やはり俺がサッカーをするのは間違っている。 作:セブンアップ
「世界征服って……」
ガルシルド邸から盗んだデータは、まさかのガルシルドが世界征服を企んでいると予測出来るデータだった。
「…どういうことなんですか?」
「…油田だ」
「油田?」
油田とは、石油の元になる原油を掘る場所を指している。
「FFIを主催し、大会委員長でもあるガルシルドは、ブラジル代表ザ・キングダムの監督というだけでなく、世界にいくつもの油田を持つオイルカンパニー社の社長でもある。飛行機に自動車。石油は現代社会には欠かせないエネルギー。ガルシルドはその原油を抑えることで、今まで世界に大きな影響力を持っていた。その油田が枯れかけている」
「…枯れかけてる?」
次にモニターに映されたのは、ガルシルドの油田から算出される原油量の推移を示したデータらしいが、全く見方が分からん。
「物凄い勢いで減っているわね……。ピーク時の4分の1しかないわ」
流石は学年1位のユキペディア。よく分かるよなあんな謎のデータ。中学生には難しいだろこれ。
「原油が取れなくなるのは時間の問題だろう。そしてこれが…」
原油量の推移のデータから、次は様々な兵器が映し出されていた。
「最近買収した軍事関連企業の兵器に関する生産計画だ。どの兵器の製造数も5倍に引き上げられている」
俺は映されたデータに驚きを隠せなかった。
戦車などの兵器にも驚きはしたが、俺違う部分を見つめていた。
「…アイシー、ちょっとパソコン貸してくれ」
「え?う、うん……」
俺は気になるデータをモニターに映した。モニターに映されたのは、難しい内容書かれたいくつものデータ。パッと見た感じ、おそらく兵器生産にあたっての計画書だろう。
「…これがどうしたの?」
俺は気になる部分をマーカーで引いた。その部分を見たみんなが、特にFFで優勝した際の雷門メンバーが驚いていた。
「なッ…!?か、神のアクア…!?
「か、神のアクアって、世宇子が使っていた……!?」
「…あれには身体能力を強化する成分が入っていたんだろ。この計画書には、神のアクアの量産について書かれてる…」
世宇子の総帥は影山。その影山が操っていたんだから、バックにいるガルシルドが神のアクアに関連しても不思議ではない。
「…それだけじゃない。次の資料のここ」
俺は再びマーカーで線を引く。次に、目を大きくしたのはエイリア学園の共々。
「……エイリア石だと…!?」
「あぁ。この計画書にも、エイリア石のエナジーを吸い取る機械や、そのエナジーを人に送る機械の量産化することが書かれてる」
「つまり、兵器と同時並行で神のアクアやエイリア石のエナジー供給機を量産しようとしているってことなの?」
「エイリア石はもうないから、おそらくその供給機を量産するのは不可能だろうが、神のアクアなら量産出来るかも知れない。影山が持ち込んできたってことは、必ずガルシルドが関連している筈だからだ」
つまり、今までのことがガルシルドに繋がると言えば繋がることになる。
「でも、なんで神のアクアやエイリア石を……?」
「神のアクアやエイリア石は身体能力を強化するドーピングアイテム。サッカーに関わらず、あらゆる面で圧倒的アドバンテージを得ることが出来る。この戦車や戦闘ヘリの情報から察するに、神のアクアやエイリア石を兵士に使うつもりなんだろう。それがあれば、戦争でも役立つからな」
「せ、戦争!?」
「戦争ってどういうことですか、先輩!」
戦争というパワーワードに、みんなは動揺していた。俺は、続けて説明し始める。
「…戦争をするのに石油は必要不可欠だ。もし今戦争が起これば、どの国も限られた量の油田を奪い合い、その価格は一挙に高騰する。ガルシルドの枯れかけた油田も莫大な利益を生むことが出来る。さらに、この兵器に加えて神のアクアなどを自らが供給すれば、サクッとガルシルドが世界を支配出来るって寸法だ」
俺達なんて、路傍の石でしかない。そう思わせるほど、ガルシルドの力は強大だということだ。
「…比企谷の推測通りだ。ガルシルドは戦争を引き起こそうとしている。ガルシルドがFFIを開催したのは、参加各国を互いに歪ませ、戦争を引き起こさせるためだ。その証拠も揃っている」
「…まさか、FFIの裏にそんな事情があったなんて……」
「ガルシルドの闇……総帥が言っていたのはこのことだったのか…」
