やはり俺がサッカーをするのは間違っている。 作:セブンアップ
今日はナイツオブクィーンとの試合。妙に寝付けなかった俺は、ユニフォームに着替えてジャージを羽織り、宿舎の外へと出て行く。
「…砂浜でも行くか」
妙に寝付けなかったのは、心が変にざわついている証拠。二度寝しようかと思ったが、多分爆睡するだろうからやめておいた。心を落ち着かせるために、砂浜でのんびりするのはアリだ。
そう考えた俺は、宿舎の裏側にある砂浜へと向かった。砂浜に向かうと、鬼道が黄昏ていた。
俺の足音に気がついたのか、鬼道がこちらを振り向く。
「…比企谷か」
「…うっす」
俺は砂浜に座り込んで、海辺を眺めていた。千葉の海もいいが、ライオコット島の海もとてもいい。流石は南の島。
そうゆったりしていると、
「おはよう!鬼道、比企谷!」
朝から大きな声で挨拶をする円堂と、その隣には豪炎寺がいた。
「……なんだかんだみんな早起きなんだな」
「なんか、寝付けなくってさ…」
昨日あんなものを見せられたら、当然サッカーバカの円堂は寝付けないに決まっている。
「……ついに、俺達の力が試されるんだな。世界の舞台で」
「…そうだな」
しばらくして俺達は宿舎のグラウンドへと戻っていく。そこでは、みんながウォーミングアップとしてサッカーをしていた。
「こんな朝早くから練習か!」
「キャプテン!」
円堂だけじゃなかった。みんなサッカーバカだわ。
「やっぱり、みんなジッとしてられなかったのか!」
「あぁ。気合が入っちまってさ。ほら、見せつけられただろ?エドガーってやつの必殺技」
「それに昨日のグループBの初戦見ましたか?」
「あぁ。ブラジル代表ザ・キングダムの圧勝だったな。流石は優勝候補だ」
「今は違うグループだけど、決勝トーナメントに上がればブラジルとも戦うことになるかも……。イギリスにブラジル……。世界レベルのサッカーを見せつけられていてもたってもいられなくって……」
「俺、自分のサッカーが通用するかどうか分からないでやんす……」
目の前で見せつけられた世界レベルの実力。今の俺達からすれば、遥かに高く厚い壁だと言える。
「…ま、大丈夫じゃねぇの」
「…比企谷?」
「確かに世界は俺達の想像を軽く超える強さと言える。だが、言ってしまえば俺達もその世界の一部だろ」
「比企谷の言う通りさ!ここまで来たんだ!思いっきり、世界のスゲーやつらと競い合おうぜ!」
「そうだぜ!びびったってしょうがねぇ!当たって砕けろだ!」
「砕けたら負けちゃうでやんすよ…」
「大丈夫さ!当たっても俺達は砕けたりしない!絶対ナイツオブクィーンに勝つんだ!」
「「おう!!」」
俺達は準備をしてライオコット港に向かって、ウミヘビ島行きの船に乗り込んだ。
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ウミヘビ島に到着し、俺達は試合会場のウミヘビスタジアムへと向かう。ウミヘビスタジアムに到着し、会場へ入ると大勢の観客が集まっていた。
「ナイツオブクィーン!ナイツオブクィーン!ナイツオブクィーン!」
会場にいる観客の大半がナイツオブクィーンを応援している。完全なアウェイである。
だがそんな中、物怖じしないのが我らがキャプテンである。
「みんな、リラックスだ!いつも通り俺達のサッカーをしよう!世界に俺達のサッカーを見せてやろうぜ!」
「「おう!!」」
FWは豪炎寺と宇都宮。MFが鬼道、土方、基山、俺。DFは綱海、壁山、飛鷹、栗松。GKは円堂だ。
ピッチサイドではコイントスが行われている。どうやらキックオフはイナズマジャパンからだ。
「お互いに頑張ろう」
「あぁ」
円堂とエドガーが握手をする。
「健闘を祈るよ」
エドガーは余裕の笑みでそう言った。未だに格下相手だと見られているようだ。
ポジションに着いた。ホイッスルが鳴り響き、試合が開始される。
