果南や和哉との対話を経た一眞。彼の行く末は如何に。
最初彼と出会った時は、ただの記憶喪失の男の子。そう思っていた。
でもいつからか、彼は何処か遠い目をしている。どこか遠いところを見ている。そんな風にも感じ始めていた。
輝きを見つけようと、スクールアイドルを始めた。するとわかったのだ。彼には彼だけの輝きがあるのではと……。正直、それを聞くのが怖かった。聞いてはいけない気がした。
そのせいで……彼を傷ついていたことがわからなかった。
だからこんどは――――
ガラガラガラガラ
病室のドアが開く音がした。そこに入ってきたのは
「高海さ~ん、診察の時間ですよ~」
白衣を羽織ってはいるものの、それが医者ではないことは明らかだった。
「あ、あなたは……!?」
不気味な笑顔を顔に浮かべたアオボシがそこには立っていたのだ。
「血圧は……おっと上昇しているようだね。一体どういう事かな~?」
いきなり千歌の左腕を掴み脈拍を図るようにすると、今度は顔を近づけて囁くように訴えかける。
「どうして世間に言わないんだ? オーブは人類の敵だと。君のひと声ががあれば一発でアイツは孤立する。まあ、もうオーブは攻撃対象らしいけどな」
喉をクククッと鳴らすアオボシ。しかし、千歌は否定する。オーブは自身の力の大きさに苦しんでいるだけだと。一眞であることを知ればなおさらそう思えてくる。
「ねえ、どうしてあなたはどうしてカズくんをそこまで憎むの?」
「……知りたいか?」
いっきに声を低くし彼女に問いかける。だが千歌は臆することなくアオボシを見つめていた。
「ま、知る前に君の命は無いけどね」
アオボシの手が千歌へと迫るその瞬間、青年の体はあらぬ方向に突き飛ばされた。
「千歌ちゃん、大丈夫!?」
「え、曜ちゃん……」
そこには曜が来てくれたのだ。
「なんか胸騒ぎがしてさ。さあ、早く逃げるよ!!」
千歌の手を引いて病室を後にする2人。廊下に出て出口へと真っ先に走っていく。
「……ったく、ここまで似てるヤツがいるなんてな。目障りなんだよ僕には……!!」
アルデバにいた時を思い出したのか、腹を立てたアオボシも2人を追うために病室を後にする。
「曜ちゃん、どこに逃げるの?」
「ごめん、それは考えてなかった!!」
病院のから出てきた千歌と曜。ここまでこれたのは、何故か巡回している人と会わなかったからだ。恐らくアオボシが何かしたに違いない。
彼への警戒を高めつつはエントランスまで辿り着いたときに、2人は驚愕の表情と共に足を止めてしまった。
「あれれ、どこかにお出かけですか?」
なんとアオボシが待ち伏せていたのだ。
「やっぱり怪獣カードの力は凄いね……」
右手でカードを弄りつつ、2人に歩み寄っていく。千歌を守るように曜が前に立つが、正直抵抗する手立てはない。
絶体絶命ともいえるこの状況だったそんな時
「……ッ!!」
横から飛び蹴りをもろに食らったアオボシは地面に転がる。
「「カズくん!?」」
数時間ぶりに見る彼の後ろ姿に不安や疑念、そして安心を抱く2人。
「ハハハッ……遅かったね。あと少しで2人ともあの世行きだったぞ?」
「話は後で、逃げるぞ」
アオボシの声を無視し、一眞に連れられ千歌と曜は暗い夜道を駆けていった。
その姿を見送る形になったアオボシ。立ち上がり、服についた汚れを落とす。そんな彼の顔には不敵な笑みが浮かんでいた。
「良いのか?」
「良いの。今日はパパもママもいないからさ」
逃げてきた一眞たちは、曜の家でお邪魔することになった。病院から一番近かったというのが理由だ。
「ごめん……!」
一安心した頃、千歌と曜に向かって一眞は頭を下げた。
「俺……俺はみんなに迷惑かけたし、これまで何も言わなかった。それに千歌も傷つけちゃって……でも、俺はこれからもこの在り方を変えられそうには……変えたくないんだ。だから、だからそれでも……みんながいいって言うのならば、ずっと一緒に居たい……」
