やはり俺がサッカーをするのは間違っている。 作:セブンアップ
初戦のイギリス代表ナイツオブクィーンを俺達は撃破。
そして、その日の夜。
「初戦の勝利おめでとう。次の試合も気を引き締めて臨んで欲しい」
「「はい!!」」
「次の対戦相手はアルゼンチン代表ジ・エンパイアだ。攻撃型チームだったナイツオブクィーンとは真逆の、鉄壁の守りが信条のチームだ」
アルゼンチンといえば、あのガタイが少し大きいキャプテン、テレスがいるチームか。
「早速明日から対策と練習を……と、言いたいところだが」
久遠監督は中途半端な部分で話すのをやめ、久遠を見る。
「?どうしたんですか、監督?フユッペも」
「明日の練習は休みだ」
なん、だと……。や、休み……?
「冬花くんから提案があってな」
「フユッペが提案を?」
「凄い試合の後だから、一日休んだ方がまた頑張れるかなって……」
待って久遠マジ女神かよ。めっちゃ照れてんじゃん可愛い。まるで戸塚みたいだ。養ってくれないかな。毎朝味噌汁作ってくれないかな。
俺達は夜食を食べ終え、各自自分の部屋に戻っていった。
「……明日休みとかマジ最高」
部屋でずっとゴロゴロしていいなんてめっちゃいい日だ。
俺はベッドに寝転がり、家から持ってきたゲームでもしようとすると、俺の部屋にノックが鳴る。
「音無でーす!比企谷先輩、ちょっといいですかー?」
どうやら音無がやって来た様だ。部屋のドアを開けると、音無と雪ノ下がいた。
なんか似たシチュエーションどっかであった気がするんだけど。何か嫌な予感がした為、俺はこの一言を送った。
「……俺は嫌だ」
「まだ何も言ってないですよ」
嫌だ。絶対嫌だ。何しに来たか容易に想像できるもん。
「明日、私達の買い物に付き合ってください!」
「お断りします」
なんでマネージャー達の買い物に俺が付き合わなきゃならんのだ。
「あら、断ってしまうのね。けれど、小町さんはこう言っていたわよ」
雪ノ下は自慢げにケータイを見せつけてくる。どうやら小町との連絡の記録だった。
「……小町お土産リスト。3位、島の名産物。2位、優勝トロフィー。1位、お兄ちゃんの思い出話………。なんだこれ」
ていうか俺に送れよ。なんで雪ノ下のケータイに送っちゃってんだよ。
「小町さんへのお土産を貴方は渡さないの?小町さん、折角貴方からのお土産を楽しみにしているのに……。なんとまぁ薄情な兄だこと」
「いや、思い出話なんて練習してりゃ勝手に作れんだろ。名産物なんて空港で買ってりゃ……」
「そんな手を抜いたお土産はダメですよ先輩!それに、島を巡る機会なんて中々ないんですし!一緒に買いましょうよお土産!一緒に作りましょうよ思い出話!」
お、音無ちゃん、えらく張り切ってるわね。ちょっと引く。
まぁ小町がそこまで言っているなら仕方ないな。あくまで小町のためだ。他意はない。それに戸塚への土産も買わなきゃならんからな。
「……分かったよ。行けばいいんだろ」
「流石比企谷先輩は話が早いっ!じゃあ明日どこに行くか決めるんで、私の部屋に来てください!木野先輩や八神さん、冬花さんもいますから!」
「ごめんちょっと待って」
マネージャー五人に対して俺一人とか何の嫌がらせだよ。
「…流石に他誘わない?こないだの荷物持ちで思ったんだが、俺一人とか嫌なんだけど」
「でも他に空いてる人いないですよ?さっき大半の人に聞きましたけど」
「マジかよ……」
「いいじゃないですか!比企谷先輩モテモテで!」
木野か久遠辺りに拒否ってもらえば明日一人になれる。小町へのお土産なんて最悪一人で買いに行けばいいだろ。
そんな淡い期待を抱いて、音無の部屋へと案内される。
「あれ?比企谷さん」
「八幡ではないか。どうしたのだ?」
「…それは音無に聞いて」
音無はさっきの話を木野達に伝えた。さぁ、嫌と言え嫌と。そうすれば俺は明日引きこもりに……。
「別にいいわよ。それに、やっぱり人が多いと楽しいもん。ね、冬花さん」
「秋さんの言う通りです。それに私、比企谷さんとはあまり話したことなかったから……仲良くなりたいなって思ってて…」
やだ何それめっちゃ可愛いんだけど。久遠ってばこんな可愛い子だったのん?
