Sunshine!!&ORB   作:星宇海

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都市伝説なのってくらいGPウルトラメダルも食玩も置いてないんですけど……


第11話 堕天使降臨

誰も使われなくなった廃工場。

 

普段であればそんな場所に誰かがいる……なんてことは無い。しかし、その工場内でノートパソコンを広げている男が1人。

 

彼が見ている画面にはなにやら暗い部屋で蝋燭を灯し、呪文のような言葉を唱えている少女の姿が映し出されていた。少なくともこの星で日常的に使うような言葉ではない。

 

地球に潜伏して数ヶ月。このような言葉を使うのはメディアで取り上げられるフィクション作品がほとんどである。

 

 

『かの約束の地に降臨した堕天使ヨハネの魔眼が、その全てを見通すのです!』

 

 

「やはりこの女は面白いなぁ……」

 

そう言って彼はコメントを送り、次の餌は彼女にでもしようかなと考えてみる。

 

 

『すべてのリトルデーモンに授ける……堕天の力を!』

 

 

彼女の目の前に配置されていた蝋燭の炎が消えると同時に、放送が終了したことを知らせるテロップが現れる。

 

地球の文化も、そこに住む人々も変わってるなと思いながら彼は工場の奥に潜ませている”何か”へと歩いていった。そこには怪しい光が黄色く輝いているのだった。

 

 

 

 

 

と、同時に遠方では「やってしまったぁぁぁー!!!」と少女の声が過剰な暑さで満たされた外で響いてたとかなんとか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

「とまあ、教科書に書いてある通りなんだが……」

 

季節外れにもほどがあるだろ! と叫びたくなるほどの暑さが相変わらず続いている。しかし、原因は未だ不明ときたから不思議でしょうがない。このような暑さと訳の分からぬ授業でのコンボは、物理的に頭から湯気が出てきそうだと一眞に思わせていた。

 

「最近暑いね。もう何か燃えてんのかってくらい暑いね。それで思い出したんだけどね……」

 

教科書の内容から脱線を始める教師。心なしこっちの方が楽しそうにしゃべる。

 

(いやこれも実は覚えておくといいことがあるんじゃ……)

 

「消火って言っても色々方法があってね、そんな中でも爆風消火ってのがあるのよ。強力な爆風で火を吹き飛ばすってやつね。これね、すごくってね、一瞬で消火可能なの。特に森林火災とか油田火災とかに用いられるのね。まあ、この話は覚えなくっていいから……」

 

(覚えなくていいのかよ……期待して損した)

 

「か、一眞くん……大丈夫?」

 

それにどこに思い出す要素があったのだろうか。窓を開け熱気を逃がそうとしているがあまり効果が見受けられない教室の空気を憂鬱に思いながら、一眞はノートに視線を落とした。

 

隣では言葉には出さずともわかりやすい反応を示していた一眞を心配する梨子の姿があったが、誰にも気付かれることは無かった。

 

 

 

気温の異常な上昇という前代未聞な環境的問題と同じくらいに、とある問題がスクールアイドル部には存在していた。

 

 

 

「今日も上がってないね……」

 

千歌のため息とともに曜が言った。見ているのはスクールアイドルAqoursのランキング。登録はしたものの、現実は甘くなく、数多くいるスクールアイドルのただ一つに過ぎないという現実を突きつけられているのだ。

 

「4856位で今日が4768位ね……」

 

「落ちてはいないけど」

 

「かといって喜べる順位でもないけどね」

 

梨子と一眞もため息を吐いてしまう。下がってはいない。しかし誰からも注目される順位なのかと聞かれると首を横に振るしかない。

 

「ライブの歌は評判良いんですけどね……」

 

「あと新加入の2人もなかなかの評判だぞ」

 

ルビィは「そうなんですか!?」と興奮気味に問う。すると曜が、その評判を裏付ける証拠の書き込みを読み上げていった。ルビィや花丸が可愛いと言った書き込みがここ最近では多く書かれている。もちろん、千歌や曜、梨子への書き込みも確認できた。

 

が、花丸は評判よりも

 

「これがパソコン……」

 

「そこっ!?」

 

目の前にある、情報機器に釘付けであった。

 

「これが知識の海に繋がっているという……インターネット!?」

 

ソロソロ……とパソコンへと近づいていく。知識の海……なんて言い方が彼女が普段文学を嗜んでいることを容易に想像させてくれる。

 

