Sunshine!!&ORB   作:星宇海

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ギャラファイ……毎回声上げちまうよ……

そしてアニガサキも、溜まってきた闇ポイントがそろそろ爆発しそうで怖いです。


第39話 宝石と真珠

――――あれはいつの話だったか……。それはまるで夢幻のよう……。

 

 

――――彼が見ていたそれを、私はただのぞき込んだだけ。その時はよくわからないなどと口にしていたが、今思えばそれがキッカケだったのかもしれない。

 

 

――――当時の記憶を封じられ、得体のしれないものを頭に詰め込まれたような感覚の中、私は地球に戻った。

 

 

――――いくら自分の記憶が封じられていても、私は何度だって好きになる。

 

 

――――私はあの時、体育館での輝きを見た時に、それを感じ取っていたのかもしれない。でも、頭に詰められた”何か”が邪魔をする。

 

 

――――地球人の私、侵略者としての私。時折、どちらが本当の自分かわからなくなるほどだった。

 

 

――――スクールアイドルを見ていたいと思いながらも、私は地球に牙を突き立てる。偽りの記憶と、偽りの憎悪を迸らせながら、彼に向かって禍々しいリングを取り出す。

 

 

――――本当は嫌だと藻掻きながらも、気付けば彼が倒れている。

 

 

――――思ってもないことを彼に投げかけてしまえば、戸惑いと悲しみの表情が、私の心を突き刺していく。

 

 

――――しかしある戦いの中で、彼の言葉が偽りの記憶を剥ぎ取ってくれた。そして……

 

 

 

「――――オーブスプリーム……カリバァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

 

シリウスの放った一撃が私に直撃するとともに、視界が暗転する。そして、私の頭に纏わりついていた”何か”も、目覚めたころには消え去っていた。

 

 

――――けど

 

 

 

 

「もう、許してくれないよね……」

 

久しぶりに発した言葉は、そんな諦めと後悔を含んだものでしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

「はい、今日の練習はここまで!」

 

足掻くと決めたあの日から、すでに数日が経とうとしている。説明会の件は鞠莉がどうにかして説得を行っているようだが、向こうから返事がないとのこと。しかし、諦めの表情は見えなかったのも確かだ。それでも折れずに、鞠莉も説得を続けると言っていた。

 

「疲れた~」

 

「千歌ちゃん、お疲れ~」

 

早速使わせてもらっている沼津のスタジオ。千歌は終了の合図と同時に横になり、曜が水を持って労っている。

 

「こいつで……ラストッ! はあ……はあ……はあ……痛い、腹筋痛い……」

 

一眞もトレーニングを終えたようで、額には大量の汗がにじんでいる。

 

「カズくんもお疲れ。はい水!」

 

「……悪い、本当は俺がやんなきゃなのに」

 

「いいの、いいの。今日は私がダンスを見る側だったから」

 

曜はまぶしい笑顔ともに敬礼のポーズで答える。ダンスレッスンでは、ローテでカウントを刻んだり動きを見たりしているのだ。

 

すると曜はすかさず一眞の横に座り、ある頼み事をしてきた。心なしか、言葉の歯切れが悪い。

 

「次の休日さ、衣装の生地を買いに行きたいんだけどカズくんに……」

 

「いいよ。荷物持ちなら任せてくれ!」

 

曜の誘いをちゃっかりと受け入れた一眞。だが一眞に、彼女の真意が伝わっているかと聞かれると怪しい。曜も不満そうな顔を見せるが、一眞にその訳を話すことは無いだろう。

 

 

そんな彼ら以外のメンバーも、個々にストレッチや水分補給などを欠かさずに行っている。しかし、1人だけ上の空になっている人物がいた。

 

「どうしたの、ルビィちゃん?」

 

花丸は考え事をしているルビィへと声をかける。しかし次に返ってきたのは、彼女本人の声ではなかった。

 

「リトルデーモンの囁き、このヨハネが受け取った……ズバリ――――」

 

しかし善子が全貌を言い渡す前に、ツインテールに結った赤い髪が揺れる。

 

「……スピカちゃん、どうしてるのかなって」

 

「話聞きなさーい!」

 

「あっ、東京で会った子ずらね」

 

「ズラ丸も無視しないでよ!」

 

仮に同じような対応を受けたことがあるとはいえ、どちらにもスルーされてしまう痛みは慣れないのか、声を震わす善子。

 

