やはり俺がサッカーをするのは間違っている。 作:セブンアップ
必殺技をイメージし続けて、あとは形にするだけだった。そんな中、久遠監督は練習試合を行うと言い出す。
「それではチーム分けを発表する」
すると、どこからか誰かがボールを蹴る音がグラウンドに響いた。誰が蹴ったか分からないボールは円堂に向かって飛んでいく。
「なんだ!?」
円堂は反応して、そのボールをキャッチする。
「…流石は円堂守。素晴らしい反応だ」
ボールを止めた円堂に、見知らぬ人物が称賛する。妙に背が高く、肌もそれなりに白い。何より、今発した声は……。
「…お前、デザームか?」
「えぇ!?」
だが、長身の男は否定する。
「デザーム?フン、今の私は砂木沼治。チーム、ネオジャパンのキャプテンだ」
デザーム、もとい砂木沼がそう言うと彼の後ろから彼と同じユニフォームを着た者達がゾロゾロとやってくる。
「源田、成神、寺門!」
「霧隠!」
「御影専農に尾刈斗、千羽山に木戸川清修の武方もいるでやんす!」
それに、イプシロンのゼルやジェネシスのウィーズやゾーハン、プロミネンスのヒートまでいる。クララが一部の選手がいなくなったってのは、ネオジャパンに入ったことを悟らせなかったからだろう。
それに、それだけじゃない。
……またあいつと戦うのかよ。
「……葉山」
「……フッ。久しぶりだな、比企谷。それに雪ノ下さんも」
葉山隼人がネオジャパンのユニフォームを着て俺の前に現れる。あいつ、マジで一体何しに来たんだ。
「久しぶりね。円堂くん」
すると、また聞き覚えのある女性の声。その声の人物は、彼らの後ろから姿を表す。
「ひ、瞳子監督!?」
かつて吉良星二郎の野望を阻止すべく地上最強チームを作り上げた雷門の一時的な監督、吉良瞳子監督がいた。
「…久遠監督ですね?初めまして。私は吉良瞳子といいます」
「君のことは響木さんから聞いている。地上最強のチームを率いたのだと」
「ご存知なら話は早いですね。私はネオジャパンの監督として、正式にイナズマジャパンに試合を申し込みます。そしてネオジャパンが勝った暁には、日本代表の座をいただきます」
「「えぇ!?」」
そんなのありかよ。確かに大会の公式ルールとして、今代表に選ばれていない者も起用される可能性があるが…。にしても無茶振りにも程がある。
「…私達の挑戦、受けていただけますか?」
……まさにファイナルジャッジメントだな。さて、久遠監督はどうする。
「……いいでしょう」
久遠監督は受諾した。まぁ久遠監督の人格上なら、受けないなんて選択肢はないと思ってたけど。吉良監督が集めた選手なら、十分に強いんだろうしな。そんな強い相手と戦える機会なんてそうないし、普通に練習するより経験値を得ることができる。
俺達は試合の準備をして、ポジションにつく。FWは豪炎寺に宇都宮、吹雪。MFは基山と緑川、鬼道。DFは、綱海と壁山、土方に俺である。GKは円堂。
相手の布陣は……。
「…砂木沼がMF?」
GKではなく、MFのポジションにいる。あいつ元々はMFだったってのか。
「見せてもらおうか。貴女が作り上げた最強のチームを。鍛え上げられた選手達のプレーを」
今の言い方……まさか、戦力になりそうな選手がいたら代表に入れるつもりか?
…とはいえ、俺達が勝てば何の問題もない。俺達に負けた連中を代表に入れるとは考えにくいしな。
イナズマジャパンからのキックオフで試合再開。吹雪が攻め上がっていく。
「行かせるか!」
霧隠が吹雪にチャージ。だが、吹雪は難なく突破。
「郷院!寺門!」
しかし砂木沼の指示でDFの郷院と寺門が素早くディフェンスに入る。突破は無理だと考えた吹雪は宇都宮にパス。
「成神!」
だが成神のスライディングで宇都宮はボールを弾かれ、外へと飛んでいく。
中々強固なディフェンスだ。
俺からのスローイングで試合開始。鬼道に渡してすぐさま基山に繋がる。
「改!石平!」
攻め上がる基山に下鶴と石平のダブルディフェンス。基山に続き、みんなが攻め上がるが一向にゴール前まで辿りつかない。ネオジャパンのディフェンスが強固な証拠である。
「吹雪さん!」
宇都宮から吹雪に渡る。吹雪は宇都宮からのセンタリングを受ける。
「ウルフレジェンド!!うおおおォォッ!!」
吹雪のウルフレジェンドがGK源田に襲いかかる。
すると源田は、思いがけない必殺技を繰り出した。
「ドリルスマッシャー…V2!!」
源田はなんとドリルスマッシャーを繰り出し、ウルフレジェンドを完璧に止めた。
ドリルスマッシャーって、確か砂木沼の必殺技だろ。
「源田のやつ、いつの間に……」
