テンペラー星人とオーブの戦いが始まる数刻前、”この宇宙”へ修行に来たタイガたちトライスクワッド。様々な場所で侵略者を打ち倒していくうちに、タイガは逃走する宇宙人を撃破。そんな時、地球の危機を察知し、彼は2度目となる地球訪問を果たすのだった。
「オレはタイガ。ウルトラマンタイガだ!!」
突如として現れたもう1人のウルトラマン。そんな突然の出来事で静まり返った首都東京で、タイガの力強い声が地面を震わせた。
「あれもウルトラマン、なのかな……?」
「わからないけど、敵対してるようには見えないわね」
ルビィや善子のように、未だわからない巨人の姿に困惑している人も中にはいた。だがその姿から、彼もオーブと同じなのではないかと、希望を捨てず見守る。
「ウルトラマンが増えようと、私が倒してくれる!!」
テンペラー星人は右腕をタイガの方へと向け、明確な敵意を露わにした。
「シュアッ!」
構えたタイガは一直線に走り出し、勢いを乗せた飛び蹴りをお見舞いする。テンペラーからの反撃を確実に往なしていき、顔や胸部に攻撃を繰り出す。絶え間ない攻撃を躱しての殴打の連発。再度飛び上がって、数度体を捻ってから繰り出される飛び蹴り。
軽快な動きから繰り出される確実な攻撃。そこにはいくつもの戦いを潜り抜けてきた”光の勇者”の姿があった。
(す、すごい……あれがウルトラマンの戦い方……)
ウルトラマンとなってから初めて見るウルトラの先輩の戦い方に、一眞は体に走る痛みを忘れてしまう。
回し蹴りを受けたテンペラー星人は後退すると、クロウハンドからロケット弾を放射状に撃ちだした。
「……ハアッ!」
瞬時に手先から光弾を広範囲に放ち、ロケット弾を相殺。空に展開される数多の爆発。しかしその隙にタイガ目掛け迫ってくるのは火炎弾。そう、この攻撃事態が隙を作る囮だったのだ。
「あ、危ない……」
「ハンドビーム!」
タイガはいち早く気付き、両手を合わせて放つくさび型の破壊光線で応戦した。
威力はすさまじく押し負けそうになるも、身体中から集めたエネルギーで光線の威力を底上げし徐々に火炎弾を打ち消していく。
そしてすべての火炎弾を打ち消すことでダメージを負わせることに成功。爆炎で吹き飛ぶ衝撃が伝わる。
するとオーブに駆け寄って肩を貸したタイガは驚愕した。
「なんでオーブがここに!?」
向こうは知っているようだが、こちらは全くの他人。その驚きが何なのか、一眞には全く分からなかった。
「いや……別の世界のオーブだな。まだ戦えるか?」
「……ッ、はい!」
「よし、行くぞ!」
何かに納得したタイガに問われたオーブが返す。
そして互いに頷き、並び立つオーブとタイガ。2人のウルトラ戦士はテンペラー星人に再度向かっていく。
攻撃を避けながら、オーブカリバーで水平切りからの勢いをつけた斬り下ろし。タイガも側面へ回り込んで手刀。
タイガとオーブ、即席でありながらも抜群のコンビネーション。
それはタイガが
タイガはテンペラーの右腕を掴むと、全身に力をかき集めて投げ飛ばす。
「ヤツのマントを破壊するんだ!」
「はい!」
タイガの言葉に、オーブは即座にオーブカリバーを構える。
風のエレメントの力を解放させると、オーブカリバーの刀身が緑色の風に包まれる。頭上で振るい、より大きな風……さながら竜巻を発生させ、テンペラー星人へと撃ちだす。
地面を抉りながら吹きつけるその新緑の烈風は、青い巨体を包み込み天高く舞い上げた。
(喰らえぇぇぇぇぇ!!)