「だって善子ちゃんはスピカちゃんと会ってないずら」

 

「だからヨハネ! って誰の話よ、それ?」

 

以前、東京のライブに呼ばれたときに出会った少女。ルビィや花丸のこと……スクールアイドルを知っているピンク髪の少女だと花丸は説明する。

 

「ピンクの髪の毛……? それって!?」

 

善子の記憶は、数か月前の出来事にアクセスしていた。ゼッパンドンにオーブが破れ、一眞の正体がバレた日。その現場には、ピンク髪の子がいて、ルビィや花丸が動揺していたことを思い出す。

 

「見た感じ、あまり友好的とは思えなかったんだけど?」

 

善子が見たのは、男と共にいるスピカの姿だけ。見たからに一眞を襲おうとしているようだった。それに加え、善子は過去に宇宙人に誘拐された過去がある。そう思えば、彼女の言い分も仕方ないのかもしれない。

 

「善子ちゃんよりも友好的ずら」

 

「それどういう事よー!?」

 

花丸と善子はいつも調子だったが、ルビィは気になるようだ。同じスクールアイドルを愛するものとして、彼女の”好き”本物だった。では、何故あのようなことをしていたのか……。まったくの謎なのだ。

 

怒涛の日々の中で薄れていたのかもしれないが、一度思い出すと沼にはまったかのように疑問の穴に落ちていく。

 

「ルビィ、それに花丸さんも善子さんも、早く着替えて身体を冷やさないように」

 

ダイヤの声で、我に返るルビィだったが彼女への心配、そして疑問は喉につっかえた魚の骨のように残留し続けるのだった。

 

 

 

 

 

休日、久しぶりのオフである今日。花丸や善子が気晴らしにと3人で出かけた公園で、その再会は果たされることになるのだった。

 

「ルビィちゃん、どうしたずら?」

 

ふと、ルビィが立ち止まったのだ。その瞳はまっすぐに何かを見つめていると同時に、彼女の息を呑む音が聞こえた。

 

「……あれ」

 

「あれ? なによ……ってちょっと!?」

 

するとルビィは脇目もふらずに一直線に走りだしたのだ。あまりの唐突さに、花丸と善子は彼女と距離が離れていってしまう。

 

「ルビィちゃん、待つずら~!」

 

「どこに向かってんのか教えなさいよっ!?」

 

そんな2人の声すら届かないのか、ルビィは四肢に力を入れる。そして目的の場所まで着くと肩で息をするよりも”そこに座る人物”に手を伸ばした。

 

「ルビィちゃん!」

 

「その子って……」

 

以前に聞いていた容姿と一致したことに息を呑む善子。自分と同じくらいの背丈に、ピンク色の髪……。ルビィの差し伸べた手に困惑しているのか、目を見開くことで彼女の綺麗な金色の瞳に自分の顔が反射する。

 

「久しぶりに会えたね……スピカちゃん」

 

安堵と嬉しみに口元が緩んでいくと同時に、そのエメラルドグリーンの瞳に涙が溜まる。

 

「あなたは……黒澤ルビィ、さん……?」

 

しかし不思議なことに、彼女は以前会った時よりも幾分か弱々しくなっているようだ。まるで、動物におっかなびっくり触れようとしているみたいに。

 

「どういうことよ。前に見たよりずいぶん弱々しいじゃない」

 

「マルにもわからないずら……」

 

一瞬だけしか見ていない善子ですら、その変わりように首をかしげてしまうのだった。

 

 

 

「どう、落ち着いたかな?」

 

公園に設けられたベンチに腰掛けたスピカに、ルビィはそっと尋ねる。彼女は、何も言わずとも首を縦にコクっと振る。さらにルビィが渡した飲み物を両手で持って口へと運ぶ。

 

花丸と善子も隣で座って2人の様子をうかがっている。

 

「どうして……」

 

スピカの発した言葉に、ルビィは聞き返す。すると、彼女はポツリポツリとではあるが言葉を紡いでいく。

 

「どうして私なんかに、構うの? 私は……怪獣を召喚して……みんなを襲って……シリウスにもひどいことして……私なんか……」

 

自身のやってきた過ちに涙を流す姿には、善子や花丸も声をかけようと傍に寄っていた。

 

「……本当に悪い人なら、泣いたりしないんじゃないかな」

 

