やはり俺がサッカーをするのは間違っている。 作:セブンアップ
コトアールエリアを無差別に襲っていた者達、チームガルシルドに対して、リトルギガントの代わりに俺達、イナズマジャパンが挑むことになった。
久遠監督や響木監督がいない中で、赤キャップの爺さん、もとい円堂大介が指揮を取るとのこと。
「この試合、絶対勝つぞ!!」
「「おう!!」」
俺達はポジションに着く。
FWは宇都宮と豪炎寺。MFは風丸、基山、鬼道、不動。DFは俺、壁山、飛鷹、吹雪である。GKは円堂。
あちらのキャプテンは、ガルシルドの側近の男、ラボック・ヘンクタッカー。どうやら、ポジションはDFらしい。
イナズマジャパンからのキックオフで、試合開始のホイッスルが鳴り響く。まずは、地道にボールを繋げて攻め込んでいく。宇都宮から風丸、風丸から基山、基山から鬼道へとパスを回していく。
だが、鬼道の前にMFのマンティスがボールを奪いに来た。しぶといチャージに一時はマンティスにボールを奪われてしまうが、鬼道は強く粘って、ボールをすぐさま奪い返した。
「豪炎寺!」
鬼道から豪炎寺へのパス。
しかし、DFのバファロが目にも留まらぬ速さでボールをカット。
「ヘッジホッグ!」
バファロからMFヘッジホッグに繋げる。そのヘッジホッグに風丸が向かっていく。
「行かせるかァ!」
しかし、ヘッジホッグは不敵な笑みを浮かべ、風丸を一瞬で抜き去った。
DFのやつといい、MFのやつといい、人間の身体能力を超えたスピードを発揮している。
「調子に乗ってんじゃねェ!!」
不動がヘッジホッグにマーク。しかし、ヘッジホッグは大きく跳躍。
「マンティス!」
空中でヘッジホッグからマンティスに。マンティスはボールを受け取って、そのまま攻め上がっていく。
こいつら、やはり……。
「油断するな!相手は強化人間プログラムを受けているぞ!」
鬼道がみんなにそう伝える。
鬼道が言っていることは、十中八九正しい。街を壊すほどの破壊力、エイリア石でも出せないあのスピード、さらにはさっきの跳躍。
あれが素で出来る奴がいるなら出てきて欲しいもんだ。
「スノーエンジェル!」
吹雪がスノーエンジェルを繰り出す。しかし、RHプログラムで底上げされたスピードで、マンティスはそれを躱した。
「間違いねぇ!鬼道の言う通りだぜ!」
「なんでそんなことを……!そんな身体でサッカーをすれば、身体がボロボロに!」
「…どうやら、何も分かっていない様ですねぇ。私達がロニージョ達と同じだと思っているのですか?」
「何…?どういうことだ?」
鬼道がそう問うと、ヘンクタッカーはそのまま話を進めていく。
「貴方達の言う通り、RHプログラムを使えば身体はボロボロになってしまう。しかし、それは未完成だからなのです。完成されたプログラムを使えば、ロニージョ達の様にボロボロになることはない。だから、究極の強化人間プログラムを作り上げるため、今まで実験を行い、または他所からデータを入手していました」
「実験……?」
「…ザ・キングダムのロニージョを始め、チームKのデモーニオ……神のアクアを使い、全国大会でその神のごとき力を見せた、世宇子中……そして、まるで宇宙人かと思わせるほどの身体能力を底上げする、エイリア石を使役したエイリア学園など……ね」
「で、デモーニオやアフロディ達まで!?」
「それに、私達も……!?」
アフロディと仲の良い円堂や、エイリア学園に所属していたレアン達は驚きを隠せずにいた。
しかし、ヘンクタッカーの話に、一つ解せない部分がある。
「…ちょっと待て。世宇子が強化人間プログラムに関連しているのは、世宇子に影山がいたからだろ。エイリア学園がお前らにどう関係してるんだ」
「…ミスター・ケンザキをお覚えですか?」
「け、剣崎…!?」
「剣崎って……確か吉良さんの隣にいたやつだよね……?」
剣崎竜一。吉良星二郎の側近であったが、裏切りを見せて風丸や葉山達を利用したダークエンペラーズを使って、俺達にけしかけてきた男。
「そう。かつて吉良星二郎の側近であったミスター・ケンザキは、実はガルシルド様の部下だったのです」
「何!?」
「最初は、ケンザキの言う、世界を支配する欲望を叶える代わりに、エイリア石の情報をこちらに送るよう命じました。ジェミニストームやイプシロン、それにダイヤモンドダストにプロミネンス……エイリア石を使って構成されたチームの身体能力の情報をこちらに送り込んでくれました……。しかし、彼は吉良星二郎を裏切り、ガルシルド様をも裏切った。エイリア石に取り憑かれてしまい、その挙句が不出来なチームのダークエンペラーズ……。…そして失敗に終わった。なんと愚かな男だったのでしょう」