中学生には重い話だ。戦争とは無縁の中で生きてきたんだから。
まぁ危うく俺と八神と基山は戦争に駆り出されそうだったけど。
「…許せない。サッカーを、そんなことのために利用するなんて…!」
サッカーを穢されたと感じた円堂は、ガルシルドに怒りを抱く。
「……だが、それも終わりだ。八幡達が取ってきたデータは我々の手中にある。警察に突き出せば、ガルシルドはすぐ逮捕されるだろう」
「…そうですよね!これだけ証拠があれば、逮捕出来ますよね!」
「これは俺が警察に持って行こう。お前達は準決勝に集中して挑め」
「「はい!!」」
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翌日の朝。
響木監督はFFI運営委員にガルシルドの悪事の証拠を持って出かけた。円堂と土方は、このことを一刻も早く伝えるためにロニージョ達のところに向かった。
それから数時間後。
「…ガルシルドってやつ、早く捕まるといいな」
「…ま、そうだな」
すると、俺の電話に着信が入る。着信先は、陽乃さんだ。
「…もしもし」
「比企谷くん。今すぐイナズマジャパンのメンバーと監督連れてエントランスエリアの病院に来て」
電話に出た陽乃さんは、少し焦り気味というか、とにかくいつもの子供っぽい陽乃さんではなかった。
「…どういうことですか?」
「君達のところに、サングラスかけて紫のバンダナ付けてるおじさんいたでしょ?あの人、今さっき道端で倒れていたの」
「えっ、はぁ!?」
「苦しんでる様子だったからすぐ救急車を呼んだの。とにかく、早く来なさい」
そう言って陽乃さんは電話を切った。
「どうしたの?」
「…クララ。今すぐ古株さんにキャラバンを出すように言ってきてくれ」
「う、うん。分かった」
俺はタイミングよく帰ってきた円堂や土方、それにみんなと監督を呼んで、陽乃さんの話をそのまま伝えた。みんなや監督は、その事実に血相を変える。
俺達はすぐキャラバンに乗り込んで、エントランスエリアにある病院へと急いだ。
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俺達が手術室の入り口前にいくと、陽乃さんが腕を組んで待っていた。
「来たね、比企谷くん」
「容態はどうなんですか?」
「家族でもなんでもないから教えてもらえなかったけどね。見た感じ、昨日今日で悪化した感じはしなかったよ。前々から患ってたんじゃないかな」
「…監督は何か知ってるんじゃないですか?」
鬼道が久遠監督に尋ねる。それに久遠監督は縦に頷き、話を始めていく。
「…その人の言う通り、響木さんは昔から重い病気を患っていた。医者からは何度も手術を勧められていたが、FFIが終わるまでは、と頑なに断っていたそうだ」
「…響木さん…!」
「……じゃ、私は行くね。これ以上部外者がいても邪魔だろうし」
陽乃さんはそう言って立ち去ろうとする。が、彼女は一旦止まって、こちらに振り向いてこう忠告した。
「…ガルシルドには気をつけなさい。いくら証拠を持っていても、それを握り潰すくらいの力はあるから」
「姉さん……」
「じゃあね。準決勝、楽しみにしてるから」
陽乃さんはそんな忠告を俺達に残して、病院から去っていった。それから少し時間が経つと、看護師の方がこちらに来た。
「あの、すいません。警察の方がいらしてます」
「私が行こう」
看護師は久遠監督を警察のところに案内していく。久遠監督は、警察にガルシルドの悪事の証拠を渡す。それを受け取った警察は、病院から去っていく。
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それからまた翌日。
今日はとうとう準決勝だ。しかし、周りの顔は未だに暗い。響木監督の容態が分からないままだからだ。いすると、食堂に勢いよく木野が入ってくる。
「今、病院から連絡があって、響木監督の検査の結果もいいから、手術は予定通り行うそうよ!」
「…そうか……」
「上手くいきますよね……?」
「あったりまえだろ!そんなもん、失敗なんかしてたまるかよ!」
「あぁ。いかに大変な手術だろうと、響木監督なら必ず乗り越えられる」
段々と、みんなの士気が上がっていく。
響木監督とあまり関わりはないけれど、手術が成功するよう祈っておこう。
