やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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荷物持ち

 ネオジャパンを退けた俺達は、決勝戦に向けて練習をしていた。一日の練習は終わり、今は自主練習といったところだ。

 俺がリフティングでテクニックを鍛えていると、そこに基山と緑川、そして八神がやってくる。

 

「八幡、ちょっといいかな?」

「…どうした?何かあったのか?」

「単刀直入に言うよ。俺達三人で新必殺技作ってみないかい?」

 

 基山はそう提案してきた。

連携技か……。あまりチームプレーは得意としてないんだよな、俺。

 

「この技を完成させれば、アジア予選や世界大会でも通じるはずだと思ってさ」

 

 そんな技が完成すれば確かに大幅に戦力がアップすること間違いなしだろう。しかし、一つ疑問がある。

 

「……なんで俺なんだ?」

 

 そんな俺の疑問に基山が答える。

 

「元エイリア学園の三人だからこそ、完成させることが出来るんじゃないかと思ってね」

 

 確かに。緑川も基山も、そして俺もエイリア出身だな。細かく言えば一時的に俺はエイリアだったけど。

 

 基山の言い分に納得した俺は、その提案に賛成する。

 

「まぁいいけど。それで、どういった必殺技なんだ?」

「…これは、ジェネシスのスーパーノヴァをアレンジしたシュート技なんだ」

 

 しかし、スーパーノヴァのアレンジか……。確かにやってみる価値はあるかもな。

 

 俺が足を引っ張らなければね。

 

「今日の自主練習は、そのアレンジ技を完成へと近づけるための練習だ」

「…了解。ならとっととやるか」

 

 俺達は、そのスーパーノヴァのアレンジ技とやらの練習を行ない始めた。ただ、スーパーノヴァの完成にはだいぶ苦労した記憶がある。だから、そのアレンジ技もそう簡単にいくとは思えない。

 

 もしかしたら俺のせいで遅れてるかも知れないけど。

 

 今日一日は、新技の練習に時間を費やした。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 翌日。

 今日の練習は午前中に終了した。しかし、俺達三人はアレンジ技を習得するために午後の2時半まで自主練習を行なった。その自主練習を終えたあと、俺は自分の部屋に向かおうとすると、

 

「八幡、ちょっと待て」

 

 そこへ、八神が引き止める。八神だけでなく、久遠を除いたマネージャー陣が揃っていた。

 

「……え、俺拉致されんの?」

「あながち間違いではないわね。比企谷くん、貴方も手伝いなさい」

「何をだ」

「えっとですね……夕飯の買い出しとかその他諸々ですね」

 

 そういうのは壁山か栗松にやらせとけ。あいつらなら喜んでやるだろうから。

 俺は面倒だと断ろうとするが、

 

「あ、言っておきますけど、面倒って理由は無しですから」

 

 音無さんはエスパー?なんで俺の思考が分かるのん?

 だが、面倒の一言が却下された時の言い訳をもう一つ用意しているのだ。

 

「…今日は無理だ。忙しい」

「では、理由を述べてみなさい」

「アレだアレ。部屋でゴロゴロするから…」

「行きましょうか」

 

 音無の指示で八神は俺の腕を掴んで無理矢理に連れて行く。

 痛い痛い痛い。それに力強いし。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 俺は半ば強制という形でマネージャー陣の買い出しを手伝うこととなる。と言っても、荷物持ちという素敵な雑用なんだろうけど。

 

「…はぁ……」

「ごめんね、比企谷くん。練習で疲れてるのに付き合ってもらって」

 

 木野ちゃん貴女は天使なのですかそうなのですか?ヤバいこの子優しすぎて涙出そう。

 

「…別に、気にする必要ねぇよ。荷物持ちも案外トレーニングになるだろうしな」

「ふふっ……本当、比企谷くんって捻くれてるなぁ」

「うるせぇ」

 

 木野とそんなやり取りをしていると、彼女達がレジから帰ってくる。中身には、スポーツドリンクや消耗品などが沢山入っている。八神は平気そうだが、雪ノ下や音無が重そうに持ってくる。