それを聞いた2人は互いに顔を見合わすと、一眞に向かってこう告げる。
「謝るのはこっちの方だよ」
「そう。カズくんに言わなきゃいけないこと、ずっと黙ってたし」
「…………」
まだぎこちない笑顔だったが、それは確かに一眞に向けての言葉。最初に抱いた彼女たちの想いだった。
「「ありがとう。私たちを守ってくれて」」
その言葉に、またもや一眞は涙を流してしまう。
「俺さ、みんなといていいのかな、一緒に輝きを見つけに行っていいのかな……」
拒否されるのが怖くて、拒絶されるのが怖くて、どうしても彼が口に出せなかった言葉であった。
「いいに決まってるじゃん。同じ仲間なんだからさ」
「でも俺、異星人だし……」
「もう気にしないって決めたの。これはAqours全員で決めたことなんだから!」
「…………ッ」
「もう、カズくん泣いちゃってさ」
「…………うるせぇよ」
涙を拭くと、一眞は2人に笑って見せた。その笑顔は、曇りひとつない晴れやかなものであり、千歌と曜も笑い合った。
「カズくん、前に言ったよね? 一緒に悩むことはできるって。だからさ、今度こそ支えたいんだ。カズくんのこと。私ね、世界中の誰もがオーブの敵になっても、私は信じてるから」
千歌が寝る前に言った言葉を一眞は思い返していた。
夜も明けそうになってきた頃、一眞は外へと出ていた。答えらしいものが、ようやく見つかった気がする。誰も傷つかないという理想を追い求めるのは、辛く厳しいことだ。でも、最後の最後まで足掻いていく。それが和哉から教わったこと。自分の在り方。
そしてみんなは自分を受け入れてくれた。ウルトラマンとしての自分、アルデバ人としての自分、暁一眞としての自分。
ならもう迷うことは無い。自分はウルトラマンとして戦っていく。Aqoursのマネージャーとして彼女たちを支えていく。ただそれだけだ。
「あれ、もう起きてたの?」
「曜……まあな」
すると起きてきた曜が家から出てきたようで、一眞の横に立つ。
「ねえ……」
「……ん?」
何か言いたげな曜は、一眞の方へ向きを変える。
「あのさ、ごめんね。あの時、叩いちゃったりして。それに消えてとか言っちゃってさ」
それはギャラクトロンを撃破した時、病院で曜に殴られたときのことだった。
「いいんだ。あれは俺が悪かったんだから。曜には別に悪いところなんてどこにもないよ」
「でも私酷いこと言っちゃったし……」
そこから会話が途切れてしまい微妙な空気が流れ始めてしまった。
「私もね、オーブを、カズくんを支えたい。辛かったり、苦しかったりしたら、私を……私たちを頼ってほしい。千歌ちゃんやみんなと同じ気持ちだから。カズくんもみんなを……なによりも自分を信じて」
手を握ってくれた曜の手が、想像より熱かったことに少し驚く。だけど曜の揺れるような瞳を見ると、それは彼女の強い思いだということが伝わる。
「わかった。ありがとうな、曜」
青黒い空がオレンジ色に染め上げられていく。
そんな時
静寂を打ち壊すかのような、雷のような騒音。空に開いた大きな空洞は赤と黒の雷を迸らせ、雲を作って渦を巻いていた。
「曜ちゃん!! カズくん!!」
2人の名を呼びながら家から飛び出てきた千歌。彼女にも空の空洞が目に入ったのだろう。曜と一眞、2人の肩を掴んで空を見上げる。
「千歌、曜」
2人の目をしっかりと見据えた一眞は決意として息を吸い込み彼女たちに語り掛けた。
「俺は戻ってくる。必ず……戻ってくるから」
「……うん」
「今度はちゃんと帰ってきて?」
無言、それでいてしっかりと頷くと一眞は走り出していった。その背中を、千歌と曜は見守り続ける。
赤い光柱が地面に激突したかと思うと、その姿を合体魔王獣 ゼッパンドンへと姿を変えた。そして明け方の空へ、轟くその咆哮を響かせたのだ。