隙のできた今がチャンスだと即座にフュージョンアップしたオーブはスペリオン光線で、背中のマントを破壊した。これで光線を防ぐことも、そして飛ぶこともできないだろう。
刹那、墜落して上がった土煙の中から雷撃の鞭が2人を襲う。
「ウアアアアア……!?」
「ガアアアアア……」
ビルを巻き込み倒れ伏す2体の前に、テンペラー星人は姿を現す。姿は変わってないものの、そこにはあふれんばかりの執念と憤怒を滾らせていた。
「このぉ……ウルトラマンどもがぁぁ……」
当た腕で鞭を振るいもう片方から火炎弾。さらには頭部から毒ガスを噴出。怒り狂った暴虐の舞に2体のウルトラマンはさらなるダメージを受けてしまう。
「テンペラー星人……なんて強さだ」
タイガの父親、そして兄弟子との交戦の歴史があるテンペラー星人。その何百、何万年もの間戦い続けてきた種族の強さは噂に聞く通りだった。
だがそれでも、それでも2人は立ち上がる。
「でも退くつもりはない……だろ?」
タイガは隣で立ち上がるオーブに問いかける。
「はい。それが、ウルトラマンですから」
やっぱり、彼も同じだ。違う世界のウルトラマン……まったくの別人、全くの他人だとしても、その根底にあるもの……誰かを、何かを守りたいとする心は同じなのだとタイガは確信する。
「オーブ……俺の力だ、受け取れ」
「……え?」
タイガの腕から発せられた赤い光は、オーブのカラータイマーへと向かう。点滅が収まり、赤い点滅は青き輝きに回復すると同時に、オーブリングが輝いていた。
「これって……タイガさんの?」
一眞の問いにタイガは無言で頷く。それは、タイガのウルトラフュージョンカードだったのだ。そして彼のカードと共鳴するように、とあるカードが光る。
「これってもしかして……」
「ああ、オレと親父の光だ。今のお前なら使えるはずだ」
頭部に輝く2本の角はタイガのウルトラホーンに近くなり、赤と銀で構成された体、そして蒼銀に輝く胸アーマー。目元もタロウやタイガのような悪を許さない鋭い目つき。
親子の力をその身に宿す勇者の炎。それがウルトラマンオーブ ストリウムマイトなのだ。
「これがタイガさんとタロウさんの力……」
内側から燃えるような……燃えるでは生易しいまさに爆発しそうな感覚。しかしそれが不思議と不快感がなく、むしろ心地いい。そして湧き出てくる勇気が、この体を動かく原動力になる。
「オーブ、こんどこそ一緒にアイツを倒すぞ!」
「はいッ!!」
「「シュアッ!!」」
シンクロしあった2人の掛け声とともに地面を蹴りだす。
「何度姿が変わろうが同じこと……オアアッ!?」
同時に放たれた拳の殴打に、なす術無く吹き飛ばされる。ふらついた姿勢を立て直そうとしたところに叩きこまれる、炎を宿した2つの回し蹴り。四方八方から高速で攻撃されるテンペラー星人になす術はなかった。
直後、大地と天空の力を宿す金色の鎧を身に纏った
「この……ウルトラ兄弟必殺光線!!」
「オーラム……ストリウゥゥゥゥゥゥム!!」
地面に力を入れて放った金色の奔流は、テンペラー星人の光線を難なく押し切り本体へと衝突。大爆発を起こす。
「まだ……まだだ! まだ終わらん!!」
「スワローバレット!」
「スワロマイトバレット!!」
十字に組んで放つ金色の連射弾と、燃えるような連射弾の雨がテンペラー星人に大きな隙を作った。
「決めるぞ、オーブ!」
「はい、行きましょうッ!!!」
通常携帯に戻り、エネルギーと貯めるタイガの体が虹色に輝くと左腕を上に、右腕を下に支えとしたポーズで、右手の甲を向けた光線を放つ。
さらにオーブも虹色に輝くと同時に全身から迸る炎を左腕に集約。右腕を上に、左腕を下に支えとした構えはタロウのストリウ光線を彷彿とさせるが、その違いは左手の甲を相手に向けている事だ。
虹色の光線と炎を纏った虹色の光子熱線はテンペラー星人へと直撃。強大な爆発と共に、2人のウルトラ戦士と苛烈な戦いを繰り広げた極悪宇宙人は遂に敗れ去ったのだった。
変身を解いた一眞は屋上でタイガの姿を見上げる。
「お前がオーブに変身しているのか」
「……ッ!? はい! 俺は暁一眞です!!」
先輩のウルトラマンと対面したことはこれが初めてである一眞は、背筋を伸ばし声を張った。そこには緊張しているという彼の内面が色濃く出ていた。
「一眞か。お前がいれば、この地球も安心だな。だが、この星にはなにかとんでもないことが起きようとしている。気を付けろよ」
「はい! この星は俺が絶対……」
「ハハッ、気負うのもいいが、お前にも仲間がいるはずだ。ともに助け合う仲間がな」
タイガは一眞の気負いしてしまう性格を見破ったのだろうか、それとも過去の自分の経験なのだろうか。不思議な雰囲気のある彼の言葉は、心に刻み込まれていく。仲間と助け合え……と。
「仲間を守って、必ず勝つんだ……ってこれはゼロからの受け売りなんだけどな」
