やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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エイリアの日常

 俺は新たに雷門のユニフォームから、ジェネシスのユニフォームに着替えて、再びグラウンド向かった。なんかピチピチで動きにくいし、気持ち悪い。

 

「改めて紹介しよう。我々エイリアに賛同することになった、エイトだ」

 

 グランが俺の代わりにジェネシスのメンバーに軽い紹介を行なった。ジェネシスのメンバーは、疑いをかけるような目を俺に向けていた。巨体なFW、ウィーズがグランに尋ねる。

 

「本当にこんな人間を仲間にしていいのかよグラン。俺達の動きに付いてこれるわけがねぇ」

「確かに彼はエイリア石を使っていない。けれど、彼はガゼルに勝っている」

「何…?」

 

 勝ったって言っても、単にボールを奪っただけだけどね。それだけで実力が認められるのもどうかと思う。

 

「エイト、君確かMFだったよね?」

「まぁシュートは打てんからな。FWとGK以外なら、別にどっちでもいい」

「じゃあ、今日はオフェンスの練習に入ってくれ。コーマ、アーク。よろしく頼むよ」

 

 金メッシュの入った茶髪と糸目のコーマという人物と、赤いスポーツサングラスを着けたアークと呼ばれる人物にグランは命じた。

 

「では各自、調整に入る」

 

 グランの合図でジェネシスの練習が始まる。FWは徹底的にシュートを打ち、それをGKが全部止める。MFはDFを相手に突破出来るか。また、DFはMFの攻撃を止められるか。

 

「おい、エイト」

「お、おう。なんだ、アーク」

「なんだ、じゃない。さっさとオフェンスの練習に入れ」

「お、OK」

 

 俺はオフェンスの練習に入ることになる。しかし、動きが規格外なため、やっぱり付いていけずにいた。

 その様子を見たコーマが溜息をつきながら話しかけてくる。

 

「しっかりしてください。これでもまだウォーミングアップですよ」

「や、単なる人間が急にジェネシスと同じスピード出したら怖いでしょうよ」

「ならエイリア石を使えばいいじゃないですか」

「それはやだ。あれ怖いし」

 

 エイリア石に関しては自分の意思でいいとウルビダが言った。一応部屋には置いてはあるが、使うのは最終手段だ。

 

「貴方が来た理由がなんなのかは分かりませんけど、我らジェネシスの下に来た以上、それ相応の働きをしてもらいます」

「エイリア石使ってるやつのスピードに順応するやつの苦労知ってる?」

 

 ウサイン・ボルトを軽く超えるスピードに対してサラッと順応出来る方がおかしいんだよ。

 

「残念ですが、我々ジェネシスはエイリア石など使っていない」

「は?」

「我々は、エイリア石によって強くなったジェミニとイプシロンと戦うことで強くなったのです。つまるところ、ただの人間です」

「ま、マジかよ……」

 

 ただの人間が、あんなスピードを出せるってのか……。ただジェミニやイプシロンと戦っただけで…。

 

「だからエイトも、早くジェネシスの動きに慣れてください」

「え、あ、おう…」

 

 あまりのカミングアウトに、驚きを隠せずにいた。

 

 いや、だがしかし。

 

 コーマの言う通り、ジェミニやイプシロンと戦って強くなっているのならば。それはきっと、雷門にも言えることだろう。

 

 ジェネシスは完成されたチーム。対して雷門は発展途上のチーム。ぶっちゃけ、客観的に見て試合をしたくないと思うのは雷門だ。

 完成されているなら、ある程度は戦略が読める。だが、発展途上する雷門は試合の中で強くなる。こちらの予想を上回るチームなのだ。

 

 ……超次元サッカーマジパねぇ。

 

 俺はなんとかジェネシスの動きに付いていき、オフェンスの練習を行なっていた。練習を続けていることで、段々やつらのスピードにも見慣れてきた。

 慣れって怖いね。

 

 20分の休憩が入り、俺は一人で肩で息を切らしながら休んでいた。そこには、やはりやつが来た。

 

「どうだ。ジェネシスの戦士の動きに付いていけているか?」

「……まぁ技術や身体能力に関してはまだ無理だ。だが、まぁ段々スピードには見慣れてくる」

「フッ。流石だな」

 

 そう言って、彼女は隣に座ってくる。

 いや、近いし。汗かいてるはずなのになんかいい匂いだし。なんなら大きいのが目に毒なので近づかないでください。何が大きいとは言わんが。何がとは。

 

「……一つ、聞いていいか」

「なんだ」

「前から思っていたんだが、何故お前は俺に固執しているんだ。俺より優れた観察眼や動体視力の持ち主なんて、探せばそれなりにいるだろ」

 