「よし!今日の試合絶対勝つぞ!」
「勝って、響木監督に勝利のプレゼントっス!」
「「おぉ!!」」
これで迷うことなく、準決勝に集中することが出来る。
俺達は今日の試合会場である、ウミガメ島のウミガメスタジアムへと向かった。
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俺達はウミガメスタジアムに到着し、試合の準備を始めていた。相手はグループBを全勝で勝ち上がったチーム。一発勝負の決勝トーナメントでは、一つの油断は命取りとなる。
俺達がウォーミングアップを行なっていると、
「な、なんだッ?」
突如スタジアム内が大きく揺れ始める。それと同時に、スタジアムが暗くなり始める。空を見上げると、巨大な飛行艇がスタジアム上空で停泊していた。
その巨大な飛行艇に付属している、卵型の鉄の塊がゆっくりと降ろされてくる。段々と降りてくると、その場で卵型のそれはパックリと割れてしまい、中から金色の小さなピラミッドが見えてくる。
ピラミッドに取り付けられているシャッターが開いていき、中から二人ほど姿を表す。
中から現れたのは。
「ガルシルド!?」
ガルシルドとその側近の小太りの男が、派手派手しくスタジアムに登場してきた。
「なんであいつが!警察に捕まったんじゃなかったのか!」
しかし、ガルシルドは堂々とスタジアムに登場してきた。これを見た久遠監督は今すぐ警察に電話するが。
「…そうですか」
「監督?」
「警察では、そのような証拠を受け取っていないそうだ」
陽乃さんが言っていたのは、こういうことだったのか。
いくら重罪を重ねようが、自身の財産や権力を行使すれば罪は罪として認められることはない。
つまり、ガルシルドは捕まらないということだ。
「…どうすりゃいいんだよ。ガルシルドがいるってことは、俺達が勝ったらロニージョ達の家族はとんでもないことに……」
「そんなこと出来ないっス…」
みんなの心が乱れ始めた。俺達は響木監督のために、そして世界一のために負けられない。しかし、仮に俺達が勝てばロニージョ達やロニージョ達の家族はヤバいことになる。
……それでも。
「……この試合は勝つ気でいく。相手がどんな事情を持っていようが、そんなことは関係ない」
「比企谷!?」
「で、でも俺達が勝ったらロニージョ達の家族は行き場を失って……」
「かも知れないな。だが、こっちにも負けられない理由ってのがあるだろ。それとも何か?あいつらに情けをかけて、わざと負けることが出来るっていうのかよ」
「そ、それは……」
「……サッカーバカ風に言ってやる。どんだけ辛い試合になろうが最後まで諦めんなってことだ。勝利の女神は、諦めないやつに微笑むとかなんとかってな」
確かにロニージョ達の家族は流石に同情してしまう。しかし、だからといって俺達が負けるわけにはいかない。
世界一のために馬鹿みたいにサッカーやってきたんだ。ここで折れたら全てが泡と化す。
「…比企谷の言う通りだ!この試合、絶対勝つぞ!」
「円堂……」
「…これは俺達とガルシルドとの戦いだ。サッカーを戦争の道具なんかに使おうとする卑劣なやつだ!」
「…ああいうやつを放っておけば何するか分からんからな。…今朝お前ら言ってただろ。響木監督に、勝利のプレゼントするって」
ここで負けたんじゃ、響木監督の手術が成功してもきっと響木監督は納得しない。
どんな理由があろうが、俺達は勝つしかないんだ。
「…みんな!この試合必ず勝つぞ!」
「「おう!!」」
俺達はポジションに付いた。FWは豪炎寺、宇都宮、基山。MF、風丸、鬼道、俺。DFは、吹雪、壁山、土方、飛鷹。GKは円堂。
キックオフはイナズマジャパンからだ。審判がホイッスルを咥え、そして試合開始の音を高らかに響かせる。
ボールは宇都宮に渡る。宇都宮が攻め上がっていくが、すぐさまロニージョがすれ違い様にボールを奪ってしまう。
「行くぜ、ボーイ」
攻め上がってくるロニージョの表情は、まるで人が生み出す表情ではなかった。
彼の目は、完全に死んでいたのだから。
アニメやゲームじゃ、神のアクアやエイリア石は全く関係ないです。単純にこういうパターンもあったんじゃないかって思って、付け加えました。
しっかりRHプログラムも出しますので。
ドーピング多いな。