やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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天空の使徒の回は飛ばします。


魔界軍団Z

 円堂達と分かれて、俺達はデモンズゲートに足を踏み入れた。暗闇の洞窟の中は、蒸し暑い蒸気が円満している。

 

「なんだここは……」

「全く陰気なところだぜ…」

「お兄ちゃん!!」

 

 すると、彼女の悲痛な叫びが洞窟内で大きく反響する。

 声の方に視線を向けると、何やら赤いドレスを着せられた音無が、鎖で繋がれて動けないでいる。

 

「助けて!!」

「待ってろ!今助ける!」

 

 俺達が音無を助けに行こうとするが、

 

「儀式を妨げる者には……」

 

 洞窟内で、凄まじい熱風が吹き荒れる。

 

「恐怖と破滅をォ!!」

「くッ…」

「ここは既に魔界。人間風情がよくこンな所まで来れたモンだぜ」

 

 音無の後ろから、悪魔のリーダー的人物と、褐色の女悪魔が現れる。

 

「…何者だ、お前達は」

「俺は魔界の戦士デスタ。そして……俺達が魔界軍団Zだァ!」

 

 魔界の住人気取りか……。

 どいつもこいつも、普通の人間みたいな容姿をしていない。十人に聞けば十人が、悪魔みたいな容姿をした人間だと言うだろう。

 

 俺も俺で、散々雪ノ下に見た目がゾンビと言われてきたわけだから、大きい括りでは俺も悪魔になっちゃうのか。

 

 俺の前世は魔界軍団Zの一員だったんか。何それウケねぇ。

 

「春奈を返せ!!」

「そうはいかねェ。こいつは大事な生贄だからなァ」

「生贄だと!?」

「地の底に封じられし魔王……伝承の鍵に選ばれし乙女の魂を喰らい、千年祭の日に目覚める」

「我らが主人魔王が復活すれば、世界は破滅の炎に包まれ文明は崩壊する。そしてこれより千年、地上は魔王と魔界軍団Z、悪が支配する世界となる!」

 

 女悪魔が汚い笑みで音無の腕を掴む。音無の心は、恐怖によって支配されている。

 

「貴女は魔王を復活する生贄となるのよ?嬉しいでしょ?」

「要するに嫌がらせがしたいから適当な女を一人選んで魔王を復活させるってことか。設定がチープ過ぎて笑えんな」

 

 材木座でももう少しマシな設定を作れるぞ。

 

「…やる気か人間」

「じゃなかったらこんな怖いところは来てねぇよ。…そうだろ、鬼道」

「あぁ!魔王も魔界も関係ない!春奈を傷付けるやつは、俺が許さん!」

「…本当にやる気みたいよ、この人間達」

「魔王復活は目前なンだ。人間ごときに渡すと思うのか?」

「ならば力づくでも奪い返す!!」

 

 すると、今度は別の場所から別の人物が俺達に尋ねてきた。

 

「人間が魔界の者に挑むか……?」

 

 その声の方角に対して目を凝らすと、ローブを着た謎の老人が一人、立っていた。

 

「魔界の住人に戦いを挑む者は、古のオキテに従わねばならぬ。…すなわち」

 

 デモンズゲートを覆う霧が晴れる。晴れた先に見えたのは、サッカーグラウンドであった。

 

「サッカーで戦い、勝者を決めるべし」

「…だから、なんでサッカーなんだよ」

 

 俺は呆れる様に呟く。

 なんなの?天使も悪魔もサッカー好きなの?純粋だなおい。

 

「生贄を助けたくば……」

「試合に勝って奪い返せ……そういうことか」

 

 鬼道の答えに老人は頷く。

 

「俺達に勝負を挑むのか?人間」

「あぁ!待ってろ春奈!俺達が必ずお前を取り戻す!」

 

 こうして、白組vs魔界軍団Zの試合が行われることとなった。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 俺達はそれぞれポジションに着いた。FWは豪炎寺、レアン、ディラン。MFは佐久間、鬼道、不動、マーク。DFは俺、テレス、飛鷹。GKは立向居。控えには綱海と宇都宮。

 

「みんな、気をつけて!」

「お前もすぐにあいつらの後を追わせてやる」

「強き魂が集まれば集まるほど…魔王の力は強くなる」

「やつらの魂も全部取り込ませてもらうぜェ………魔王への生贄としてなァ!」

 

