やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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終わりなき脅威

 長かったエイリア学園の生活も終わり、俺は改めてキャラバンに入ることになる。といっても、ただ単に雷門中に向かうのを付いていくだけだが。

 

 キャラバンは富士山麓から雷門中へ向かった。だが、稲妻町に着いてから空模様が妙に変に感じる。今にも何かが起きそうな、そんな予感だった。

 霧が立ち込めた雷門中に到着し、俺達はグラウンドに入る。しかし、誰一人として気配がしなかった。すると、霧の向こう側から誰かが歩いてくる。段々と、姿が鮮明になっていく。その人物は…。

 

「待っていましたよ、雷門イレブン」

「け、剣崎……お前、なんでここに…」

 

 吉良星二郎の側近の剣崎竜一がそこにいた。

 

「エイト、君の実力にはがっかりしました。まさかリミッター解除にすら付いていけないレベルだったとは。一時期、ハイソルジャーに加えようと考えた私はどうかしていました」

「ハイソルジャー…?」

「そう。貴方達にはまだ、最後の戦いが残っていますから」

 

 すると、剣崎の後ろには黒いフードを深々と被った集団がこちらに歩いてくる。その集団の中心にいた人物が、円堂の前に。そして、フードを取ると、その人物は思いがけない人物だった。

 

「か、風丸!?」

 

 雷門のDFの風丸が、険しい表情で顔を晒す。風丸に続いて、次々とフードを取り外す。そこには、テレビで見たことある雷門の一員が揃っていた。

 

「…久しぶりだな、円堂」

「ど、どういうことだよ……」

「…ようやく、私の野望を実現する時が来ました」

 

 風丸は、エイリアが所持していた黒いサッカーボールを手にしていた。

 

「…挨拶代わりだ」

 

 風丸は躊躇いなく、円堂に向かって黒いサッカーボールを打ち込む。円堂は反応し、止めようとするが、その威力により弾き飛ばされてしまう。

 

「……円堂。俺達と勝負しろ」

 

 あいつらの様子がおかしい。そう思い、注意して見てみると、ユニフォームの中から紫色に光を放つ。

 

「……お前、エイリア石使ってんのか」

「な、何だって!?」

「エイリア石は、研究所と共に爆破されたはずじゃあ……」

 

 そんな雷門の驚き気味の疑問に、剣崎はクツクツと笑いながら感謝を告げる。

 

「皆様に感謝しております。お陰であの無駄極まりないジェネシス計画に固執していた吉良星二郎を片付けることが出来ました」

「……ってことは、あの爆発もお前の仕業か」

「えぇ、エイトの言う通りです。エイリア石を私だけのものにするために破壊しました」

 

 あの時、吉良星二郎の隣には剣崎がいなかった。そして突然の爆発……。すぐ考えれば辿り着きそうな答えだった。

 

「旦那様は、エイリア石の価値を理解していなかった。何一つね。ですからこの私がエイリア石の真の使い方を教えるために、究極のハイソルジャーを作り上げたのです」

「まさか、風丸達が!?」

「そう……彼らこそがジェネシスをも超えるハイソルジャー……その名も、ダークエンペラーズ!」

 

 吉良星二郎に接近したのは、あくまでエイリア石を自分だけが使うタイミングを伺っていたってことか。前から吉良星二郎同様に、気味が悪い感じはしていたが…。

 

「今日は究極のハイソルジャーを見せつけるために来ました。彼らが貴方達、雷門イレブンを完膚なきまでに叩きのめすことでしょう」

「……こんなの嘘だ!」

 

 円堂は風丸の肩を掴み、説得する。

 

「お前達は騙されているんだ!」

「……騙されている?フン、違うな……俺達は、自分の意思でここにいる」

「そ、そんな……」

 

 風丸は徐に、首に掛けていたエイリア石を取り出した。

 

「このエイリア石に触れた時、力が漲るのを感じた。求めていた力が……。…俺は強くなりたかった。強くなりたくても、自分の力では超えられない限界を感じていた………でも、エイリア石は、信じられないほどの力を与えてくれたんだ」

 

 風丸はローブを脱ぎ捨てる。脱ぎ捨てた風丸の格好は、いかにもエイリアの様だ。

 