前までの俺なら告白して振られるまである。振られちゃうのかよ。
「ですって先輩!こーんな可愛いマネージャーがお願いしているのに、先輩は断るんですかっ!?鬼なんですかっ!?」
どうやら俺に逃げ場はない様で。どーせならとっとと寝ておくべきだったな。
「……分かったよ……」
こうして、俺の貴重な休みが無くなってしまった。解せぬ。
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「じゃあそろそろ行きましょうか」
「おぉーっ!」
朝から元気ね音無さん。俺はもう少し寝たかったです。頼むから耳元でメガホン使って起こすのやめようね。マジ鼓膜破れるかと思ったから。
まずはエントランスエリアを巡ることになっているらしい。時間があれば、他国のエリアにも行くだとか。
俺達はバスに乗って、エントランスエリアに向かう。
「…大丈夫…ですか…?」
久遠が心配そうにしてこちらを伺う。どうやら気を遣わせてしまったようだ。
本当、久遠ええ人やなぁ……。
「…大丈夫だ。これくらいの無茶振りは小町で慣れてる」
「小町って……なんでお米が出てくるんですか?」
「お米じゃねぇよ」
そのボケは一色で間に合ってる。
「次はセントラルストリート。セントラルストリート。お降りの際は…」
バスのアナウンスでエントランスエリアの中央部分であるセントラルストリートが近づいてきたのが分かった。そして到着し、俺達はバスから降りていった。
「最初はどこに行きますかー?」
「私はここに……」
八神を除くマネージャー陣があれやこれやと向かう店を決めていた。
「…全く、面倒なものだ。八幡がいたからまだ良かったものの……」
今回は八神に同意見だ。
時々思うんだ。女子中学生や女子高生などは、何故暑い中歩き回ることが出来るのか。いくら店の中にクーラーが効いているとはいえ、気が滅入らないのだろうか。
もしかすると俺より体力ある説。
「比企谷先輩、八神さん!最初に向かう場所が決まりました!早く行きましょう!」
「…おう」
まずはセントラルストリートにあるショッピングモールに向かった。そんな最中、俺は知らない人にぶつかってしまった。
「あ、すいません……」
「…………」
長身で金色の長髪に、白いスーツを見に纏った男。俺はすぐさま謝るが、男は何も言わずにその場を去っていった。
「どうしたのだ?」
「…何でもねぇよ」
金髪の男を気にすることなく、俺は木野達の後を追いかけた。
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ショッピングモールに入ると、マネージャー達はまず服を見たいと行って服屋に向かった。
「この服、可愛い……」
「冬花さんもそう思いますよね?私も買おうかなぁ」
「八神さんは普段どんな服を着るの?」
「わ、私か?私は……」
マネージャー達なんだかんだ仲がいいですね。八神も馴染めている様だ。
俺は特に買う服などが無いため、向かいにあるライオコット島のお土産屋に足を運んだ。
キーホルダーにストラップ、ぬいぐるみにサッカーボール、それに有名選手のブロマイド。エドガーのブロマイドまであるじゃねぇか。
とはいえ、あいつも中学生だからな。中学生らしいお土産といえば、ストラップとかキーホルダー、それかぬいぐるみか?
小町が喜びそうなもん分からんしな。
「…まぁ、妥当にぬいぐるみでいいかな」
部屋に置いてもあまり邪魔にならず、かつ見栄えがいいサイズのぬいぐるみにしようと考えて、俺はぬいぐるみコーナーへと向かった。
「……お」
人相が悪いが、どこか憎めない顔をしたパンダのぬいぐるみがそこに置かれていた。
そう。雪ノ下が猫と同レベルで好きなものといえば。
「パンさんだ…」
まさかのパンさんがライオコット島に上陸していたのかよ。良かったな雪ノ下。パンさんは世界規模で知られているぞ。
俺は小町にはぬいぐるみ、戸塚にはキーホルダーを贈ることを決めて、すぐに会計を済ませた。
俺がお土産屋から出ると、マネージャー達も服を買い終えた様子だった。
「あ、比企谷先輩!勝手に消えないでください!」
「小町とかへの土産買ってたんだよ。そういえば雪ノ下」
「何かしら?」
「今俺が行ってた店にパンさんのぬいぐるみがいたぞ」
「…何ですって?」
雪ノ下は目の色を変えてすぐにお土産屋に赴いた。
「…比企谷くん。パンさんって?」
「東京ディスティニーランド人気キャラクターだ」
最もあれを東京とは言えないがな。あれは千葉のものだ。したがって、デ○ズニーランドもデ○ズニーシーも、あくまで千葉のものである。東京のもんじゃねぇぞ分かったか。
「気になるなら行ってこいよ。外で待ってるし」
「ダメです!比企谷先輩はすぐ消えちゃうから私が監視します!」
「いや、ダメだ。八幡を監視するのは私だけでいい。お前はとっとと土産を買いに行くがいい」
監視って。俺は犯罪者か何かなのかよ。
結局、音無と八神の二人の監視付きで、再びお土産屋に足を運んでしまった。店員さんからは「また来たのか」みたいな目で見られたよ恥ずかしい。
因みに、やはり雪ノ下はパンさんのぬいぐるみをお買い上げになりました。
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「…疲れた…」
宿舎に帰ってきたのは、夕方くらいだった。結局買ったのは小町、そして戸塚へのお土産だ。
由比ヶ浜や平塚先生達などの土産は、雪ノ下と決めて購入した。
「比企谷さんは自分のお土産買わなくて良かったんですか?」
「まぁ特に何もなかったからな」
別に自分への土産なんてどうでもいい。マッカンがあれば話は別だったんだがな。
そんな話をしていると、ユニフォームが泥だらけの立向居が重い足取りで上の階に上がって行った。
「立向居くん……なんであんな泥だらけなんだろ……?」
「…まさか、今日一日練習してたのか?」
だとしたら真面目としか言いようがない。昨日のナイツオブクィーンで出場してなかったとはいえ、休める時は休むべきだ。
そんな立向居に対する疑問を頭の隅に残して、今日の一日を終えた。