 

「……ん」

 

 俺は手を差し出す。だが、雪ノ下は却下する。

 

「…別に大丈夫よ」

「アホか。お前体力ないんだから。途中でへばられても困る」

 

 重いもん持って暑い中買い出しとか、雪ノ下にしてみれば地獄の中の地獄だろう。

 

「……仕方ないわね。そんなに荷物を持ちたいなら、遠慮なく持たせてあげるわ」

 

 そう微笑む雪ノ下は、俺に大量に買った消耗品やスポーツドリンクが入ったレジ袋を渡す。

 

「…ほれ。お前らも」

「わぁ!やっぱり男手がいると助かりますねー!」

 

 音無からもレジ袋を受け取る。しかし、一方で八神は渡してこない。

 

「…八幡も荷物を持っているのだ。私も持つ」

「……そうかい」

 

 俺達は次の買い出しに向かう。とはいえ、次に買ったものは比較的に軽いものだったので、マネージャー達が持っていく。

 

「……あっつ……」

 

 7月の初めにしては、クソ暑い。俺達が稲妻町の商店街を通り抜けていくと、

 

「みなさん、少し休憩しませんか?ほら、あそこ!喫茶店ありますし!」

 

 音無が指差す先にはオサレな喫茶店があった。

 

「…そうね。私もちょっと休みたいかも。雪ノ下さんと八神さんは?」

「私も別に構わないわよ」

「任せる」

「やったー!じゃあ、早速入りましょう!」

 

 俺思うんだけどさ。男女比4:1で喫茶店に入るのって大丈夫じゃなくない?普通に考えたら何これ。

 

 俺達は喫茶店に入る。

 店内は冷房が効いており、地獄から天国に変わったような開放感であった。店員さんにテーブルに案内され、席に座る。俺の左には八神、右には音無が座る。向かいには木野と雪ノ下。

 

 既におかしいけどねこの構図。

 

「いやー……涼しいですねー…」

 

 確かに涼しい。なんならこのまま外から出たくないまである。しかし、俺の左手だけが熱い。

 

 それは何故か。

 

 俺の左に座っている八神の右手が俺の左手を握っているからだ。互いの手の指の間を埋める様に握っている。向かいの雪ノ下達には勿論、音無に見られない様に死角を使って。

 

 俺達はとりあえずメニューを見て、品を決めて頼む。俺は因みに、コーヒーである。

 

「比企谷先輩って、コーヒー飲むんですね?ブラックとかいけるクチなんですか?」

「逆だ逆。ブラックなんて苦くて飲めるか。ガムシロ三つ入れて砂糖も三杯くらい入れなきゃ無理だ」

「それって甘すぎない?」

「ばっかお前。人間の人生は苦いことばっかだぞ。コーヒーくらいは甘いくらいがいいんだよ」

 

 ほら完璧に決まった。自画自賛するレベルのフレーズだ。

 だからそんな冷ややかな目で見ないでくださいお願いします。そんな「お前何言ってんの?」みたいな表情はやめて。

 

「……まぁそれはともかく。次の決勝の相手は一体どこなのかしらね」

「次にイナズマジャパンと当たるのは、韓国代表ファイアードラゴンか、サウジアラビア代表ザ・バラクーダのどちらかですね。どちらも強豪チームですよ」

「…それに勝てば、世界か」

 

 なんだかんだで険しい道のりだった。久遠監督の言う通り、あの時の俺達は紙切れ同然のレベルだった。オーストラリア戦ではボックスロックや戦術の切り替えに苦戦し、カタール戦では基礎体力や身体能力の違いを見せつけられた。

 

「…頑張ってね。比企谷くん」

 

 雪ノ下が俺にそう微笑みながら言う。俺は小さく頷く。日本代表になった以上負けは許されない。勝つしか世界の頂上には行けないのだ。

 

「お待たせしました」

 

 彼女達と会話をしていると、頼んでいた品々が運ばれてくる。コーヒーが運ばれた瞬間、ガムシロ三つと砂糖三杯をコーヒーの中に入れる。

 

