やはり俺がサッカーをするのは間違っている。 作:セブンアップ
大阪の地元チーム、大阪ギャルズCCCに試合で勝ったあと、彼女達の強さの秘密を知るために再びナニワランドにやってきた。
入ったのは、なんでもないただの城だった。
「ここならさっき来たけど、何もなかったぞ」
風丸は思い出すよう言った。確かに見渡す限り、何もない。
「やと思うやろ?ここにちょっと来てみ」
浦部がいるところにみんなが集まる。浦部は手すりをガコンと押し出す。それと共に、床が下に降りていく。そこは遊園地とかけ離れた雰囲気を放つ場所だった。
「ここが、ウチらの特訓場やで」
一番下に降りると、使い込まれたルームランナーや様々なサッカー専用の機会が揃えられていた。
「これがCCCの強さの秘密か……。確かに、使い込めば身体能力はかなり上がりそうだが。しかしナニワランドも妙なところに特訓場作ったな」
「これ別にナニワランドのものちゃうで?」
「は?」
俺は呆気に取られた声で聞き返す。
「ナニワランドで探検してたら偶々見つけてもうて。じゃあなんかいっぱいトレーニングの機械あるし、ダイエット代わりになるんちゃうかなって思って使うとってん」
で、ずっとトレーニングしてた結果、メキメキ強くなったと。
「…この施設の技術力を見るからに、おそらくエイリアの修練場かも知れないわ」
吉良監督が周りを見てそう考察する。確かに、言われてみればナニワランドがこんな修練場を作る必要がない。さらに言えば、あんな分かりにくい仕掛け、一般人が分かるわけがない。
「…まぁ浦部達が今まで使い込んでるみたいだし、エイリアが放棄した施設っぽいな」
「イプシロン戦まで残り3日。このトレーニングルームを使えば…!」
「あぁ!パワーアップ間違いなしだぜ!なぁ、使わせてもらってもいいか?」
円堂が浦部に尋ねる。対して浦部は嫌そうな顔をする。
「ダメかな?」
一之瀬が尋ね直すと、嫌そうな顔が一転。
「うん!めちゃめちゃええで!」
どうやら浦部には一之瀬を使うと効果抜群と。ポケモンかよ。
俺達は修練場を隅から隅まで見回った。……なんで所々デコられてんのかはよく分からんが。
俺達は早速使うことにした。俺はそもそも基礎体力やスピードが彼らより劣っているため、それを伸ばすためにトレーニングを始めた。
それから数時間後。休憩時間になり、みんなは昼食時間に。CCCのメンバーが差し入れを持ってきたようだ。
みんなが集まって昼食している最中、俺は離れてサッカーのルールブックを読み込んでいた。
なんで一人かって?あんな集まって食べるの無理だし。察して。
「比企谷ー?食べないのかー?」
「別にそんなに腹減ってるわけじゃないしな」
最悪余ったやつ食えばいい。事実、そこまで腹が空いているわけではない。
しかし、俺のぼっちタイムを壊す輩がやってきた。
「はい、比企谷先輩!これ、適当に取ってきたやつです!」
初対面で俺の顔を最大限にディスった音無春奈。聞いたところ、鬼道の妹らしい。複雑な事情があるんだとかなんとか。
「別に食べてて良かったんだぞ?」
「先輩も食べないと!この後の特訓でお腹が空いて死んじゃいますよ?」
「別に死なねぇよ。ま、サンキュな」
「はい!」
見たところ、餃子にお好み焼きに串焼きにたこ焼き。大阪名物尽くしだな、これ。
串焼きは、二度漬け禁止という。確か、普通の串焼き屋はタレがもう店側でもう机の上に用意されており、みんなが使い回すらしい。一度目は誰も口を付けていないからタレを漬けることができるが、二度目は食いかけの串焼きを漬けることとなってしまい、衛生面やらなんやらであまり良くないらしい。
博識な俺マジ天才過ぎる。
俺は適当に食べていくが、隣にはまだ音無がいた。
「まだ何か用か?」
「比企谷先輩って、なんでいつも一人なんですか?」
「なんでって言われてもな……」
そう真正面に聞かれても困る。
「まぁ、別に理由はない。これがいつもの俺だからだ」
正直、あまりまだ信用は出来ていない。勝手な猜疑心を持っている俺は最低だろう。しかし、まだ会って間もないやつ達を、素直に信じることが出来ているのならぼっちになっていない。
小さい頃から俺はいじめの対象だった。かつて虐められていた女の子がいて、不覚にも助けてしまったことがある。
親がいないと虐められていた女の子で、その場の正義感で助けてしまった。しばらくして、彼女は消えていた。もしかすると、俺が余計なことをしたからかも知れない。もう顔はあんまり覚えてないけど。
真実は闇のままだが、まぁ要するに今までの環境のせいで人間不信だ。環境のせい、と言ってはいるが結局は責任転嫁しているに過ぎない。
自業自得。身から出た錆。
つくづく当てはまると思ってしまう。
「比企谷先輩?」
「…ん?なんだ?」
「いや、目がすっごく腐りきってるっていうか……死んだ目になりつつあったので。何かありました?」
「別になんもねぇよ。ほら、お前もさっさと食わねぇと無くなっちまうぞ」
「いっぱい食べたら太っちゃうので、大丈夫です!」
それは分かった。分かったけどなんでまだいるのん?俺のこと好きなのん?
「私、雷門のマネージャーなので!選手のことは把握しないといけません!」
どうやら離れるつもりはないようだ。
話をすり替えよう。このままグダグダ俺の話を聞かれるのも面倒だ。
「雷門のマネージャーなら、一つ教えてくれ」
「はい!なんでしょうか?」
「マフラーの……吹雪って名前か、あいつ。なんで攻撃と防御であんなに雰囲気変わるんだ?」
「さぁ、なんでなんでしょう?興奮するからですかね?」
「にしても変わりすぎだろ」
あれを興奮してるからで済ませるには決定打にはならない。
二重人格と言った方がピンとくるが……。
あまり本人に聞かない方が良いだろうか。
「…まぁいいや。サンキュ」
吹雪士郎……ね。
どこぞの遊戯王みたいな厄介な過去を持っている可能性は高いな。
吹雪のことを頭の中の片隅に置き、俺は再びサッカーのルールブックを読み始めた。
原作では八幡は小学生の頃に誰かを助けてないです。あるキャラが好きなので、そのキャラと八幡を絡ませたいと思った設定です。