やはり俺がサッカーをするのは間違っている。 作:セブンアップ
FFI世界大会
ファイアードラゴンを下してアジア予選を突破。日本代表はついに世界大会に進出することが出来た。
それから一ヶ月が経つ。
俺達は、世界大会の舞台であるライオコット島に向かうために新東京国際空港に来ていた。
「お兄ちゃん!世界大会でも応援してるから!」
「絶対見るから!ヒッキーの試合!」
「…ありがとな」
新東京国際空港に総武のみんなが見送りに来ていた。
「雪ノ下先輩も、せんぱいのマネージャー頑張ってください!」
「うん!でも、あまり無理はしないでね?」
「えぇ、ありがとう。一色さん、由比ヶ浜さん」
選考試合に続いて、これだけの人が見送りに来るなんてな……。
出来るなら小町と戸塚を一緒に連れて行きたかった。今から久遠監督に説得してみようかな。多分却下されるだろうけど。
「…エイト。頑張れ」
「世界大会で下手なプレーしたら帰ってきた時燃やし散らかしてやるからね!」
「何その新たな殺人予告」
なにかとエイリアで話すことが多かったクララやレアン、アイシーなども見送りに来てくれていた。
「頑張りなさいよ。ガゼルやバーン、それにデザームやレーゼ、エイリア学園のみんなの思いも懸かってんだから」
「…分かってる」
そう。レーゼ、もとい緑川と吹雪は代表から抜けることとなった。吹雪はファイアードラゴン戦の綱海とのクラッシュで足を痛め、緑川は普段の練習が足に来ていた様だ。代わりに染岡と、帝国の佐久間が加入することとなる。
とはいえ、足を治しさえすれば代表に復帰することも不可能ではないということ。ネオ・ギャラクシーが打てなくなるのは残念だが仕方がない。
「あとウルビダ。貴女そろそろエイトから卒業したら?」
「黙れアイシー。私と八幡は一生一緒なのだ。これからずっと、互いの命が消えるまでな」
「エイト、ウルビダと結婚でもするわけ?」
「や、そんなわけ…」
俺はレアンの問いに否定しようとした。だが、俺が否定する言葉を八神は遮る。
「あぁそうだ。私と八幡は将来を誓い合ったのだ。いくらお前達が色目を使おうが、私だけの八幡なのだ。もし八幡に手を出すのなら貴様を容赦なく潰してやる。私の八幡に手を出したことを後悔させてやるからな」
「……ウルビダの独り相撲じゃん。それ」
やっぱりガールズ同士の会話って怖いよぅ。助けて小町ちゃん。略してこまちゃん。
「全員集合!これより出発する」
久遠監督と響木監督がやってきて、メンバーを招集する。俺達はイナズマジャパン専用の飛行機、イナズマジェットに乗り込んで、日本から旅立った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「サッカーアイランド?」
俺がそう聞き返す。機内での席で両サイドに八神と雪ノ下がいるのはもういいとして、雪ノ下がライオコット島のガイドブックを見ながらそう言った。
「えぇ。このライオコット島はなんでも、FFI世界大会のために南の島を丸ごと改造したのよ。付いた別名がサッカーアイランド」
「そんなアホな」
いくらなんでも大掛かり過ぎだろ。たかだか少年の世界大会だぞ。W杯でもそこまでしないぞ。
「それともう一つ。このライオコット島にはとある伝説があるの」
「え、そんなのまでマップに乗ってんの?」
「いえ、これは私が事前に調べたことよ。遥か昔、ライオコット島は天界と魔界が交わる場と言われていて、天使と悪魔が存在していたそうなの」
「戸塚と一色か」
「違うわよ」
違うのかよ。天使=戸塚ことトツカエルだろ。小さい悪魔って意味合いじゃ、いろはすっしょ。マジっベー。
「天使と悪魔、つまり天界と魔界の民は互いの覇権のために長い戦いが繰り広げられたけど、決着がつくことがなかったの。不毛な戦いを終わらせるために、天界と魔界の民は人間が用いる力の優劣を決める手段で戦いを始めた。それが、サッカー」
なんでやねん。確かにサッカーじゃ勝ち負けがはっきり決まるけど、それなら別に野球でもバスケでもよくない?
