やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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友情の究極奥義

 前半2点のビハインドを背負った雷門。だが、ダークエンペラーズの猛攻は止まらない。松野と半田が共に攻め上がってくる。

 

「見ろ円堂!」

「これが俺達の、真の力だ!」

 

 二人は互いに両手を掴み、そのまま勢いよくボールを巻き込みながら回転して飛んでいく。

 

「レボリューション…V!!」

 

 フィニッシュはVの形で打ち込むこととなり、地面を抉ぐるような凄まじいシュートが立向居に飛んでいく。

 

「ムゲン・ザ・ハンドッ!!」

 

 しかし、ムゲン・ザ・ハンドは三度破れる。ゴールに入るというところで、円堂がなんとかカットしてグラウンドの外に出す。

 

「なんとか止めたか……」

 

 少し安堵をしたその傍ら、立向居が手を押さえているのが見えた。さっきので手をやったか…?

 

 そして試合を再開し、俺達は攻め続けていくが、ダークエンペラーズに阻止されていく。俺達が攻めあぐねているそんな時に、前半終了のホイッスルが鳴り響く。

 

 俺達はベンチに戻り、ダークエンペラーズの攻略について悩んでいた。

 

「どう動いてもあいつらに取られてしまう…」

「……今まで一緒にサッカーやってきてたんなら、動きのクセとかも分かってて当然だけどな……」

 

 共に戦ってきた時間が仇となっている。何か、あいつらが動揺する秘策があれば…。

 いや、ちょっと待てよ。

 

「…円堂。俺が拐われる前のチームの時に風丸や栗松はいたが、いつ抜けたんだ?」

「…比企谷が拐われた後の次の日だったけど……それがどうかしたか?」

「成る程……。これからの作戦が決まったわ」

「ほ、本当か!?」

 

 俺は小さく頷き、その作戦を説明していく。

 

「…俺達が動けばやつらが動く。それは、お前らと身近で戦ってきたから出来ることだ。でも、やつらでもまだ把握し切れていない人物がいる。それは……綱海だ」

「え、俺?」

「お前がいつの間に入ったのか知らんが、お前あいつらのこと知ってるか?」

「い、いや…知らねぇけどよ」

「そう。綱海はあいつらのことを知らない。裏を返せばあいつらは綱海のことを知らない。だから、俺達が動いた時がチャンスだ。お前の十八番、超ロングシュートを打てば必ず隙が出来る」

「綱海風に言うならば、フィールドに波の様なリズムを作り出すということだ」

 

 俺の説明の後に、鬼道が綱海に理解しやすく付け加えた。

 

「…波のリズムか……面白ぇ!やってやるぜ!」

「よし!みんな、絶対に勝つぞ!エイリア石の力なんて必要ないってことを教えてやるんだ!」

「「おぉ!!」」

 

 後半の作戦が決まって、俺達は自分の位置につく。

 そして、後半が開始。俺達は、自分の陣地でパスを回していく。だが、それは風丸に最も容易く奪われる。

 

 風丸の前に、円堂がディフェンスに。風丸は円堂を抜き去ろうとするが、円堂はしぶとく食らいついていく。そんな円堂に苛立ちを感じた風丸は、

 

「邪魔だァッ!!」

 

 円堂にボールをぶつけて吹き飛ばす。倒れた円堂を、吹雪が支える。風丸のそんな行動に、綱海は激怒。

 

「お前、何すんだ!お前ら、円堂の仲間だったんじゃねぇのかよ!円堂をボールで吹っ飛ばして、何にも思わねぇのか!そんなにエイリア石が大事なのか!」

「お前に何が分かる!」

「いや、僕達だから分かるんだ」

「何っ…?」

「俺、このチームが好きだ」

 

 吹雪に続けて木暮もそう告げる。

 

