Sunshine!!&ORB   作:星宇海

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前のあとがき詐欺になりました……。

梨子ちゃん周りの話よりウルトラ要素が強くなってます……(初手謝罪)


第3話 怪鳥大激突

ここは深夜の内浦。この時間になると家の灯りは消え、街灯だけが道を照らしているだけとなってしまう。そしてたまに走る車の音がよく響くのだ。そんな時間に道を歩く影が1人。暁一眞。先日ウルトラマンへと変身する能力を授かった少年だ。

 

彼は誰もいないような森の中へと入っていく。ガサガサと風で木々や葉が揺れる音があちこちで聞こえる。そんな雰囲気の中、顔を変えずに歩く一眞はとても度胸があるのだろう。

 

(怖えええっ!? マジで深夜に森とか来るんじゃなかったぁぁ……)

 

しかし彼がここまで怖い思して来たのにも理由があった。

 

「よし、始めるか……」

 

彼は腕時計のタイマーをスタートさせると、左手にオーブになるためのアイテム『オーブリング』を持ち、起動させた。(オーブリングは一眞が念じれば出てきてくれるようだ。)そして右腰に付けたカードホルダーから『ウルトラマン』『ウルトラマンティガ』のカードを取り出し、オーブリングにリードさせウルトラマンオーブへと変身した。

 

(これで変身完了。大体手順は覚えたな)

 

彼がやっているのはオーブの状態で何ができ、何ができないかを確かめているのだ。これは以前のように光線をしっかり撃てないなどのミスをしないようにするためだ。ニュース等ではあの光景は使われたいなかったからいいものの、ネットでは

 

「光線撃ててないですよ(笑)」

 

「外すな当てろ」

 

「下手くそwwww」

 

「ゼ〇スかよ」

 

という声がありショックを受けた一眞。

 

これ以上言われないために一眞はこうして自分の力を試しているのだ。

 

ここに来る以前にも彼は変身してトレーニングなどをしたのだが、変な物音がしたよね?みたいな声がありドキッとしたのは昨日の話だ。

 

(だから今日は……)

 

オーブは念じると光り輝き、その体を縮小させたのだ。これも昨日試していたら見つけた技(?)である。

 

(これならそんなに迷惑はかけないだろ……)

 

そうして彼は体を動かしてみたり、光線技の練習を開始した。

 

 

 

(ここで大きく飛ぶと……飛べたぁ!!)

 

ジャンプと飛ぶという曖昧な違いの感覚を彼はトレーニングの中で掴んでいったりもした。すると、胸の水晶が青から赤に変わり点滅を始める。そしてオーブの中から半透明体な2体の戦士(ウルトラマンとティガ)倒れ出てくるように姿を現した。

 

(ああ、この感覚は慣れそうもない……)

 

時間が経つにつれて点滅が早くなる水晶。しかしここで変身を解くわけにはいかない。力が抜けていき、地面に伏すオーブ。そして点滅が止み、光が消えてしまう。すると強制的に変身が解除され、一眞の姿に戻る。

 

「はあ……はあ……」

 

息を切らしながらも腕時計のタイマーを止める一眞。

 

「3分がいいところか……。やっぱ決まってるんだな」

 

そう。この姿でいられるのはどのくらいかを計っていたのだ。オーブでいられる時間は約3分。それが過ぎれば変身は解除されてしまう。そこまでに怪獣と決着をつけなければいけないのだ。

 

「今日はここまでだな。帰ってちょっとでも寝なきゃ……」

 

そうして一眞は十千万に戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

~~

 

「ごめんなさい」

 

淡々とした声色で梨子は断りの言葉を口にする。その姿はもう何言われても意思を変えないという心の現れにも見えた。

 

それに対抗するのはスクールアイドル部を立ち上げようとする少女、千歌だ。彼女はスクールアイドルの素晴らしさを何とか伝えようとするが、梨子は話を聞かずに去ってしまう。

 

しかし、千歌はへこたれず梨子に説得を試みるが彼女が了承する兆しは見えない。むしろ遠のいていっている気さえする。

 

「なにあれ?」

 

カチューシャした同級生むつは彼女の行動が不思議でたまらないらしい。

 

「なんでもない。いつものことだよ」

 

