やはり俺がサッカーをするのは間違っている。 作:セブンアップ
「エイトも我々に賛同したところで、一応他のメンバーにも顔を合わせておこう」
「…他のメンバー?イプシロンとジェネシスなら、もう見たことあるぞ」
「あぁ、そうだな。だが、我々以外にまだ2チーム残っている」
「は?」
イプシロンを倒したら終わりと思っていた矢先にジェネシスが現れ、ジェネシスを倒したら終わりと思えばまだあと2チームもいるのかよ。
辛い戦いになりそうだな、雷門は。
「それと、お前には助っ人扱いとしてチームに参加してもらう」
「助っ人扱い?ジェネシスに入るんじゃなかったのか?」
「勿論、それもそうだ。しかし、あとの2チームにもお前は助っ人扱いとして入ってもらう」
まぁ人間の俺が入っても邪魔になるだけだがな。しかし、こんなエイリア石まで使ってまでサッカーをしようとは思わない。副作用が計り知れないからだ。
「さて、我々のグラウンドだ」
研究所内部を歩いていると、目の前にはサッカーグラウンドが広がっていた。アンテナやホロビジョンを映す機械など、中々にメカメカしい。
「やぁ。比企谷くん、だったね」
ジェネシスのキャプテン、グランが挨拶する後ろから、毛量の多い白髪の少年と、チューリップでも生やしているのだろうかと思ってしまう赤色の髪型をした少年がグランの後ろから現れた。
「こいつがウルビダが固執している人間か?チンケな野郎だな」
「チンケで悪かったなチューリップ」
「!!て、テメェ……!!」
俺のその言葉に、赤髪のチューリップは顔を赤くして怒りの表情になる。あら、もしかして禁句でした?
「ち、チューリップ……た、確かに、バーンの髪型ってどうなってるんだい?」
「フッ、フフ……先手を打たれてしまったな、バーン」
「グラン!ガゼル!テメェら笑ってんじゃねェ!!」
何これ。エイリア学園ってこんな穏やかなのん?普通の学生と変わらなくね?
「それより、ウルビダ。彼のことを二人に紹介してあげよう」
「そうだな。ガゼル、バーン。こいつはエイト。我々に賛同する新たな戦士だ」
「ウルビダが固執しているってことは、それなりの実力者なのかい?」
「まぁ、敵に回すと些か厄介ではあるがな」
そんな厄介扱いされてたのかよ俺。サッカーやってたらプロ入りだったんかな。まぁそれ以前にチームプレー出来ないから周りからハブられるんだろうけど。
「私はダイヤモンドダストのキャプテン、ガゼルだ」
「プロミネンスのキャプテン、バーンだ。この陰気野郎」
すっかりチューリップには嫌われたようで。いや、嫌われて正解なんだけどさ。気に入られても仕方ないし。
「それで、ウルビダ。彼は僕のチームに?」
「こいつには、ガイア、ダイヤモンドダスト、およびプロミネンスのチームに助っ人扱いとして参加してもらう」
「?ガイアってなんだ」
「ガイアっていうのは僕達のチームさ」
「や、ジェネシスって言ってたでしょ。お前」
「まぁ、色々訳ありでね。今の段階では、僕達のチームはガイアという名前だから」
話がややこしいことになる。ジェネシスだのガイアだの。今の段階ではって言ってるあたり、何か条件を満たすとジェネシスという名前になると予想してみた。
「助っ人?こんな弱いやつがか?余計に負けるのが目に見えんだろ」
「今回ばかりはバーンに賛同するね。ウルビダが固執する人間をどんなものかと見に来てみれば、エイリア石も使っていないただの人間に我々の野望が成就するとは思えない」
「論より証拠だ。今から2vs2の形式で戦闘を行なってもらう。ガゼルとバーン。そして、相手はエイトとグランだ」
「ハッ!ただの人間相手に、俺達が負けるとは思えねェ」
「この勝負、やるまでもないな」
……俺の意思には関係なく、エイリア学園上位のチームと組むことになりました、ハイ。
キックオフは俺達から。俺達の勝利条件は、ボールを奪うこと。まぁ、ボールを奪うことくらいなら。
「それでは、始めろ」
ウルビダの合図で二人はこちらに攻め上がる。
「どう動く?」
「……とりあえず、あのバーンってやつにマーク付いてくれ。俺あいつ苦手だから」
まぁ、エイリアに限って言えないことではないがな。俺の周りの大半の存在は苦手である。
「グランなんざ俺の相手じゃねェ!そこをどけェ!」
バーンは人間離れした跳躍でグランを躱す。トランポリンを使って跳ぶより遥かに高い。
「ガゼル!」
ボールはガゼルに。ガゼルはグランに劣らないスピードで突っ込んでくる。
「見せてもらおう!君の実力を!」
俺は棒立ちのままでいる。ガゼルは遠慮なく、俺の横を抜き去った。
「この程度かい?」
「足元見てみろよ」
「何……?…なッ!?いつの間に!?」
ガゼルの足元にはボールはない。ボールがあるのは俺の足元だ。ガゼルは目をキッとして、こちらを睨みながら問う。
「何をした…!?」
「何って、単にボールを奪っただけだ。相手を抜くとき、どうしても目線は自分が抜く先に目線を向ける。それを先読みして奪っただけだ」
確かに相手はスピードがバカにならない。だが、彼がどちらに抜くか分かれば、早めに足を出せばいい。普通の試合なら、11vs11だから、一人に集中しているわけにはいかない。
だが、グランがバーンをマークしている以上、ガゼルは俺を抜くしかない。だからガゼルだけを集中して観察し、後は先読みしてボールを奪えばいい。
ボールを奪うテクニックは、雷門でそれなりに鍛えてきたからな。エイリアが強いのはあくまで身体能力のみ。サッカーの技術だけを見ていれば、俺も無理して取れる程度の実力だ。
「…とはいえ、これ完全なる個人プレーだからな。チームプレーとしては役に立たない」
「いや。その個人プレーが、我々にとって大きな戦力になる。ガゼル、バーン。エイトの実力は分かっただろう。エイリア石を使わずとも、渡り合えた」
ウルビダが少しだけ悔しがるガゼルとバーンに尋ねる。二人は渋々と答える。
「……確かに、動体視力や観察眼はズバ抜けているね。あとはそれを裏付けるための身体能力と技術かな」
「確かに認めてやる。エイトはそれなりに強ェ。だが、この程度のやつが俺のチームにいたんじゃ邪魔でしかねェ。だから、俺達プロミネンスがこいつを強くしてやるよ」
「待った、バーン。君と彼では相性が合わない。彼のような冷静な人物は、私達ダイヤモンドダストにこそ相応しい」
二人はこちらには目もくれず、言い合っていた。その様子を見た俺の隣に、ウルビダが寄ってくる。
「そういうことだ。正式に、我々エイリア学園に迎え入れる」
「……強制的だがな」
「いいか。これからお前は私の、私のお父様の手となり足となる。私の命令は一切拒否できん。もし拒否したら…」
「しねぇよ。そんなことすりゃ小町が傷付くからな。お前の言うことくらい、従ってやるよ。俺が本気を出せば、土下座も靴舐めも余裕で出来るレベル」
「……ならいい。では、今日のスケジュールを教えておこう。まず、二時間後には我々ガイアがここで練習をする。その練習にお前も参加しろ」
「…分かったよ」
雷門行ってもエイリア行ってもサッカーの練習て。こいつら実は雷門に負けないサッカー好きの集まりじゃないのかね。
エイリア学園和やかですね。