Sunshine!!&ORB   作:星宇海

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タイトルでわかる通り、あの話の前編です。
あと、鞠莉と善子……ごめん。


第23話 純白の判決者

「はあ……」

 

 

 

何度目かのため息を吐き、一眞は砂浜へと腰を下ろす。

 

頭上から照り付けている日差しは、チリチリと肌を焼くような感覚を思わせ、気温と体温を上げる。体を冷却しようと、大量の汗が噴き出るという不快感。加えて耳に絶えず響くのは、セミの声以外にも、打ち付ける波の音だったり、それにはしゃぐ多くの声。そこには、見覚えのある人々もちらほらと……。

 

目の保養……なんて言ってられる場合ではないし、言いたくも思いたくもなかった。当初の目的から若干乖離しているのでは……なんてものが頭の大半を占めていたからだ。

 

 

 

 

さらに、一眞はそこまで精神面でも、体調面でも、それほど好調なんて言えるほどのコンディションではなかったからでもあった。

 

Aqoursは9人となり新たなスタートを切れた。しかし一眞は自身はどうだったのか。答えはノーだ。彼は未だに自身の役割に悩んでいた。しかしダイヤに言われたこと、さらに”ここで何かを見つけたい”という自分の執着が、この場に留めている。自分の弱みを見せたくなかった一眞は、”俺は大丈夫”という偽りの仮面を被り、今日まで過ごしていたのだった。

 

「結局、遊んでばかりですわね……」

 

白い水着に身を包んだダイヤの、呆れたような声が横から聞こえてくる。

 

「朝4時に来たらマル以外……誰もいなかったずら……」

 

「当ったり前よ。無理に決まってるじゃない」

 

ここまで何時間待たせたのか……なんて思いの籠った花丸の言葉を、善子はあっさりと一蹴してしまう。ダイヤは自分で言っておいた故の不甲斐ない感情に見舞われているのだろう。顔を背け、海の家を探し始めた。

 

 

 

 

 

しかし一体全体、何故このような話になったのか。それは昨日の練習中にまで遡ることとなる。

 

 

 

 

 

 

~~

 

遂に突入した夏休み。変わらず屋上で練習するAqoursに、鞠莉とダイヤは問いかけたのだった。

 

「Summer vacationと言えば?」

 

 

「やっぱり海だよね?」

 

「夏休みはパパが帰ってくるんだ!」

 

「マルはおばあちゃん家に」

 

「……夏コミッ!」

 

千歌、曜、花丸、そして黒いマントをはためかせた善子。彼女たちは夏休みに連想すること、やることを挙げていく。 だが、どれもダイヤが納得するような回答ではなかったらしく、彼女は肩を震わせた。それは怒りだったのだろうか……。

 

「ブッブーーー!!!! ですわ!!!!!!!」

 

それでもスクールアイドルなのかと、ダイヤはご立腹の様子。しかし、このような言葉を使う人だったのかと、困惑が先に千歌たちを襲ったのは言うまでもない。一眞もその1人である。

 

ルビィが言うには、ラブライブが開催されるが正解だったようで部室の中では、ダイヤとルビィの姉妹コントも見ることができたのだった。それは今までのダイヤのイメージを根底から覆すようなものであるとも感じ取れた。

 

「でも、自分で机叩いて痛がってたこともあったし……」

 

「放送入れっぱなしで話してたこともあったよね?」

 

と千歌や曜は隣で唖然としている一眞に説明する。「そんなことが……」と声を震わす一眞の反応には目もくれず、ダイヤはホワイトボードに紙を貼った。

 

そこには遠泳10㎞やランニング15㎞なんてメニューが書かれてあった。この練習メニューはμ’sのものらしいのだが、こんな無茶苦茶なメニューをこなせていたのだろうかと疑問に思っている一眞の横では、千歌や花丸、善子などが唾を飲み込んでいた。やったら死ぬ。彼女たちの本能がそう告げていたのだろう。

 

「ま、何とかなりそうね」

 