「…お前ら、このサッカーバカに惹かれて今までサッカーしてきたんだろ。心からサッカーを愛する円堂を、お前らは好きなはずだ」

「キャプテン達に会えたから、今の僕がここにいる!」

 

 風丸は動揺する。今の自分が間違っているのではないか。エイリア石の力を信じることが正しいのか。

 そんな風丸の隙を突いて、俺はスライディングで風丸からボールを奪取。

 

「比企谷、こっちだ!」

 

 前線にいる鬼道や豪炎寺がダークエンペラーズの連中を引き付けている。

 

「おっしゃ!波が引いたぜ!」

「行ったれ綱海ッ!」

 

 俺は綱海にパス。綱海は、必殺シュートの構えに入る。

 

「ツナミ……ブースト!!おらあああァァッ!!」

 

 綱海の超ロングシュート。ダークエンペラーズは誰も止めることが出来ず、GKの杉森が対応する。

 

「ダブルロケットッ!!」

 

 両手からボールを追尾する拳が現れ、ツナミブーストを弾く。しかし、弾いた先には前線に上がっていた吹雪が拾う。

 

「ウルフレジェンドッ!!うおおおォォッ!!」

 

 目にも留まらぬ怒涛の攻撃で、ついにダークエンペラーズから点を取り返す。綱海を中心とした作戦がズバリハマる。その作戦の効果で、雷門は攻め上がることができた。

 

 豪炎寺と吹雪が共に攻め上がり、ミラクルツインシュートの構えに入る。

 

「クロスファイアッ!!」

「ダブルロケットォッ!!」

 

 クロスファイアがダブルロケットを破り、雷門は同点に追いつく。この作戦を続ければ、なんとか勝機はあるはずである。

 

 

「こ、こんな…はずが……」

 

 そんな風丸達を見た剣崎は。

 

「何をしているんです!何のためにエイリア石を与えてやったと思うのですか!もっともっとお前達の力を見せつけてやりなさい!」

 

 剣崎は風丸達に怒号を飛ばす。剣崎の声に反応する様に、風丸の胸元にあるエイリア石が光を放って反応する。

 

「……そうだ。俺達の力はこんなものじゃない」

 

 試合が再開して、風丸と染岡、そして松野が一気に攻め上がる。

 

「俺達は最強の力を手に入れた!見せてやる……最強の必殺シュートを!!」

 

 風丸と染岡、松野の三人が同時に力強くボールを上に蹴り飛ばす。禍々しいオーラを放ちながらボールは飛んでいくが、そのオーラからは歪な色をしたフェニックスが誕生する。

 三人は共にジャンプし、同時にオーバーヘッドキック。

 

「ダーク……フェニックス!!!」

 

 今までのシュートなんかより桁違いの威力を誇る必殺技が立向居に襲いかかる。

 

「ムゲン・ザ・ハンドッ!!」

 

 立向居はムゲン・ザ・ハンドを繰り出すが、やはり破られてしまう。

 

 2-3。ダークエンペラーズ勝ち越し。だが、ダークエンペラーズの猛攻は止まらない。あらゆる強烈な必殺技で、雷門イレブンを吹き飛ばしていく。雷門の半分以上は、倒れてしまっている。

 

「ダーク……フェニックス!!」

 

 とどめと言わんばかりのダークフェニックス。

 

「ムゲン・ザ・ハンドッ!!」

 

 立向居は、なんとか立ち上がりムゲン・ザ・ハンドを繰り出す。だが、やはり威力はダークフェニックスの方が勝り、立向居を押していく。そんな立向居背中を、円堂は後ろから支えて、なんとかダークフェニックスを死守。

 

「ぐっ…あぁッ…!」

 

 立向居は膝をついて手を押さえる。

 

「どうしたんだ、立向居!」

「すいません円堂さん……ちょっと手が痺れて……」

「手を見せてみろ!」

 

 円堂は立向居のグローブを取り外す。とてもちょっと痺れたとは言えないくらいの傷。これ以上は立向居の手がイカレちまう。

 

