やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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止まらない進化

 吹雪が覚醒したことにより同点になった。

 これ以上の失点は許されない。グランにボールが渡り、速攻で攻め上がっていく。しかし、グランの前には三人のディフェンスが。

 

「エイト!」

 

 俺はグランからパスを受け取る。

 

「アストロゲート!!うおおォッ!!」

 

 アストロゲートを立向居に打ち込む。しかし、今の立向居の表情はなんだか自信に満ち溢れている。

 

「ムゲン・ザ・ハンドッ!!うおおおォォッ!!」

 

 立向居のムゲン・ザ・ハンドが進化した。先程より手が増えることで、ボールの威力を殺す力が増した。

 立向居にガッチリとキャッチされてしまった。

 

「マジか…」

 

 吹雪だけでなく立向居まで進化しやがった。雷門の底力はやはり恐ろしい。

 そして立向居からのパスで試合が再開して、雷門とジェネシスの攻防が繰り広げられた。

 

 刹那、研究所が大きく揺れる。地震か?

 そんな直後、吉良星二郎のアナウンスが入る。

 

「ご苦労様、鬼瓦刑事。しかし貴方達の苦労も残念ながら無駄だったのです」

 

 どうやら今の地響きは、鬼瓦とかいう刑事の仕業の様だ。

 

「貴方達の考える通り、エイリア石から送られるエナジーは人間を強化する効果があり、エナジーの供給が切れると元の人間に戻ってしまう。では、そんなエイリア石を使って強くなったジェミニストームやイプシロンなどを相手に、人間自身の能力を鍛えたら…?」

「ま、まさか……」

「鬼道が考えている通りだ。ジェネシスは、訓練で強くなった普通の人間。エイリア石無しで強くなったプレーヤーだ」

 

 俺の言葉に、雷門イレブンは戦慄する。さっきまで戦っていた人間離れしたスピードやパワーが、鍛えた結果の能力だったからだ。

 

 最も俺は例外で、ジェネシスやダイヤモンドダストなどを相手に練習していた。ジェミニストームやイプシロンより遥かに強いマスターランクの相手と練習することで、マスターランクレベルの身体能力を手に入れた。

 

「ジェネシスこそ新たな人の形……ジェネシス計画そのものなのです」

 

 そんな吉良星二郎が語っていると、それに対して円堂は激怒する。

 

「お前の勝手で!!これ以上みんなのサッカーを悪いことに使うなッ!!」

「……君達に、父さんの崇高な考えを理解できるわけがない」

 

 グランは速攻で攻め上がり、またもや流星ブレードを放った。だが、財前達のパーフェクト・タワーによって完璧に止められてしまう。

 

「吹雪!!」

 

 弾いたボールは円堂がトラップし、吹雪にダイレクトパス。

 

「ウルフ…レジェンドォッ!!」

 

 吹雪のウルフレジェンドがネロに飛んでいく。しかし、プロキオンネットの構えを見せずに違う構えに。

 

「時空の……壁ッ!」

 

 ネロのもう一つの最強技、時空の壁でウルフレジェンドを弾き飛ばし、センターサークルにいるグランに渡る。そしてグランの周りに、俺とウルビダが。

 

「うおおおおォォォッ!!!」

 

 俺達は雄叫びを上げながら、ボールを囲み上空へと飛ぶ。そして、俺達の気を送り込んだことで、ボールには禍々しいオーラを纏う。

 

「スーパーノヴァ!!」

 

 三人一緒で波動の様なものを発生させ、禍々しいオーラにぶつける。そのシュートは立向居に襲いかかる。

 

「ムゲン・ザ・ハンドッ!!」

 

 進化したムゲン・ザ・ハンドはスーパーノヴァに挑む。だが、容易く崩して、再び得点に。

 

「我ら、ジェネシスこそが最強だということだ」

 

 だが、油断は出来ない。やつらは進化するチーム。それこそ、スーパーノヴァを止める可能性も否定はできない。後々になって面倒にならないように、今のうちに点を取っておかねばならない。

 

「ジェネシスこそ新たなヒトの形……世界を支配する真の力を持つ者達なのです」

「…俺達のサッカーを……悪いことのために使って汚すなッ!!」

「……どういう意味です?」

「力は、みんなが努力して身につけるものなんだ!!」

 

