やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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吹雪覚醒

 ついに雷門がやってきた。雷門の表情は、どれも確固たる意志を持っているかのような、そんな表情だった。

 

「とうとう来たね、円堂くん」

「あぁ。お前達を倒すためにな!」

「俺はこの戦いで、ジェネシスが最強の戦士であると証明してみせる」

「…最強だけを求めたサッカーが楽しいのか?」

「……それが父さんの望みだから。俺は父さんのために最強になる。ならなきゃならないんだ」

「……今の俺達は最後のチーム、ザ・ジェネシス。円堂、お前の考えが正しいというのなら、サッカーでジェネシスを倒してみろよ」

「比企谷……」

 

 俺達は早速準備に取りかかる。今回、俺はMFで出場。アークの代わりに出場することになった。

 ごめんねアークくん。

 

 ジェネシスのフォーメーションは5-3-2。DFはハウザー、キーブ、ゾーハン、ゲイル、コーマ。MFは俺、ウルビダ、クィール。FWはグランとウィーズのツートップ。

 

 雷門イレブンも、位置に着いた。キックオフはジェネシスから。

 最終決戦のホイッスルが今、高らかに鳴り響く。

 

 まずはショートパスで繋げつつ、前線に上がっていく。

 

「ウィーズ!」

 

 ウルビダからウィーズへのパス。ウィーズはそのままダイレクトにシュートを打つ。

 だが、

 

「メガトン……ヘッドォッ!!」

 

 円堂のメガトンヘッドがウィーズのシュートをブロックし、そのまま鬼道へと繋げていく。

 

「行かせません」

 

 コーマが鬼道に向かって詰める。

 

「イリュージョンボール!」

 

 ボールがいくつも分身させ、コーマを軽やかに突破。鬼道から一之瀬へ。一之瀬は前線に上がって、浦部にパス。

 

「行くで必殺!!通天閣シュートッ!!」

 

 浦部が放った必殺技はさながら大阪にある通天閣を連想させるシュートだった。

 

「エイト、止めろ」

 

 俺の後ろからネロの指示が飛んでくる。ネロは止める構えすら見せておらず、本当に止める気がないようだ。

 せめて保険として構えくらいは取っといて欲しいわ。それに下がってるとはいえ仮にもMFなんだけどね俺。

 

 俺は通天閣シュートに向かって、右脚を思い切り振りかぶり、そのまま勢いよくぶつけた。

 

「らァッ!」

 

 俺は通天閣シュートを蹴り返すことでブロック。しかし、ボールを蹴り返した角度が不味かったのか、よりにもよって豪炎寺のところに飛んでいく。

 

 ごめんねネロ。テヘペロ。

 

 豪炎寺はそのままシュート体勢。

 

「爆熱……ストォォーーム!!」

 

 豪炎寺の渾身の爆熱ストームがネロに向かって飛んでいく。しかし、ネロは顔色変えずに必殺技の構えに入る。

 

「プロキオンネットッ!!」

 

 ネロが編み出した、さながら冬の大三角系のような形状のような膜を形成し、爆熱ストームを包み込む。勢いを殺し、ネロは片手で止めた。

 

「エイト、せめて蹴り返す方向くらい考えたら?」

 

 ネロは俺にボールを預けつつ、愚痴をこぼした。

 何それ愚痴ってるんですか私サッカー始めてまだ数ヶ月なのでそんな器用なことまだ出来ないんですごめんなさい。

 

「エイト、上がってこい!」

 

 ウルビダから指示が入る。俺はネロから受けたボールをそのままキープして持ち込んでいく。

 

「行かせるか!」

 

 財前と一之瀬が目の前に立ちはだかる。俺は臆せず、二人を抜き去っていく。

 

「は、速い!」

「エイト、こっちだ!」

 

 ウルビダにボールを繋げる。ウルビダの前には円堂がディフェンスに入るが、ウルビダはすれ違い様にグランにパス。

 

「流星…ブレードッ!!」

 

 グランの必殺流星ブレードが立向居に襲いかかる。

 

「ムゲン・ザ・ハンドッ!!うおおおォォッ!!」

 

 立向居はムゲン・ザ・ハンドで流星ブレードを包み込む。しかし、グランのシュートはバーンとガゼルのファイアブリザードより強力なのだ。

 ファイアブリザードでさえ止められなかった立向居が、グランの流星ブレードを止められるわけもなく、ムゲン・ザ・ハンドは呆気なく弾けてゴールになる。

 

「これが強くなった雷門か。容易いな」

「……あんまあいつら舐めない方がいい。試合の中で進化してくるからな。ある意味厄介だ」

 

 俺はウルビダにそう忠告した。

 あいつらは未完成。発展途上であるが故に、何を起こすのかが予想が出来ない。

 

