やはり俺がサッカーをするのは間違っている。 作:セブンアップ
今日はイタリア戦当日。音無との話の後、少しだけ心身ともに休ませることが出来た気がする。
俺達は今日の試合会場である、コンドル島のコンドルスタジアムへと赴いた。決勝トーナメントに進出するために、この一戦は絶対に負けられない。
「今日のスタメンを発表する。FW、豪炎寺、染岡、基山。MFは鬼道、比企谷、佐久間。DF、壁山、綱海、吹雪、飛鷹。GKは円堂。以上だ」
「「はい!!」
俺達はそれぞれのポジションに着く。
試合開始のホイッスルが鳴り、イナズマジャパンのキックオフで試合開始。
ボールは染岡に渡り、阻止すべくMFのアンジェロがチャージ。しかし、染岡はキレのあるドリブルで突破する。
「カテナチオカウンターだ!」
「「!?」」
フィディオが必殺技の様にその単語を発した。その言葉に、俺達は動揺する。
「もらった!」
フィディオが動こうとすると、その前にジョルジョが動き出して染岡からボールを奪い去る。
「……なんだったんだ。今のは」
カテナチオと言えばイタリアの言葉で閂、つまり鍵や錠前などを意味する古い戦術のことである。
何故そんなことをいきなり言い出しのかは分からない。が、無意味な言葉を発する筈がない。何かを仕掛けてくる筈だ。
「行かせるかァッ!」
佐久間の強力なスライディングでジョルジョからボールを奪取。佐久間がボールを奪うものの、オットリーノが奪い返す。それを次に吹雪が奪う。
一進一退。互いに奪い合い、相手陣内に攻め上がろうて試みている。
ボールはDFのベントに。俺はベントにマークに入る。
「ベント!」
フィディオがベントに声を掛けるが、ベントは無視してジャンルカにボールを回す。
「悪いなフィディオ。この試合だけは好きにさせてもらうぜ」
オルフェウスの動きが変だ。動きというか、キャプテンであるフィディオに一度もボールが渡っていない。
見たところ、どうやらオルフェウスのメンバーはフィディオを信用していない様だ。
ボールを持ったジャンルカはジョルジョとのパスワークで佐久間を抜き去る。
「行かすものかッ!」
しかし、鬼道がすぐにジャンルカからボールを奪い返す。
「豪炎寺!」
奪ったボールを豪炎寺に繋げようとするが、豪炎寺にはオットリーノがマンマーク。豪炎寺だけではなく、基山や染岡には、マルコとベントが徹底したマークに付いている。FW陣は身動きが取れない。
パスコースを塞がれた鬼道は、アントンのスライディングでボールを弾かれる。しかし、依然俺達がボールを保持し続けるが、徹底したマークが硬過ぎてFW陣に中々ボールを繋げずにいた。
すると、ディフェンスラインから吹雪が一気に駆け上がってくる。
「佐久間くん!」
佐久間は吹雪にボールを回す。吹雪は得意のスピードで、猛然と切り込んでいく。
「カテナチオカウンターだ!」
「「!?」」
「まただ!」
フィディオは再びカテナチオカウンターという単語を発した。だが、フィディオの指示を無視してジャンルカが吹雪にチャージ。吹雪は勢いよくジャンルカを抜き去る。
「行かせるかァ!」
オットリーノが豪炎寺から離れて、吹雪に向かって走っていく。
「今だ!豪炎寺くん!」
「し、しまった!」
吹雪と豪炎寺はゴール前まで駆け上がって、必殺技の体勢に入った。
「うおおおおォォッ!!」
「だあああァァッ!!」
「クロスファイアァァッ!!」
吹雪と豪炎寺の連携技、クロスファイアがGKブラージに襲いかかる。
「任せろ!!コロッセオッ…!!」
だが、ブラージの必殺技を出す間も無く、クロスファイアが炸裂する。イナズマジャパンがオルフェウスから先制点をもぎ取った。
「いいぞ!吹雪!豪炎寺!」
オルフェウスから先制点は大きい。オルフェウスはアメリカの様にバランスが取れた強豪チームだ。そういう攻守揃ったチームが一番厄介なのだ。
点を取られたオルフェウスからのボールで試合が再び始まる。ボールはラファエレに渡る。
「行くぞ、ラファエレ!」
フィディオの声に耳を持たず、ラファエレは独断でイナズマジャパン陣内に攻め上がってくる。
「染岡!豪炎寺!左右からプレスをかけろ!」
「「よし!」」
「佐久間!比企谷!俺に続け!」
俺達は鬼道の指示で動き始める。突進するラファエレに染岡が向かっていく。
「突破してやる!」
ラファエレのフェイントで染岡は躱される。しかし、染岡の背後から佐久間が現れ、ラファエレからボールを奪い取る。
「何ッ!?」
一瞬でボールを奪った俺達はオルフェウス陣内に攻め上がっていく。
「比企谷!」
俺は佐久間からボールを受け取る。
「まずい…!みんなディフェンスラインを下げろ!」
フィディオがそう指示を出すが、その指示の言う通りに動いたのアンジェロだけだった。
「何する気だよジャンルカ!」
