やはり俺がサッカーをするのは間違っている。 作:セブンアップ
特訓が終わったその夕方。俺達は監督と一緒に、大きめなモニターの前に集まった。夕方から始まるFFIのダイジェストを観るためだ。
「FFIダイジェスト!昨日行われたイギリス代表ナイツオブクィーン対アメリカ代表ユニコーンの試合結果をお伝えします」
試合のダイジェストが映される。最初に映ったのは、土門、そして西垣のプレー姿である。
「土門、および西垣の加入により、ディフェンスが更に強固になりましたね」
土門も西垣も、エイリア事件からだいぶ強くなっている様だ。その後、すぐに一之瀬の姿が映される。
「一之瀬!」
一之瀬がエリックを抜き去り、マークに繋いでエドガーからマークを振り切り、ディランへとセンタリング。そのセンタリングに合わせてディランがシュートして得点を決める。
「司令塔の一之瀬が攻撃の中心となり、イギリスのDFを粉砕。キャプテンのマーク、FWのディランもプレーに冴えを見せてユニコーンの快勝です」
「特に、北中米大陸予選でも活躍した一之瀬は本大会に入っても絶好調ですね」
べた褒めされる一之瀬達。確かに実況の言う通り、今見た感じではべた褒めされるのも納得できる。
しかし俺には一つ、違和感があった。
「うーん……なんだろ、この感じ」
「どうした?」
「うん……前と変わったっていうか……なんか違うんだよな、一之瀬のプレー」
「…俺もそう思っていた」
どうやら、俺が抱いている違和感は気のせいではなかった。現に円堂や鬼道も、俺と同じ違和感を感じていた。
テレビ越しだから気のせいだと思っていたが、円堂や鬼道の言う通り、一之瀬のプレーが以前とは何かが違う。
それだけではない。一之瀬の気迫には、凄みを感じた。まるで、この大会に全てを懸けていると言わんばかりの気迫。
「レベルアップしたからじゃないのか?」
「レベルアップ………うん、そうだな。きっと」
円堂はひとまずそれに納得した。
「約束したんだ……次は、世界の舞台で戦おうって!その時がとうとう………くぅーっ!よし!夕飯前にもう一度練習だ!」
「「おう!!」」
みんなは夕飯前だというのに、打倒ユニコーンに燃えて再び特訓をするためにグラウンドに向かった。
「……どうしたの?比企谷くん」
雪ノ下に声をかけられた俺は、未だにモニターに目線を向けていた。MVPの一之瀬のプレーが再生されていた。やはり、一之瀬の気迫が凄い。それこそ、少し怯んでしまうくらいに。
「…なんでもねぇよ」
俺は、グラウンドに向かうみんなの後に付いて行く。
一之瀬達を倒すためには、どんな努力も惜しまないということである。
そして、俺達はユニコーン戦まで特訓に特訓を重ねた。朝飯前だろうが夕飯前だろうが関係ない。みんなは必死に特訓を行なった。
全ては一之瀬達に勝つために。
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試合当日になる。
試合会場であるクジャク島のクジャクスタジアムへと向かって、ウォーミングアップを始めた。
前回のアルゼンチン戦で敗北した以上、ここから先は負けることは許されない。相手に一之瀬達がいようが関係ない。
今日も、いつも通りにプレーするだけだ。
「両チームは整列して下さい!」
審判の招集がかかり、俺達は整列。
不意に、俺は一之瀬を見る。テレビで観た時と同じく、いや、それ以上の気迫を一之瀬は纏っている。
整列し終わり、俺達はそれぞれのポジションに着いた。
FWは染岡、豪炎寺、宇都宮。MFは基山、鬼道、風丸。DFは俺、吹雪、壁山、綱海だ。GKは勿論円堂。
ユニコーンからのキックオフで試合開始のホイッスルが鳴り響いた。ディランからすぐに一之瀬に渡る。
「見せてやれカズヤ!」
ボールを受けた一之瀬は一人でイナズマジャパン陣内に攻め込んでくる。
「止めてやる!」
風丸が一之瀬にマークに入るが、すぐさま抜き去られてしまう。次に基山が一之瀬を追うが、彼の華麗なボール捌きによって振り切られてしまう。
「行かせねぇよ!」
基山の次に俺が一之瀬に対してディフェンスに入るが、彼のスピードとボールコントロールにより簡単に突破されてしまう。
「なんてやつだ…!」
一之瀬は勢いに乗って、綱海に吹雪に壁山をも抜き去って、残るは円堂だけになる。
「行くよ円堂!」
「来い!」
「これが俺の必殺技!」
一之瀬はボールを両脚で挟み、大きく逆エビの体勢で飛んでいく。空中でシュートの態勢を取ると、背後から青いペガサスが降臨する。