「スピカ……いや、珠冬!」
一眞はゼッパンドンへと変化している少女の名を叫んだ。
「こんどこそ…………こんどこそあなたを倒すッ!!」
一眞はホルダーからベリアルのカードを取り出した。
(闇を押さえつけようとしたらダメなんだ。……大切なのは、闇を抱きしめてあげること)
果南や千歌、曜との話の中で一眞はそう結論付けた。自分が誰であっても受け入れてくれたみんなように……自分も闇を否定せず、受け入れてあげなきゃいけない、抱きしめてあげなきゃいけないのだと。
「俺はもう闇を恐れない。みんながくれたこの勇気で……闇を抱きしめてみせる!!」
「ハアアアアアアアアアア……」
地面を打ち鳴らし着地したその黒と赤の巨人。彼は目の前の怪物に向かって構えをとる。
「……来いッ!!」
記憶を弄られ、憎しみの感情を増幅されたスピカは憎悪の混じる声を響かせた。
「ハアアアアア……ダアアアアアッッッッッ!!!」
助走をつけてから飛び上がり、そして渾身の一撃として頭へと拳を打ち込む。さらに何発もの殴打を頭や顎に浴びせる。
頭へ的確に打ち込み、加えて腹部や側面にも蹴りを放っていく。
「………っ」
しかし効果が見られず、ゼッパンドンの強力な右腕がオーブの胸元に命中し地面へと倒れこんでしまう。
「グッ、ウウウウ……ウオオオオオォォッッ!!!」
闇の力に呑まれそうなのか、オーブは以前と同じように天に向けて吼える。
その力をフルに発揮し、ゼッパンドンの体を抱え上げた。遠くへ投げつけようとした瞬間、ゼッパンドンの火球がオーブへと襲い掛かる。
怯んだその隙に、左側面、そして頭を蹴り、殴るゼッパンドン。するとオーブは隣にある送電塔に目をやると、迷わずそれを引き抜いてしまう。武器にして殴りかかるつもりなのだ。
「いいよシリウス……キミの闇に惚れ惚れするねぇ……」
遠くで戦いを見守るアオボシは、笑いと共に彼の戦いっぷりを称賛した。
その戦いを見守る千歌と曜。暴走しているのではという不安も確かにある。しかし、だとしても彼ならば必ず克服してくれるという信頼があった。その為なのか、一歩も逃げようとせず、オーブとゼッパンドンの勝負の行方を見守っている。
「カズくん……」
「信じてるから……」
送電塔で殴りつけるが、ゼッパンドンの強固な肌のせいで逆に塔そのものがバラバラに砕け散っていく。
「ラアアアアアアア…………ッッッ」
その後も、何度も何度も正面から頭を殴りつけていく。そのまま腹部に一発、さらに一発。
それすらも弾かれ、後方へと飛ばされたオーブ。彼はその場から受け身を取り膝立ちの状態へ起き上がると、両腕にエネルギーを貯めて交差させた。
「ゼットシウム………光ォォォォォォォォォォォ線ッッッッッ!!!!」
「ゼッパンドンシールド」
マガオロチ、ギャラクトロンと言った強敵を破壊してきたゼットシウム光線でもそのシールドの前では無力であった。さらに紫色の破棄光線をオーブに向かって発射。避けることができず、その攻撃を食らってしまう。
だがオーブも諦めることなく起き上がると、再度構えを取って相手の出方を待つ。
それと同時に、オーブ出現の連絡を受けた自衛隊は彼を排除すべく戦闘機を発進させた。もう間もなく、戦闘機はオーブと接触する……そんな距離まで迫ってきていた。
『まずはオーブを攻撃する』
『了解』
「カズ……オーブ! 私たち信じてるから! 君がどんな姿でも、闇に呑まれそうになっても……!!」
「私を救ってくれた君のこと、ずっっっっっっと信じてるから……!!!」
前方に立つ”彼”に向かって曜と千歌は投げかける。何度倒れても立ち上がる彼の姿を。どんな姿になろうと、誰かを守ろうとするその姿を信じていると。
2人の呼びかけに、オーブはゆっくりと背後を向いた。
(………ッ!?)
