やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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ファイアブリザード

 10-1のカオスリード。あちらは爆熱ストーム、ゴッドノウズ、デスゾーン2という強力なシュート技を持っている上に、アトミックフレアを止めるほどのキャッチング技のムゲン・ザ・ハンドがある。

 リードしているとはいえ、このまますんなり勝たせてもらえそうではない。

 

 それに、一つ問題がある。

 

 プロミネンスのMFネッパーは、俺やダイヤモンドダストのメンバーを完全に無視している。状況から考えれば、プロミネンスだけで勝ってジェネシスの座を獲りたいのだろう。ネッパーの行動を境に、恐らくダイヤモンドダストのメンバーもプロミネンスを無視するだろう。

 

 しかし、それを俺が言ったところで何の解決にもならない。この試合に勝つには、ダイヤモンドダストとプロミネンスがしっかり協力することが必須だ。それに、俺が余計なことを言って、尚更隙を作るのは避けたい。何か、やつらが一つにならなきゃならないきっかけがあれば、後押し出来る。

 

 

 カオスからのキックオフで後半は試合再開。ボールはネッパーに渡る。ドロルに繋げると思いきや、強引にバーンにパス。だが、鬼道は見逃さずにそれをカット。

 

「アフロディ!」

 

 鬼道からアフロディへのセンタリング。

 

「ゴッドノウズ!!」

「バーン…アウトォッ!!」

 

 アフロディはグレントの必殺技を破って追加点。しかし、雷門の追撃は止まらない。豪炎寺やアフロディを中心として、次々に点数を入れられていく。

 ダイヤモンドダストとプロミネンスの仲違い関係なく、普通に支配率は雷門が上になっている。俺の動きも、やつらには読まれている。気付けば10-7。

 

「……やばいな」

 

 そろそろ追加点取らないと、逆転される可能性がある。正直にハーフタイムの時に言っておけば良かったかな。

 

「…バーン、ガゼル。これがカオスの現状なんだが」

「…見ていれば分かるよ、そんなことは」

「あいつらは分かっちゃいねェ。なんでカオスっつゥチームを結成したのかを。…ガゼル」

「あぁ。私達がやるしかないな」

 

 そう言って、二人は自分の位置に戻った。一体、何をするつもりなんだろうか。

 カオスからのキックオフ。試合が再開すると、バーンとガゼルは全速力で雷門陣内に切り込んでいく。豪炎寺や鬼道、ディフェンス陣をあっという間に抜き去り、残るは立向居一人。

 

 バーンがボールを蹴り上げると、

 

「バーン!!」

「ガゼル!!」

 

 二人揃って高く跳躍する。

 

「これが我らカオスの力!!」

「宇宙最強チームの力!!」

 

 バーンの右脚は炎を、ガゼルの左脚は氷のオーラを放ち、それを纏いながらシュートの体勢。

 

「ファイア……ブリザアァァードォォッ!!!」

 

 二人が織りなす炎と氷の混沌とした強烈なシュートは立向居に向かって飛んでいく。

 

「ムゲン・ザ・ハンドォッ!!」

 

 立向居はムゲン・ザ・ハンドを繰り出す。しかし、二人のシュートはムゲン・ザ・ハンドを弾き、立向居ごとゴールに叩き込んだ。

 

「…これがカオスの力だ!」

 

 バーンとガゼルの勇姿に、他のメンバーは驚きを隠せなかった。今までジェネシスの座を獲るために争っていた2チームのキャプテンが同時にシュートを打ったからだ。

 

「……このままダイヤモンドダストだの、プロミネンスだの意固地になってると、雷門に負けちまうな」

「な、何だと!」

 

 皮肉げに言った俺に噛み付いたのはネッパー。

 

「なんでいきなり一気に点を取られたか、分かるか?」

「……雷門の勢いが付いたから?」

 

 ネッパーの代わりに、リオーネがそう答えた。まぁ一概に間違いとは言えない。だが、それはある歪があったから勢い付いたのだ。

 

「…それもある。だがもう一つ。お前らは、プロミネンスはプロミネンス、ダイヤモンドダストはダイヤモンドダストのメンバーとしかプレーをしていないからだ。互いのチームを信頼してないが故に、隙が生まれたんだよ」

 

 こいつらの考えは分かる。ついこの間まで敵だったチームと組んで上手くやれなんて言われてもすぐ出来るわけがない。

 しかし、バーンとガゼルはそれをやってのけた。カオスとしての使命を、あいつらは果たした。

 