 キックオフは魔界軍団Zから。試合開始の笛が鳴り響くと、FWの三人はデスタとサタナトスに向かっていく。

 

「必殺タクティクス!ブラックサンダー!」

 

 デスタがそう発した瞬間、目の前から姿を消した。

 

「なッ!」

「What!?」

 

 すると、後ろのゴールからボールの跳ねる音が聞こえる。なんと、デスタは立向居の後ろに瞬間移動していた。

 

「…え」

 

 立向居は何が起きたのか分からず、ただデスタの姿を眺めることしか出来なかった。

 デスタはボールを転がして、ゴールに入れた。0-1で、魔界軍団Zが先制点。

 

「…何が起きたの…?」

 

 デスタが必殺タクティクスの名前を叫んだ瞬間消えた。感覚的には、アフロディのヘブンズタイムに限りなく近い。

 

 ボールは俺達からとなり、試合が再開する。ボールは豪炎寺が持っており、前へ上がっていく。

 

「豪炎寺、パスだ!やつらの戦術が分からないままでは危険だ!まずは、やつらのサッカーを見極める!」

「分かった!」

 

 鬼道は、魔界軍団Zを倒す算段を考えた。

 その結果、まずマークへとパスを出す。

 

「馬鹿がッ!」

 

 しかし、マークへのパスを不動がインターセプト。

 

「サッカーを見極めるだと!?何を面倒なことを!!」

 

 不動は自慢のテクニックでグラーシャとサタナトスを抜き去っていく。

 

「魔界軍団だかなんだか知らねェが、ムカつくんだよ!!」

「やってくれるな人間!」

 

 メフィストが不動に向かってチャージ。

 

「不動、こっち寄越せ!」

 

 俺はディフェンスラインから一気に駆け上がって、不動からパスの指示を出す。

 

「おう!」

 

 不動からのボールを受け取って、攻め上がっていく。

 

 確かに戦術が読めない以上、不用意に手を出すのは愚策かも知れない。しかし、サッカーを見極めていたら時間なんてあっという間に過ぎてしまう。

 攻めながらでも、やつらの戦術の一部は把握できる。

 

「とりあえず、音無は返してもらうわ!」

「エイト、私にも回しなさい!こんな三下達、とっとと燃やしてやるわよ !」

 

 俺と共に、レアンも上がってくる。しかし、目の前からアラクネスとバルバトスが立ち塞がる。

 

「サザンクロスカットッ!」

 

 二人を吹き飛ばして、レアンへとセンタリング。レアンは大きく跳躍する。

 

「アトミック…フレアアァッ!!」

 

 バーンの必殺技であるアトミックフレアが、GKアスタロスに飛んでいく。しかし、アスタロスは顔色一つ変えずに、手をかざす。

 

「ジ・エンド」

 

 右手をかざすと、ボールにドス黒いオーラが包み込まれていく。そのままゆっくり捻っていき、ボールが少しずつ圧縮していく。捻った右手を返すとボールが消滅し、アスタロスの手元に落ちてくる。

 

「…この程度か?」

「う、嘘……!?」

 

 レアンのアトミックフレアを顔色一つ変えずに完璧に止めた。

 

「所詮は人間……。今から喰らうとするかァ……やつらの魂をよォ!!」

「な、なんだッ!?」

「魔界軍団Z!!魔王の名に於いて、やつらを殲滅しやがれェ!!」

「「おう!!」」

 

 デスタが全メンバーに向かって大きく命令した。アスタロトからのパントキック。しかし、不動がそれをインターセプト。

 

「調子に乗りやがって!だったら何度でもねじ伏せてやるぜ!」

「無駄だねェ!」

 

 メフィストが不動に向かって激しいタックル。不動を吹き飛ばしていく。

 

「ふ、不動!」

「他人の心配をしている場合?!」

 

 ボールを拾った俺に向かって、今度はアラクネスがスライディング。アラクネスのスライディングで、転倒してしまう。

 

「エイト!」

 

 ボールを拾ったレアンの前に、巨体のFWサタナトスが現れる。

 

「ゴー・トゥー・ヘル!!」

 

 サタナトスは左足にドス黒いオーラを纏いながら上にあげて、そのまま振り下ろす。それに反応する様に、ボールの下からドス黒いオーラが溢れ、地面を割ってレアン諸共衝撃で吹き飛ばす。

 

「きゃああッ?!」

 

 ボールはサタナトスの足元から吹き出す。

 