なんでサッカーにこだわったんだよ。みんなサッカー好きなのか。みんな円堂か。やだ何それキモい。円堂がいっぱいいるとか地獄絵図かよ。
「…それで、その勝負の結果はどうなったのだ」
「…結果は天界の勝利。魔界の王である魔王が封印され、長き戦いに終止符を打った。……これがライオコット島の伝説よ」
「一色の背後には陽乃さんまでいたのかよ」
「だから違うわよ」
あの人は誰もが慄く魔王だからな。見た目こそ女神と思わせる容姿だが、中身は最後までたっぷり魔王だよ。一色まで従わせるとかマジ陽乃さんヤバい。
でもその二人を倒した戸塚がもっとヤバい。流石トツカエル。毎朝俺に味噌汁作ってほしいわ。
「天界と魔界の戦いが決着した後、二つの民はマグニード山へと姿を消したそうよ」
雪ノ下がライオコット島の地図を広げて、指を差す。差されたところには、確かに火山らしきものがある。これが天界と魔界の民が住まうと言われているマグニード山か。
「しかし、どこに行っても伝説ってのはあるもんだな」
その後、ゆったりと空の旅を楽しみ、ライオコット島に到着するまでの時間を潰した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ようやくライオコット島に到着。イナズマジェットから降りて、空港を出ると、目の前に広がっていたのはサッカーアイランドに相応しい景色だった。南の島でありながら、どこもかしこもサッカーに関連するものばかり。
「おっ、やっと来たね。比企谷くん」
俺の名を呼ぶその女性。その声、その話し方、そしてその立ち振る舞い。
何故彼女がこんなところにいるのだ。
「…陽乃さん」
そう。強化外骨格とも呼べる女性で俺が散々魔王だなんだと揶揄し、そして雪ノ下の姉である雪ノ下陽乃がそこにいた。
「ひゃっはろー。雪乃ちゃん、比企谷くん」
陽乃さんがいることに疑問に思った雪ノ下が彼女に尋ねた。
「…姉さん。何故ここにいるの」
「んー?このライオコット島のスタジアムや施設なんかはお父さんの会社の仕事の範疇でね。南の島を大掛かりに改造するとかでFFI運営委員の会長とかに、社長であるお父さんも直々に挨拶に来てね。私はその付き添いで連れて来られたんだけど」
そういえば雪ノ下の親父さんは雪ノ下建設の社長、および地方議員の一人でもあったな。
「もうこの島は完成したし、お父さんも日本に帰っちゃったから。私も帰ろうかなって思ってたけど、比企谷くん達日本代表が来るってなったじゃない?それだったら、この島に残ってサッカー観戦もアリかなって」
「…神出鬼没過ぎでしょ、あんた」
「照れてるの?可愛いなぁ」
照れてねぇ。つーかいきなり魔王とエンカウントとかどゆこと。戸塚呼ばないと。魔王を封印できるのは戸塚だけなんだぞ。
「……ま、それだけじゃないんだけどね」
「…姉さん?」
「とにかく!日本代表の試合を見に来てるんだから、比企谷くんちゃんと試合に出てよ?」
「それは久遠監督に言って下さい」
「ちゃんと出るの。じゃないとお姉さん怒るからね?じゃ、ばいばーい!」
陽乃さんはそう言ってどこかへと去って行った。相変わらず破天荒な人だ。
しかし、そのやり取りを見ていた八神が素早く俺に迫ってくる。俺を見る彼女の瞳孔は、再び開き切っていた。
「……八幡。あの女は誰だ」
「…あれは雪ノ下の姉だ」
「雪ノ下だけでなくその姉までもが私から八幡を奪おうとするのか。姉妹揃って目障りだ」
「別にそういうのじゃねぇって。あの人は周りをからかいたいだけだ。一々気にしてたら身が持たんぞ」
「……ならいい。だが、決してあの女に靡くなよ」
八神はそう忠告し、俺からゆっくり離れる。
その後、俺達はイナズマキャラバンに乗り込んでライオコット島を巡ることにした。
まずはライオコット島のエントランスエリアから。ライオコット島のガイドブックを持っている音無が説明し始める。
「ここが島の中心となる、セントラルストリートです!」
「まさに南の島って感じだな!いいじゃねぇか!気に入ったぜ!」
キャラバンがしばらくエントランスエリアを走っていくと、周りの風景がガラリと一変する。
「ん?南の島じゃなくなったぞ」
「この島は出場チームが最大限に力を発揮出来るように、そのチームが滞在するエリアには母国と同じ街並みを再現しているんです!」
「まるで映画のセットだな……」
今俺達はアメリカエリアにいるが、さながらアメリカの西部を思わせる風景であった。
アメリカエリアからまた風景が一変する。
「ここはイギリスエリアです。街並み再現の為に、本国から取り寄せた数百年前のレンガを使っているそうです!」
「たかだか世界大会のためだけによくやるねェ」
今回ばかりは不動に同感だ。いくら少年サッカーの世界大会が初めてとはいえ、気合入れ過ぎだろ。イギリスエリアを通り過ぎ、また風景が変わる。
「ここはイタリアエリア。地中海の街並みが忠実に再現されています」
確かに言われてみれば、イタリアの街並みそのものだ。ライオコット島にいるだけである程度世界旅行が出来るじゃねぇか。
イタリアエリアのグラウンドを通り過ぎようとすると、
「古株さん!止まって下さい!」
俺達はキャラバンからイタリアエリアのグラウンドを見つめていた。どうやらイタリア代表が練習を行なっている様だ。