果南だけは違ったが。

 

「さっすがたい……何でもないです」

 

「うん、よろしい」

 

自身を睨む果南の視線を感じた一眞は、それ以上は何も言わなかった。

 

「なんでこんなやる気なの……?」

 

目を疑うようなメニューに、根性論で押し通そうとするダイヤが不思議だったのか、曜が呟くとその訳を鞠莉が説明してくれた。

 

「多分、ずっと我慢してただけに今までの想いがシャイニーしたのかも」

 

2年もの間、蓋をし続け膨大に膨れ上がったそのスクールアイドルへ感情が爆発したのだと鞠莉は言っているのだろう。ある意味微笑ましいものなのかもしれないが、その方向性というか熱量がぶっ飛んでいる。

 

そんな中、千歌と曜は海の家を手伝うことになっていたのを思い出したのだ。さらには果南も。気合を入れて考えてきた練習ができないことにダイヤが苦言を漏らす中

 

「じゃあ、昼は全員で海の家手伝って、morning&eveningに練習すればいいんじゃない?」

 

熱気のある昼間ではなく、比較的涼しくなる時間帯に練習をするというものであった。それまでの時間は海の家の手伝いというもの。鞠莉の提案に、練習時間が短くなるという問題を見つけたダイヤであったが、

 

「じゃあ夏休みだし、うちで合宿にしない?」

 

と千歌が提案する。旅館である千歌の家であれば、一部屋は借りられるであろうというものであった。さらに、移動時間の短縮にもつながる。

 

そして明日の朝4時に集合とダイヤが言い、時間は現在に戻るわけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はて、そのお店はどこですの?」

 

「現実を見るずら」

 

ダイヤは、目の前にある少々古びれた海の家をスルーしようとしたが、花丸の冷たい一言で現実を認識させられる。

 

対する隣へと視線を向けると、なんともお洒落な店内のようであり、そこにはたくさんのお客さんで溢れかえっているようだった。

 

「都会ずら~」

 

花丸は興味を引かれているようであり、ダイヤはダメだと肩を落としてしまう。

 

「都会の軍門に下るのデェスカ?」

 

すると海の方から鞠莉が全員に語りかける。その声質的にも何やら闘志を燃やしているようなのは明らかであった。

 

「私たちはラブライブの決勝を目指しているんでしょ? あんなチャラチャラしたお店に負けるわけにはいかないわ!」

 

この言葉でダイヤにも完全に火がついてしまった。そして海の家の売り上げを伸ばし救世主となるためにダイヤ指揮の元、手伝いが始まったわけなのだが……。

 

「曜、大丈夫か?」

 

「うん、大丈夫……だと思う」

 

一眞の問いにも歯切れ悪く答える曜。それもそのはず。料理を任された曜はオムソバのような”ヨキソバ”を作ったのだが、残りの2人、善子と鞠莉はなにやら怪しげなものを作っていたのだ。善子は黒いたこ焼きのような”堕天使の涙”。鞠莉に至っては鍋が紫色に光っていた。

 

 

売り上げについては千歌が友達に連絡したおかげで、一応なんとかなった。

 

 

 

 

 

そんな海の家の手伝いも少し慣れ始めた頃、空から魔法陣が現れた。

 

「え、なにあれ!?」

 

「本当に天界の使者ずらか?」

 

「フフフッ……ようやく、ヨハネの召喚に答えてくれたのね」

 

と千歌たちが口々に言うその魔法陣にはAqoursはおろか、ビーチにいた人々も目を見張っていた。

 

すると、空の魔法陣を囲むようにして複数の魔法陣が出現。まるで3Dプリンターのように何かの姿を描き出していく。それは金や黒で彩られた白い体をもつ所謂”竜人”といったようなフォルムであり、どこか神秘的であった。

 

もしかするとどこかから転送されてきたのだろうか。魔法陣から海の方へ落とされると、片膝をついたまま動くことはなかった。

 

「動かない……?」

 