「花丸ちゃん、お家が古いお寺なんで電化製品とかほとんどないみたいなんです」

 

今どきの少女である花丸がなぜパソコンにこれほど興味を抱いているのか、ルビィが説明してくれた。

 

「だからって大袈裟な……」

 

一眞が呟く。

 

「カズくんもはじめはこのくらいだったよね?」

 

「いや~、あれは初めて文明の利器に触れた人って感じだったよ」

 

千歌と曜は彼も花丸と同じ、それ以上のリアクションを過去にとっていたことをニヤニヤしながら話していた。

 

「そ、そんなのはいいだろ! 昔の話だし……」

 

彼も3年前はパソコンや携帯の便利さに声を上げていたのだ。その姿は曜が言っていた”初めて触れた人”であるかのように。

 

後ろで盛り上がっていたところ、花丸はパソコンのとあるボタンに触れた。すると画面が真っ暗になる。

 

「なに押したの?」

 

「光ってるボタンがあるから、なにか――――」

 

瞬間、梨子と曜はものすごいスピードでパソコンへと寄った。その速さは花丸の髪の毛が風で舞い上がる程である。

 

(どんだけスピード出してんの!?)

 

「データ保存してたっけな~」

 

「マ、マル……何か悪いことしました?」

 

後ろに(震え声)がつくくらいには恐る恐る尋ねる花丸。

 

 

 

 

幸い、データが消えるという非常事態に至ることは無かった。

 

 

 

 

 

「こんなに弘法大師空海の情報が……」

 

その後、パソコンの使い方について説明を受けている花丸。にしても空海を調べるとは……。

 

「もう、これから練習なのにっ」

 

「少しくらい、いいんじゃない?」

 

梨子をなだめる曜に対し、千歌はそれとはまた別の悩みを抱えていた。

 

「それよりランキングどうにかしないとだよね……」

 

「スクールアイドルは毎年増えていますから」

 

A-RISEやμ’sのおかげでスクールアイドルの人気は飛躍的に高まった。だがルビィが言ったように毎年毎年数も段々と増えていっているのも事実。このままでは埋もれてしまう可能性もあるのだ。

 

「地味&地味で地味なところのスクールアイドルだし」

 

目立たなければ注目されないし、人気にもならない。取り立てて尖っている(注目されている)ものがないというのは普遍的なものとして見られやすいのだ。

 

そして地元の地味さという点に肩をおとしている千歌に、梨子はとある案を上げてみる。

 

「名前をもっと奇抜にしてみるとか?」

 

「スリーマーメイドに? あ、ファイブか」

 

「なんでそれを掘り出してきたんだ……」

 

梨子の思い出したくない失敗の1つであるスリーマーメイドというグループ名の案。だがルビィには以外にも好評であった。さらに設定を付け始め、ファンの応援があれば足になり踊れるようになるらしい。

 

「でも代償として声が出せなくなるという……」

 

「ダメじゃん!」

 

曜へとツッコミを入れる千歌。もっともだ。ってかなんで人魚姫の話になっているのか。

 

「盛り上がってるとこ悪いが、今からグループ名変えるとかいろんな人が混乱するからダメだ」

 

「そ、そうよね」

 

「えっと、梨子ちゃんなんだっけ? ス、スリー……」

 

「うるさいぞ千歌」

 

ワイワイと騒ぎ始めている中、花丸は校舎の方へと向かっていった。すぐに戻ってくるだろうと考えた一眞は、練習を始めようと声をかけた。

 

「そうだね……って言いたいとこだけど」

 

曜は空を仰ぐ。この形容しがたい暑さが意欲をさながら氷のように溶かしている。そのことについては、梨子も思うところがあるようだ。

 

「それにしても、最近は暑くて困るわ」

 

「だな。水分はしっかりとれよ……」

 

そう言って一眞は空を見上げる。青い空には変わらず輝き続ける太陽が2つ。

 

2つあるのだ。

 

「ええええええええええ!?」

 

横から千歌の声が聞こえてきた。彼女も空の異変に気付いたのだ。

 

「どうしたの……ええなんで!? た、太陽が!? 梨子ちゃんもほ、ほらあれ!?」

 

「どうなっているの!?」

 

「ピギィッ!?」

 