「うっわ……甘そう……」

「この男、このコーヒーより甘いコーヒーを毎日飲んでいるわよ」

「えぇ……?ダメよ、毎日そんな甘いもの飲んじゃあ…。身体に悪いわよ?」

 

 大丈夫だ。逆にマッカン飲みすぎてハイになるレベル。

 ……それはそれで大丈夫じゃないなそれ。

 

 そうして、俺達はしばしの間喫茶店で休憩した。だいぶ休憩した俺達は、再び買い出しを始めた。

 

 そして、雷門中に帰る最中。怪しいと言わんばかりの連中が、俺達が喫茶店とは別の店の前に隠れていた。

 

「何してるんや円堂!ほら、男なら女の気持ちを正面から受け取らんかい!」

「何をですか?」

「黙って見とき!今からがクライマックスなんや!」

「……何の?」

 

 店の前に隠れていたのは浦部と財前、壁山と栗松、そして風丸と緑川であった。

 や、マジで何してんの?

 

「あ、秋!?それに春奈達まで……!」

 

 彼女達は一体隠れて何を見ていたのだろうか。その店に視線を向けると、円堂と久遠が一緒にいた。しかも、デカいパフェを頼んで久遠が円堂に食べさせようとしているところだった。

 

 少しすると、久遠がこちらを向く。

 

「あ、あかん!」

「こりゃバレたな……」

「ほ、ほな帰ろか」

 

 浦部はそそくさとその場から去っていく。

 

「……よく分からんが、浦部に揶揄われたってところか?」

「…まぁ、リカの面倒な性格が出ちゃってさ…」

「…帰りましょうか」

「え?キャプテン達に一緒に帰ろうって言わなくて良いんですか?」

「…うん。円堂くんなら大丈夫だよ。それじゃあ行こ」

 

 木野はそう言って、先行していく。それに続いて俺達は後を追う。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 雷門中に戻ってきた。買い出しの荷物の整理を手伝い、自分の部屋に戻る。少し時間が経つと、俺の部屋にノック音が。

 

「どうぞー」

 

 俺は適当に返事をしてラノベを読んでいると、入ってきたのは八神だった。八神は何も言わず、俺の身体にしがみつく。

 

「……お前の身体にはあの女達の匂いが付いている。すぐに上書きしてやる」

「や、今日の買い出しお前何にも言わなかったじゃねぇか」

「黙れ。私のモノが私に意見するな。お前は大人しく私の言うことを聞いていろ」

 

 彼女はそう言って、再びあの行為が始まった。まずは挨拶代わりと言わんばかりの、首筋に軽めなキス。それを数回繰り返し、次はキスしたところを舐め始める。

 そしていよいよ、八神は噛みつき始める。

 

「ちょ、痛い痛い……」

 

 これは自分だけのモノだ。そう言わんばかりのキスマークを付けている。キスマークを付け終えると、彼女はいつもの様に瞳孔が開き切った様な目をしながらこちらを見る。

 

「…お前はすぐ他の女に尻尾を振るからな。あいつらも、私だけの八幡と分かっていながら、尚色目を使いおって……。いいな?八幡は私だけを見ろ。私だけに依存しろ。私だけに欲情しろ。私だけを求めろ。私は八幡しか見ない。八幡にしか依存しない。八幡にしか欲情しない。八幡しか求めない。私達は互いがいれば、他のやつらなど必要ない。そういう関係なのだ」

「……流石に、そんな関係は無理だろ」

「無理?何故?私達がしようと思えば出来るはずだろう?イナズマジャパンが解散した暁には、私達だけで家に住もう。私達だけで過ごそう。それくらい出来るはずなのだ。互いが互いを求め、互いが互いしか必要しないそんな生活を。……あぁ……きっと幸せなのだろうな……」

 

 

 彼女の目は死んでいるが、頬は明らかに赤くなっている。きっと、そんな妄想をして興奮しているのだろう。

 ヤンデレって得てして変態もジョブプラスされるんだね。勉強になりました。

 

 

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