「みたいだね」

 

びくともしないその巨体を不思議そうに見つめていると、善子が声を上げる。

 

「よくぞ現れた! 我が堕天の眷属サルヴァトロン!」

 

「善子ちゃん、なにそれ?」

 

いつもの堕天使ポーズをとる善子にルビィは尋ねる。

 

「リトルデーモン4号にだけ教えてあげるわ。サルヴァトロンとは――――「イタリア語で救世主って意味ね」

 

鞠莉が先に答えると、「なんで言っちゃうのよーー!!」と善子は両手を振り上げながら声を上げている姿が目に入る。

 

「それよりももっとstraightな名前で行きましょ! ずばり、Galaxy dragon!」

 

鞠莉は今だ佇む竜人を指さす。しかし善子はそれに気に入らないようで「サルヴァトロンよ!」と噛みつく。しかし鞠莉も負けずに「いいえ、Galaxy dragonよ!!」と張り合う。

 

「まず宇宙から来たかもわからないじゃない!」

 

「そんなこと言ったらHeavenから来たかどうかもわからないじゃない!!」

 

「2人ともおやめなさい」

 

「もう、鞠莉!」

 

「善子ちゃんやめるずら!」

 

2人は譲らず、自分の意見で張り合っており周りの制止の声も聞かなかった。

 

すると遠くの竜人から、何やら優しい音楽が流され始めた。それを聞くと安心するようであり、2人は徐々に落ち着きを取り戻していった。

 

「Sorry、言い過ぎたわね」

 

「こっちこそ……ごめん」

 

「どうやら2人とも仲直りできたようだね」

 

「じゃあさ、いっそのこと名前を合わせればいいんじゃね?」

 

一眞の提案に、善子と鞠莉は顔を見合わせる。

 

「ギャラクシー……」

 

「ヴァトロン……」

 

 

「「ギャラクトロン!!」」

 

 

とりあえず、あの竜人の名はギャラクトロンで決定した。

 

しかしその何もせずに膝をつく姿、鞠莉と善子を止めた音楽。得体のしれない行動に、一眞は不安を募らせた瞳でギャラクトロンを見上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

その後の練習では果南以外はバテてしまっていた。有り余る体力を持った果南の方が凄いのかもしれないが、それを口に出す勇気は一眞にはなかった。

 

 

さらに夕飯では、余った食材は自分たちで処理しろと言われたようで大量に売れ残った堕天使の涙とシャイ

煮を食べることとなった。だが、シャイ煮は予想以上に美味く箸が止まらない。

 

「何が入ってるんだ、これ?」

 

「私が世界中から集めたspecialな食材を使った究極の料理なのデース!」

 

ちなみに値段は10万以上するらしい。金持ちの考えは理解できないと、果南は呆れる。

 

シャイ煮が美味いのであればこれもと、ルビィは堕天使の涙を口にする。しかし、中には大量のタバスコが入っているらしく顔を真っ赤にして走り回ってしまうほどの辛さであるようだった。

 

 

 

 

 

「痛ててて……タバスコ入れすぎだろ……」

 

夜風に当たろうと、一眞は外に出る。すっかり暗くなった景色や海。しかしながら、ギャラクトロンのシルエットははっきりと見える。あの後、自衛隊が安全な対策としてあの巨体にワイヤーを張り巡らせていった。

 

遠くに見えるその巨体は、何を思い、そして何のためにここに来たのだろう。もし地球を狙ったものであるのならば、自分は止められるのだろうか……自分に問いかけてみるが”わからない”としか言えなかった。また、やるしかないという強迫観念がいつまでも彼の心の中に居続けていた。

 

「どうしたの?」

 

すると、背後から曜に声を掛けられる。咄嗟のことに「まあな」としか答えられなかったが。

 

 

 

「なにか……あった?」

 

恐る恐る曜は、一眞へとその言葉を投げかける。しかし、内心、彼が何かあると答えるとは思えなかったし、何より自分が恐れていた。言ってしまうと、それを聞いてしまうと、彼がどこかへ消えてくのではないかと。