太陽が2つ現れるという異常現象に驚愕する。すると片方の太陽は火の玉のように周囲から炎を噴出させながら、熱波を飛ばし、火球を撃ちだしたのだ。

 

無差別に飛ばされ、さらに上空という面から街には被害が大きく出てしまっている。一度に大量の破壊活動を行う火球を見据え、一眞は千歌たちに伝えた。

 

「早く逃げるぞ!」

 

「そ、そうだね。みんな下に降りよう!」

 

階段を使い、玄関まで下りていく。するとそこには花丸と、右側に団子を作った長髪の少女津島善子がいた。一眞は彼女に既視感を覚えつつもみんなを安全な場所へと非難させる。

 

 

 

 

 

もっとも、あのように空から降らされては安全な場所も限られてきてしまう。これ以上の被害を防ぐために、一眞は陰に隠れながらオーブリングを空へと掲げた。

 

 

 

《ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン》

 

 

 

「オーブずら!」

 

「あれが……ウルトラマンオーブ」

 

花丸と共に光の巨人の姿を見上げる善子。テレビでは何度も見てきた姿。しかし実際に見るそれの神々しさに言葉を失う。

 

 

 

オーブは降り注ぐ火球を『スペリオンシールド』というバリアで防いで被害を食い止める。続いて手を合わせて強力な水流を噴射した。辺り一面の火を消すと共に、あの空で怪しく輝く巨大な火の玉を消火しようというのだ。

 

「手から水も出せるの!?」

 

「これなら……!」

 

あの太陽擬きもこれで消せるだろう……誰もがそう思っていた。

 

 

(これでどうだ……何っ!?)

 

一時的に消えたものの、なんと再び燃え上がってきたのだ。これにはオーブ含め誰もが驚愕する。

 

(消火がダメなら……)

 

オーブは空高く飛び上がり、スペリオン光輪の準備動作にはいる。いつものように右腕を引き絞るが、今回はいつも以上にエネルギーを右手へと集めていく。

 

「でっか……」

 

「音が大きいずら……」

 

そのエネルギーによって光輪は普段の何倍もの大きさへと変化していった。手で回転している際に発する音も普段以上に重々しくなっている。

 

(コイツで切り裂いてやるっ! スペリオン……光輪ッ!!)

 

空気を裂く音を響かせ、火の玉へと飛んでいく。見事に表面を裂くが、これすらも決定打にはならない。

 

(くそ、なんなんだコイツは!)

 

オーブは空に浮かぶ巨大な火の玉を睨みつける。全方位からスペリオン光線を撃ってみるなど策を考える。しかし、そんなエネルギー消費のリスクが高いことをするなと心のどこかで聞こえた気がした。

 

(なら、どうする……宇宙まで持っていくか?)

 

水流でもダメ、切断でも効果なし……これでは苦し紛れに宇宙に放るか、と考え始めた一眞の脳裏に今日の授業の1コマ……教師の話が蘇った。

 

 

 

――――爆風消火ってのがあるのよ。強力な爆風で火を吹き飛ばすってやつね。これね、すごくってね、一瞬で消火可能なの。

 

 

 

(あれだ!)

 

 

一眞はすかさず炎を操る二本角の戦士へとフュージョンアップした。

 

 

 

《ウルトラマンオーブ バーンマイト》

 

 

 

もう1つの”本物の太陽”を背に立つオーブ。偽りの日輪を消し去るため、胸部にエネルギーを貯める。オーブは目の前で浮遊する太陽と酷似した火球を生成する。しかしそれは怪しく輝くものではなく、何かを照らし、悪しきものを焼き尽くす輝きであった。

 

 

(ストビューム…………バーストォォォォォォォ!!!!)

 

 

以前に放った以上の剛力で打ち出された火球は、日輪へと直撃。その直後に大爆発を起こした。その爆風によって球体状に包んでいた炎は消え去る。

 

「なんだっけ……爆風……消火!」

 

「なに、それ?」

 

「千歌ちゃん聞いてなかったの!?」

 

2つの火球の衝突を見た梨子は、今朝の記憶からその現象を言い当てる。しかし、どうやら千歌には分からなかったようだ。つまり話を聞いていなかったということ。

 

爆発の中から赤い体の巨体が地上へと降り立つ。ある場所は刺々しく、ある場所はゴツゴツとした1つの体に2つの首を合体させたような頭。そして真ん中には怪しく輝くクリスタル。

