は困惑しかない。
「(見た目生徒達と変わらない年齢に見えるのに洞察力が高い!? そして【におい】……もしかして妖怪なのか!?)」
彼女の考える可能性。今までのことを考えると妖怪がしっくりとし、その事について尋ねたのだが──
「もしかして君は……妖怪なのか?」
「いえ、結梨華は妖怪じゃありませんよ? とある事情で主人様の所に居候している結梨華です。ただ……結梨華は秘密を喋れないのです。
「……いろいろと訳ありなのか?」
「はい……でも、結梨華は幻想郷の人々と仲良くなりたいと思ってます」
「(……嘘を付いているようには見えないな……でも、さっきの対応といい、この子の言っている事は本当かもしれない……)」
しばらく考えていたが──慧音は結梨華の事を【信頼】する事にした。さっきまでの生徒への対応を見る限り、嘘を付いているとは思えなかったためである。
「わかった……深く聞かないでおこう。人にはそれぞれの秘密があるからな」
「はい。助かります。風の噂で慧音さんは人里の守護者と知っていたので、大雑把な事は説明した方が良いかなと思いまして」
「(……ん? 知っていた? じゃあもしかすると……幻想郷縁起で知っていたのだろうか……? まぁ、こんな幼い少女だ。知的なところを見せたいと思ったのかもしれないな)」
慧音は彼女なりの解釈をし、彼女の言葉を受け入れた。
そして空気を変えるように結梨華は話題を振った。
「そして慧音さん。何かお求めの商品はありますか? 初回の方は値引きしますよ?」
「そうか? なら──」
本来の目的である【結梨華を寺子屋に誘う】事は忘れ、慧音は名前が無い店で寺子屋の備品を買うことにした……。
そして、次の日には──紅い霧が幻想郷中を覆うことになる──
次回から紅霧異変。リプレイ見ながら頑張らないとなぁ……。
ではまた。