 円堂は、吉良星二郎の考えが間違っていると豪語する。だが、吉良星二郎は穏やかに円堂の言葉を否定する。

 

「忘れたのですか?貴方達もエイリア石によってパワーアップしたジェミニやイプシロンと戦うことで強くなったということを。エイリア石を利用したという意味では、雷門もジェネシスも変わりないのです」

 

 吉良星二郎の言葉に円堂は反論出来ずにいた。確かに吉良星二郎の言う通り、雷門もジェネシスも間接的にエイリア石によって強くなった。

 

「雷門もすっかりメンバーが変わって強くなりましたね……しかし、道具を入れ替えたからこそ、ここまで強くなれたのです。我がエイリア学園と同じく、弱い者を切り捨て、強い者を引き入れたからこそ強くなれたのです」

「ふざけるなッ!!弱いからじゃない!!」

「いいえ、弱いのです。弱いから怪我をする、チームを去るのです。実力が無いから脱落していったのです。彼らは貴方達にとって、無用の存在なのです」

「違う、違う、違うッ!!あいつらは弱くない!!絶対に違う!!俺が証明してやるッ!!」

 

 吉良星二郎は鼻で笑い、アナウンスが終えた。それが試合再開の合図になる。ボールを持っている円堂は雄叫びを上げながら攻め上がっていく。だが、グランにあっさりと奪われてしまう。

 奪われた円堂は、負けずにグランに突っ込んで、突っ込んで、突っ込んでいく。何度も突っ込んでいくが、全てグランにあっさり躱される。

 

 今のあいつのプレーは、怒りをただぶつけているだけ。仲間が弱くないということを否定することしか頭になく、それを源として動いている。

 

 ……惨めなだけだ。

 

「円堂くん、GKに戻りなよ。そうしないと倒しがいがない」

 

 オーバーキルにも程があるだろ今のは。グランの言葉に挑発された円堂はまたもや突っ込むが、それは無意味だった。

 グランが躱し、そのまま俺達はスーパーノヴァの体勢に入る。

 

「スーパーノヴァッ!!!」

 

 スーパーノヴァを打ち込む。雷門はこれ以上の失点を許さないために身体を張ってスーパーノヴァを止めに行くが、簡単に吹き飛ばされていく。

 

「ムゲン・ザ・ハンドッ!!」

 

 だが、再びムゲン・ザ・ハンドは破れる。ゴールの中に入るというところで、ゴールまで戻ってきていた豪炎寺と吹雪が同時に蹴ってゴールの外へと弾いた。

 

「全員でカバーしなければならないGK……それが君達の弱点であり、敗因となる」

 

 ジェネシスの猛攻が続く。FWの豪炎寺や吹雪までもがディフェンスに入ってカバーしなければならない様な劣勢状態。一方、円堂はただ怒りに身を任せて動いている。それをグランが躱す。

 そんな攻防が続くと、前半終了のホイッスルが鳴る。

 

「……前半終了か」

 

 俺はベンチに戻り、持参していたマッカン飲み始める。

 俺は、肩で息をして地べたに座り込んだ。そんな様子を、ウルビダは見下ろしていた。

 

「おい、まさかもう息切れなどと吐かすなよ」

「あのな、こちとらお前らの動きに付いていくのに割と無理してんだよ。マッカンでも飲まなきゃやってらんねぇわ」

 

 いくら身体能力が向上したとはいえ、彼らは俺より前に訓練している。どう考えてもウルビダ達の方が上に決まってる。

 これ以上速くなられたら、流石に付いていけんわ。

 

「小町……」

 

 この試合が終われば、少なくとも小町に近づくことができる。世界が終わろうが関係ない。この試合、絶対に勝つ。

 

 後半が始まるホイッスルが鳴り響く。ボールは円堂に渡り、攻め上がっていく。前半とは、何か違う様子だった。

 

「君に俺は抜けないよ」

 

 円堂の前にグランが回り込む。だが、円堂はフェイントでグランを抜き去り、鬼道にボールを回す。

 円堂だけではない。雷門の動きがまた一段と良くなった。

 

「やっぱ厄介だわ……!」

 

