やはり俺がサッカーをするのは間違っている。   作:セブンアップ

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頂上決戦 前編

 ピッチの真ん中では審判がコイントスを行う。コイントスの結果、先行はイナズマジャパンからのボールとなる。

 俺達は、それぞれのポジションに付いた。

 

 FWは染岡、豪炎寺。MFは佐久間、風丸、鬼道、基山。DFは俺、壁山、飛鷹、吹雪。GKは円堂だ。

 対するリトルギガントも、俺達と同じくバランスの取れた4-4-2のフォーメーションで来ている。

 

 今、審判がホイッスルを咥える。そして、決勝戦開始を告げる音が高らかに鳴り響いた。

 

「行くぞ!」

 

 染岡がボールを持って攻め上がっていく。染岡がリトルギガント陣内に切り込んでいくと。

 

「な、何ッ!?」

 

 ゴーシュとドラゴのダブルディフェンスで、あっという間にボールを奪われてしまう。

 

「なんて速さだ!」

「だが付いていけなくはない!オルフェウスとの特訓を思い出せ!」

 

 ゴーシュがドラゴへとパスを出す。だが、そこに鬼道が早く向かってインターセプト。

 

「上がれ!染岡、豪炎寺!」

「「おう!!」」

 

 凄まじいスピードではあるが、オルフェウスとの練習試合の効果がここで発揮されており、対応出来ている。

 

「佐久間!」

 

 鬼道から佐久間に。そのパスを、佐久間がセンタリング。そのボールに合わせて、豪炎寺が必殺技の体勢に入る。

 

「真!爆熱…スクリュゥゥゥーッ!!」

 

 豪炎寺の渾身の必殺シュートが、GKロココに向かって飛んでいく。だが、ロココは動揺していない。

 

 ロココが両腕をクロスすると、両手に赤いオーラを纏う。そのまま、豪炎寺のシュートに向かって飛んでいく。

 

「ゴッドハンド…X!!」

 

 そのまま右手から、赤いゴッドハンドを繰り出して、爆熱スクリューにぶつける。そして、豪炎寺のシュートを完璧に止める。

 

「ゴッドハンドX……?」

 

 円堂の山吹色のゴッドハンドや、立向居の青色のゴッドハンドと違い、豪炎寺の爆熱スクリューを、いとも簡単に止めてしまう赤いゴッドハンドをロココは繰り出してきた。

 流石、円堂の爺さんと共に歩んできただけはある。

 

 ロココは笑みを浮かべながら、ボールを下に落とし、そのままダイレクトに蹴り込む。ボールは凄まじい勢いで、円堂に向かって直線上に飛んでいく。

 

「ぐッ…!?」

 

 円堂の対応が遅くなるも、ロココのシュートをなんとか防ぐ。

 

「ゴールからゴールにダイレクトで蹴ってきやがったよ…」

 

 余程のキック力がなければ、今みたいなことは出来ない。ロココは、豪炎寺や染岡に引けを取らないキック力の持ち主ということになる。

 

「攻めろ、みんな!!」

 

 円堂が鬼道に向かって大きく投げ渡す。しかし、リトルギガントの素早いマークで鬼道はパスが出せない。

 俺はディフェンスラインから、一気に上がっていく。

 

「鬼道!上だ!」

 

 俺は走りながら、鬼道にそう伝える。マークされていても尚、使える必殺タクティクスが俺達にはある。

 

「そうか…!行くぞみんな!」

 

 鬼道は大きく跳んだ。

 

「必殺タクティクス…!ルート・オブ・スカイ!」

 

 韓国戦で繰り出した必殺タクティクス。鬼道、俺、佐久間、基山、風丸と、空中でダイレクトパスを出すことで、リトルギガントが反応出来ないでいる。

 

「そう来る……。ウィンディ!」

 

 ボールに合わせて動く豪炎寺に、DFのウィンディが向かっていく。

 

「取らせるかよ!豪炎寺!」

 

 染岡は空中で、更に上空へとボールを蹴り上げた。豪炎寺はそれに合わせて、大きく跳ぶ。

 

「うおおおォォッ!」

 

 すると、豪炎寺への高いパスをウィンディがクリア。ウィンディ一人で、ルート・オブ・スカイが破られた。

 クリアしたボールは俺のところに転がってくる。

 

 もうルート・オブ・スカイは使えない。なら、個人技で行くしかない。そう考えた俺は攻め始めようとすると、

 

「行くよ!」

 

