早朝の浜辺。まだ冷たい潮風が頬を掠りながら吹いているこの時間帯に、ステップの確認をしている千歌と曜、そして梨子。部としては承認されてはいないものの、こうやって着実に動き始めていた。動きの確認のためのスマホ、そしてリズムを取るためのスマホと二台を使っての練習。しかし彼女たちの動きを捉えているのはスマホのカメラだけではなかった。
「なんで俺も……」
暁一眞その人である。早朝になんとなく家から連れ出された彼は、ランニングや柔軟なども手伝い今は動きの確認をするために彼女たちの前に座ている。
「はいストップ~」
一眞の声で動きを中断した彼女たちは、録画した動画を再生した。
「う~ん、ここの蹴り上げとここの動きがまだ弱いかな」
曜はすかさず全員の課題点を見つけ出していく。
「さすがね」
「高飛び込みやってたからフォームの確認は得意なんだ」
梨子の賞賛に曜はそう答えた。そういえば、前にこんな話を誰かとしたような……とおぼろげな記憶をかき分けて探す一眞。
(何か違和感を感じていたのは確かなんだけどな……誰だっけな~)
「リズムはどうだった?」
「千歌が遅れてるくらいじゃないか? てかなんで俺も手伝ってるんだよ」
文句を言いながらも放っておけない一眞を見て微笑む曜と梨子。指摘された千歌は頭を抱えながら上を見た。
プロペラの回転する音が段々と近づいてくる。ピンクと白のカラーのヘリが頭上を飛んでいるのだ。
「小原家のヘリだね。淡島にあるホテルを経営してるんだよ」
梨子は小原家のことを知らないようなので、曜が簡単に説明してくれた。詳しいことは一眞も知らず、「すっげー金持ち」ぐらいにしか考えていない。
「新しい理事長もそこの人らしいよ」
「「へえ~」」
千歌と一眞の声が被る。一眞は抜けてるとこがあるので、このようにしっかり話を聞いてないことが稀にあるのだ。
言っているうちにヘリは旋回し高度を下げてきている。まるでこちらに向かってきているようだ。
「こっちに来てない?」
「気のせいよ」
認めたくない現実からそのような言葉が出てきていたのかもしれないが、非情にもヘリは頭上を通過。そのせいで音はプロペラのローター音しか聞こえなくなり、巻き上げられた砂によって視界も遮られてしまった。4人は大騒ぎだ。
「なんだっ!?」
珍しく素っ頓狂な声を出した一眞。この手の轟音にはなんだか慣れない。
ヘリが目の前でホバリングすると、搭乗口のドアが開かれる。
「チャオ~!」
金髪のハーフ系の少女がそこには乗っていたのだった。制服は浦の星のもの。そしてリボンを見る限り緑色であるので3年生だろう。
場所は変わり浦の星。理事長室に通された一行は並んで立っている。しかし一眞は理事長室に入ることが初めてなので、後ろに飾られた品を見ているというなんとも自由な行動をとっていた。
「え、新理事長?」
「Yes! でもあんまり気にしないでマリーって呼んでほしいな!」
そう。目の前に立ち、今朝ヘリに乗っていた少女、小原鞠莉が新理事長だというのだ。そのことを聞いた一眞はすぐさま3人と同じく並んだ。
「すいません。勝手なことをしてしまって……」
「だからそんなに気にしないでって言ってるでしょ?」
「あの、新理事ちょ……「マリーだよ!」
どうも彼女のペースに乗せられてしまう。そして千歌は困りながら彼女のリクエスト通り、マリーと呼ぶと快く話を聞いてくれた。
(また敬語ダメな人ですか……俺苦手なんだよな~)
果南に続く敬語ダメ系上級生の現れに一眞は内心困っていた。
「その制服は?」
「変かな~ちゃんとリボンも3年生のしたんだけど」
千歌の問いにリボンなどを触り、どこか変かと確認してくる。しかし千歌が聞きたいのはそんなことではないのだ。