「ええ!? いつもやってるの……?」

 

「まあ……ここ最近はな……」

 

一眞の答えでさらに困惑している様子のむつ。その姿に曜は苦笑いをするしかなかった。

 

 

 

放課後。中庭でダンスのステップを確認する2人。そして向いのベンチに座っている一眞。彼はスマホで気になる記事を読みながら彼女たちの話に参加している。一眞も千歌や曜に頼まれてはいるが、スクールアイドル部の申請書に名前を書いていない。ここにいるのは暇だからと言うのもあるし、なんやかんやで放っておけないというのもあるのだ。

 

「またダメだったの?」

 

「でも、あと一歩、あと一押しって感じ!」

 

「それはないだろ……」

 

千歌のポジティブ発言をすぐに否定した一眞。

 

「ホントだよ! だって最初は……」

 

千歌は梨子の「ごめんなさい」という声のトーンの変化でもう一押しと言う結論になったらしい。声真似がうまかったと一眞は思ったが、彼は言わないことにした。

 

「嫌がってるだろそれ……」

 

「私もカズくんの意見に賛成」

 

「えー、大丈夫だって! いざとなったら何とかするし」

 

またもや音楽の教科書を取り出した千歌。それだけはいけないと思いながらも、梨子を強引に誘うわけにもいかないと感じる一眞はため息を吐くしかなかった。

 

「で、カズくんは何見てるの?」

 

隣に座った曜は一眞に問いかけた。

 

「このニュース記事。曜も見たろ?」

 

「ああこれ今朝のニュースでやってたやつだね」

 

スマホの記事に書いてあったのは『A国に巨大な鳥の巣!? 毒ガスで市民に外出制限か?』と言う記事だった。なんでも、A国の都市部に巨大な鳥の巣ができていて、さらに追い打ちをかけるように出てきた赤いガス。なんとそれが猛毒のガスとして市民を脅かしているのだそうだ。

 

「なにそれ、私は見てないよ?」

 

「お前は寝坊したからな。見てる暇もなかったんだろ?」

 

「そ、そうだけどさー」

 

千歌は唇を尖らせながら言う。仕方なく、千歌にもスマホを貸して見せた。

 

「カズくん、これって……」

 

「怪獣の仕業……だと思う」

 

「また、こっちにも来るのかな……」

 

曜は不安げな様子だ。しかし千歌は異なっており

 

「大丈夫だよ。怪獣が出てきたらまたウルトラマンがやっつけてくれる!」

 

と明るく言い放った。

 

「そ、そうだよね」

 

曜は不安を脱ぎ払えないようだが、大丈夫だと自分に言い聞かせているようにも感じた。

 

(こう言われちゃ、こっちも頑張らなきゃな)

 

一眞は自分を振るい立たせたのだった。

 

「そうだ、曜ちゃんの方は?」

 

千歌に聞かれ曜は元気よく「描いてきた」と答えた。曜は制服が大好きなので、スクールアイドルの衣装を担当してもらうことになっているのだ。場所は変わり教室で、一眞たちは曜の描いてきた制服案を見ているのだが……

 

「どう?」

 

「やっぱ絵上手いな……」

 

「でしょ!」

 

「カズくん、デザイン。デザインの方見て」

 

千歌の言う通り、デザインにも目を通す。しかしそれはアイドルと言うより車掌であった。

 

「スカートとかは無いの?」

 

アイドルっぽいのは? と遠回しに言う千歌。しかし彼女は警官の制服を出してきた。

 

「可愛いのはないのか?」

 

一眞が言うと曜はスケッチブックを捲った。そこに書かれていたのはまるで軍人のような服が描かれたイラストであった。

 

「武器もっちゃった……」

 

「まあ世はスクールアイドル戦国時代って言っても過言じゃないだろうし、武器を持つってのはある意味正しいのかもしれ……ないわけないだろ! 可愛いやつだよ。”一般視点から見た”可愛いやつだよ!」

 

「そうそう、もっとスクールアイドルっぽいやつ!」

 

「と言われると思って、はい」

 

またスケッチブックを捲る。

 