「俺のスピードもパワーも桁違いにアップした。この力を、思う存分使ってみたいのさ!」

「ち、ちょっと待てよ!エイリア石の力で強くなっても、意味がないだろ!」

「それは違うでやんす……強さにこそ意味があるんでやんす」

「く、栗松……」

「俺はこの力が気に入ったぜ……もう豪炎寺にも吹雪にも負けはしねぇ」

「染岡くん……」

 

 風丸と栗松以外はあんまり知らないが、要するに怪我や限界を感じてキャラバンを降りたのだろう。怪我で降りたならまだしも、自分に限界を感じて自らキャラバンを降りた。そんなやつらが、借りた力でドヤ顔してるとは、

 

「…惨めだな」

「…何?」

 

 つい本音が出てしまった。俺の言葉に風丸は反応し、睨みつけてくる。

 

「惨めだって言ったの聞こえなかったか?それとも聞いてなかったのか?」

「お、お兄ちゃん……?」

「ゲームのチートと同じだろ。自分の力じゃ勝てないから、バグや改造、チートに頼ってまで勝とうとする。そんな借り物の力で満足してるお前らが惨めだって言ったんだよ。借りた力が自分の力だって言い張るとは、お前ら中々笑わせてくれるな。お笑いでも目指したらそれなりにウケるぞ?」

 

 俺のそんな言葉や態度にイラついたのか、未だにフードを被ったままの人物が黒いサッカーボールを俺に蹴り込んでくる。俺はそのサッカーボールをなんとかカットする。

 

「……流石だな、比企谷」

「…あ?」

 

 俺に打ち込んできた人物は俺の名前を呼ぶ。

 その声に、俺は聞き覚えがあった。その人物はローブを脱ぎ捨てて姿を表す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……葉山……か…?」

 

 

 見間違えるわけがない。俺に向かって蹴り込んだのは、クラス内トップカーストに君臨する葉山隼人本人だった。いつもの様な輝いた笑みはなく、風丸同様に険しい表情だった。

 

「…久しぶりだな、比企谷」

「……まさか、お前までドーピングに手を出すとはな…。そんなに偽物の力に縋りたいのかよ」

「君には分からないのです。力がないから怪我をする、チームを離れる。エイリア学園に助っ人として扱われた君が、彼らの苦しみが分かりますか?」

 

 剣崎は言葉巧みに俺に向かってそう言うが、そもそもあれウルビダの独断だったし、別に自分の意思でエイリアにいたわけじゃない。

 

「…知らないな。他人の限界なんて興味ない。大体、人間には限界があるもんだろ。なんで自分の限界を肯定してやれないんだよ」

「……君は何も分かっていない。限界が分かってしまうから辛いんだ。自分に力がないと、そう理解してしまう。……力がなければ何の意味もない」

「葉山……お前……」

「…これが誰もが取り憑かれる魅力……それがエイリア石です」

「剣崎……」

 

 俺は憎しげに剣崎を睨む。別に葉山が洗脳されたからじゃない。あいつの全てが気に食わないのだ。

 

「ダークエンペラーズの記念すべき相手が決まった。お前達、雷門イレブンだ」

 

 風丸は指を差してそう告げる。それに対して円堂は、はっきりと拒絶する。

 

「い、嫌だ!こんな形で、お前達とサッカーをするなんて!」

「そうっス!嫌っス!」

「あぁ。互いに得られるものは何もない」

「……断ることなど出来ない。断れば、雷門中を破壊する」

 

 風丸は黒いサッカーボールを雷門中に向かって打ち込もうとする。

 

「だめだ!やめろ風丸!」

「分かりましたか?貴方達に選択肢は無いのですよ」

 

 逃げ場はなし、か。どちらにせよ、風丸達を元に戻すには戦ってエイリア石が必要ないと証明しなければならない。

 

「……分かった!その勝負、受けてやる!」

「やっとその気になりましたか……」

「円堂、人間の努力には、限界があることを教えてやる」

 

 こうして、俺達は風丸達ダークエンペラーズと試合をすることになった。エイリア石が不必要だと証明するために。

 

 




 葉山はシャドウの代わりとして加入させました。シャドウ好きの人はごめんなさい。
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