「そうじゃなくてですね、理事長ですよね? 生徒じゃなくて?」
「生徒謙理事長。Curry&牛丼みたいなものね!」
なんと彼女、生徒と理事長を兼任しているときた。本来ならばあり得ることではない。それをなんだかよくわからない例えで茶化されているようだ。梨子も同意見のようで「わからないのか」と鞠莉に問われている。
「わかりませんわ!」
そこに割り込んできた声。梨子や一眞はピンと来ていないようだったが、鞠莉や千歌、そして曜にはなじみ深い声であった。
「生徒会長!?」
4人はダイヤがここに現れたことに驚いているが、鞠莉は彼女を見るや否やすぐに抱き着いたのだ。「久しぶり」という声も聞こえることから彼女たちは昔馴染みなのだろう。久しぶりに会った親戚のおじさんのようなムーブをかましてくる鞠莉に、ダイヤは「触るな」と拒否してくる。
「でも胸は相変わらずね~」
すると鞠莉はダイヤの胸を触ってきたのだった。さすがにダイヤも声を荒げる。しかし恥ずかしいのか図星なのか、声がだんだん小さくなっていくという状況を、一眞は曜に目を覆われたことで見ることはできなかった。
「おい、なんだよ! な、なんだよ曜!」
「ごめん、咄嗟だったからつい……」
曜は手を合わせて謝罪してきた。一眞はその一部始終を見ることこそなかったが声はばっちり聴いてしまったので、何があったのかは大体予想できる。
(いやでもこれ言ったら袋叩きだろ……イワンデオコ……)
怪獣より恐ろしい目に合うんじゃないかと感じた一眞は、口をしっかりと閉じるのだった。
「一年の時にいなくなったと思ったら、こんな時に帰ってくるなど……いったいどういうつもりですの?」
ダイヤは”この時期”になぜ帰ってきたのかを問い詰めようとしたが、彼女は全くもって無視し、カーテンを開けた。
「シャイニー!!」
都合が悪いのかな……それともホントに話を聞いてないだけなのかな……俺帰っていいかな……とかなんとか考えている一眞。
「高校生が理事長だなんて、冗談にもほどがありますわ」
そうそう、とダイヤが言っていることに首を縦に振る一眞。だが、どうやらそれはジョークではななく、その証拠として彼女を理事長と認める任命状を出してきたのだった。
「小原家の学校への寄付は相当な額なの」
自信ありげな発言に「どんだけ金持ってんだよ……」と驚くと同時に呆れかえる一眞。
「実はこの浦の星にスクールアイドルが誕生したという噂を聞いてね」
ダイヤに邪魔されてはかわいそうだから応援しに来た――――それが彼女が理事長になった理由であった。
「ほんとですか!?」
ダイヤと同じ3年生、しかも理事長という強力な存在が味方に付いたことに喚起する千歌。
「デビューライブには秋葉Domeを用意してみたわ」
小型のノーパソを開き、写真を見せる鞠莉。その行為に喜ぶものと、驚愕するもの、そして(小さいノートパソコンだな……)とまったく違うことを考える2年生組。最後のは一眞である。
「It's joke!」
「ジョークのためにそんなもの用意しないでください」
冷ややかな千歌の声が飛ぶ。そして本当のライブ場所に案内された。
「ここで?」
「ええ。ここを満員にできたら、人数に係わらず部として承認しますよ」
浦の星の体育館であった。人数に係わらず承認というのは異例のことだ。
「満員にできれば承認なんですね?」
「部費も使えるしね」
答えが返ってくると少し考え込む一眞。
「でも満員にできなければ?」
成功ではなく失敗の時のことも聞く梨子。リスクも知らないで安易にやると言ってはいけないものだ。
「その時は解散してもらうしかありません」
きっぱり解散と言い放つ鞠莉に非難する千歌。
「嫌なら断ってもらっても結構ですけど?」
