やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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決戦準備

 カオスの試合は中断となり、俺はウルビダの部屋に連れて行かれた。カオスの面々は、いつの間にか消えていたようだ。

 

「……さて、ガゼルとバーンが私に断りもなくエイトを連れて行ったとはいえ、お前は私から離れたな?その理由を話せ」

 

 理由を話さなければ殺す。そう言わんばかりの表情であった。

 

「……ガゼルが俺の妹のこと知ってたんだと。カオスに参加して雷門に勝った代わりに小町を助けてくれるって言ってたから、俺はそれに乗った」

「……ほう。……余計な真似をしてくれた」

 

 彼女は憎しげにそう呟く。

 

「…まぁいい。こうして私のところに帰ってきたのだから結果的には良しとしよう。だが、くどいようだが言っておくぞ。……お前は私のモノだ。私はお前を離さないし、離れたとしても必ず私が見つけ出す。だから私から離れることは出来ないと、頭に叩き込んでおくことだ」

「…分かってるよ」

「……ならいい。では、シャワーを浴びて早く戻ってこい」

 

 俺は頷いて、シャワールームに向かう。シャワーを浴び、俺はすぐにウルビダの部屋に戻っていった。

 

「…帰ってきたか。さぁ、私の隣に来い」

 

 俺はウルビダの隣に腰掛ける。その瞬間、俺はまたウルビダに首筋を噛まれてしまう。

 

「……私のマーキングは一生消させぬ。私が付け直す。例えば、他の女の匂いがお前の身体から少しでも付着していれば、私が上書きする。まぁ最も、他の女のところになど行かせはしないがな」

「……本当、俺のこと好きすぎだろお前」

「…何を今更なことを。未来永劫、私はお前のことを愛している。将来、私とお前は結婚するのだ。私とお前しかいない、そんな生活を送ろう。子どもなど必要ない。私とお前の間に誰かがいるなど邪魔でしかない。結婚すれば、グランもお父様も呼びはしない。勿論、お前の妹にも来ないように予め言っておく。私とお前はずっと一緒だ」

 

 やばい。これ地雷踏んだわ。

 ウルビダは尚も話を進める。

 

「ずっと一緒だ。私が寝るときはお前も一緒に寝ろ。私がお風呂に入るときはお前も一緒に入れ。私が用を済ませるときはお前も一緒に用を済ませろ。性行為の際に私が果てるときはお前も果てろ。私が死ぬときはお前も死ね。私とお前はずっと一緒じゃなければならない。少しでも違っていたならば、私はお前を調教する」

「お、おぅ……」

 

 ウルビダの依存は日に日に重くなっていく。既に後戻り出来ないほどまでに。

 

「…まぁ、それはさておいてだ。そろそろお父様の計画も大詰めだと聞いた」

「そうなのか?」

「あぁ。私達はハイソルジャーとして、お父様の敵である世界に対して攻撃を仕掛ける」

「……お前はいいのか」

「何がだ?」

「いくら親父の言うことが絶対だからって、何も中学生であるお前らが戦争紛いなことをしても、傷つくだけだろ。争いは悲劇を生むってよく聞くぞ」

「……私はそれでも構わない。お父様に尽くすことが私の使命。それに……」

 

 ウルビダは、俺の手を握る。俺の指と指の間を、彼女の指で埋めて、絡めるように握る。

 

「エイトがいれば、私は何でもできる」

「ウルビダ……」

 

 ……それでも、自分の計画のために子どもを巻き込むのは許されない。どんな理由があっても、巻き込んでいいはずがない。犯罪の片棒を子どもに担がせるとか、どんな神経してんだよ。

 

「……私は幸せだな。お父様の役に立つことができ、愛しいエイトとずっと一緒にいることができる。バチでも当たりそうだな」

「……さよか」

 

 今のウルビダは、本当に幸せな表情をしている。それと同時に、彼女は再び俺の首筋を噛み始める。

 

「…お父様の計画が始まれば、こんなことをする暇がなくなる。だから、今のうちにお前を堪能しておこう。……エイトっ…」

 

 ウルビダはそう言って俺を押し倒して、上からマウントを取る。そのまま、俺の首筋だけではなく、上半身全てをくまなく噛み始めた。

 