「驚くのはまだ早い。源田!」
ボールは源田から砂木沼へ。砂木沼は猛然とイナズマジャパン陣内に攻め上がっていく。鬼道と基山が砂木沼のディフェンスに入るが、
「イリュージョンボール改!」
砂木沼は鬼道のオフェンス技、イリュージョンボールを繰り出して二人を突破。
「行かせないぜ!!スーパー…しこふっ…!」
「ダッシュストームV2!」
土方は技を出す間もなく、砂木沼のオフェンス技に吹き飛ばされてしまう。
「こいつら、他の選手の技を習得しているのか!?」
鬼道がそう言う。確かに、鬼道のオフェンス技は、元は帝国で生み出したもの。ネオジャパンに帝国のメンバーがいるわけだし、そいつらからコツを教われば出来なくはない。
「改ッ!」
砂木沼から下鶴へのセンタリング。下鶴は右足でボールを踏みつけると、下から異空間が開き始める。そのまま異空間に潜り、シュートを放つ。
「グングニルV2!!」
下鶴に打たれた矢の様な強烈なシュートは異空間から飛び出し、円堂に襲いかかる。
「うおおおォォッ!!正義の…鉄拳!!」
グングニルに正義の鉄拳をぶつける円堂。しかし、円堂は徐々に後ろへと押されていき、正義の鉄拳が崩れてしまい、そのままグングニルはゴールへと突き刺さった。
「…なんなんだよ、今のパワー…」
「…円堂守。私は、お前からサッカーとは熱く、楽しいものであることを学んだ。…だが同時に勝負とは、辛く険しく、そして厳しいものなのだ」
そう言う砂木沼の表情には、凄みを感じさせられた。きっと、この日のために、そして世界と戦うために死に物狂いで特訓したのだろう。選ばれなかった悔しさを力にして。
「日本代表の座は必ず勝ち取る!」
しかし負けるわけにはいかない。こちとら小町や総武中のやつらの思いを背負って戦ってる。こんなところで立ち止まるわけにはいかんよな。
イナズマジャパンのボールで再開。みんなは攻め上がっていくが、やはりネオジャパンの硬いディフェンスを破れない。
ボールは砂木沼に。
「改ッ!」
またもや下鶴にボールが渡る。そして、グングニルの体勢に入った。
「グングニルV2!!」
下鶴のグングニルが放たれる。しかし、今のままでは止められない。
「うおおおおォォッ!!正義の…鉄拳!!」
なんと、この土壇場で円堂は正義の鉄拳を進化させてグングニルV2を弾き飛ばした。そのセーブでイナズマジャパンは勢い付き、果敢に攻め上がっていく。が、ネオジャパンのディフェンスは尚も崩せずにいた。
ボールは砂木沼に渡る。
「葉山ッ!」
砂木沼から葉山にボールが渡る。俺は葉山に向かって突進していく。
「来たな、比企谷」
そう不敵な笑みを浮かべると、葉山は右手を上に挙げて指を鳴らす。
「ヘブンズタイム改!」
すると俺の目の前にいた葉山はいなくなり、いつの間にか背後を取られ、置き土産と言わんばかりの旋風が俺を吹き飛ばす。
「クッソ……」
葉山はそのまま攻め上がって必殺シュートの構えに入る。
「ガニメデプロトン…改ッ!!」
あれはゼルの必殺シュート。
進化したガニメデプロトンが円堂に襲いかかる。
「正義の…鉄拳!!うおおおォォ!!」
しかし進化した正義の鉄拳の前にはガニメデプロトンも弾かれてしまう。そのままボールは外へと転がっていく。
「選手交代!宇都宮に代わって、風丸」
宇都宮と交代した風丸は、凄い量の汗を流していた。
え、どうしたの?君は灰呂くんなの?燃えてる人なの?
スローイングは霧隠から。霧隠から砂木沼に渡って緑川を躱していく。だが、続く鬼道が砂木沼からボールを奪取。
「風丸!」
鬼道から風丸に繋がる。風丸に向かって、DFの郷院が走ってくる。
「風神の…舞ッ!!」
すると、自慢のスピードで郷院の周りに竜巻を発生させ、その竜巻の中で郷院を翻弄し、竜巻から抜け出したと同時に郷院が吹き飛ばされていく。
あれが風丸の新たなオフェンス技……。あの汗の量は、さっきまでこの技を完成させるために練習してきていたということか。
「豪炎寺!」
風丸から豪炎寺へのセンタリング。
「爆熱……ストォォーーム!!」
豪炎寺の爆熱ストームが炸裂。
「ドリルスマッシャー…V2!!」
豪炎寺の爆熱ストームにドリルスマッシャーをぶつける源田。だが、ドリルスマッシャーの回転が止まり始め、先端からヒビが入り始める。そして先端からボロボロとドリルが崩れていき、源田諸共ゴールに押し込んだ。
それと同時に、前半終了のホイッスル。1-1の同点のまま後半戦に突入することになる。
スタメンには尾刈斗の幽谷が入っていましたが、葉山と交代してベンチにいるという設定です。