 失点した雷門。点を取り返すべく、反撃を試みる。

 豪炎寺が攻め上がり、爆熱ストームの構えに入った。

 

「爆熱……ストォォーーム!!」

 

 豪炎寺は爆熱ストームを放つ。しかし、打ち込んだ方向は逆方向である。だが、それはミスではなく計算していた結果であった。

 爆熱ストームに向かって円堂が走っていく。

 

「メガトン……ヘッドォ!!」

 

 円堂は爆熱ストームをメガトンヘッドで跳ね返す。爆熱ストームの勢いをメガトンヘッドで跳ね返すことで、更なる威力を誇るシュートが生まれたということか。

 

 だが。

 

「プロキオンネットッ!!」

 

 ネロは完璧に止める。

 この程度の工夫では現状、ネロに止められるのが関の山だ。ネロからハウザーにボールを繋げる。グランは円堂と鬼道が厳しくマークしている。

 

 ならば。

 

「ウルビダ、上がるぞ!」

「あぁ!」

 

 ハウザーからウルビダに渡る。ウルビダに並ぶ様に、俺も前線に上がっていく。

 

「行かせるか!!せんぷう……」

「遅い!」

 

 木暮が旋風陣を発動する前に抜き去っていく。そのウルビダを止めようと、土門と財前がディフェンスに入る。

 

「エイト!」

「しまった!」

 

 俺はウルビダからボールを受け取り、必殺技の構えに入る。

 

「アストロゲートッ!!うおおォッ!!」

 

 俺はアストロゲートを発動。しかし、目の前には壁山が聳え立つ。

 

「ザ・ウォォール!!」

 

 壁山はザ・ウォールを繰り出す。だがアストロゲートはザ・ウォールを崩して立向居に飛んでいく。

 

「ムゲン・ザ・ハンドッ!!うおおおォォッ!!」

 

 立向居はムゲン・ザ・ハンドを繰り出す。だが、アストロゲートはムゲン・ザ・ハンドを弾き、そのままゴールに……。

 と、思ったのだが。

 

「入れさせねぇ!!」

 

 立向居が止められなかったシュートを、綱海が背後まで回り込んで足を伸ばす。綱海の足が俺のシュートを弾き、ゴールの外側に飛んでいく。

 

 ザ・ウォールとムゲン・ザ・ハンドで威力がだいぶ落ちてしまったか。戦う度に思うのだが、綱海の身体能力は軽く引くレベル。あいつ運動神経良すぎだろ。

 

 しかし、ジェネシスの勢いは止まらない。雷門は攻めるどころか、守ることで精一杯の様子。ここで後、2、3点は入れておきたい。

 ボールはウィーズに渡る。

 

「グラン!」

 

 ウィーズからグランへのセンタリング。グランはオーバーヘッドで立向居に打ち込む。しかし、立向居はボールを弾いてしまい、再び外に出る。

 

「…スーパーノヴァを出すまでもないな」

「だといいけどな」

 

 スーパーノヴァを打てば軽く10点くらい取れるだろう。だが、それを出さないのは、ジェネシスが力半分程度でも雷門を倒せる力を見せたいということだろう。

 

「選手交代!浦部リカに代わって、吹雪士郎!」

「吹雪か……」

 

 ここで浦部から吹雪に交代。確かに、攻撃も防御も長けた吹雪を入れることで試合の流れを変えようと思えば変えれるだろうが……。

 

 だが、俺が気になるのは吹雪のメンタル面だ。完璧という言葉に捉われすぎた結果が、陽花戸での惨事を起こしたのだ。

 

 コーナーキックはウルビダから。試合が再会し、ウルビダはウィーズにセンタリング。だが、それを読んでいたのか、ボールの先には豪炎寺がいた。

 

「ファイア…トルネードッ!!」

 

 豪炎寺は雷門ゴールからジェネシスのゴールに向かってファイアトルネードを打ち込んだ。超ロングシュートに対して、ネロはプロキオンネットさえも構えず、片手を出す。

 

 だが、それはシュートではなくパス。ファイアトルネードの先には、吹雪が走っていた。そして、吹雪士郎から吹雪アツヤに人格が変わり、豪炎寺からのシュートパスを受け取る。

 

「エターナルブリザード!!うおおおォォォッ!!」

 

 ファイアトルネードを加えたエターナルブリザードがネロに飛んでいく。

 だが。

 

「プロキオンネット!!」

 

 ネロは簡単に止めた。どんな工夫をしても、ネロの前には全てが無になる。ネロから徐々にグランに繋がる。吹雪は前線からグランを追いかけて、ディフェンスを仕掛ける。

 