 

(コイツが元凶ってワケか)

 

偽りの日輪の正体。火の魔王獣『マガパンドン』である。

 

「あ、あれが天に浮かぶ偽りの光球の正体!? まさかこの堕天使ヨハネを騙していたなんて……ハッ!?」

 

「怪獣だったなんて……」

 

「偽りの光球……マル、どこかで似たような言葉を見たことあるような気が……」

 

Aqoursメンバーや善子がそれぞれ話す中、オーブは目の前のマガパンドンへと構えをとった。

 

 

 

共に地面を蹴り突進。そのまま大地が巻き上がるほどの衝撃を上げながら掴みあう両者。バーンマイトという強力なパワーを持った形態と張り合う程の怪力を見せるマガパンドン。

 

すかさず懐に膝蹴り、そして脇腹にも横蹴りをあびせる。魔王獣の反撃を寸でのところで躱し、何発ものボディブローをくらわせた。

 

首元を掴んで声を張り上げる。その声と共に増強された怪力を生かして、オーブのバックドロップが決まった。

 

「「■、■■ッーー!!」」

 

2つの首が別々のタイミングで鳴いたかと思うと、口から日輪状態でも撃ちだした火球を放つ。これをもろに受けてしまい、後方へと吹き飛ぶオーブ。その体がビルを瓦礫の山へと変えてしまう。

 

(コイツ自体の力だったのか!)

 

マガパンドンは、絶え間なく火球を発射する。1か所に絞っているためか、日論状態よりも火球の出が早い。オーブは咄嗟に拳でその火球を撃ち払っていくが、さすがに追いつかず『ストビュームディフェンサー』という光の盾を生成し、攻撃を防ぐ。

 

火球の雨が止んだ瞬間に駆けだすが、新しく放たれた2色のビームがオーブの体を抉った。

 

先ほど撃たれた火球とはまた違った痛みに一眞は顔を滲ませる。

 

口から再度発射された色違いの光線はアスファルトの地面を削り壊していき、オーブへと近づいていく。

 

立ち上がることで精一杯なオーブはまたしてもこれを受けてしまう。それと共に飛び散ったエネルギーが誘爆し、巨大な爆発となって体や街にダメージを与えてしまう。カラータイマーも青から赤へと変わり点滅を始める。

 

「「■■ーー、■■■ッー!」」

 

するとマガパンドンは街の方へと向き直り、火球を飛ばしていく。たちまち上がる火の手。このままでは辺りが火の海へと変わってしまう。

 

(やめろっーー!!)

 

オーブは今だ痛む体を押して走る。嘴の中に手を突っ込む。出口を失った炎は内部で爆発する。

 

「「■、■■■■■ーーーーーー!!!???!!??」」

 

怒りに腕を振るうマガパンドンを投げ飛ばす。

 

(火と火じゃあ相性悪いか……)

 

オーブは再度スペシウムゼペリオンへとフュージョンアップ。その隙に強力な腕部の攻撃を2度、3度受けてしまうが、カウンターのまわし蹴りで大きく飛ばすことに成功した。

 

「よしっ!」

 

「いっけーー!」

 

形勢がこちらに向いてきた。マガパンドンは先ほどのように火球を飛ばしてくる。

 

(同じ攻撃ばかりっ!)

 

彼は両腕にエネルギーを宿し、攻撃範囲を広くすることで飛んでくる火球を素早く、簡単に叩き落とす。迫りくる火球を落としていきながらマガパンドンへと接近し、オーブはすれ違いざまに光エネルギーを宿した手刀で首元を振りぬいた。

 

そして魔王獣へと向き直ったオーブは、残り少ないエネルギーでスペリオン光輪を放つ。しかしトドメとなるはずだった攻撃は、マガパンドンの火球で打ち消されてしまう。

 

(………)

 

 

 

だがオーブは動揺などしなかった。ヤツが弾いた瞬間に”もう1つのスペリオン光輪”がマガパンドンの首元を切り裂いたのだ。撃ち落されるとわかっていての二発目が、ヤツへのトドメとなったのだ。

 

 

首から上を失ったマガパンドンはゆっくりと、前へ前へと、足を出していきながら……その巨体を地面へと伏したのだった。

 

 