 

「別に。ただ……色々あったなって思ってただけ」

 

「そうだよね。千歌ちゃんがスクールアイドルはじめて、0から走り始めて、9人になって……」

 

ここまで色々あったなと、お互いに笑い合う。だがまだこれからだと、改めて決意もする。そろそろ戻ろうと一眞は踵を返すが、曜の一声によって止められる。

 

「カズくんは……Aqoursのマネージャーでいてくれるよね?」

 

Aqoursを始めたのと同じ時期から、一眞の様子は変わりだした。スクールアイドルのマネージャーを始めたから……それ以上の何かを彼は隠していると、曜は感じていた。だからこそ、不安なのだ。暁一眞という人物が、どんどん遠くへ離れていくような気がして……。

 

「……うん、そのつもり。何言ってんだよ」

 

一眞も一眞で苦い感情を押し殺し、笑顔で答える。

 

 

 

 

 

不幸なのか幸いなのか、2人の真意はどちら共に伝わることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

翌日の早朝、朝の涼しい時間帯に練習をはじめていたAqours。基本の体力づくりとして道路を走っていた。無理のないペースで、その足を動かしている。

 

 

 

ギャラクトロンが一番近くに見えるところまで走っていくと、突然、地響きが起きた。

 

「え、なになに!?」

 

いきなりのことに困惑する千歌たちとは別に、また怪獣なのかと辺りを見回す一眞。すると、

 

 

 

 

「あ、あれっ!?」

 

ルビィの指さす方向に全員の視線が向けられる。それは昨日から活動を停止していたギャラクトロンであった。

 

ギャラクトロンは体内部の機械を唸らせると、突然その体を起き上がらせ、自衛隊が張ったワイヤーを簡単に引き剥がす。しかし、その竜人を思わせる体はしばらくそこに立ち尽くしていた。なにをするかわからないことを警戒した一眞が声を上げる。

 

「とにかく離れよう!」

 

一眞の言葉に、皆が頷く。しかし、ギャラクトロンはこちらを確認すると、胸から赤い光を照射させてきた。

 

「曜ちゃんっ!!」

 

すると曜は千歌に突き飛ばされる。

 

「え……?」

 

しかしその数秒後、代わりに千歌の体がギャラクトロンの中へと吸い込まれてしまった。

 

「「「千歌ぁぁぁぁぁぁぁ(ちゃぁぁぁぁぁぁん)!!!!!」」」

 

一眞や曜、梨子は叫ぶが、その声が届くことは無かった。

 

 

 

 

「ここ……どこ……?」

 

暗い中に青い光が点滅する内部へと閉じ込められた千歌は、小さく声を震わす。しかし答えるものはここにはいない。

 

 

 

すると吸い込まれた千歌の体に、後方から伸びてきたワイヤーが絡まっていく。得体のしれないものが全身へと巻き付けられることに恐怖し声を上げるが、その勢いは止まることは無い。

 

そして最後のワイヤーが耳へと差し込まれた時、千歌は意識を失ってしまうのだった。

 

 

 

……この世界の解析は完了した。各地で起きている紛争、差別、残虐さを理解した

 

ギャラクトロンの拡声機能により拡散される声。それは地球の文明……人間が抱えてしまっている問題であり、一眞たちは言葉を失ってしまう。そして何より……

 

「どうして……千歌ちゃんの声が」

 

「何言っているのよ! 千歌ちゃん!!」

 

千歌の声で共有される声。しかし、いつもの千歌よりも冷徹な機械を思わせる声音であった。梨子の必死の叫びも届かず、白竜は直立し、自身の使命を言い放つ。

 

この世界のため、争い全てを停止させる。別の世界でもそうしてきたように、全ての争いを止める。すなわち、この世界をリセットする。それが我が使命。我が正義

 

「リセットって……まさか……!」

 