刹那、戦闘機から放たれたミサイルがオーブに全弾直撃。戦闘機に気を向けた隙に、ゼッパンドンの口から火球が何発も放たれた。加えて紫の破壊光線。辺り一面をも破壊し、オーブを爆風が包み込む。
それでも千歌は、曜は、逃げようとはしなかった。
「アハハハハハハッ……お前はまた大切なものを守れなかったな、シリウス」
「終りね……」
アオボシもスピカも、どちらともにオーブの敗北を確信。さらなる追い打ちとして火球、光弾を乱れ撃っていく。
「「さらばウルトラマン」」
――――しかし
煙が消えていくと、そこには黒い背中があった。
「……なに?」
オーブは千歌と曜を爆発から守っていたのだ。闇に呑まれず、自らの意志で、彼の大切なものを守ってみせたのだ。
「カズくん……」
「信じてたよ……」
彼女たちにオーブは無言で頷く。
オーブのインナースペース。そこで一眞は自身のホルダーから光が漏れていることに気が付く。
「これは……」
迷わず取り出したそれは、未だ虹色に輝いているカードだった。それは徐々に収まっていくと、一眞にも見覚えのあるとある姿が描かれていたものであった。
そこに描かれていたのは、巨大な剣を携えるオーブの姿。そう、
それを迷うことなく、オーブリングへと通す。
すると虹色の光が一気にオーブリングから解放され、一眞の視界を覆っていく。そして――――
「………」
目の前が白一色に包まれる。それは和哉と対面した時と似ているが、少し違う。その理由は目の前に、青く光り輝くものが見えたからだ。一眞はその光を一直線に見据え、脚を踏み出した。
「おい、いいのか? そこから先には途方もない脅威や、苦しみが待っているかもしれない……」
背後から声をかけられる。和哉のようにも、一眞のようにも、アオボシのようにも、そして……
ふと気が付くと、一眞の目には先ほどの空間とはまた別の景色が広がっていた。
そこは暗く、吹雪吹き荒ぶ荒野だ。体が動かなくなるほどの気温の低さ。来るものを拒む異様な空気。
しかし一眞はそこから引き返すことも、その何度目かの残酷な真実に、諦めて膝をつくようなこともしなかった。
「お前は地球人じゃない。異星人であるという重みがいつかその身に降りかかる。ここで逃げておけばよかったと、消えておけばよかったと、自分自身を呪い続ける未来が来るかもしれない」
そう。一眞はアルデバ人。地球人ではない。それゆえの心の摩擦が、種族間の溝が、違いが……浮き彫りになることもいつかはやってくる。
――――けど
「みんなは俺を受け入れてくれたんだ。生まれが何処かなんて関係ない。只の”暁一眞”としての俺を……」
本来の自分と向き合った。たくさんの後悔はある。
だけどそれだけじゃない。真実を打ち明けても認めてくれた人が、許してくれた人が、笑顔でいてくれた人がいた。
ならやっていける。守っていける。俺を俺と認めてくれる人がいる限り……戦っていける。今は……いや、ずっとそれだけでいい。この先に何が待っていても。
どれだけ愚かでも、歪だとしても、引き返すことなんてしない。
一歩、脚を踏み出す。
途端、吹雪の勢いが増し始めた。顔に吹きつけられる雪、手足の先から冷えていく感覚。だが一眞は両足を地面に押し付け、腕で顔を覆い吹雪の中を進んでいく。
「自分を信じる勇気が……力になる……」
そんな言葉を無意識の中で口にする。自分を信じることができなかった……それが焦りを生み、闇に呑まれた。けれど、彼女たちの言葉が一眞に勇気を与えた。だかろこそもう一度、自分を信じようと思える。
自分を見失わず、信じ続けられる。
――――力を望んでいる……アイツの言葉は正しい。
しかし、根底にあるのは誰かを……みんなを守りたいという願いからだ。アルデバにいた頃からそう願い、果たすことができず、いつの間にか忘れてしまったもの。
「例え最期に……この在り方を呪うことになったとしても……」
「最期まで、俺はこの在り方を張り続ける……」
自分1人の力ではないからこそ、ここまで来られた。そしてこれからも……!