スピカはルビィの方へ顔を向ける。

 

「ルビィは、怪獣とかウルトラマンとか……あまりよくわからないんだ。かず……その、ウルトラマンが守ってくれてるってことぐらい」

 

握った両手を見つめながらルビィは自分の想いを伝える。

 

怪獣やウルトラマン……。スピカが捉えている意味と、ルビィが捉えている意味では異なるものだ。それをルビィがどうこう言えるものでもないというのは、彼女が一番理解している。

 

しかし、彼女とスピカを繋げるものが存在する。

 

「でも、スピカちゃんがスクールアイドルが大好きってことは、最初に会った時からずっと伝わってきてたんだ」

 

ルビィはスピカの冷たい手を握る。

 

スクールアイドル。届ける側と受け取る側で立場は違えど、その想いは同じ。

 

「ルビィはただの……スクールアイドルが大好きな友達として、スピカちゃんとお話ししたいな」

 

彼女の言葉はスピカの心を優しく包み込み、溶かしていく。そしてスピカも、握られた手の上からさらに手を重ねた。

 

 

 

そして4人の仲は急速に深まっていく。互いの好きなもの、互いの短所、今までのこと……彼女たちはありったけの言葉を交わしていく。話していくと、スピカとルビィが同い年だということもわかってきた。

 

 

「ね、ねえ、ルビィ」

 

「どうしたの?」

 

「あ、あのね……私、会いたい人がいるの……」

 

ふと、スピカはばつの悪そうな顔で尋ねた。それは彼女が初めて会った宇宙人。かつて怪獣で襲ってしまった男の名だった。

 

「誰のこと?」

 

しかし今は別の名であることから、ルビィや花丸、善子は首を傾げる。

 

「ええ!? だから、ほら、Aqoursのマネージャーの」

 

「あ、一眞さんのことだね」

 

一眞……はて、いつからその名前の替えたのだろうかとスピカは頭を巡らせるが、彼女にはわからないだろう。彼が名前を変えたということも、記憶を失っていたことも。

 

「そ、そうよ。それで……かずま? に会いたいんだけど、頼めるかな?」

 

 

――――わかったと言いかけた瞬間

 

 

「あらあら、随分と楽しそうにしてるじゃない、スピカ?」

 

大人の女性の声が背後から聞こえ、スピカは背筋を震わせる。その豪勢なドレス姿は、まるでモデルが撮影現場から逃げ出して来たかのような異質感を放っていた。

 

「あなたは……!?」

 

会いたくもなかった人物の出現に、彼女は声を震わす。

 

「えっと、スピカちゃんの知り合――――「っ、逃げて!」

 

ルビィの声よりも早く、スピカは彼女たちに警鐘を鳴らした。しかし、突然のことで戸惑ってしまうのも無理はない。脚を動かすことができないルビィたち。

 

「どういたのよ、いきなり……」

 

「今は話てる暇はないの! はやく!?」

 

スピカの剣幕に押される善子。そこで彼女の勘が囁いた。これは本当に逃げなくてはいけないものだと。

 

「ならスピカちゃんも一緒に逃げるずら!」

 

どうにかして一緒に逃げられないかと聞くが、彼女は答えない。

 

「随分と友達思いな子たちね。私感動しちゃったわ」

 

いかにもわざとらしい言い分だ。証拠に彼女の口元には笑みが浮かんでいる。

 

「それに、今の私は襲いに来たわけじゃないの。ただ聞きたいのよ。あなたがこちら側に戻るかどうかをね」

 

こちら側……。その言葉でスピカは悟る。ああ、連れ戻しに来たのだなと。しかし、ヴィルゴに至ってそんな慈悲深くあるはずもないだろう。さしずめ、心を抜き取って案山子のように永遠に働かせる気だ。ならば、アオボシが来たほうがまだマシだった。

 

「私は……」

 

「どうする? 今戻ると言えばそれなりの罰で済むけど? なんならお友達を消し飛ばしちゃう?」

 

ヴィルゴの視線がルビィたちに向けられる。まずい。彼女は誰かを甚振るためなら手段など選ばない。

 

「私は……」

 

「ん?」

 

しかしルビィたちは、私を侵略者としてではなく、ただの同年代の女の子として見てくれた。ルビィも花丸も善子も、私をただの友達として……。

 

なら、私のすべきことは決まっているんじゃないのだろうか。私を助けてくれた、彼らのように……。

 