最初にボールが渡ったのは鬼道だった。フィリップとエリックがチェックに入るが、鬼道が突破する。
「虎丸!」
ボールは宇都宮に渡る。ランスとデービッドが宇都宮に向かって走っていく。宇都宮は豪炎寺へとパスを出すが、エッジがそれをインターセプト。
イギリスの守りは硬く、攻めても攻めてもボールを奪われてしまう。MFのピーターからエドガーへのセンタリング。
「通さねぇぞ!」
綱海とエドガーにマークに入るが、エドガーはその中でトラップし、フィリップへとボールを繋ぐ。ゴール前まで走ってきていたフィリップはダイレクトに蹴り込む。
円堂は反応し、横っ飛びで辛うじてセーブする。
「これが日本のサッカーか………中々頑張っているじゃないか」
エドガーはそう言って円堂を見下した。
円堂からボールは俺に渡る。ゲイリーとフィリップのマークが厳しくなり、俺は宇都宮へとボールを渡す。宇都宮はエリックを抜き去り、そのままゴール前まで走っていく。
しかし、宇都宮の前にはDFのランスが立ち塞がる。
「ストーン…プリズン!!」
ランスが両手を上に掲げると、宇都宮の背後の両サイドから石の柱が次々と生え始める。それに気を取られてしまう宇都宮は、目の前に映え出した石の柱に気付かずにぶつかってしまいボールを奪われる。
ランスからエドガーへとパス。
「受けてみろ!聖なる騎士の剣を!」
エドガーはボールを蹴り上げて、自身も飛ぶ。
「エクス…カリバアアァー!!」
エドガーはエクスカリバーを発動。凄まじい威力のシュートがグラウンドを抉りながら飛んでいく。
「止めろ円堂!」
すると、エクスカリバーを阻止すべく壁山が立ちはだかる。
「ザ・マウンテン!!」
壁山はザ・マウンテンを発動。だがエクスカリバーを止めることは出来ず、そのままゴールへと飛んでいく。
「いかりの……てっつい!!」
壁山のブロックもあり、威力が落ちたエクスカリバーを円堂はなんとか防ぐ。
ボールは再び俺に繋がり、反撃を試みるが、ナイツオブクィーンは妙な陣形に切り替えてきた。エドガーの合図で、その陣形は動き出す。
「サザンクロスカット!」
向かいからフィリップがボールを奪いに来るが、俺は突破する。だが、すぐさまエリックがマークに入ってきた。俺はスピードに乗ってエリックをなんとか突破するが、次にポールがやってきてボールを弾かれてしまう。
そのこぼれ球を基山がフォローし、攻め上がっていく。だが、エドガー、ピーター、ゲイリーと続け様に襲われてしまい、ボールをまた奪われてしまう。
「これぞ私達の必殺タクティクス…アブソリュートナイツ!」
次々と襲いかかることで相手に一息させずにボールを奪うということか。
基山からボールを奪ったポールは飛鷹を躱し、エドガーへとボールを繋ぐ。そこへ綱海がエドガーにスライディング。しかし軽やかに躱されてしまい、そのまま円堂にシュート。
円堂は反応し、しっかりとキャッチする。
「ナイスセーブ」
「…負けてたまるか…!俺達は、世界一を目指してここに来たんだ!!」
「…世界一…?」
「あぁ!そのために激しいアジア予選を勝ち抜いてきたんだ!」
円堂は世界と戦う理由をエドガーに述べる。だが、エドガーから発された一言。それは、
「無理だ」
エドガーは無理だとはっきり言い切った。
「君達は、世界一の意味を本当に分かっているのか?」
エドガーは大きめな声量で、俺達にそう問う。
「円堂。君の言う"世界一"は、自分達だけのものなのだ。…世界の舞台で戦う代表チームは、自分達の国の数えきれない人々の夢を託されている。それを裏切ることは出来ない。その夢を背負って戦うことが、代表としての使命なのだ」
「代表としての、使命……」
「私達は、ナイツオブクィーンに選ばれた誇りを胸に戦っている。ただ目の前の高みしか見えていない君達に、負けるわけにはいかない!」
円堂は何も言い返すことが出来なかった。もしかしたらどこかでそういう感情があったかも知れないからだ。