「FW!常にパスラインを意識して攻め上がる!中盤!常に敵とボールの位置を把握!ボールを奪われる状況をいつも想定しておくこと!DF!チャンスがあれば攻め上がる!守る意識だけでは勝てない!」
なんてやつだ。指示を出したイケメン君は、目視していないDFの動きまで把握している。
「…世界のトップレベルでもいるそうだ。空から見ているかの様に、フィールドの全てを見渡すプレーヤー…」
「フィールドの全てを……」
「これが世界か!」
俺達はイタリア代表の練習を見物し、その後様々なエリアを見回り、俺達の滞在エリアであるジャパンエリアに向かった。到着する頃には、もう夕方だった。
「今日の夜にタイタニックスタジアムで開会式が行われる。必ず20時までには宿舎に集合しろ。分かったな」
「「はい!!」」
20時まで時間がある。折角だし、ジャパンエリアをぶらつこう。
とでも言うと思ったか。残念だな。俺は部屋に引きこもる。
そう決めた俺は荷物を自分の部屋に置いて、時間までゆっくりと過ごした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして20時。時間となり、俺達はエントランスエリアにあるタイタニックスタジアムへと向かい、整列した。
すると、スタジアムから歓声が沸き、多量の花火が夜空に打ち上がっていく。
「さぁ、全世界が注目するサッカーの祭典!フットボールフロンティアインターナショナル世界大会!予選を勝ち抜いた強豪10チームがサッカーのために作られたこの聖地、ライオコット島で激突します!」
世界大会の開会式が華々しく始まった。どうやら解説はヨーロッパのMVPストライカーのレビン・マードックだ。俺でも知ってる有名人だぞ。
「いよいよ選手入場です!最初に入場してきたのはブラジル代表ザ・キングダム!先頭に立つのはマック・ロニージョです!」
「またの名をキング・オブ・ファンタジスタ。フィジカル、テクニック、さらに冷静な判断力はどれをとっても超一流。ブラジル史上最高と評されるプレーヤーです」
流石はブラジル代表。初っ端から歓声がすごい沸きあがっている。それだけブラジル代表に期待している選手がいるということなんだろう。
「続いての入場は、イタリア代表オルフェウス!先頭はあのフィディオ・アルデナです!」
「ヨーロッパ屈指のストライカーで、華麗なテクニックとそのスピードはまさに"流星"と呼ぶに相応しいものです」
定石通りなら、イタリア代表は防御が優れているはず。その防御をどう崩すのかが鍵になる。
「続いての入場はアルゼンチン代表ジ・エンパイア!率いるのはキャプテン、テレス・トルーエ!」
「予選大会を無失点で勝ち上がってきましたが、全てテレスを中心とした鉄壁の守りがあったからです」
アルゼンチン代表は攻撃力が高いと思っていたのだが。まさか防御力が高いとはな。しかも予選大会を無失点で勝ち上がってくるほどの実力。イタリア以上に強固なディフェンスと見ていいだろう。
「次に入場するのはイギリス代表ナイツオブクィーン!キャプテンはエドガー・バルチナスです!」
「長い歴史を誇るヨーロッパリーグの中でも屈指の強豪チーム。特にエースストライカーのエドガーは実力人気ともに最高の選手と言われており、各国のプロチームも注目するほどです」
イギリスの解説が終わり、次の入場は日本代表だった。
「全員揃っているな?」
「はい!よし、行くぞみんな!」
「「おう!!」」
俺達は円堂を筆頭に、スタジアムへと入場していく。
「日本代表イナズマジャパンの入場です!キャプテンは円堂守!このチームは世界のレベルから見ればまだ経験も浅く成長途上ですが、アジアの優勝候補だった韓国を破って世界大会の切符を手にしました!」
「逆に成長途上にあるが故、爆発的な進化の可能性を秘めていると言えます。今大会のダークホースとなるかも知れません」
とはいえ、歓声がイタリアやアルゼンチンみたいにそこまで沸きあがっていない。実況の言う通り、まだ世界のレベルには達していないということだ。
「続いて入場するのはコトアール代表リトルギガント!チームを率いるのはロココ・ウルパ!」
「アフリカエリアからの代表ですが、データが少なく、その実力は全くの未知数です」
俺達と同じで歓声が沸き上がらない。まぁ、あまりアフリカエリアのサッカーが強いってのは聞かないからな。
「さて、リトルギガントに続いての入場は、アメリカ代表ユニコーン!旗手はキャプテンのマーク・クルーガー!」
アメリカ代表のメンバーを見ていると、約3名ほど見たことのある顔がアメリカ代表の中にいた。
「一之瀬、土門!それに木戸川の西垣まで!アメリカ代表に選ばれていたのか!」
代表選考試合にいなかったのは、アメリカ代表に選ばれていたからだ。何故日本ではなくアメリカを選んだのか、なんとなくは分かるけど。
アメリカに続いて、ドイツ代表、スペイン代表にフランス代表が行進する。10チームが整列を終える。
「さぁ、いよいよこの強豪10チームが激突します!世界の頂点に輝くのは、果たしてどのチームなのか!フットボールフロンティアインターナショナル世界大会!ここに開幕いたします!!」
ここからが本番だ。ブラジルにアルゼンチン、スペインなど様々な強豪チームが出揃っているが、負けるわけにはいかない。
世界大会、開幕。
はるのんのキャラが少し分からないからもしかしたらおかしい部分があるかも知れないですが許してください。
あと、西垣は単純に入れてみたかっただけです。