言われるの予想してたのかよ、今までのはなんだったんだ?ツッコミスキルを上げたかったのか?遊びか?遊びなのか!?という感情が喉まで登ってきたが、それを無言で飲み込む一眞。

 

そこに描かれていたのは、オレンジ色のまさしくアイドルといった衣装だった。

 

曜はこのイラストような衣装を作れると言い。千歌はその言葉にやる気を刺激されたようだった。彼女たちの姿を見ながら、一眞は記事を更新させた。

 

「なっ……!?」

 

するとリアルタイム記事に『軍出動! 怪鳥が襲撃!!』と書かれたものが現れた。そのことに驚愕し声をだした一眞。それに「どうした」と2人。今の雰囲気から彼女たちを不安にさせないようにフリックして記事を消す一眞。

 

「アルバムが発売日がすぐ近くだったから驚いただけ」

 

何とか言い訳する一眞。そして唐突に思い出したかのように

 

「そうだ、俺図書室行ってくるから! 生徒会室に行くんだろ? 頑張れよ」

 

と言って教室を後にした。しかし彼が向かうのは当然図書室ではない。誰もいない校庭の陰に行き、オーブリングを取り出した。

 

(行くぞ……!) 

 

彼は覚悟を決めてオーブリングを掲げた。

 

《ウルトラマン》

 

カードをリードさせると彼の左側に赤と銀の巨人ウルトラマンの幻影が現れる。

 

《ウルトラマンティガ》

 

右側には赤や銀、紫の体のウルトラマンティガの幻影。

 

オーブリングスイッチを押すことで羽が展開、2体のウルトラマンは一眞へと重なり、各々の特徴が現れたボディを形成させた。

 

《ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン》

 

学校から飛び立ったオーブ。彼は怪鳥の現れた方向へと一刻も速く向かうために飛翔する。

 

(もっと……速く!!)

 

彼が念じると体の紫のラインが輝き、そのスピードを何倍にも高めて飛んでいった。

 

 

 

軍が総出撃で怪鳥を迎え撃つが、その攻撃が効いているようには見えない。怪鳥はまるで巨大なハゲワシを思わせる姿で空を飛翔している。そして時折降ってくる白い雪のような結晶は都会へと近づくと赤い猛毒ガスに変わり、軍を苦しめていた。彼らもガスマスクをして応戦しているが、市民に配れるほどもない故、苦戦を強いられていた。

 

「■■■ッーー!」

 

咆哮を上げながら飛ぶ始祖怪鳥テロチルス。音に敏感なのか、発砲を続ける小隊へと強大なその攻撃が当たる瞬間……

 

「シュアッ!」

 

オーブがその体を引っ張り食い止めたのだった。そのまま足と腕で投げ飛ばすが、それをものともせず飛翔するテロチルス。急旋回しオーブの肩へとアタック。オーブも首元へとチョップしダメージを与える。

 

しかし驚くべきことにテロチルスの嘴はオーブの体を宙へと持ち上げ始めたのだ。

 

(コイツ……どんだけ力があるんだよ!)

 

抗うことなくオーブも空へと上がる。しかし、テロチルスは素早く飛んでいることから攻撃を当てることが難しい。さらに驚くべきことはその体の頑丈さだ。どんなにダメージを与えても怯ませられていないのだ。

 

(スペリオン光輪でも怯まないのか……)

 

であればスペリオン光線も効くのか怪しいところだ。この怪獣は己の肉弾戦で勝つしかないと意思を固める一眞。

 

すると飛行するテロチルスの鼻から放たれたビームはオーブの体に直撃。地上へと墜落する。

 

「ウウゥゥ……」

 

そこから連続する嘴の攻撃に防戦一方のオーブ。この力強くタフな怪獣にやられてしまうのかと戦いを見ている人たちは不安にかられてしまう。

 

(なら力には力で……!!)

 

しかし一眞の戦意は消失などしていなかった。体の赤いラインが光輝き、オーブは強大な怪力を発揮した。頭を持ち上げ、右ストレートを放つ。後ろに交代するテロチルスに間髪与えずに首を掴み背負い投げる。

 

苦悶の声を上げるテロチルスに馬の乗りになり、チョップや肘打ちを繰り出した。だがその姿勢を自慢の力で脱し、空へと逃げる。

 

(逃がすかよ!)