「まぁすぐに信頼しろとまでは言わんけど、最低限の協力くらいはした方がいいんじゃねぇの」

 

 そう言って、俺は自分の位置に戻った。

 試合再開。財前が上がっていくが、ドロルが奪う。

 

「ネッパー!!」

 

 ドロルからネッパーにボールが繋がる。ネッパーは自分のスピードで次々と雷門を抜き去っていく。

 

「これ以上行かせるな!」

 

 ネッパーに対して、円堂、木暮、土門が迫る。すると、ネッパーは俺にパスを出す。

 

「エイト!そのまま持ち込んでくれ!」

「……了解」

 

 俺はそのまま攻め上がる。向かいには壁山がザ・ウォールの体勢だが、ザ・ウォールを出す前に壁山を抜いていく。

 

「ガゼル!バーン!」

 

 俺は上に大きく打ち上げる。それと同時に、バーンとガゼルはファイアブリザードの構え。だが、

 

「やらせるかよ!!」

 

 才能マンのDF綱海がボールをカット。前線にいる豪炎寺にロングパス。

 豪炎寺はドリブルで持ち込む。

 

「ここから先は行かせん!」

 

 目の前には、プロミネンスの巨漢ボンバが立ちはだかる。

 

「イグナイトスティール!!」

 

 ボンバの炎を纏ったスライディングは豪炎寺に躱される。だが、ボンバに続いてゴッカがディフェンスに回る。

 

「フローズンスティール!!」

 

 ゴッカのフローズンスティールが豪炎寺を吹き飛ばす。えげつないコンビネーション技だな……。

 

 再びボールは豪炎寺に渡り、攻め上がっていくが。

 

「イグナイトスティール!!」

 

 豪炎寺がボンバのイグナイトスティールを躱すが、

 

「フローズンスティール!!」

 

 次のゴッカのフローズンスティールがまたもや豪炎寺を吹き飛ばす。これが、カオス最強のダブルディフェンスと言えるだろう。これを破れる者は、ガイアとてそういないだろう。

 

 今度は、アフロディにボールが渡る。アフロディが攻め上がっていくが、

 

「イグナイトスティール!!」

「フローズンスティール!!」

 

 やはり、ゴッカのフローズンスティールで吹き飛ばされてしまう。だが、アフロディは諦めずに挑戦していく。再びアフロディは攻め上がっていく。

 

「イグナイトスティール!!」

「フローズンスティール!!」

 

 アフロディは再び吹き飛ばされる。だが、彼は依然ダブルディフェンスに挑戦し続ける。しかし、挑戦し続けると同時に、彼は何度もダブルディフェンスにより吹き飛ばされてしまう。

 気付けば、身体は傷だらけ。もう限界に近いだろう。

 

 俺は、アフロディの前に回り込んでディフェンスに入る。

 

「お前、もう限界だろ。その辺にしとかないと、マジで病院行きだぞ」

「…僕には果たさなくちゃいけない役目がある。覚悟の上だよ」

 

 そう言って、アフロディは俺を抜き去っていく。

 

「これでとどめだァ!!」

 

 アフロディに迫っていくボンバとゴッカ。三人がぶつかり合う瞬間、上から何か凄い勢いでグラウンドに落ちてきた。

 衝撃により、アフロディ、ボンバ、ゴッカは吹き飛ばされてしまう。

 

 衝撃が止まると、グラウンドには宙に浮いた黒いサッカーボール。しかも、この黒いサッカーボールは…。

 

「みんな楽しそうだね」

 

 上からそんな声が聞こえた。その方角に視線を向けると、グランとウルビダが俺達を見下ろしながら立っていた。

 

「ヒロト!」

「やぁ、円堂くん」

 

 二人はグラウンドに降り立つ。

 

「……何しに来たんだ」

「安心しろ。今日は貴様達などに用はない」

 

 円堂の問いに、ウルビダが答えると、グランは険しそうな表情でバーンとガゼルを見る。

 

「…何を勝手なことをしている」

「ッ…俺は認めない!お前達がジェネシスに選ばれたことなど!」

「我々は証明してみせる!雷門を倒し、誰がジェネシスに相応しいのかを!」

「……そのためだけに私に無断でエイトを連れ去ったのか。この下らん試合に」

「ジェネシスは、我々ガイアが選ばれている。往生際が悪いな」

 

 グランの黒いサッカーボールは、グラウンドを眩く照らす。その光は俺達を飲み込み、光が止むと俺達はグラウンドから去っていた。

 

 

 

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