またもハハッと笑うタイガにはまるで少年のようなあどけなさも残っている。それでも、一眞はもう一度声を大にして頷いた。
「オレも他の場所で戦っている仲間と合流しないとな。ここはお前たちに任せた」
「はいっ!!」
そして満足そうに頷くと、タイガは空高く飛び去っていく。
太陽の光が彼の姿を照らす。その姿はさながら赤い星のよう。それは決して1人だけの光ではないと言わんばかりに、眩しく輝いていた。
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沼津に向かう電車に揺られる中、夕日を窓から夕陽を見つめる一眞。東京に行ったはいいがμ'sの何が凄いのか、どこが違うのか……それは結局、はっきりとはわからなかった。それと同時に、あることも。
「もしかして~」
「さっきのウルトラマンのこと?」
曜や梨子はお見通しだったみたいだ。
「そうだけど、なんでわかるんだよ?」
「勘……かな」
あやふやな答えに気が抜けそうになる。しかし気付いたころには、どうしてそんなことを考えていたのか、2人に話し始めていた。
「初めてだったんだ。オーブ以外のウルトラマンにあったのは。それで一緒に戦て……」
「なにかわかったの?」
梨子は見透かしたような優しい口調で問いかける。
「うん。やっぱり、同じなんだなって。平和だったり、誰かを守りたいって想いは、同じなんだなって。戦ってる時もずっと、ずっと伝わってきたんだ。なら、力を貸してくれるウルトラマンたちも同じ気持ちだって……そう思える」
一眞は腰に付けたホルダーを優しく撫でる。
「だからさ……俺もウルトラの先輩たちに恥じないように、みんなを守ていきたいって改めて思ったよ」
一眞が笑顔で語るその答えには、今までのような1人で気負おうとするような焦りは感じられなかった。仲間と共に、一眞もまた戦っていくのだと。
「海見ていかない? みんなで!」
そんな時だった。千歌が突然提案してきたのは。
夏だというのに、海の方から吹きつける風が心地いい。さらに内浦の海とはまた違った景色がそこには広がっていた。ルビィや花丸も感動に声を上げている。
「――――私ね、わかった気がする。μ'sの何が凄かったのか」
千歌はおもむろに口を開く。
「多分ね、比べたらダメなんだよ。追いかけちゃダメなんだよ……μ'sも、ラブライブも、輝きも」
「どういうこと?」
「さっぱりわかりませんわ」
千歌のたどり着いた答えに、善子やダイヤは疑問符を浮かべる。一眞だって、わかりそうで何かが引っ掛かっている状態だった。
「私は、なんとなくわかる」
「一番になりたいとか、誰かに勝ちたいとか……そうじゃなかったんじゃないかな」
果南に続け、梨子も。
ああ、なるほど……と一眞も千歌たちの姿を見て、ようやく答えにたどり着く。
誰かの背中を追うだけでも、誰かと競争し合う事だけでもでも、頂点に立つことでもない。ただただ……彼女たちは――――
「μ'sの凄いところって、きっと何もないところを、何もない場所を……思いっきり走ったことだと思う。みんなの夢を叶えるために」
自由に、まっっすぐに……だから飛べたのだと。
「μ'sみたいに輝くってことは、μ'sの背中を追いかけることじゃない。自由に走るってことなんじゃないかな?」
千歌の答えを得たその微笑みに、他のAqoursメンバーも笑みを浮かべる。
「全身全霊、なんにも囚われずに。自分達の気持ちに従って……!」
自由に、自分たちで決めて、自分たちの脚で走っていく。
「自由に走ったらバラバラになっちゃわない?」
「どこに向かって走るの?」
「私は0を1にしたい! あの時のままで終わりたくない!!」
善子、そして梨子の問いに千歌は答えた。初めからずっと0だった。それを1にするために、今ここから再び走り出していくのだと。
「それが今、むかいたいところ!!」
円陣を組むAqours。しかし今度は手を重ねるだけではない。人差し指と親指を開いた形を全員で繋げていく。全員で繋げた0を1にするという目標のための、新たな始まり。
「ゼロからイチへ! 今、全力で輝こう!!」
「Aqours――――!!!」
『――――サンシャイン!!!!!!』
新たな羽ばたき……その始まりの声が、海辺にこだました。
本編後よりも落ち着きのあるタイガになってしまった感……。でもタイガがかっこいいからヨシ!
そしてまたもや唐突に出たオリフュージョンアップ、ストリウムマイト。一眞だけのフュージョンアップが欲しかったんだ……。そしてザ・安直!!な名前なんですが、結構ギリギリまで案を練っていました。ツインストリウムとかストリウムバレットとか……(どれも嫌だなって話はやめてくれ。ネーミングセンスが皆無なんだ)でも結局、これがしっくりくる感じがするのでいいかなと。
さて、一期もいよいよ終盤です……!