 するとリトルギガントは、DFのウォルターとジニーを残し、それ以外のメンバーが俺を一斉に囲う。囲うと、そのまま時計回りに走り出していく。走り出すと、黄緑色の竜巻を起こし始める。

 

「必殺タクティクス…サークルプレードライブ!」

「くッ…!」

 

 俺は竜巻の中で、ボールを奪われないようにキープする。ボールを上に上げようと考えたが、竜巻は俺をどこかに誘導しようとし、そんな隙はなかった。

 そして竜巻は動きを止め、徐々に消えていく。周囲を見渡すと、なんと自陣のペナルティエリア内だった。

 

「戻されてたのかよ…!」

 

 するとリトルギガントは、こちらに一斉に襲いかかる。ボールをドラゴに奪われてしまい、シュートチャンスを作ってしまう。

 

「くらえェッ!ダブル・ジョー!!」

 

 ドラゴは空中でボールを右足で蹴り、更にボールを少し浮かせる。背後には恐竜のアゴと思われるものが出現し、そのアゴが噛み砕くモーションと同時に左足で蹴り飛ばす。

 打ち込まれたボールは激しく上下に反復し、円堂に向かって飛んでいく。

 

「ゴッド…キャッチッ!!」

 

 円堂はゴッドキャッチを繰り出す。しかし、呆気なく破れてしまい、ダブル・ジョーがゴールに突き刺さった。

 先制点を得たのはリトルギガント。

 

 今のゴッドキャッチがまだ未完成だったとはいえ、凄まじい威力のシュートだった。多分、真イジゲン・ザ・ハンドは通用しないと見ていい。ストライクサンバやガンショットより、ずっと強烈な技だ。

 

 ボールは俺達から。

 ホイッスルが鳴り響き、俺達は反撃を試みた。染岡がボールを持って上がっていく。

 しかし、ドラゴが染岡に追いついてマークに付いた。

 

「染岡くん!」

「おう!ヒロトッ!」

 

 染岡からの基山。基山から、今度は風丸に。風丸から、再び染岡へとボールを繋げる。

 

「轟け!!ドラゴン…スレイヤァァーッ!V3!!」

 

 染岡のドラゴンスレイヤーがロココに飛んでいく。

 

「ゴッドハンド…X!!」

 

 ロココは再びゴッドハンドXを繰り出し、ドラゴンスレイヤーを止めた。

 止めたロココはマキシに向けてボールを蹴り上げると、風丸がインターセプト。風丸はそのまま攻め上がっていくが、キートが前から向かってくる。

 

「風神の舞!改!!」

 

 風丸は風神の舞でキートを突破。風丸から、今度は基山にセンタリング。

 

「流星ブレード!V3!!」

 

 今度は基山の流星ブレードがロココに向かっていく。

 

「ゴッドハンド…X!!」

 

 ロココはまたもゴッドハンドXを繰り出し、流星ブレードを完璧に止める。

 ロココはシンティに向けてパス。攻め上がってくるシンティに向かって、俺は走っていく。

 

「ゴー・トゥー・ヘル!V2ッ!」

 

 俺はゴー・トゥー・ヘルでシンティからボールを奪う。そのまま佐久間に繋げる。

 

「豪炎寺!」

 

 佐久間から豪炎寺へのセンタリング。

 

「真!爆熱…スクリュゥゥゥーッ!!」

 

 豪炎寺は再び爆熱スクリューを放つ。

 

「ゴッドハンド…X!!」

 

 だが、ロココは豪炎寺のシュートをまた完璧に止めてみせる。あれだけ攻められておきながら、ロココは疲れを見せない。

 

「マキシ!」

 

 ロココからマキシにボールが渡る。今度はリトルギガントのカウンターだ。

 

「よーし!もう一点取るぞー!」

「させるか!」

「遅いよ!」

 

 マキシにマークに付いた鬼道。しかし、スピードに乗ったマキシは鬼道を躱す。マキシに対して、吹雪と飛鷹が立ちはだかるも。

 

「キート!」

 

 加速してのキートとのワンツーで簡単に突破される。そのままマキシはドラゴにセンタリング。

 

「よし、行くぜェッ!!ダブル・ジョー!!」

 

 ドラゴの強烈なシュートが円堂に襲いかかる。

 

「うおおおォォ!!ゴッドキャッチッ!!」

 

 円堂はゴッドキャッチを繰り出すが、まだ未完成のままだった。段々と円堂は押されていく。

 すると円堂は、ゴールに入れさせまいとして、我が身をゴールポストにぶつけることでダブル・ジョーを防いだ。ボールはそのままピッチの外に。

 

