やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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プロミネンス

「今日は俺達プロミネンスと練習をしてもらう」

 

 俺の部屋に来るなり、バーンはそう言う。まだ納得していない表情であった。

 

「や、別に誘いたくないなら誘わなくてもいいんじゃね?」

「うるせェ。さっさとユニフォーム着てグラウンドに来やがれ」

 

 言うだけ言って、彼は乱暴に部屋のドアを閉める。俺の部屋には、ご丁寧にプロミネンスのユニフォームが用意されていた。それだけではなく、ダイヤモンドダストのユニフォームも。

 

 俺はプロミネンスのユニフォームを着て、グラウンドに向かう。グラウンドには、プロミネンスのメンバーが揃っていた。

 

「遅ェぞエイト」

「これでも早く来たんですが」

「バーン様、この人間は……」

 

 炎の模様を表したヘッドバンドを装着していて、暗い瞳をした男がバーンに尋ねる。

 

「あァ、こいつは最近エイリアに入ったエイトだ。認めたかねェが、こいつの実力はそれなりにある」

 

 あと同じやりとりを一回くらいしなきゃならないのだろう。デジャブかこれは。

 

「いいかテメェら!俺達は必ずジェネシスの座を掴み取る!ガイアやダイヤモンドダストの野郎達に、絶対負けるわけにはいかねェ!!」

 

 バーンがメンバーを奮い立たせると、プロミネンスは気合いを入れて練習を始めた。で、俺何すりゃいいの?

 

「え、俺は?」

「あァ?あァ、そうだな。おいレアン、ヒート!」

 

 髪は赤色のセミショートで、前髪がカールした女と、ツンツンに立った白髪で、顔の右側の傷が目立つ男がバーンの呼びかけに応じる。

 

「どうした、バーン」

「テメェらの練習にこいつを加えておけ。俺の練習にこいつは必要ねェからな」

「分かった。エイト、だったな。こっちに来い」

 

 ヒートに連れられ、俺は練習に加わる。今回、俺はディフェンスの練習をするように指示される。

 

 昨日のジェネシスの動きを見慣れてるからか、プロミネンスの動きにも付いていけている。ただ違うのは、プレーに荒々しさがあるところだ。激しいタックルに、厳しいスライディング。ジェネシスとは違い、力押しのようなプレーだ。

 

 ちょこちょこファウル紛いのタックルやスライディングをしてくるのは、私怨でないと信じたい。

 

 そして数時間後、数十分の休憩が挟まる。

 

「しんど……」

 

 激しいタックルやチャージなどで、普通のプレーより体力をより消耗する。それに、プロミネンスのユニフォームって長袖だから暑い。余計に体力が減らされる。

 

「ねぇ。私と勝負しなさいよ」

 

 ハチマンは勝負を仕掛けられた!目を合わせてすらないのに強制バトルかよ。お前はライバルか?

 

「…レアン、だったか?」

「私、貴方が気に入らないの」

 

 おっと何もしてないのに嫌われるとは思わなんだ。すると、ヒートが耳打ちで事情を話してくれた。

 

「レアンのやつ、自分より強い選手は気に入らない性格でな。すぐ勝負を挑みたがるんだ。エイトの実力を認めている反面、エイトに劣っているという事実が嫌なんだろう」

「何それ新手の戦闘狂?」

 

 理由が私的すぎて笑えてくる。ていうか、俺は別にレアンより強い自覚はない。サッカーだってまだ毛が生えた程度だからな。

 

「私MFなの。今日のディフェンス見せてもらったけど、私ならあの程度のディフェンスくらい突破出来るわ」

「そ、そうか。そりゃまた自信がおありで……」

「私が貴方のディフェンスを突破出来たら私の勝ち。止めたら貴方の勝ち。簡単でしょ?」

「せめて、休憩くらいさせてくれない?しんどいんだけど」

「ハッ、やっぱり人間の身体能力なんてこの程度よね」

 

 軽く会話した感じ、レアンは負けず嫌いでプライドが高い。まるで雪ノ下みたいだ。

 

「あぁそうだな。俺が今お前とやり合っても俺の負けは目に見えてる。棄権するからお前の勝ち。それでいいだろ」

 

 正直、レアンとやる理由もメリットもない。ただただ自分より強い人間を許さないために、勝負を挑んでいる。迷惑な話だなおい。

 

「ふざけてんの?私がそんなんで納得すると思ってる?」

「逆に、俺が私的な理由で納得して勝負を受けると思ったのかよ」

「逃げるの?」

「逃げの何が悪い。戦略的撤退って言葉を知らねぇのかよ」

「…貴方のそういうところ、気に入らない」

 