「私は、あなた達のもとになんか行かない! ここで、この地球で生きていくの!!」

 

言い放ったスピカは、ルビィたちの手を引いて走り出した。

 

「逃げようっ!」

 

段々と小さくなっていく4つの背中を見たヴィルゴは舌打ちをする。

 

「そう。逃げるのであれば、それなりの罰は覚悟するのね……」

 

まるで幻術のように姿を消していく彼女の手には、ダークリングが握られていた。

 

 

 

 

~~

 

「ちょっと、何なのよあの人!? 説明しなさいってば!」

 

走りながらも状況が掴めない善子は説明を要求する。

 

「マルたちにも教えて欲しいずら!」

 

「あれは……地球に眠る怪物を求めに来た男の部下よ」

 

「地球に眠る……怪物?」

 

スピカの発した言葉、それはルビィには想像もつかなかった。今までずっと住んできたこの星に、いったい何が眠っているのだというのか。その漠然と佇むような気配に、ルビィは時季外れの寒気を感じた。

 

「そしてあの女はただ自分の欲を満たすだけに、不幸をばら撒く存在……」

 

「だったら、一眞を呼ぶべきよ!」

 

善子の方へ顔を向けようとした瞬間

 

 

「そうね、オーブでも呼びましょうか」

 

 

いつまだ立っても耳に纏わりつく声が、再び鼓膜を振動させる。

 

「な、なんで……」

 

「このくらい簡単なことよ、私にとっては」

 

待ち構えていたかのように、目の前に立つヴィルゴ。彼女は笑みを浮かべたまま、ダークリングに解呪のカードを通した。

 

 

《レッドキング》

 

 

ダークリングから発せられた闇の波動は、そのままルビィへと向かっていく。

 

 

「ルビィちゃん!!」

 

「――――ッ!?」

 

 

しかし、その波動がルビィに当たることは無く、気付けば突き飛ばされて地面に尻もちをついていた。

 

「ア……アア……」

 

目線を上にあげると、目の前には影が1つ。そう、スピカが盾となって代わりに受けたのだ。

 

波動を受けたスピカは膝をつき、虚空を見つめる。

 

「アハッ、アハハハッ、予想通りよ! あなたの友達想いなトコロ、本当に大好きだわ! 倒した相手が、彼女だなんて、オーブはどう思うかしら。逆に彼女がオーブを殺したと知ったら……ああ、たまらないわっ!!」

 

顔を赤く染め、瞳を潤ませているヴィルゴ。彼女はこれから起きるであろう不幸を楽しんでいるのだ。

 

「さあ、存分に暴れるのよっ!!」

 

もう一枚カードをリードし、黒く染まった羽根状のパーツが開かれた。

 

 

《キングジョー》

 

 

波動は黒煙へと変わり、スピカの体を包み込む。そして沼津上空で怪獣へと変貌、街へとその巨体が降り立った。

 

 

《レッキングジョー》

 

 

剛力を思わせるその四肢。しかしそこに生物感などなく、腕や脚の付け根には機械の突起物、そして胸部はは怪しく発光している。さらに、身体中のいたるところから蒸気が噴き出している。さしあたり、強引にサイボーグ化された生物ともいえる外見だ。

 

その不気味な稼働音が静かだった街に響き、人々の不安を煽る。

 

 

 

 

「そ、そんな……スピカちゃん……」

 

花丸と善子、そして2人に支えてもらっているルビィは瞳と体を震わせている。新たにできた友人が、禍々しい光から自分たちを庇って怪獣となったのだから無理もない。

 

ルビィが小さく呟いた声に反応したように、その怪獣の瞳が輝く。

 

友人の変貌した合体怪獣は、機械的、生物的な声を合わせた歪な咆哮を街中に轟かせるのだった。

 

 




今回はここまで。スピカ……どうなっちまうんだよ。

さて今回出させていただいたオリ合体怪獣。レッキングジョー。強いと強いを掛け合わせたらもっと強くなるはず!な組み合わせです。

両者は人気怪獣だというのは勿論のこと、他のウルトラシリーズにも出ていました。ウルトランスでビクトリーに力を貸してくれる2体でもあります。
大怪獣バトルでは改造機とはいえ、両者ともレイの操る怪獣と対峙していましたね。それはZでも同じではありますが、こちらでは2体が対峙するという構図になっていましたが……。
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