気づけば私は真っ白な部屋の真っ白なベッドで眠っていた。
訳も分からず周りを見渡すが広がるは白、白、白……。逆に目が疲れてくる。
「ああ、やっと起きたんだ」
声にびっくりして反応できずにいると、声の主はひょこっと私の前に姿を現す。
人畜無害そうな表情を浮かべて私に話しかける。
「驚いているんだ?」
「そりゃ、そうですよ」
「姿形を人間にちゃんと寄せたんだけどな」
「どういうことですか」
「僕は神。いろんな人間が崇拝する神の中の一人さ」
ニコリと笑う神、様?は私の頭をこんこんとノックするように小突く。
「もしもし、大丈夫?ちゃんと僕の話聞いてる?」
「聞いてます。それでなんで神様が私の前に?」
「そうだね、そこから話そうね」
神様はゆっくりと目を閉じて話し始める。
「君は死んだ。夜中に侵入してきた強盗によって殺されてしまったんだ。しかも君"だけ"が死んだんだ」
ヒュ、と息が止まるのが分かった。
死んだ?しかも私だけが?
「家族は無事で、私だけが死んだんですか?」
「そうだよ、君だけが死んだのさ。ああ、可哀想にね」
神様が首を横に振ってもう一度「可哀想だ」と言った。
そんな事あるのだろうか、私だけが死ぬなんて。
……いや、有り得るのだろう。私以外も殺されかけたけど奇跡的に生きていただけなのだ。
私が不運なだけだったのだ。
何も言えずただ放心するだけの私に神様がまた頭を小突く。
「そんな不幸な君にもう一度チャンスをあげようと思って今、僕はここにいる」
「チャンスってなんですか。私を生き返らせてくれるとでも言うんですか」
「それに近いことはしてあげようと思っている。君はさ、転生って知ってるかい?」
「ええ、まあ」
「なら話は早いね。これから行くは君の世界の常識がてんで通じない場所さ、僕があげるのはその世界の常識」
神様が私の頭に触れる、ぽわ、とあたたかくなる。
「今はよくわからなくても転生後には役に立つものだよ。ああそれとね、僕では君の不運を全部取り除けなかったよ」
「神様でもできないことがあるんですね」
「そりゃあるさ、神は万能ではないのだから」
「万能じゃないんですね」
「ああそうさ、君の不運不幸は取り除こうとしても奥底にあるこびりついたのがどうも取れなくってね」
「なんですかそれ」
「僕が聞きたいよ。君のその不幸は誰譲りだい?」
「母方の遺伝ですかね。私は濃く受け継いでしまったんでしょうか」
「はは、そういった遺伝は僕らには取り除けないねぇ。ほらほら、一度お眠り。次起きた時は別世界さ」
神様に半強制的に目を閉ざされたとき、めりめりと変な音が鳴る。
何かをこじ開けようとするような、そんな音が聞こえた。
「ああ、 君は本当に不運だね。僕らは転生させる世界は選べても親元は選べない。ごめんね、 」