「守ってばかりで勝てるかよ!ボールを奪い返す!」
「でも、フィディオはディフェンスラインを下げろって…!」
「ミスターKの信じるやつの指示なんかに従えるか!行くぞ!ジョルジョ、ベント!」
ジャンルカを筆頭にジョルジョとベントが俺に向かってボールを奪いに来る。
「ライアー…ショット!」
俺はライアーショットを仕掛けて、三人の間を抜き去る。そのまま俺はペナルティエリアに切り込んで、ノーマークの豪炎寺へとセンタリング。
「はあああァァッ!」
すると、フィディオが鋭いスピードで自陣ゴールに戻って、豪炎寺へのセンタリングをクリアする。
「…なんて速さだ」
流石はイタリアの白い流星と呼ばれるストライカー。彼の全体的なスペックは、一之瀬やエドガーを凌ぐかも知れない。
佐久間のスローイングで試合が再開する。
向こうは何やら揉めている様だったが、こちらがチャンスなのは変わりない。一気に叩くしかない。
「鬼道!」
ボールは鬼道に渡る。ラファエレのマークが入るが、鬼道はなんとか競り勝って、染岡に繋いだ。
「アンジェロ!」
「うん!」
アンジェロが染岡へとスライディング。ボールを奪ったアンジェロから、この試合初めてフィディオにボールが繋がった。
「来い!フィディオ!」
「行くぞマモル!」
フィディオと共に、オルフェウスは攻め上がっていく。
「止める!」
「ラファエレ、アンジェロ!左右から上がれ!」
俺は指示を出している隙を突いて、フィディオへとスライディング。ボールをグラウンドの外に弾き飛ばす。
「危ねぇ…」
今、少し妙な動きに見えたのは俺の気のせいか…?フィディオに初めてボールが渡ったからか…?
ダンテのスローイングで試合再開。ダンテからフィディオへとボールを投げ渡す。
「互いの同じ距離を取りつつ、ボールの動きを予測しろ!」
「そんなこと言われてもッ…!」
「特訓を思い出せ!ミスターKの特訓の意味が分かれば、必ず出来る!」
俺と鬼道がドリブルで攻め上がるフィディオに向かっていく。
「ラファエレ!」
フィディオからラファエレへと大きくパス。しかし、ラファエレにはフィディオのパスが届かず、ラファエレの前へとボールが転がる。そのボールを綱海が拾う。
「鬼道!」
綱海から鬼道にボールが回る。
「フィディオ!攻められっぱなしじゃないか!」
「俺がボールを取りに行く!」
「ダメだ!フォーメーションを崩すな!」
徐々に、フィディオを取り巻くフォーメーションが段々と定まってきている。フィディオが走りながら、自身の周囲のメンバーの動きをコントロールしているのだ。
フィディオは少しずつ鬼道へと近づいていき、トリッキーな動きで鬼道にアプローチをかける。
すると、オルフェウスのベンチからミスターKが憤慨する。
「そのプレーをやめろ!私の全てを壊したあの男のプレーなど!」
「いいえ、やめません!貴方が求めていたサッカーは…貴方の父、影山東吾が中心に来ることで完成するのですから!」
鬼道の前に、フィディオが回り込んで行手を阻む。鬼道は躱そうとするが、フィディオの完璧なテクニックに突破出来なかった。
「鬼道、こっちだ!」
佐久間が鬼道に呼びかけるが、アンジェロが素早くマーク。俺には、ダンテがマークに付いた。そして、オットリーノとアントンが合流することで、鬼道は一瞬にして包囲された。
「一瞬で囲まれただと!?」
「これがあの特訓の成果なんだね!」
「そしてこれが、ミスターKの目指したサッカー!」
動けない鬼道に向かって、正面にいるフィディオが再びトリッキーな動きでボールを奪取。
「なッ…!?」
「…サッカーを愛する者だからこそ作り上げることが出来た完璧な必殺タクティクス!これがッ………カテナチオカウンターだッ!!」
鬼道から奪ったフィディオは、前線にいるラファエレへと大きくパス。守りから一瞬で攻撃に転じてしまった。
これが、カテナチオカウンター。
「絶対に止めてやる!」
円堂はシュートを打たせまいと走って行くが遅かった。ラファエレは腕組みをしてゴールを睨みつけると、地面一帯が凍り始める。
「フリーズ…ショットッ!!」
ラファエレはボールを打ち込む。するとボールは氷の地面を滑る様に円堂に向かって飛んでいく。
円堂はフリーズショットを技無しで止めようとしてしまう。フリーズショットは円堂の手を弾いてゴールに突き刺さる。
ラファエレのシュートで1-1の同点ゴール。
確かにカテナチオカウンターも凄かったが、それを完成させたフィディオが何より凄い。それに、フィディオのプレーは今までのプレーとは何かが違っていた。
ミスターKにフィディオ……そして完成されたカテナチオカウンター…。
やはり、そうこの試合は簡単に勝てそうにないな。
遂にイタリア戦。イタリア戦終わった後の影山のシーンめっちゃ好きでした。