 ウルビダはしばらく沈黙する。

 こいつの独断で俺を連れてきたっぽいけど、まずこいつに固執されるほど何もしていない。

 

「それを今言ったところで何になる。お前は私に従っていればいい。余計なことを聞くな」

 

 そう言って、彼女は立ち上がり、離れていく。

 

 余計なこと、か。俺に固執する理由は他にもありそうだが、この様子だと聞けないな。

 

 ジェネシスの練習がひと段落終わると、温厚そうな人物と、長身痩躯で青白い顔をした人物がこちらにきた。

 

「お父さん!」

「え、お父さん?」

 

 グランがお父さんと呼んだ。ウルビダのお父さんじゃないのか?

 そんな疑問を頭に巡らせていると、グランのお父さんらしき人物がこちらに歩み寄る。

 

「初めまして、比企谷八幡くん。私は吉良星二郎です」

「ど、どうも」

「ウルビダから話は聞いています。先程の練習、見させていただきました。確かに、君の観察眼は素晴らしい。雷門に埋もれるには惜しい人材だ」

「は、はぁ……」

「これからも、私の目的のために、その才能を大いに奮ってください。では」

 

 そう言って、吉良星二郎と隣の長身の人物はグラウンドから去って行った。

 ……食えない男だ。一見優しい様相をしているが、裏では黒い何かを孕んでいる。

 

「…じゃあ、今日はこれまでにしよう」

 

 グランの一声で、ジェネシスは解散した。俺も自分の部屋に戻ることにした。部屋に戻ると、一通り生活に必要な衣類品や消耗品が置かれていた。

 こういうとこは律儀に置いてくれるのね。サッカーで汗をかいたので、シャワーを浴びに行こうとして部屋を出ると、そこには。

 

「貴様……比企谷八幡だな」

 

 見覚えのある男だった。吹雪のエターナルブリザードを幾度も止め、サッカーに変に熱くなっていたイプシロンのGK。

 

 デザーム。

 

「……こ、こんにちわ?」

「答えろ。何故お前がここにいる」

 

 デザームの疑問は当然のことである。この間まで雷門にいたやつがこんなところにいたら、怪しむのも仕方がない。

 

「ウルビダに誘拐されたから」

「ウルビダ様に?……何を考えている……?」

「知らん」

 

 俺はなるべく、短い返事で答えていた。あまりエイリアの人物と話したくないため、その場から去りたかったからだ。

 

「…まぁいい。くれぐれも、あのお方の期待を裏切るような真似はしてくれるなよ」

「勝手に期待されても困る」

「……フン。ではな」

 

 デザームはそのままどこかに歩いて行く。俺も、シャワー室を目指して研究所の廊下を歩いていた。

 だがしかし。

 

「……広すぎんだろ」

 

 研究所の内部は広く、迷ってしまった。せめて現在地を書いてるマップくらい用意しておいて欲しい。

 ダンジョンかよここは。

 

「……何してるの?」

「ひ、ひゃいっ」

 

 俺がそんなふざけたことを考えていると、隣から冷ややかな声をした女が声をかけてくる。少し短めの青色の髪の両側に、黄色い髪留めを止め、こちらをジト目で見ている。

 

「君、見たことない顔。ガイアに新入りが入ったんだ?今更、なんでなんだろ」

「そんなこと言われても。俺連れてこられた身だからな」

「連れてこられた……?誰に?」

「ウルビダ」

「ウルビダ……?あぁ、そういえばガゼル様が何か言ってたね。ウルビダが新入りを連れてきたって。君がエイトで、合ってる?」

「まぁ、多分?知らんけど」

「自分の名前でしょ」

 

 エイトって付けたのウルビダだから。俺の名前比企谷八幡なんだけど。周りからエイトって言われても、すぐ反応出来ないし。

 

「まぁいいや。私はクララ。ダイヤモンドダストのDF」

 

 え、クララ?ハイジと仲良いあの女の子か?全然違くね?

 しっかり自分の足で立ってるじゃん。

 

「…何?」

「い、いや。何でもない」

 

 ジト目で見られるから余計にキョドってしまう。これがデフォなんだろうか。

 

「そういえば、君何してるの?」

「や、シャワー室行こうと思ったら迷った」

「はぁ……。シャワー室なら、突き当たりを左に行けばあるから」

「お、おう。サンキュ」

 

 俺はクララに軽い礼をする。

 なんだ。エイリアと言ってもみんなわりと親切なのね。少し拍子抜けした俺は、クララに教えてもらった道筋を辿ってシャワー室に向かった。

 

 

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