 その行為はずっと続き、いつの間にか夜ご飯をも食べずになっていた。ウルビダはその行為に必死になり、俺はウルビダが機嫌を損ねないように接した。気付けば、俺の意識はフェードアウトした。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 翌日。俺はガイア、もといジェネシスのユニフォームを着がえて準備をしていた。どうやら、雷門がこの研究所にやってくるらしい。

 

 昨日は色々あって疲れたため、爆睡していた。目を覚ませば、ウルビダもおらず、書き置きだけが残されていた。どうやらグランと共に吉良星二郎に呼ばれたから先に出て行ったとのこと。

 

 俺はマッカンを開けて、一気に飲み干す。

 

「…行くか」

 

 俺はウルビダの部屋を出て、グラウンドに向かっていく。

 今でも、マップを見なければ迷う時もある。複雑すぎるんだよなぁ。俺が探り探りでグラウンドに向かっていくと、前には警備ロボットを潰したであろう雷門イレブンがいた。

 

「比企谷……」

 

 俺の気配にいち早く気がついたのは、鬼道だった。

 

「比企谷じゃないか!」

「よう」

 

 俺は軽く挨拶をして、そのまま去ろうとするが。

 

「ま、待てよ!」

 

 そうは問屋が卸さない。

 俺に待ったを掛けたのは、勿論円堂だった。

 

「お前、その格好は……」

「……そういや助っ人扱いのことはお前ら知らんかったな。本当の所属チームはジェネシスだ。つまりお前らの対戦相手」

「…俺達が勝ったら、教えてくれるんだよな。お前がなんでエイリアに手を貸していたのか」

「…そういやそんなこと言ってたな。まぁ話すんじゃねぇの知らんけど」

 

 すると、俺のポケットに入れていた通信機が鳴り響く。実は拐われたときから、ケータイをウルビダに没収されて、この通信機を使わされているのだ。

 

「…はい?」

「剣崎だ。聞こえているな?」

 

 相手は吉良星二郎の側近の剣崎だった。

 

「雷門イレブンを、今すぐホロビジョンルームに連れてきなさい」

「……分かりました」

 

 俺はそう返して、通信機を切断する。ポケットに通信機を入れ、俺は今のことを伝え始めた。

 

「今からお前らをホロビジョンルームに連れて行くわ。なんでか知らんけど」

「…ホロビジョンルーム?」

「とりあえず案内するから。多分、罠とかではないと思う」

 

 俺はそう言って、雷門を先導していく。俺は手元にあるマップを見ながら、ホロビジョンルームに向かった。

 

「なんでマップ見ながら案内してるんスかねぇ?」

「単に道音痴なだけじゃねーの?うっしっし」

「おいコラ聞こえてんだよ。ここの複雑さ舐めんな。もはやダンジョンなんだよ」

 

 俺が壁山と木暮にそう返すと、クスッと笑った者がいた。それは、音無春奈であった。

 

「…なんだよ」

「比企谷先輩、エイリアに行っても雷門にいた時と変わってませんから。ちょっと安心しちゃって」

「確かに。エイリアに行って、もう雷門のことはどうでもいいのかなって思ってたけど」

 

 音無に続いて木野が相槌を打つ。

 

「いや、別に雷門に思い入れはないんだが……」

「まぁまぁ、そう照れんなよ!」

 

 円堂はそう言って俺に肩を持つ。え、何ちょっと触れないで近いし熱いし何より葉山と同じ雰囲気しててちょっと無理。

 

 唯一葉山と違うところは、優柔不断ではないというところだけ。

 

 しばらく歩いていると、ようやくホロビジョンルームに到着。目の前にある大きな扉が自動で開く。

 

 中に入ると、扉は閉まり、俺達の上には吉良星二郎が浮かんで映っていた。

 

「…日本国首脳陣の皆様、お待たせいたしました。ただいまから我が国が強力な国として君臨するための、プレゼンテーションを始めさせていただきます」

 

 吉良星二郎は、淡々と話を始めていく。俺は壁の後ろにもたれ、雷門の様子とそのプロモーションを拝見していた。

 まず最初に映されるのは、ボロボロになっている学校とジェミニストームの連中だった。

 