「アイスグランド!!」

 

 だが、吹雪のアイスグランドはグランに破られる。そのままグランは円堂、壁山、土門と次々に抜き去っていく。対する立向居は、グランのシュートを止められないことを悟ったのか、意気消沈としている。

 

「情けねぇ顔すんな立向居!俯いてるだけじゃ、何にも解決しねぇんだよ!」

 

 立向居の前には、財前を先頭に綱海と木暮が立っていた。

 

「流星ブレードッ!!」

 

 グランは流星ブレードを打ち込んだ。

 

「ここは私達が止める!」

「パーフェクト・タワアアアァァーー!!」

 

 三人がかりのザ・タワーを繰り出し、流星ブレードを完璧に弾き飛ばした。ここで新技とは、やはり雷門は厄介だ。

 しかし不運なことに、跳ね返った先はウィーズがいた。ウィーズは一息するためにトラップをすると、四方向からのスライディング。流石にこれには対処し切れず、ボールを奪われてしまう。

 

「吹雪!!」

 

 奪ったボールは鬼道から吹雪に。しかし、吹雪はボールを見ずにただ突っ立っているだけだった。

 

「吹雪!!」

 

 豪炎寺が吹雪を呼びかけると、自分が呼ばれていることに気付く。が、気付いたときには既に目の前にボールが飛んできており、トラップミスをしてしまう。ボールはグラウンドから出て行く。

 

 やはり、吹雪のメンタル面はまだ……。

 

 そう考えていたとき、誰かが力強くボールを蹴り込む音が響いた。蹴り込まれたボールは、吹雪の腹の溝に直撃。吹雪は腹を押さえて、蹲っている。

 そのボールを蹴り込んだのは、豪炎寺だった。

 

「豪炎寺くん……?」

「…本気のプレーで失敗するならいい。だが、やる気のないプレーは絶対に許さない。お前には聞こえないのか、あの声が」

「…声……?」

 

 試合は再び始まる。ジェネシスの勢いは止まらない。雷門は一人の選手に対して物量で挑まなければ止められない。そんな雷門のディフェンスを破るのは容易く、ボールは再びグランに。

 

「流星ブレードッ!!」

 

 だが、またもや財前と綱海と木暮が立ちはだかる。

 

「パーフェクト・タワアアアァァーー!!」

 

 しかし今度はパーフェクト・タワーを打ち破り、立向居に飛んでいく。だが、立向居のカバーに入るように円堂が待っていた。

 

「メガトン……ヘッドッ!!」

 

 円堂のメガトンヘッドは徐々に流星ブレードの勢いを殺していく。

 

「いっけぇ!!吹雪ッ!!」

 

「「吹雪ッ!!」」

 

 雷門のみんなが吹雪に向かって叫ぶ。メガトンヘッドで弾いたボールは吹雪に渡る。

 

「聞こえる……ボールからみんなの声が……みんなの声が込められたボール…」

 

 突っ立っている吹雪を狙ってクィールとコーマがスライディングタックル。しかし、吹雪はそのスライディングをジャンプで躱し、いつも身につけていたマフラーを思い切り取り外す。

 

 すると、吹雪の雰囲気、髪型が変わる。

 

「吹雪……?」

 

 吹雪は振り返ると、そのまま駆け上がっていく。ハウザーとゾーハンが立ちはだかるが、豪炎寺との高速ワンツーで抜き去る。

 吹雪のスピードが大幅に上がった。今までの比にならないスピード。

 

「これが、完璧になることの答えだッ!!」

 

 吹雪はボールと共にジャンプし、鋭い蹴りでボールに凄まじい回転をかける。

 

「ウルフレジェンドォッ!!うおおおォォ!!」

 

 新たな必殺技をネロに打ち込んだ。

 

「プロキオンネットッ!!」

 

 だが、ネロの様子がおかしい。いつもならば楽々と片手で取れているものが、今では震えている。

 

「行けえええェェッ!!」

 

 吹雪の叫び声とともに、ネロのプロキオンネットが破れる。ネロを倒し、同点ゴールを決めた。

 アツヤとしてではなく、自分を持った吹雪士郎が点を入れた。

 

「凄えぜ吹雪!!」

 

 吹雪はようやく目覚めた。あいつは、アツヤと一緒になることで完璧だと思い込んでいた。だが、あいつの完璧はそうじゃない。仲間と共に、ゴールを目指すこと。みんなと心を一つにしてこそ、完璧だと言えるのだろう。

 

「……良かったな、吹雪」

「…比企谷くん……ありがとう」

 

 俺はすれ違い様に小さくそう呟いた。それに対して、吹雪はありがとうと感謝を告げた。

 

 お前はもう、独りじゃない。

 

 

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