そして最後にはいつものような静けさ……。オーブは辺りを確認したような動作の後、空へと飛んでいくのだった。

 

 

 

 

 

「見たとき思ったけど、コイツもクリスタル持ちか」

 

禍々しく光るクリスタルを見て呟く一眞。

 

「これまた派手な」

 

新たなカードを見て驚く一眞。赤と青のツートンカラーや胸から肩にかけてのプロテクターにも目を引かれる。何よりもその特徴は頭の2つの

 

「なにこれ……トサカ? なんか目つきも悪いし……」

 

とりあえずカードホルダーに入れた一眞は先ほどクリスタルのあった場所を見つめる。

 

「にしても、なんなんだよ一体」

 

自分が倒してきた怪獣の一部に確認できたクリスタル。そしてそこから手に入るウルトラマンと呼ばれる戦士たちが描かれたカード……。

 

出現するたびに衝動的に戦っていたが、よくよく考えてみると、何の目的があって、一体何が起こっているのか、一眞にはわからないことだらけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

「なるほど……今のヤツには2パターンの形態があるという訳か」

 

廃工場内で映像を見ていた男は感心したように呟く。その映像に映っていたのはオーブと魔王獣の闘いだ。

 

とある怪獣にオーブの戦闘パターンを学習させ、それをぶつけるつもりなのだ。

 

「へえ~、随分と楽しそうなことをしているじゃないか」

 

男の背後に忍び寄った影。背筋をゾクッとさせ、男は振り向いた。そこには上品なスーツを纏ったアオボシが立っていた。

 

「お、オマエか……ビビらせるなよ」

 

「それは申し訳ないことをした。謝るよ」

 

何事もなかったかのように男は作業を続ける。

 

「どうだい、順調かな?」

 

「ああ、あともう少しでオーブとやらにぶつけられる」

 

その報告を聞き、アオボシは嬉しそうに笑みを浮かべる。また彼は辺りに置かれている”この星のものではない”作業道具を見ている。

 

「やっぱり不思議なんだが……」

 

唐突に発された言葉にアオボシは首をかしげる。

 

「なんでお前がオレたちに手を貸しているんだ? 惑星侵略連合でもないのに」

 

作業の手を止めずに尋ねられたことに際して、アオボシはああ……と笑いを含めて話し出した。

 

「あのお方の命令……だけじゃ不満かな?」

 

「それ以外にもあるだろ。……なんか含みを感じるぞ」

 

眉を上げるが、その笑みが消えることは無い。

 

「惑星侵略連合の長が持っていると言われている”黒き王”……。侵略連合に手を貸したら僕の手に……と取引を持ち掛けたのさ」

 

(ま、君たちとは利害の一致。あのお方は不要となったら切り捨てる……所詮はそれだけの関係さ)

 

「そう言われれば……そんな話を聞いたような気もするな。ま、正直オレには関係のないことだけどな」

 

アオボシの腹に抱えるものが見抜かれることは無く、男は揚々と話しかけていた。

 

「ん……? これは使えそうだ」

 

とあるものに目が入ったアオボシは不敵に笑い、男に提案をした。その目には狂気が宿っているようにも感じた。

 

「オーブに確実にぶつけたいのなら、この子で釣るといい」

 

「どういうことだ?」

 

「堕天使ヨハネは彼と同じ高校の生徒だ」

 

「な、なに!? ってか高校生ってどういうことだ!?」

 

一角に貼ってあったヨハネの写真を見てアオボシは提案した。しかし、それ以上の情報に彼はうろたえる。その瞬間、アオボシは男へと詰め寄り答えるように迫る。

 

「僕の情報は確かだ。それを信じるか、信じないか……ここにあるのはそれだけだ」

 

「わ、わかった。そうさせてもらう」

 

彼の狂気的な目、そして全身から感じ取れる雰囲気に首を縦に振らざるを得ない男。それを見たアオボシは満足そうに言葉を残して去っていく。

 

「それじゃあ頼むよ。バット星人」

 

冷たい風が吹き抜ける。残されたのはバット星人が擬態した男と、後ろでうごめく巨大な陰だけであった。




今回から善子回です。マガパンドンは首を切り落として倒したいなって……規制もないしやってしまおうと。で、ヨハネの配信を見ているバット星人と。あんた侵略連合だろ……でもほら、ちゃんとオーブの研究してたから多少の息抜きはね?
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