「ペガサス…ショットッ!!」
一之瀬は空中から円堂に向かってボールを打ち込む。それと同時に、ペガサスも共に向かって飛んでいく。
円堂はイギリス戦で見せたあの必殺技の構えに入る。
「イジゲン・ザ・ハンドッ!!」
円堂はイジゲン・ザ・ハンドを繰り出す。
「なんてパワーだッ!!」
そのままペガサスショットはイジゲン・ザ・ハンドを突き破り、ゴールの中に入っていく。
試合開始早々にユニコーンが先制点。
「ほんの挨拶代わりだよ」
一之瀬はそう告げて、自陣へと戻っていく。
テレビで観た時より、またレベルアップしている様だ。彼の気迫が篭ったプレーに圧倒されてしまった。
「やるな一之瀬!でも、俺達だって負けはしないぞ!反撃するぞ、みんな!」
「「おう!!」」
先に失点してしまった俺達からのボールとなる。試合が再開し、ボールは染岡に渡る。染岡の前から一之瀬が走ってくる。
「はあああァァッ!!フレイムダンス!改!!」
進化したフレイムダンスで染岡からボールを掠め取る。
「この試合、絶対に勝つ!!」
一之瀬はそう意気込んで、こちらの陣に切り込んでくる。
「マーク!」
一之瀬からMFのマークへとボールを繋げる。それに合わせて、FWのディランが前線へ走り込んでくる。
「ヘイ!こっちだマーク!」
「そうはさせないぞ!」
基山と宇都宮がディランにマーク。
俺はディランが囮だと予想して、ディフェンスラインから一之瀬に向かって一気に詰めて行く。
「カズヤ!」
案の定、マークから一之瀬にボールを繋ごうとするが、それを俺がインターセプト。
「何ッ!」
「流石は比企谷だ!読んでいたか!」
そのまま攻め上がり、鬼道にパスを出す。
「よし、反撃だ!」
前線にいる染岡と豪炎寺が共に駆け上がっていく。
一方、ボールを持った鬼道に、巨体のDFダイクが立ちはだかる。
「真イリュージョンボール!!」
進化したイリュージョンボールでダイクを突破し、豪炎寺へとセンタリング。
「爆熱……スクリュゥゥーッ!!」
豪炎寺の渾身の爆熱スクリューがGKビリーに飛んでいくが、それを阻止するために二人のDFが爆熱スクリューに挑む。
「くらえ!!スピニングカットV2!!」
西垣は以前より進化したスピニングカットを爆熱スクリューにぶつけた。威力は落ちるものの、爆熱スクリューがスピニングカットを突破。
「まだだ!ボルケイノカットV2!!」
スピニングカットで威力を削いだ爆熱スクリューに、今度は土門の進化したボルケイノカットをぶつける。流石に二人がかりのディフェンスでは突き破ることは出来ず、ボルケイノカットに豪炎寺のシュートを完璧に防がれてしまう。
「くっ…!」
「……今日は、負けられないんだ!」
「…俺達も、負けるつもりはない」
一之瀬だけではない。土門も西垣も、一之瀬に負けない気迫だ。
「土門、西垣!!行くぞ!!」
「「おう!!」」
ボールは土門から一之瀬に渡る。一之瀬が攻め上がると同時に、DFの土門と西垣がオーバーラップ。
「行かせない!」
基山と風丸が一之瀬の行手を塞ぐが、マークとのワンツーパスで抜かれてしまう。
「土門、西垣!GO!」
すると、三人は見覚えのある体勢に入った。
一之瀬を中心に土門と西垣が走りこんでくる。三人が一点を同じ速度で通過し、巻き起こった炎がボールを空へと舞い上げる。舞い上がったボールには、不死鳥が誕生する。
「あれはッ……!!」
一之瀬と土門、そして西垣がボールに向かって大きくジャンプし、三人が同時に蹴り込む。
「「ザ・フェニックス!V2!!」」
かつて一之瀬と土門と円堂が繰り出したザ・フェニックスが、今度は敵として襲い掛かってきた。以前より更に威力が増したザ・フェニックスに壁山が立ち向かう。
「ザ・マウンテンッ!!」
壁山はザ・マウンテンを繰り出すが、ザ・フェニックスの方が威力が上手だったため、ザ・マウンテンは崩されてしまう。
「まだだ!いかりの……てっつい!!」
円堂は威力が弱まったザ・フェニックスをなんとか防いだ。
しかし、イギリスやアルゼンチンと違ってユニコーンは攻守共に優れている。今まではどちらか攻撃か守備のどちらかが抜きん出ていたが、ユニコーンはどちらも完璧だ。
これも、一之瀬達がいる影響かも知れない。
「まだまだ試合はこれからさ、円堂」
「あぁ!俺達はお前達に絶対勝つ!!」
ユニコーンの猛攻を凌いだ。
次は、俺達の攻撃だ。
投稿しているとき、キャプテンのマークと、サッカーで使う用語のマークがややこしいなって思った私。