 ハーフタイムで円堂が吹っ切れたせいか、念入れにギアを上げたのか、やっぱり油断ならない相手だ。

 

「行かせるか!」

 

 円堂がボールを持っている。俺は円堂の前に立ちはだかり、円堂の動きを観察する。円堂はチラッと左を見る。そこには、後ろから走ってきていた土門がいた。

 

 俺は土門にパスをすると思い、円堂と土門の間に入ろうとした。だが、それはフェイントだった。

 円堂は土門にパスをせず、土門の左にいた鬼道にパスを出した。

 

「何ッ!」

 

 鬼道にボールが渡り、三人は回転しながら跳躍する。

 

「デスゾーン……2!!」

 

 前よりもパワーアップしたデスゾーン2がネロに襲いかかる。

 

「時空の…壁ッ!!」

 

 ネロは弾き返す……と、思いきや、ネロはデスゾーン2に弾き飛ばされてしまった。またもや同点に追い付かれてしまった。

 

「……ジェネシスが2点も入れられるとは……」

「……油断出来ねぇって言っただろ」

 

 俺達はすぐに点を取り返すべく、試合再開早々に雷門陣内に攻め込んだ。

 

「スーパーノヴァッ!!」

 

 今の立向居ではスーパーノヴァを止められない。

 

「ムゲン・ザ・ハンドッ!!」

 

 予想通り、立向居のムゲン・ザ・ハンドは破れる。だが、ゴールに入るというところで、円堂が現れた。

 

「たあああァァッ!!メガトン……ヘッド!!」

 

 円堂は身を挺してのメガトンヘッドでスーパーノヴァを弾き返した。

 

 いくら底力があるって言っても、強くなりすぎだろ……。ジェネシス最強の技だぞ…。

 

 俺達はもう一度、スーパーノヴァを放つ。

 

「立て、立向居!!雷門のGKはお前だ!雷門のゴールを守れるのは、お前なんだ立向居!!」

「行けッ、立向居!!」

 

「「立向居!!!」」

 

 雷門イレブンの応援により、吹き飛ばされた立向居はゆっくりと立ち上がる。そして、スーパーノヴァに対抗するために、ムゲン・ザ・ハンドの構えに入る。

 

「ムゲン・ザ・ハンドッ!!うおおおォォッ!!」

 

 なんと、またムゲン・ザ・ハンドを進化させて、スーパーノヴァをしっかりと止めた。

 

「ま、マジかよ……」

 

 スーパーノヴァでさえ、立向居に効かないってのかよ……。グランは、その場で跪いてしまう。

 すると、またもや吉良星二郎からのアナウンスが入る。

 

「グラン、リミッター解除です」

「り、リミッター解除!?」

 

 リミッター解除?なんだそれ。

 吉良星二郎の指示に、グランは慌てて意見する。

 

「父さん!そんなことをすればみんなが……!」

「…怖気付いたのですかグラン。貴方には失望しました。ウルビダ、代わりに指揮を取りなさい」

「…分かりました、お父様」

 

 グランの様子から察するに、何かヤバいことが起きそうなのは間違いない。

 

「おい、ウルビダ。リミッター解除ってなんだよ」

「エイトは黙ってみていろ。ここからは、本気のジェネシスを見せてやる。……ジェネシスのメンバーに告ぐ!リミッター解除だ!」

 

 そう言って、ウルビダはユニフォームの胸に装着されているボタンを押し始めた。ウルビダだけでなく、フィールドにいるジェネシスのメンバー全員がボタンを押し始める。

 

「……何が起きるんだ…?」

 

 立向居から円堂に渡り、円堂はジェネシス陣内に攻め上がっていく。だが、誰も動く気配を見せなかった。構わず円堂はウルビダを抜き去る。

 刹那、円堂の足元からボールは消え、代わりにウルビダの足元にボールがあった。

 

「う、動きが、見えない……?」

 

 俺はウルビダの動きに、驚愕した。あれが、リミッター解除…?

 

 




 リミッター解除は、多分八幡を除いたジェネシスのメンバーだから出来ることなんだろうと思って、八幡を除外しました。

 胸のボタン押しただけで限界以上の力が引き出される原理がよく分からん。笑
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