やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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豪炎寺とお爺さんと泥と不良

 俺達は決勝に向けて練習を行なっていた。俺と基山と緑川はスーパーノヴァのアレンジ技に向けて練習。一方で、豪炎寺と宇都宮が新しい技の練習を始めていた。

 見たところ、タイガードライブと爆熱ストームの連携技である。確かに、面白い試みかも知れない。あの二つが噛み合えば、戦力アップ間違いなしだ。

 

 すると、豪炎寺が響木監督に呼び出され、一旦練習から抜けることになった。呼び出された豪炎寺の表情は驚いたものの、すぐに納得した様な表情だった。

 呼び出される様な心当たりがあるのだろうか。

 

「八幡!ボーっとするなよ!いくぞ!」

「…悪い」

 

 豪炎寺のことは頭の中の片隅に置いておいて、練習に集中する。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「終わった……」

 

 今日の一日の練習が終わり、片付けに入っているその間、豪炎寺と宇都宮が未だに新必殺技の練習を続けていた。

 先程から見ている感じでは、理事長に呼び出されてから豪炎寺の表情が変わっていた。表面上は取り繕っていたが、シュートを外す度に辛そうな表情というのか、そういう表情になっていた。

 

「あの、比企谷先輩」

「どうした、音無」

「豪炎寺先輩……今日何か変じゃないですか?気合が入ってるのは分かるんですけど……」

「……確かに変だな。分かりやすいくらいに」

「何か知ってるんですか?」

「いや全く。ただ、理事長に呼び出されてから表情がまた変わった様な気がするからな。呼び出されるってことは、それだけの何かがあるってことだ。豪炎寺があんな表情するくらいのな」

 

 理事長に呼び出されてから表情が変わっていた。理事長に呼び出されるくらいのものだから……もしかすると。

 

「……やめとこ。今考えても解決も解消も出来ねぇわ」

「え?」

「…戻るか」

 

 豪炎寺の問題は、豪炎寺自身が解決すべきだ。部外者である俺達が介入しても、余計ややこしくなるだけだ。

 その問題が、たとえサッカーをやめなければならないということでも。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 翌日。

 変わらない練習をして、休憩に入った時。

 

「円堂くん!手紙が来てるわよ!」

 

 木野が走って来ながら円堂にそう言った。木野は円堂に手紙を渡して、封筒を確認する。

 

「差出人は無しか…」

「誰からでやんすかね?」

「ま、円堂のことだからファンレターってことはねぇだろうな」

「あんたの場合はもっとないけどね。うっしっし」

 

 そんなやり取りをしている中、円堂がずっと静かであった。そんな様子を見た木野が声をかける。

 

「この手紙…」

 

 立向居と栗松が手紙の内容を覗く。

 

「これの字は!」

「キャプテンの特訓ノートと同じ字でやんす!」

 

 手紙の内容は不明だが、どうやら円堂のお爺さんの字で書かれた内容であった。

 

「…ということは、この手紙は大介さんから?」

「でも円堂のお爺さんは、もうずっと昔に亡くなって…」

 

 そういえば円堂のお爺さんが亡くなったことしか知らなかったけど。

 

「…音無。円堂のお爺さんって病気とかで亡くなったのか?」

「……長い話になるんですけど…」

 

 俺は音無から円堂のお爺さんの死にまつわる話を聞いた。

 要は、その時監督だった円堂のお爺さんが気に入らなくて、雷門中のメンバーであった影山ってやつがバスに細工して事故らせて殺したということである。

 

「……なんて書いてあるの?」

「…頂上で待ってるって…」

「FFI世界大会に参加するどこかのチームに、円堂くんのお爺さんが関わっているということになるわね」

「…もしかすれば、罠かも知れませんね」

 

 目金がそう言った。

 

「どこかの国が円堂くんを動揺させるために、円堂くんのお爺さんの字を真似て送ってきたのです」

 

 目金はそう推理するが、それは間違いだ。

 

「……多分一個も合ってないぞ、お前の推理」

「?どういうことなのだ、八幡?」

「そもそも、こんな文字を真似れるわけがない。だって、こんなクソ汚い字をどうやって真似ろって話だ。それこそ、円堂のお爺さんと長く関わっていなければ書けない文字だからな」

 

 見た感じぐちゃぐちゃにしか見えないが、仮に適当にぐちゃぐちゃな字を送っても、円堂は読むことが出来ないだろう。そもそもこれを送った人物は円堂のお爺さんの文字を読み解くことが出来なければ真似もクソもない。

 

「で、ですが…」

「大体、国を背負う連中がこんな狡い真似してくるわけないだろ」

 