 レアンはキッと俺を睨む。別に俺じゃなくても、バーンにでも勝負を仕掛ければいいのにな。

 

「エイト、諦めて受けてくれ。レアンがああなった以上、止められない」

「マジかよ…」

 

 俺は溜息をついて、ゆっくりと立ち上がる。メリットもない勝負を受けるなんて、これっきりにしたい。

 

「やっとその気になったわね。さぁ、始めましょ」

 

 俺とレアンはグラウンドに入る。他のメンバーは、この勝負に興味を示し、見届けようとしている。

 

「手加減してね?俺まだビギナーだから」

「安心して。本気で燃やし尽くしてあげる」

 

 安心しての意味を広辞苑で調べて欲しい。何一つ安心出来る要素がないんだが。

 

「それじゃあ行くわよ!」

 

 レアンは、猛スピードでこちらに突進する。レアンはボールとともに宙に浮き、そのボールを地面にめり込ませる。

 

「フレイムベール!!」

 

 めり込んだ衝撃からか、地面から火柱が発生。火柱は段々こちらに近づき、最後は炎の膜が俺の前に発生する。

 

「チッ!」

 

 炎の膜に当たる直前に、後ろにジャンプ。かろうじて、フレイムベールを躱す。

 

「やるわね!でも、ディフェンスとしては悪手よね!」

 

 そう。このまま下がるというのは、攻撃の進行を許しているも同じである。

 だが、俺には強力なディフェンス技など持っていない。

 

 だから、俺は俺のやり方で。

 

「あ!」

「ッ!?」

「あそこにUFO…………なんつって」

 

 以前雷門にもやってみせた技。その様子に、プロミネンス全員はゴミを見る目をしてきた。そんな見つめないで恥ずかしい。

 キモいなこれ。

 

「…ふざけてるの?悪足掻きにしても、そんな子供騙し…」

 

 今だ。俺は全力で足を動かして、レアンに突っ込む。レアンは一瞬、判断が遅れてしまった。その隙を突いて、俺は強引にボールを奪う。

 

「……子供騙しがなんだって?」

「ひ、卑怯よ!こんなの無効よ!」

 

 レアンは納得していないという言い分だったが、勝利条件はボールを奪うこと。ボールを奪えば、それで勝利なのだ。

 

「卑怯?違うな。油断したお前が悪い。俺は悪くない」

 

 あそこにUFOなんて、誰も引っかからないことは分かりきったこと。でもふざけたことをすれば、相手に水を差すことができる。そこに、油断が生まれる。

 

「大体、どう考えてもお前の方が強いに決まってんだろ。まだビギナーだぞ?」

「う、うるさい!もう一度勝負よ!今度は正々堂々と!」

「えぇ……」

 

 第二ラウンド決定。勝利条件は先程と同じ。レアンが速攻でドリブルしてくるとまたあの技の体勢になる。

 

「フレイムベール!」

 

 火柱がこちらに向かってくるが、よくよく見ればコーンを立ててドリブルで躱す構図と似ている。そう考えると、火柱を容易く躱すことができた。

 

「な、何ッ!」

 

 そして、どんな必殺技も必ず終えたあとには何かしらの隙が生まれる。

 その隙を突いて、俺はレアンからボールを掠めとる。

 

「今度は正々堂々としたぞ。これで俺の勝ちだ」

「なんで勝てないの!?エイリア石まで使って、身体能力が上がってるって言うのに!ただの人間に負けるなんて!」

「エイリア石はあくまで身体能力を上げるもの。テクニックは上がらないだろ」

「ッ…!!」

「お前のサッカーのテクニックは知らん。けど、借り物の力で自分が強くなったっていうのはただの思い上がりだ。借り物は所詮借り物。本物の強さじゃないだろ」

 

 俺は普通に特訓して、今の身体能力と技術を手に入れている。対して彼女は、エイリア石によって常人ならない身体能力を手に入れた。確かに身体能力はサッカーには不可欠だが、テクニックが追いつかないなら意味がない。

 

「……絶対に勝つ」

「は?」

「この練習が終わった後、もう一度私と勝負しなさい!私が勝つまで、貴方に挑み続けてやる!」

「えぇ……」

 

 比企谷八幡です。エイリアに来てから、厄介な人物ばっかりに目を付けられるようになりました。

 

 




レアンの設定って自分より強い人を許さないらしいです。
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