一眞の疑念は的中し、その赤く光る両目から光子型の熱戦が発射される。着弾地点にいくつもの魔法陣が浮かび上がる数秒後、巨大な爆発が起きた。

 

「そんな……」

 

ギャラクトロンの真意を一眞同様に察したダイヤは声を震わす。

 

世界のリセット。即ち、全生命を滅ぼすということだ。

 

「あのロボット、もしかして別次元の存在が扱いきれなくなってこっちの世界にtrashしたってこと?」

 

「そんな迷惑な」

 

鞠莉は爆風から身を守りながら推測する。それは果南が言うように、随分と迷惑な話であった。

 

「あれ……一眞くんは?」

 

梨子が辺りを見回すも、一眞の姿が見当たらないのだった。いつもこのような時に突然消えてしまうことに未だ慣れない彼女たちは、彼を探そうとする。

 

「一眞なら大丈夫でしょ! いつもそうだったんだから」

 

「今回も大丈夫だなんて考えられないずら!」

 

「でもルビィたちも、ずっとここにいるわけにはいかないよ!?」

 

「そうですわね。一眞さんを見つけたいところですが、今は……」

 

ダイヤたちは、破壊しながら街へと向かう白竜に視線を向ける。囚われた千歌をどうにかして助け出したいが、自分たちの力ではどうすることもできない状況に、唇を噛むことしかできなかった。

 

 

 

 

 

街中へと破壊しながら歩みを進めるギャラクトロン。その白い巨体が近づいてきたことに興味を抱き、スマホを片手に撮影する人々。するとその人々へ顔を向け、光線を発射した。さらに立ち並ぶビル群にも熱線を発射。次々に煙を上げ、崩れていくビル。

 

「千歌……お前を必ず助けるっ!!」

 

ギャラクトロンへと走っていく一眞はオーブリングを前方へ突き出す。

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオンは、地面へ降り立つと同時に駆けだした。

 

頭部から延びる先に鍵爪のついた辮髪状のパーツ”ギャラクトロンシャフト”を引っ張り上げ、光線の照準を街から空へと逸らす。

 

そのまま顔を殴り上げようとしたところ、突如として胸のコアのような赤いパーツが光り輝く。その眩しさにオーブは一瞬目を覆う。

 

(なんだ……!?)

 

その光はオーブをスキャンしているようであった。放射された光が消えると、ギャラクトロンは興味を無くしたかのように向きを変え、再度街中へと歩みを進めた。それは変わらず”生命のリセット”という使命を遂行するということである。オーブは、それを見て地面を蹴り上げる。

 

(これ以上はやらせない……!)

 

そしてギャラクトロンの進行を止めるようにオーブは立ちはだかる。すると、遠くから友人が必死の声でオーブへと懇願する。

 

「オーブ、その中には大事な友達がいるの!!!」

 

「お願い!!!」

 

走ってきたのだろう。肩で息をしながらの梨子と曜の必死に叫びにオーブは頷く。その想いは、オーブ(一眞)も一緒であるから。

 

(どこにいるんだ、千歌……)

 

両目から放たれた光線は、ギャラクトロンの機械仕掛けの内部を透視していく。

 

すると先ほども光った中心のコアの内部に、閉じ込められていることがわかった。しかし、千歌の目は生気を吸い取られたような濁った目をしていた。

 

(……ッ!!)

 

瞬間、ロケットのような爆発力でギャラクトロンへと接近。そのコアをもぎ取ろうと手を伸ばす。だが、ギャラクトロンも黙って見過ごすわけもなく、巨大な盾のような形の左腕、クロー状の右腕を使いブロックしてくる。

 

さらに超至近距離からの光線を左腕から発射。もろに食らったオーブは、後方のビルへと吹き飛ばされてしまった。

 

地面へ伏しているオーブには目もくれず、ギャラクトロンは高層ビルの方へと目を向ける。内部にいる複数の知的生命体を検知した。使命を果たすため、正義を執行するため、その生命体を焼き払うために双眼が赤く輝く。

 

(させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

 

顎を力強く殴ったオーブのおかげで再度その照準はズレる。暴れる巨体を持ち上げ、オーブも空へと上がるり、高速で飛翔する。人々の密集する街中から遠ざけようというのだ。

 

 

 

 

「暴走した正義と、自分を正義だと言い張る者……面白い闘いだ。さて、今度はあの力を使わずに勝てるのかな?」

 

またもや遠くから戦いを見守るアオボシ。木の枝に座っていた彼は、もたれ掛かるようにして呟く。

 

「どうして君はそこまでして地球人を守ろうとするんだ? 別の星の住人なのに……」

 

 

 

 

 

凄まじい速度と勢いで地面へと着陸したオーブとギャラクトロン。押し出された勢いは留まることなく、土を巻き上げその巨体を滑走させた。オーブはその隙に懐に入り込み、右腕で攻撃を防いでパンチをお見舞いする。一歩、二歩と後退するその胴体に渾身の飛びまわし蹴りを与えると、ギャラクトロンにダメージが入った。

 

白竜の双眼からまたもや光線が発射されるが、間一髪でこれを回避。宙返りで空へと飛びあがり、右腕を真上に、左腕を真横に伸ばす。

 

(スペリオン光線ッ!)

 

足止めにと瞬時に放ったスペリオン光線であったが、ギャラクトロンは足元に魔法陣を展開、即座に防御してみせた。

 

(直接斬るのみ……)

 

青い光が、カラータイマーを中心にあふれ出す。

 

 

《ウルトラマンオーブ ハリケーンスラッシュ》

 

 

オーブスラッガーランスで斬りつけようとするも、見切られているかのように避けられ、さらには右腕のクローで防がれてしまう。関節を狙って切り崩そうとするが、強力な足に蹴飛ばされる。

 

ギャラクトロンの硬く、屈強な攻撃に手を出すことができなくなってしまう。

 

(避けるので手一杯なんて……)

 

一眞は隙を作るために、槍の状態を一時的に解除させたオーブスラッガーショットを放つ。二方向から襲い掛るブーメランに魔法陣を展開することなく、防ぎきる。しかし前方にオーブの姿はいなかった。

 

(ここだ……!)

 

上空から飛び掛かるオーブの手元へと戻ってきたブーメランを再構成。槍へと変化させ、レバーを3回引く。

 

『トライデントスラッシュ!!』

 

緑と青に発光した切っ先がその純白のボディを捉えたと思ったその時……。

 

 

(なっ……!?)

 

 

右腕のクローに、その攻撃すらも掴まれたのだった。計算してその行動を呼んだのだろうか、その無表情な頭が赤と青の巨人と姿を捉える。

 

抜け出そうにも、強力な握力を発揮された右腕から槍を動かせなくなっていると、ギャラクトロンシャフトがオーブの首を絞めたのだった。さらにオーブスラッガーランスは取り上げられ、どこかへ投げ捨てられる。

 

宙へと吊り上げられたオーブは、脱出しようともがくがその力は強く、とても逃げ出せるものではなかった。すると胸のカラータイマーが点滅を始めた。

 

(は……なせ……)

 

エネルギーが残り少なくなってきたからか、または首を絞められている苦しさからなのか、はたまたはその両方か……。力が抜け、意識が薄れかかってきていた。

 

左腕の盾のようなパーツが半回転。まるで剣のような形となり、ひかり始める。それをオーブに向けると躊躇うことなく

 

 

 

腹部に向けて突き刺したのだった。

 

 

 

そこから光が血のように溢れ出るオーブはぐったりと意識を失い、その姿を消滅させた。




はい。今ではいろんな世界にちょっかいだしてるギャラクトロンです。

今回投下された場所は、海になってます。最初は砂浜にしようかななんて思ったけどやめました。千歌を連れ去る時のビームはオリジナルです。原作ではギャラクトロンシャフトでSSP-7を掴んでいましたからね。

さて……次回は……察する通りです。
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