 仮にも世界一を目指して競う大会だぞ。そんなやつがいたなら、そいつ俺みたいなクソ野郎だろ。

 

「ま、気にしても仕方ないさ!この手紙が間違いなら、それはそれで済む話だしな!本物なら、FFI世界大会に行けば会えるってことだしさ!それより特訓しようぜ!」

 

 こいつのポジティブには本当に頭が下がる。どうしたらそんなポジティブになれるのだろうか。そんな下らないことを思っていた俺のところに、雪ノ下がやってくる。

 

「…比企谷くん。ちょっといいかしら」

「…どうかしたか?」

「さっきの円堂くんのお爺さんの話、引っかかる部分があったのだけれど……」

 

 雪ノ下は、さっきの話に疑問を抱いていた。多分、その疑問は俺と同じだろう。

 円堂のお爺さんがなんで生きてるって疑問もあるが、それはまぁ置いておこう。

 俺達が引っかかった部分。それは。

 

「……影山ってやつが、本当に一人でそこまで出来たのかって話だろ?」

 

 円堂のお爺さんを事故に見せかけて殺そうとしたのは影山だと言う。だが、その時影山は中学生だ。そんなことが出来るなら、マジで生粋の殺人鬼としか言いようがない。

 影山ってやつのことを俺達はあんまり知らんけども。

 

「…まぁ、影山の後ろに誰かいたんだろうな。影山に力を貸すほどの存在が」

 

 とはいえ、影山は死んだらしいし。何を思って背後にいたやつは影山を操ったのかは知らないが、少なくとも俺達にはあまり関わりのない話だろう。

 そんな話は置いておいて、決勝戦に向けてアレンジ技を完成させなければ。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 そう思っていた時期がありました。決勝の相手は韓国代表ファイアードラゴンとなり、俺達は必殺技の練習に取り掛かろうと意気込んだ。

 

 だがしかし。

 

「決勝までの3日間は、ここで練習してもらう」

 

 目の前に広がっているグラウンド、もとい泥がたっぷりと流されているグラウンドで練習しろとのこと。

 

「外出禁止の次は泥のグラウンド……」

 

 これも恐らく、韓国戦に対する練習場なんだろう。しかし、みんなは久遠監督の意図に気付いておらず、意見する。

 まぁ俺もなんで泥のグラウンドでしなきゃならんのかは知らんけど。

 

「必殺技の特訓は必要ない。お前達は、私の言うことに従っていればいい」

 

 そんな横暴染みた監督の物言いに、みんなは納得できずに入ることが出来なかった。すると、一番最初に入ったのは円堂でも鬼道でもなく、豪炎寺だった。

 

 豪炎寺は泥のグラウンドで特訓を始め、一人でドリブルを始めた。

 俺も特に意見することがなく、泥のグラウンドに入って一人でリフティングを始める。すると今度は円堂がグラウンドに入り始める。

 

「豪炎寺!」

 

 円堂が豪炎寺を呼びかけると、豪炎寺は円堂に向かってパス。円堂の足元にボールが着地するが、代わりにその衝撃で泥がユニフォームに飛び散る。

 

「円堂!」

 

 豪炎寺は円堂に背を向けて走っていく。円堂は豪炎寺に向かってボールを返し、そのまま二人一緒に走っていく。

 

「鬼道!」

「あぁ……俺達も行くぞ!」

 

 そんな二人の特訓を見ていた彼らも、次から次へと泥のグラウンドに入り始めて特訓を始める。

 必殺技の特訓をやめにして、決勝戦までの三日間は泥のグラウンドで泥に落ちない様にボールをコントロールしながら特訓を続けた。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 決勝当日。FFスタジアムに向かうために、俺達はイナズマキャラバンに乗り込んだ。

 

「…八幡、頑張れよ」

「…比企谷くん、頑張って」

 

 両サイドは混ぜるな危険レベルの関係である雪ノ下と八神がいる。

 

「…雪ノ下。お前は他所の席に行け。八幡の隣にいるのは、私だけでいい」

「あら奇遇ね、八神さん。私も同じことを思っていたの」

 

 彼女達がそんなやり取りをしていると、キャラバンに急ブレーキがかかる。

 

「どうしたんですか!?」

 

 木野が古株さんにそう聞くと、古株さんは目の前を指差す。その指差すところに視線を向けると、キャラバンの前にはデコチャリで妨害するあいつらがいた。

 

「……唐須」

 

 虎ノ屋に向かう前に絡んできた不良のリーダーと、また別の不良を連れてキャラバンの前に立ちはだかっていた。

 

 




なんて安直な題名なんだろうか。
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