 

オーブも空を飛び急いで追いかける。残り時間を現す水晶”カラータイマー”もすでに点滅を始めている。早く決着をつけなければ、あの怪獣が人々を襲う範囲は拡大するだろう。いずれは日本。そして内浦にも……。それは絶対に防がなくてならない。それが、自分がこの力を授かった意味なのだと信じて。

 

(ここは速さと力の応用だ……)

 

テロチルスの脚をしっかりと両腕で掴む。もがいていて腕を離しそうになるが、踏ん張って耐えるオーブ。そして紫のラインを光らせ、その場でコマのように高速で回転を始めた。回転の遠心力を大きな力に変え、地面へと投げ飛ばす瞬間に怪力を発揮させる。

 

テロチルスは抵抗できずに落下していき、地面に大きな衝撃を与えながら叩きつけられる。その衝撃で地面には大きな凹みが生まれたのだった。

 

その凹みの中から体が再度起き上がらないことを確認したオーブは、近くの白い巣のようなものを取り上げて、宇宙へと持っていき処分した。

 

制限時間、力、全てにおいてギリギリの戦いを制したオーブは大急ぎで地球の内浦へと戻っていくのだった。

 

 

 

二回戦にしては強敵すぎないかと考えながら光となって変身を解除した一眞。彼は誰にも見られていないことを確認し、フラフラになりながら十千万の近くの道へと出る。これが都会だったら上手くいかないんだろうなぁ……と思いながらなんとか道を歩いていると、目の前の浜辺から自分を呼ぶ声が聞こえた。目線を映して見るとそこには千歌と転校生、梨子の姿がそこにはあった。

 

「どうしたんだ? こんなところで」

 

一眞は尋ねると千歌が答える。

 

「今度の日曜、梨子ちゃんと海の音を聴きに行こうって話してたんだ。だからカズくんもどう?」

 

「海の音……? 俺も?」

 

まったく話の見えない事柄に困惑している一眞に梨子は

 

「高海さん、困ってるでしょ。えっと……」

 

「一眞。暁一眞。改めてよろしく」

 

「私は桜内梨子って言います。ってもうクラスの前で自己紹介してましたね」

 

にこやかに微笑む梨子。その中に千歌が入り

 

「カズくん、こう言いながら付き合いはいいから大丈夫! ね!」

 

「俺もいいのか? 桜内さんだって困るだろ……」

 

「いえ、私は大丈夫ですよ」

 

なんだかわからないが、一眞は海の音とやらに興味がわき同行することを承諾するのだった。

 

 

 

 

 

「テロチルス……強敵だったね。オーブもギリギリだったんじゃないかな? よく勝てたよ」

 

「どうせなら倒れて欲しかった……」

 

「またそんなこと言って。可愛い顔が台無しじゃないか」

 

「……」

 

A国市街地。世間、否、世界中がウルトラマンオーブの活躍を称賛している中、ここテロチルスの亡骸が眠る場所で男とスピカは立っていた。オーブを称賛しているようにとれる男の感情とは真逆に、スピカは憎しみの籠ったような感情を抱いていた。そして続く彼の言葉には切り裂くように睨むことで、自分の感情を伝えた。彼は悪びれる様子もなく、笑い飛ばして続ける。

 

「まあまあ、僕らの目的はこいつじゃあない。もっと大きなもの……そうだろ?」

 

「そう。もっと大きな力を持つ怪獣……いえ、魔王獣」

 

スピカは右手に持っていたダークリングを亡骸の方向へと向けた。すると、リングの中央にどす黒い赤の粒子が集まっていき、テロチルスのカードを生成した。

 

「さあ、コイツで封印を解こうか。計画もさらに一歩前進だ」

 

「ええ……」

 

彼らは風の魔王獣が眠ると言われている地へと向かい出したのだった。




テロチルスってウルトラマンジャックを一度負かしてるんですよね……ですからこんなあっさりでいいのかということと、でも次回のために鳥型怪獣出したいし……となって色々葛藤しましたがこのような形になりました。(ジャックの時よりも弱い個体ということで補完していただければ……)

てかウルトラシリーズの鳥型怪獣がみんな強敵ぞろいなんですけど……
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