再びナイツオブクィーンがボールを支配し、エリックに繋がる。
「止める!」
俺はエリックに向かって突進していく。エリックは両足でボールを挟み、バク転を連続してこちらに進んでくる。そして俺の目の前に来ると大きくジャンプ。
「ウルトラムーン!!」
華麗な必殺技で抜かれてしまう。エリックと共に、少し前にいるフィリップが駆け上がっていく。
「行かせるな!」
エリックとフィリップに注意して、ディフェンスを固める。エリックはフィリップにパスを出す。するとフィリップはダイレクトでバックパスを出し始める。
パスの先には、エドガーがいる。
「これが聖なる騎士の剣……真実の姿だ!」
エドガーはゴールからだいぶ離れたところからエクスカリバーの体勢に入る。
「エクス……カリバアアアァァー!!」
エドガーの超ロングシュート。
あれだけ離れていれば威力はだいぶ落ちる。完全に止めるとはいかなくても、だいぶ威力を削ぐことが出来る。
そう思ってエクスカリバーに挑むが、ゴールからだいぶ離れたところから打った様なスピードやパワーではないと気づいた。
「ザ・マウンテン!!」
壁山は再びザ・マウンテンを繰り出すが破られてしまう。
「いかりの……てっつい!!」
円堂はいかりのてっついを繰り出す。だが、先程と違って簡単にいかりのてっついを破ってしまい、ゴールに突き刺さった。
0-1でナイツオブクィーンの先制。エドガーに回せば決められてしまうことが分かった。逆にエドガーに回さなければ勝機はある。
とはいえ、あのアブソリュートナイツとかいう必殺タクティクスを破らなければ、点を取れない。
次々に真正面から襲いかかってくる必殺タクティクス……。
「鬼道!比企谷!」
俺と鬼道は久遠監督に呼び出される。
「…アブソリュートナイツには大きな弱点がある。それを見抜けないお前達ではあるまい」
「弱点……」
「……そういうことね」
確かにやつらのアブソリュートナイツには弱点がある。俺達はグラウンドに戻り、ドリブル力のある栗松を呼び出して作戦の概要を説明する。
「俺でやんすか!?」
「あぁ。お前のドリブルが必要なんだ」
「はいでやんす!」
イナズマジャパンからのボールで試合再開。ボールは俺に渡り、そのまま俺、栗松、鬼道と縦の布陣で攻め上がっていく。
「何をしても無駄だ」
エドガーの合図で、他のメンバーは動き始める。俺の前にはフィリップがマークに入るが、後ろにいる栗松へと繋いでフィリップを突破。栗松の前にはエリックが来るが、同様に後ろに鬼道へとボールを繋いで突破する。
鬼道の前にはポールが現れ、フィリップを足止めしていた俺は駆け上がっていく。それを読んだエッジは俺にマークに付く。
「今でやんす!」
しかし、それはフェイク。俺の逆側から栗松が飛び出し、鬼道からボールを受け取る。栗松に向かってゲイリーが走ってくる。
「まぼろしドリブル!!」
栗松のまぼろしドリブルでゲイリーを突破。その先にはデービッドとピーターがディフェンスに入るが、その前に栗松は豪炎寺へとパス。
だが豪炎寺の前にはランスが立ちはだかる。
「ストーンプリズン!!」
今度は豪炎寺が石の柱に囲まれる。だが、咄嗟の判断力が優れている豪炎寺はストーンプリズンをジャンプで躱す。
「爆熱……スクリュゥゥゥーッ!!」
オーストラリア戦で編み出した新技を発動するが、
「そうはさせない!」
「何ッ!?」
爆熱スクリューを打つ前にゴール前まで戻ってきていたエドガーがボールを奪う。そのままエドガーはゆっくりとイナズマジャパンゴールを睨む。
まさかあいつ…。
「受けるがいい!エクス……カリバアアアァァー!!」
エドガーは自陣のゴールエリアから円堂に向かってエクスカリバーを打ち放つ。フィールドを最大限に使った最強のエクスカリバーが地面を抉りながら円堂へと飛んでいく。
円堂、絶対絶命。