光を凝視していた彼には、もはや迷いなんてものは一部たりとも存在していなかった。
一眞は目の前にある
「これが……」
伸ばした手には光り輝く聖剣が握られていた。それを躊躇うことなく、一眞は頭上へと掲げる。
眩い光が、再度一眞を包み込んだ。
青い光の柱が立ち昇り、そこから巨人の姿が実体化する。赤と銀、そして黒の体を持つ姿。よく言えばシンプル、悪く言えば迫力不足。だがその立ち姿には、誰にも負けないという決意の光が見られた。
右手に持つ巨大な剣が天を指す。
「その姿は……!?」
ゼッパンドンからオーブの姿を見たスピカ、そしてアオボシの驚愕。
声を高らかに、その名を名乗り上げて剣を振りかざす。虹色の輪がオーブの周りを取り囲んだ。
「千歌ちゃん……あれって……」
「うん……3年前の……光の巨人……」
3年前にマガゼットンを倒した光の巨人……。千歌たちの目の前に3年の時を経て、再び現れたのだった。
ウルトラマンオーブ オーブオリジン
いくつものフュージョンアップで戦ってきたオーブの
「いけーオーブ!」
「いっけーー!!」
剣を携えて歩んでいくオーブ。吐き出された火球を聖剣オーブカリバーで斬る姿はまさしく勇者。2発、3発と斬り落とし、地面を蹴って加速する。
「なんで……!?」
今までの攻撃がいとも簡単に撃ち落されたことに狼狽えるスピカ。その隙を突かれ、重く鋭利なオーブカリバーの攻撃が繰り出されれる。
攻撃が効いた証に、ゼッパンドンの声が漏れ、斬りつけた部分から火花が飛び散った。
覚醒したからか、攻撃が効いたからなのか、動揺してしまい動きが単調になったその攻撃をよけ、柄頭を使って打撃を与える。
「スピカ……いいや珠冬! 本当に和哉を殺したのが、、ウルトラマンだと思っているのか!?」
上段から斬りつけられた剣を腕で防ぐ彼女に、オーブは問いかける。
「何度も……何度も言わせないで!!! ……オーブが兄さんを殺したの!? あなたも見ていたでしょ!?」
思い出したくもない過去を掘り返し、声を荒げるスピカ。対して
「いいや、それは違う。和哉が死んだのは……オーブのせいなんかじゃない。俺たちはマガゼットンに襲われて……そして……和哉が……俺たちを庇ってくれたんだ!」
涙が溢れそうになるのを必死にこらえ、一眞はゼッパンドンを見据える。
すると、スピカの脳内にノイズが走る。彼の言葉によって、上から塗られた色が剥げて落ちていくように、断片的な記憶が顔を覗かせる。
「ちがっ……!? 違う……そんな……私の……うあああああああああああああああ!?!?!?!?!?」
右足から放たれた蹴りでゼッパンドンを後退させると、オーブカリバーの中心部にあるホイールを回転。
土のエレメントを選びその力を解放させる。
剣を地面に突き刺した場所から、二条の光線を撃ちだした。
「……!? ゼッパンドンシールド……!」
これまでいくつもの光線を防いできた無敵の守り。しかし、弧を描いて地を這う光線の前に、遂に敗れた。巨大な爆発が起き、苦悶の声が響く。
(今は無理だとしても、必ずお前を救い出す!!)