 しかし、リトルギガントからのコーナーキック。ピンチなのには変わりない。試合再開し、ウィンディが大きく蹴る。

 

「ユーム!」

 

 ボールはゴーシュに渡り、ユームと共に高速でパスを繋げる。

 

「デュアルストライクッ!!」

 

 高速パスで分裂したボールを、二人が同時に蹴り込み、再び一つのボールとなり、円堂に向かって襲いかかる。

 

「ゴッドキャッチ!!」

 

 円堂は諦めずにゴッドキャッチを繰り出すが、またも失敗。ボールがゴールに入ろうとしたその瞬間、壁山が飛び込み、ヘディングでシュートをクリアした。

 

「壁山!大丈夫か!?」

「絶対に…ゴールは破らせないっス!」

 

 いくら息巻いても、依然リトルギガントのチャンスに変わりはない。このまま攻められっぱなしじゃ、いつか体力が切れちまう。

 とはいえ、今の状況から脱するいい手が思いつかない。

 

 再度、リトルギガントのコーナーキック。シンティが蹴り上げると、飛鷹がヘディングし、そのこぼれ球を吹雪がクリア。

 

「まだだ!!」

 

 だが、クリアしたボールをドラゴが強引に取りに行った。

 

「ダブル・ジョー!!」

 

 円堂はゴッドキャッチの体勢に入る。しかし、背後の化身が消えてしまう。円堂が再び構えると、円堂の前に割り込む人物が。

 

「うぉッ!!」

 

 なんと、前線にいた染岡がペナルティエリアまで戻り、自身の身体を使ってダブル・ジョーを防いだ。だが、染岡は勢いよく転がっていく。

 

「そ、染岡!!」

 

 横たわる染岡に、みんなが駆け寄る。

 

「決めさせるかよ……ぐッ!」

「染岡!」

 

 今の一発で、染岡は身体を動かせないでいる。

 ここで、選手交代のコールが。負傷の染岡に変わり、宇都宮が入ることになる。染岡は、担架で運ばれていく。

 

「頼んだぞ、虎丸」

「…みなさんに、監督からの伝言があります」

「何?」

 

 俺達は、宇都宮からの伝言を聞いた。監督の指示は、だいぶ思い切ったものだった。

 だが、今の現状を考えると、それが一番最善の策かも知れない。

 

 三度、リトルギガントからのコーナーキックで試合が再開する。打ち上げられたボールを、キートがヘディングで弾き飛ばす。そのボールを、円堂がパンチングでクリア。

 

「クソッ!」

 

 円堂が弾いたボールを、俺がクリア。しかし、その先にはドラゴが現れ、ボールを持って攻め上がっていく。

 

「これで決める!」

「させるかぁッ!」

 

 宇都宮がドラゴに向かってスライディング。しかし、ドラゴはジャンプで躱す。

 

「「そこだッ!!」」

 

 ジャンプしたドラゴに向かって、鬼道と風丸の2人がかりのディフェンスでボールを弾く。だが弾いたボールをゴーシュが抑える。

 

「これでどうだ!」

 

 ゴーシュが蹴り込むボールに対して、豪炎寺が弾く。そのボールを基山がピッチのセンターサークルにクリア。

 その隙に俺達は、監督の指示に移行した。

 

「ッ!?」

 

 ピッチにいるメンバー全員が、ペナルティエリアを囲うように集結する。

 

「みんな……これは……」

「久遠監督の指示です」

「円堂。お前のゴッドキャッチが完成し、ボールをキープするまで…!」

「俺達もゴールを守る!」

 

 ゴッドキャッチが完成していない今、円堂だけに守らせるのは不安。なら、全員が集結してゴールを守ればいい。これこそ、物量作戦だ。

 

 俺達はリトルギガントの猛攻を、必死になって凌いでいく。だが、みんなの体力は徐々に削れていく。

 

「円堂…!いつも後ろでゴールを守ってるくせに、お前が守られてどうすんだよ…!」

「比企谷…」

「円堂!」

 

 そんな時、ベンチにいる監督から円堂に向けて声がかかる。監督は、何も伝えず、ただただ左腕を掴んでいただけだった。

 

 しかし、円堂ただ一人が、監督の行動の意味を読み取った。

 

「これだけシュートを打っても決められないなんてねー」

「あぁ。だがそれもここまでだ!」

 

 マキシからドラゴにボールが渡る。ドラゴがドリブルで、こちらに攻め上がってくる。

 

「うおおおォォッ…!!」

 