「どうする円堂?まだ続けるか?」

「何?」

「見ろ。あの無様な姿を…。もう諦めろ」

 

 風丸の言う通り、とても試合を続行出来るような状態じゃない。しかし、円堂は風丸のその言葉を否定する。

 

「嫌だ…!!絶対諦めない……ゴールは俺が守る!」

 

 円堂はGKのユニフォームに着替え、グローブを取り付けてゴールの位置に着いた。

 

「…さぁ、来い!」

「勝負してみたかったんだ……GKのお前と!」

 

 風丸は力を込めた普通のシュートを円堂に打つ。円堂は風丸のシュートを止めようとするが、その威力が凄まじいゆえに、円堂を弾いてボールはゴールに入ろうとする。

 

「まだだあァッ!!」

 

 しかし、円堂は気合いで後ろにジャンプし、ボールを掴む。そのまま尻餅をついて、倒れてしまう。

 

「……諦めない………それが、円堂……」

「風丸……?なぁ、なんでエイリア石なんかに頼るんだ!?」

 

 円堂は風丸に問うた。風丸はシンプルに答えた。

 

「強くなりたかった……お前の様に!」

「ッ…!!」

 

 円堂の表情は、何か後悔したような表情だった。エイリア石に頼らせるきっかけを作ったのは、もしかしたら自分ではないのか。

 きっと、そんな後悔が残っていたのだろう。

 

 円堂はボールを風丸に向かって転がした。

 

「来い!お前の全てを受け止める!」

 

 円堂の言葉に再び苛立ったのか、風丸は円堂に打ち込む。

 

「ゴッド…ハンドォッ!!」

 

 円堂はゴッドハンドを繰り出し、風丸のシュートを止める。そしてまた、風丸に向かってボールを転がす。

 

「風丸………思い出してくれ!」

「……黙れえええェェェッ!!」

 

 今度は、風丸と宍戸と栗松の連携技の構え。

 

「トリプル…ブースト!!」

「ゴッド……ハンドォッ!!!」

 

 トリプルブーストに対してゴッドハンド。しかし、円堂は少しずつだが後ろに押されていく。

 

「思い出せ……!!みんな……!!俺達の……サッカーを…!!」

 

 円堂はからくもトリプルブーストを止めるが、力を使い切ったのか、その場で倒れてしまう。

 

「勝負は……着いたな…」

 

 円堂も倒れてしまった。ダークエンペラーズの前に、みんなが倒れてしまう。

 

「みんな立ちなさい!立ち上がって!!」

 

 雷門がみんなにそう呼びかける。しかし、誰もそれに対して答えはしない。

 だが。

 

「らーいもん!らーいもん!らーいもん!」

 

 木野が、一定のリズムで雷門コール。そんな木野に影響され、ベンチにいたメンバーとマネージャーと小町。そしてこの試合を学校外から観戦している者達。みんなが、雷門に向かって応援する。

 

 そんな応援に応えるために、一人、また一人とゆっくり立ち上がっていく。

 みんなが立ち上がり、倒れているのは円堂のみ。

 

「円堂!!」

「円堂!!」

 

 豪炎寺、鬼道が円堂を呼びかける。

 

「…立てよッ!!円堂ォッ!!」

 

 柄にもなく、俺は大きな声で円堂を呼びかけた。

 

「っ……まだ…まだッ……」

 

 円堂は、目を覚ます。そのまま、ゆっくりと立ち上がる。みんなの呼びかけが、円堂を立ち上がらせることができた。

 

「終わって…ねーぞ…!!」

 

 円堂は風丸にボールを投げつける。

 何度も痛めつけているのにも関わらず、立ち上がる円堂や雷門イレブン。そんな姿に風丸は、

 

「うあああァァァァッ!!!」

 

 雄叫びを上げながら、染岡と松野との連携技に入る。

 