「皆様は、エイリア学園のことをもうご存知でしょう。その力は強大です。…さて、今日は謎に包まれたエイリア学園の衝撃の真実をお話しいたします」

「…衝撃の真実?」

 

 雷門は、ついに知ることになる。エイリア学園がただの宇宙人ではないということを。

 

「…自らを星の使徒と名乗る彼らですが、その正体は実は宇宙人ではないのです」

「えええぇぇっ!?」

 

 雷門イレブンは衝撃を受けた。今まで宇宙人だって思い込んでいたのが、違ったからだろう。続いて映されるのは隕石が地球に落下してる映像だった。

 

「全ては5年前……地球に落下した隕石から始まったのです。富士山麓に落下した隕石………その隕石には、人間の潜在能力を最大限に引き出す物質が見つかりました」

 

 それこそが、あのドーピングとも言えるエイリア石である。

 

「私はこの素晴らしい物質を有効に使うために、研究を重ねました。そしてついにエイリア石の力を使って、人間の身体能力を飛躍的に高めることに成功したのです。私は総理大臣、財前宗介にエイリア石を使って、強い戦士を作る計画を提案しました。それがハイソルジャーです。ハイソルジャーが人類の新たなる歴史を創造するのです」

「ハイソルジャー?」

「……人間を戦うマシーンに変える、恐ろしい計画よ」

 

 ハイソルジャーのことを復唱した一ノ瀬の疑問に、吉良監督が簡潔に答える。

 

「…しかし、事もあろうか財前総理は、この夢の様な計画を撥ねつけました。財前総理、貴方は正義のリーダーを気取っていますが、何も分かっていない。そこで、私は財前総理にハイソルジャーの素晴らしさを教えて差し上げることにしました。大のサッカー好きだという総理に、一番分かりやすい方法でね…」

 

 そう。今まで、何故サッカーで彼らはこの日本を攻め込んできたのか。それは全て、財前総理にハイソルジャー計画を押し通すための準備だったということなのだ。

 

「即ちそれが、エイリア石によって身体能力を高められた子ども達……エイリア学園なのです」

「………つまり、今までお前らが戦ってきた相手は、エイリア石で人工的に強くなった人間だってことだ」

 

 ジェミニやイプシロン、ダイヤモンドダストやプロミネンスはエイリア石を使って強くなっている。

 

「……なんてことを…!」

「私本日ここに、エイリア学園最後のチーム、最強のハイソルジャーをご紹介いたしましょう。その名は、ザ・ジェネシス」

「ジェネシスがハイソルジャー……ということは、比企谷くんもハイソルジャー……?」

 

 雷門が俺に向かってそう尋ねる。まさか、とは言わんばかりの表情であった。

 

「……あぁ。俺は、吉良星二郎の計画の為に、ハイソルジャーになった」

「何のためにそんなことを!」

 

 円堂が俺を問い詰める。

 

「…言っただろ。お前らが勝てばその理由を教える。何度も聞いてくんな」

「ひ、比企谷……」

 

 そんなやり取りをしている傍ら、吉良星二郎のプレゼンテーションはいよいよ終盤に差し掛かってきていた。

 

「究極の戦士ジェネシス……その素晴らしい能力、完璧なる強さを最高の舞台でご覧にいれましょう。ジェネシスとの最終決戦の相手は、雷門イレブンです」

 

 そう告げて、吉良星二郎のホロビジョンは消えていく。それと同時に、ホロビジョンルームに一つの眩い光が差し掛かる。そこには、側近の剣崎がいた。

 

 俺達は剣崎の後を付いていくと、吉良星二郎だけの仮想空間の部屋に到着した。吉良星二郎は、俺達を見つめて立っていた。

 

「エイト、今すぐ準備に取りかかりなさい」

「…うっす」

 

 俺は吉良星二郎の指示で、いち早く仮想空間から出ていき、グラウンドに向かった。グラウンドには、既にジェネシスのメンバーが揃っていた。

 

「遅いぞ、エイト」

「すまん」

 

 もうすぐ、全ての戦いに決着する。雷門が勝って世界が守られるのか、ジェネシスが勝って世界を支配するのか。

 いずれにせよ、俺は小町のために戦うだけだ。世界を敵に回しても、小町を守るのが俺の役目なのだ。

 

 

 

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