悪い笑みを浮かべる鞠莉。このまま部として承認されないかもしれない毎日を送るか、ここで一発逆転の大チャンスをものにするのか……彼女にはどちらを取るのかわかってこの案を出したのだろう。
「結構広いよね……やめる?」
曜は千歌に問いかけると、彼女は「やるしかないよ!」とはっきりと答えた。その姿にはさっきまでの弱気なトコロは見られない。
やるということで決まりましたねと鞠莉が去っていったところで、梨子はとあることに気が付いて疑問を共有した。
「ねえ、この学校の生徒って全部で何人?」
その問いにハッとさせられる曜。しかし千歌は気付いてないようで、一眞が説明した。
「仮に全校生徒が全員来ても、ここは満員にはならないんだ……」
人数が少ない故の、弊害が彼女たちの前に立ちはだかったのである。
日直の仕事を終わらせ、廊下を一人で歩いている一眞。千歌たちはすでにバス停に行ったはずだ。先に帰ってもいいと言ったのだが、彼女たちは待っているだろう。そんなやさしさに甘えながらも、はやめに行こうと歩くスピードを上げる。すると
「一眞~!」
背後から聞こえてくる声。それに振り向くと、声の主は先ほど(朝ですけどね)話した鞠莉だった。
「どうも。お疲れ様です」
頭を下げる一眞に、鞠莉は「カタいってば~」とやめてほしそうに言った。
「で、何の用です?」
「あなた、申請書に名前書いてないわよね?」
スクールアイドル部のことなのだろう。確かに名前は書いていない。自分は入るつもりはない。あくまで手伝いだけだと答える。
「見た感じもう入っていると言ってもいいくらいだけど」
「そう見られても仕方ありません」
ニコっと微笑み返す一眞。彼は正直も迷っているのだ。梨子に言ったように何か変われるのかもしれないという期待感を持ちながら活動を見ている。しかし、自分にはもう一つの顔がある。ウルトラマンというもうひとつの顔が。「やっていけるのか?」という小さな不安が、彼を留めているのだった。
「しっかり、彼女たちを見ていてあげて」
次の瞬間、鞠莉の口から出た言葉に思考が停止する一眞は「え?」と聞き返す。
「私たちの時にいなかった存在だからこそ、みんなを繋ぎとめてあげてほしいの」
「それってどういうことですか……?」
一眞は彼女の言っていることがわからないままであった。しかし鞠莉は言い終えると「バイバ~イ!」といって踵を返してしまった。廊下で立ち尽くす一眞は、その言葉を飲み込めずにいたのだった。
一眞たちはとりあえず、千歌の部屋で作戦会議をすることになった。最初に千歌は下に降りていって何かをしてきたようだが、帰ってきたときには額に「バカチカ」と書かれているだけであった。何の成果もあげられなかったという訳だ。
聞けば、美渡さんの働いているとこの従業員を誘ってライブに来てほしいと頼んだのだ。
「お姉さんの気持ちもわかるけどね~」
裁縫をしながら答える曜に「お姉ちゃん派ー!?」と落胆する千歌。
「地道に人集めるしかないだろ……」
一眞もどうにかして人に知らせることができないかとポスターをみて考えている。
「あれ、梨子ちゃんは」
千歌は梨子を探してふすまを開けるとそこには、壁と手すりに手足をつき橋のようにして下にいる生物を刺激しないよう移動……避けている。
「それよりも、人を集める方法でしょ?」
「そうだな……チラシ配るか」
「そうだね。やるんだったら高校生の多い沼津の方がいいね」
梨子はスルーされ、人集めのアイディアが出ていく。
「町内放送だって頼めば使わしてくれるよ」
「使わしてくれんの、アレ?」
「カズくんは知らなかったっけ。あそこは……」