 ドラゴがシュートを打つ体勢になる。それに対応するために、鬼道と豪炎寺がドラゴに向かっていく。

 しかし、ドラゴはシュートを打たずに、マキシへとパス。マキシが受け取り、迫ってくる基山と宇都宮にボールを奪われる前に、キートへとパス。

 

「ドラゴ!」

 

 キートはヘディングで、ドラゴへとセンタリング。ドラゴは、ダブル・ジョーの構えに入る。

 

「ゴールは俺が守る!」

「吹っ飛べェッ!!ダブル・ジョー!!」

 

 ドラゴの強烈なシュートが円堂に向かって襲いかかる。

 円堂は再びゴッドキャッチの構えに。しかし、今までのとは何かが違った。

 

「イナズマァ……ジャパンッ!!!」

 

 円堂は背後の化身と共に、ダブル・ジョーに挑む。ダブル・ジョーの威力は段々と失い、円堂の手には、少量の雷を帯びたボールが収まっていた。

 遂に、リトルギガントのシュートを完璧に防いだのだ。

 

「出来た……出来たぞ…!ゴッドキャッチが完成したぁッ!!」

 

 あれがゴッドキャッチ…。近くにいたから分かる、あの力強さ…衝撃……。なんてキャッチ技なんだ…。

 

「やったな、円堂」

「いつも遅いんだよ、お前は」

「豪炎寺……」

 

 豪炎寺が円堂に拳を向ける。それに対して、円堂も豪炎寺に向けて拳を向けて、タッチする。

 

「待たせたな、みんな!全員で守った……今度は、全員で攻めよう!みんな、反撃だ!!」

「「おう!!」」

 

 ゴッドキャッチの完成とシュートを止めたことが、イナズマジャパンに良い影響を与えている。

 

 俺達は前に向かって走る。背後から円堂が、止めたボールを蹴り上げる。

 

「行くっス!」

 

 壁山がボールを受け取り、上がっていく。

 

「行かせないよ!」

 

 壁山に向かってマキシがスライディング。ボールを弾く。

 

「任せろ!」

 

 そのこぼれ球を鬼道が抑える。前から、ドラゴが詰めてきている。しかし、鬼道は勢いに乗ってドラゴを躱す。

 

「飛鷹!」

 

 鬼道から飛鷹に。

 

「比企谷!」

 

 飛鷹から、今度は俺にパス。ボールを受けた俺は、前に向かって突き進む。

 

「俺が止める!」

 

 ゴーシュからのスライディング。俺はボールを宙に浮かして、そのスライディングをやり過ごし、躱していく。

 

「何ッ!」

「吹雪!」

 

 ゴーシュを躱した俺は、吹雪に繋げる。前からシンティとウィンディが走ってくる。

 吹雪は物怖じせず、スピードに乗って二人を強引に突破。

 

 俺達は次々と向かってくるリトルギガントを、躱していく。

 

 俺達の後ろには、あのサッカーバカがいる。ならば、俺達は前に突き進むだけだ。それが、俺達の役割だ。

 ボールは巡り巡って、基山に渡る。

 

「通させねぇッ!!」

 

 ドラゴが基山に厳しいマークで、ドリブルを防ぐ。ボールは転がっていき、そこには誰もいない。

 そう思いきや。

 

「ッ!?」

 

 こぼれ球を、ゴールから前線まで走り込んできていた円堂が抑えた。円堂がそのままドリブルし、ボールを蹴り上げる。

 

「うおおおおォォォッ!!」

 

 基山が雄叫びを上げながら、上体を屈ませる。右手を地面につき、風のオーラを纏いながら、地面を大きく蹴ってボールに向かって飛んでいく。そのまま、一回転しながらボールを蹴り込む。

 

「天空……落としいいィィィッ!!」

 

 蹴り込まれたボールは、流星ブレードを遥かに超えるエネルギーを纏いながら、ロココに向かって飛んでいく。

 

「ゴッドハンド…X!!」

 

 ロココはゴッドハンドXを繰り出す。だが、先程とは違い、徐々に後ろに退がっていく。

 

「ぐッ…!くッ……!」

 

 ロココは粘る。

 しかし、天空落としの威力に押されてしまい。

 

「ぐあァッ!!」

 

 ゴッドハンドXが破れ、リトルギガントのゴールに突き刺さった。

 

「や、やった!」

 

 基山の新技、天空落としが見事に決まり、リトルギガントから一点を取り返した。1-1。イナズマジャパンは、同点に追いついた。

 

 ここで、前半終了のホイッスルが鳴り響く。

まだまだ油断は出来ないが、ひとまず一息つける。

 

 

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