「私達の、データを……」
エイリア学園の情報が、剣崎によって流されていたということか。
「ですが、決してその苦労も無駄になりませんでした。カゲヤマにケンザキ……それにロニージョやデモーニオ達、彼らのおかげで、究極の強化人間プログラムを作り上げることが出来たのですから」
ガルシルドは、このプログラムを作るために、様々な人達を利用してきたのか。
すると、ヘンクタッカーが思い出したように話を変えた。
「…そういえば、ケンザキの話に興味深い内容がありました。エイリア学園は確か、身寄りのない子ども達がエイリア石によって強くなったチームでしたね。しかし、ある日突然、全く無関係の人間がエイリア学園にスカウトされた……」
「…そ、それって……まさか……」
「そう。そこにいる、ミスター・ヒキガヤの話です」
ヘンクタッカーは俺に指を差す。
確かに、やつの言う通り、八神に連れ去られてエイリア学園に入ることになった。
「優れた洞察力…頭のキレ…そしてエイリア学園に容易く順応出来る身体能力…。…その話を聞いて、実は一目置いていたのです。私達が作り上げる強化人間プログラムの実験台としてね」
……またこういう展開かよ。
エイリア学園に魔界軍団、そしてガルシルド。俺は余程、悪役が向いてるわけなのね。俺ってば純真無垢な男の子なのに。
「だから、隙を見て貴方を連れ去ろうとも考えましたが……そこにいるミス・ヤガミが邪魔でそれが出来なかった」
今度はヘンクタッカーは八神を指差す。
あの頃、確かに八神とずっと一緒にいて、1人の時間が中々なかった。
意図せず、俺は八神に助けられていたということなのか。
「ミス・ヤガミだけではなく、ミス・ハルノも邪魔で貴方に介入出来なかった。貴方達がガルシルド様の館にいらっしゃった時、そのまま捕まえてRHプログラムの実験台として使おうかと思いましたが、取り逃してしまいました。ですが、貴方の代わりにロニージョを実験台にして、RHプログラムのデータを取ることに決めました。…そして、その末に完成したのが私達……究極の強化人間プレーヤーなのです」
ガルシルドによって利用され、苦しめられた人達は一体何人いるのだろうか。
そんな事実に、円堂の身体は震えていた。
怖いわけでも、武者震いわけでもない。
様々な人を巻き込み、サッカーを悪用したガルシルドを許さないという怒りで震えていた。
「…ロニージョやデモーニオ…それに、アフロディ達まで実験台に使うなんて…!!」
「全てはガルシルド様が支配する理想の世界を実現するため」
ヘンクタッカーが指を弾いて鳴らすと、ボールを持ったマンティスは吹雪を抜き去っていく。続いて、マンティスに向かって俺が走っていく。
「変な理想を掲げて俺達を巻き込んでくんな!」
すると、マンティスはイリュージョンボールを繰り出す。分裂したボールは上に飛んでいき、それに合わせてクロウもジャンプ。
「ジャッジスルー3!!」
分裂したボールをクロウが連続で俺に向かって蹴り込んでくる。1個は避けたものの、続けて飛んでくる2個のボールに、俺は倒されてしまう。
「ぐあァッ!」
「え、エイトッ!」
「コヨーテ!」
クロウからFWのコヨーテに繋ぐ。コヨーテは完全にフリーだ。
「くらえ……これが究極の強化人間プレーヤーの必殺技!」
コヨーテはボールを打ち上げ、コヨーテ自身も大きくジャンプし、そしてボールを両足で挟み込んだ。
「ガンショットォォッ!!」
弾丸のごときシュートが円堂に向かって飛んでいく。
「強化人間なんかに負けてたまるか!!」
円堂も怯まず、必殺技の体勢。
「真!イジゲン・ザ・ハンド!!」
円堂は真イジゲン・ザ・ハンドでコヨーテのシュートに対応する。
しかし。
「うわああァァッ!!」
イジゲン・ザ・ハンドは簡単に破れてしまい、ガンショットがゴールに突き刺さった。
先制点をもぎ取ったのはチームガルシルドだ。
「強ぇ…」
真イジゲン・ザ・ハンドが破られるとは……。
ロニージョのストライクサンバと同等、もしくはそれ以上の威力を誇るシュートだったってことだ。
完全した究極の強化人間プログラム……それを受けた強化人間プレーヤー達……。
苦しい試合になりそうだな…。
剣崎とか、神のアクアのことやエイリア石のことは、原作じゃガルシルドは多分全く無関係です。ですが、私的にはガルシルドが関わっていてもおかしくないんじゃないかなって思い、こういう設定にしました。