「ダーク……フェニックスッ!!!」

 

 力を振り絞ったダークフェニックスが円堂に向かっていく。

 

「たあああァァァァッ!!…ゴッド……ハンドォォッ!!」

 

 円堂が繰り出したのは、虹色に輝くゴッドハンド。円堂は、ゴッドハンドをダークフェニックスにぶつける。

 円堂も力の限りを出し切り、完璧にダークフェニックスを止めた。

 

「思い出せえええェェッ!!みんなあああァァァァッ!!」

 

 円堂はサッカーボールを掲げる。すると、サッカーボールから淡い緑色に輝く波動がダークエンペラーズの選手の胸に。

 その波動がダークエンペラーズを包み込むと、彼らの首にかかっていたエイリア石が粉々に砕ける。

 

「……円堂……ありがとう……」

 

 風丸は、涙を流して感謝を告げて倒れる。それと同時に、暗雲が姿を消し、段々と青空が広がっていく。

 円堂はそんな空を見上げて、倒れてしまう。

 

 一方、風丸達が倒れてエイリア石が砕けた現象を見た剣崎は、アタッシュケースを開いてエイリア石の無事を確認しようとするが、

 

「な、なんだ!?どうしたのだこれは!?」

 

 ただの石と化していた。

 

「お前の企みもここまでだな」

 

 鬼瓦刑事を含む警察の人間が、剣崎とエージェントを連行していった。

 これで、エイリア石による悲劇は起こらなくなった。

 

 

 しばらくすると、風丸達は目を覚ます。風丸達は、円堂のところに向かって目が覚めるのを待つ。そして少しすると、円堂が目を覚ます。

 

「円堂……」

「風丸……染岡……」

「……お前達……!」

 

 円堂は目を覚まし、一人一人に呼びかけた。風丸達は、先程の様な険しい表情ではなく、今まで通り、仲間としての表情だった。

 

「…効いたよ…あのゴッドハンド」

「みんな……思い出したんだな!!…やったああ!!やったぞおおお!!」

 

 円堂は感激の涙を流す。

 ようやく元に戻った。俺はひとまず、大きな安堵を吐いた。

 

「比企谷……」

「…葉山…」

 

 葉山も元に戻った様だ。彼の表情は、清々しい笑顔である。

 

「…ありがとう、比企谷。君の、君達のおかげで元に戻ったよ」

「……ただの成り行きだ。本来ならお前らスルーして千葉に帰るとこだったぞ」

 

 いやマジで。あのまま富士山麓を下山してたらスルーしてたわ。

 

「……まぁ、でも。……良かったんじゃねぇの」

「はははっ……比企谷らしくない言葉だな」

「お前それ褒めてんの?」

 

 相変わらず嫌いだわこいつ。人の好き嫌いなんてそう簡単に変わらんからな。

 

「よーし!このまま続けるぞぉーっ!!」

「「おぉー!!」」

 

 試合が再開する。みんなは生き生きとプレーし始める。サッカーを楽しむ様に、みんなは笑顔になっていた。

 

 因みに、豪炎寺が杉森から点を奪い、同点になっていた。

 

 そしてそのまま試合が終了になる。

 

「よーし!円堂胴上げだぁー!!」

 

 綱海がそう言って、みんなが円堂の周りに集まる。円堂が困惑している中、

 

「これはお礼だ」

 

 財前は、円堂の頬にキスをする。

 

 あらやだ財前さん大勢人がいる中でなんて大胆なことを。

 

 気を取り直して、みんなは円堂を胴上げする。そんな様子を遠目に見ていた俺に、

 

「お疲れ様、お兄ちゃん!」

 

 小町が俺を労る。俺はふっ、と笑って、小町にこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……帰って寝たい」

 

 

 ……しばらくは引きこもりでいいかな。俺頑張ったよ、色々。

 




 地上最強編はこれにて終了です。次回から、世界編に突入します。
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