「デスタ!!」

 

 サタナトスからデスタへのパス。

 デスタは左足でボールに回転をかける。

 

「くらえェ!!おおおおォォッ!!」

 

 回転がかけられたボールは空中でオーラを纏うと同時に、サッカーボールの色が反転する。

 

「ダーク…マタァァー!!」

 

 反転したボールを、デスタが蹴り込む。禍々しいオーラを纏うシュートが立向居に襲いかかる。

 

「魔王…!!ザ・ハンドッ!!」

 

 アルゼンチン戦で見せた魔王・ザ・ハンドを繰り出す立向居。しかし、ダークマターは魔王・ザ・ハンドを打ち破って立向居ごとゴールにねじ込んだ。

 

 0-2。魔界軍団Zが追加点。

 

「なんだ、こいつら…!!」

「これが悪の力よ!」

 

 こいつらの実力は半端なく強い。FFIにいたとしたら、決勝トーナメントに残る様な実力者達だ。

 

「お前達は魔王の復活をそこで見ているがいい!無様に這いつくばってなァ!ハッハッハッハッ!!」

 

 そこから、俺達は魔界軍団Zに嬲られていく。点を取れる筈なのにそうせず、俺達を吹き飛ばして楽しんでいる。

 そしてそこで、前半が終了する。

 

「クッソ……痛ぇ……」

 

 俺達はハーフタイムの僅かな時間を使って、身体を休めようとすると。

 

「ねェ、そこの瞳が死んだ人間」

「あ?」

 

 俺は何故か、魔界軍団のメンバーに声をかけられる。MFの、アラクネスとかいう悪魔だ。

 

「……なんだよ、悪魔」

「貴方、私達の仲間にならない?」

「は?」

 

 アラクネスが言った意味を理解出来なかった。

 仲間?誰が?俺が?

 

「貴女、何ふざけたこと言ってるのよ!」

 

 レアンはアラクネスに突っかかるが、アラクネスは無視する。

 

「その瞳……貴方、相当不遇な目に遭っているでしょう?その瞳は、周囲の人間に絶望し、誰も信用しなくなった証拠……貴方の場所は、人間がいる地上ではないわ。私達、魔界側にいるべき存在なのよ」

 

 なんと俺は悪魔からスカウトされてしまう。

 なんで俺ってば面倒なやつからスカウトされるんだろう。何これモテ期?

 ……そんなモテ期は来て欲しくなかったよ。

 

 アラクネスは、妖艶な笑みを浮かべながらこちらに近づく。

 

「…ち、近づいてくんじゃねぇよ…!」

「貴方が悪魔になるなら、私が貴方の欲望を叶えてあげるわ。……人間風情の女じゃ満足出来ないようなことも……ね」

 

 アラクネスは舌舐めずりをする。その瞬間、俺は全身に寒気が走った。皮肉げに俺は、アラクネスにこう言い返した。

 

「…このビッチ悪魔が」

「ふふふ…そう粋がってられるのも今のうちよ。貴方達の身体はもう限界。攻めることすら出来ない貴方達は私達に敗北して、世界の終わりを指を加えて眺めることしか出来ないのよ」

 

 確かに、こいつの言う通りだ。魔界軍団Zの前に、次々と倒されていく。

 

「ふざけるな!春奈は絶対に取り返す!貴様らのくだらん企みなどここで終わらせる!」

「…粋のいい人間だこと。…そこの瞳の死んだ人間。この試合に貴方達が敗北すれば、貴方を素敵な悪魔にしてあげるわ」

「…うるせぇよ。もうそれ以上口を開くなよ」

「…ツレないわねェ」

 

 アラクネスはそう言って、俺達の前から離れていく。

 

「ッ…はぁ……はぁ…!!」

「エイト、大丈夫!?」

「あ、あぁ……悪いな」

 

 俺はなんとかして、息を整えようとする。

 

 やつの目を見た瞬間、陽乃さんの表情がフラッシュバックした。目の前のモノを、何が何でも支配する目だった。

 

 やつが何を企んでいるのか分からないが、負けらない理由がもう一つ出来てしまった。

 

 しかし、そんな理由より優先すべき事項は、音無の奪還だ。

 何としてでも、助けなければ。

 

 

 




悪魔から誘われちゃう八幡。
アラクネスはアニメだと可愛いと思ってしまったけどゲームじゃそうでもないなと思った。
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