それでも今は倒さなくてはいけない。これ以上の被害が出る前に。
――――必ず救い出すと、彼女と自分の心に誓って。
オーブカリバーの火、水、土、風のエレメントを全開放。そしてオーブ自身の持つ光と闇の力を掛け合わせた
様々な思いを乗せた光線を、一眞は潰れんばかりの声量で叫んだ。
虹色の光線を浴びたゼッパンドンは、巨大な爆発と共に敗れ去ったのだった。
「予想外というか、幸いというか……まあいいさ。君の力の一部、僕が少しいただくよ」
ゼッパンドンが爆発した場所にアオボシは立つと、スピカからふんだくってきたであろうダークリングを翳す。彼がダークリングで採取していたのは土のエレメント。その残留した光だった。
ダークリングの中心で輝く黄色の光を見つめたアオボシは不敵に笑った。
~~
「カズくん……」
「ただいま」
彼の帰りを待っていた2人に、一眞はそう答える。ただ一言。しかしそこにはたくさんの想いが詰まっていた。
「うん、おかえり!」
曜が笑顔でそう語りかけると、3人で笑い合う。すると、遠くから――――おおーいと、呼びかける声が聞こえた。
「まったく心配しましたわよ。千歌さんはまた病院を抜け出して……」
「でも無事だったからいいじゃん? ね、鞠莉」
「果南の言うとおりよ、まったくダイヤはお堅いんだから。名前に負けず、硬度10デース!!」
「鞠莉さんっ!?」
他のAqoursメンバーが駆けつけてくれたのだ。その相変わらずの賑やかさに、笑いがこぼれてしまう。しかし、一眞はケジメとしてみんなに声をかけた。
「俺、これからもみんなに迷惑かけるかもだけど、Aqoursのマネージャーとしてやっていきたい。だから……」
「わかっていますわ。さて、今日は練習をしますわよ!! 一眞さんも、マネージャーとしてのサポート、よろしくお願いしますわ!」
ダイヤを筆頭に、果南や鞠莉、花丸やルビィ、善子……そして梨子も言葉にはせずとも目で教えてくれた。変わらずにマネージャーでいて欲しいと。
そして後ろの千歌と曜も、首を縦に振る。
「……はい!!」
力強くそしてはっきりと、一眞は返事をした。
~~
あれから数日。千歌も無事退院し、ラブライブに向けての練習を再開することができた。
一眞は防波堤に座り海を眺める。そして、右手にはラムネの瓶を持っていた。
プシュッと炭酸が抜ける音共に、ビー玉が落ちる。
「……成功した」
以前……3年前にもラムネを飲んだ時は派手に失敗し、溢れ出てきたしまったことを思い出す。その時は和哉や珠冬に笑われた。しかしその後に和哉は
「まあまあ、次は成功するって!」
「ああ。次は成功したよ和哉……」
懐かしむように呟くと、ラムネを勢いよく飲んでいく。口を離し、ふうと一息。
頬を撫でる風、心地の良い波の音。その光景を見て、一眞は天を仰ぐ。
(俺はこの星を守っていくよ。ここで命が続いていく限り……な)
一眞を呼んだ声が、波の音共に聞こえた気がした。
はい。ようやくオーブオリジンが登場。やっとだ……やっとだよオリジン!!
また、一眞が光の輪に手を伸ばすような描写がありましたが、あくまであれは彼のイメージです。実際には行ってないです。先代オーブからの継承と言った方が正しいかもしれません。
ある意味物語の一区切りがついたって感じです。……しかしながらアオボシはまだ何かを画策している様子ではありましたが、これは後々明かせれば。
次回から再びサンシャインパートを進めていきます。