曜が一眞に説明を始めた瞬間、モノが落ちるドスンという音とイヌのキャフンという声がほぼ同時に聞こえたのだった。その後は……説明しないでおこう。
~~
翌日、彼女たちは沼津駅の前にやってきたのだった。
「東京より人は少ないけど、やっぱり都会ね」
「それは仕方ないよ。俺だってあの人の多さ見た後じゃ、比べちゃうのもわかるけど」
人がにぎわう沼津の駅前をみて話す梨子と一眞。記憶を失った後に見た東京の人の多さは目を見開いてしまうほどの驚きがあった。これまでに見たことがないほどの人が歩く姿に酔ってしまったのも今は懐かしい。
「そろそろ部活終わった子たちがくる頃だよ」
曜の呼びかけに火が付いた千歌は意気こんでいった。
「よーし、気合入れて配るぞー!!」
そしてビラ配りがスタートした訳だが……そう上手くいくものではないのが現状だ。しかし曜は気持ちとタイミングを意識しながらビラを配りに行く。
「ライブのお知らせでーす! よろしくお願いしまーす!!」
2人の生徒に配りに行くと
「あなたが歌うの?」
「はい、来てください!」
と敬礼のポーズとウィンクといういつもの調子で宣伝する。すると興味を持ってもらったのか、ビラを見ながら「行ってみようか」と話が聞こえた。これが理想形である。
「さっすが曜だ……」
その姿を見た千歌にもさらに火がついて
「ライブやります是非」
「で、でも……」
「是非!」
壁ドンからの圧をかけていくなんてトンデモナイことを実行し始めた。
「圧かけんなよ……」
壁ドンされた側は、ビラを受け取って逃げるように走っていく。
「勝った」
「勝負してどうすんだよ……てか完璧に嫌がられただろ……」
一方梨子もポスターに向かって練習だとか言って渡すふりをしている。
「練習してる暇はないよ!」
「強引だな……」
「そうでもしないと梨子ちゃん配らないよ」
千歌に押し出された梨子は水色のコートをは覆ったサングラスとマスクをした人にビラを配っていた。またこちらも逃げるようにして取られていたが、一応成功なのかもしれない。
「ライブのお知らせです」
一眞も声を上げてビラを配っていく。次に狙いを決めたのは、黒い服を着たピンク髪の少女であった。
「あの!」
「……?」
背後から声をかけてしまったが、彼女は立ち止まり振り向いてくれた。こう言っては失礼だが、なんとも表情を認識しづらい子だなと一眞は感じた。
「ライブのお知らせです」
一眞はそう言ってビラを差し出す。
「ライブ……?」
「ええ、イラストに描いてある子たちがやるんです。ぜひ来てください」
ビラを受け取りながら少女は一眞と目を合わせる。
「……ッ!?」
すると彼女の表情が目に見えた変わった。驚愕と言った感じだろう。あり得ないという感覚にも感じられたその表情に一眞は心当たりのないという想いでいっぱいだった。
「なにか……?」
「……い、いえ」
彼女はビラを取ると、すぐに駆けていってしまう。
「……なんだ?」
すると千歌が寄ってきて聞いた。
「知りあい?」
「いや……」
一眞は否定するが、彼の中にははじめてとも思えないという感情も確かにそこにはあったのだった。
なんとかやり方のコツを掴めてきたのか、順調に配り進めていく一同。すると千歌は、遠くに知り合いの姿を確認し、声をかけた。それは黄色のカーディガンを着た栗色のロングヘアの国木田花丸。そして赤い髪をツインテールにした黒澤ルビィであった。
「ほら、カズくんも!」
袖を引っ張られながら連行される一眞。そして千歌によって花丸やルビィに紹介される。
「暁一眞。千歌から話は聞いてるよ。よろしく」
あらかたのことは千歌から聞いている。ルビィが生徒会長であるダイヤの妹であることも知っているのだ。
「オラ……じゃなかったマルは国木田花丸です。こっちは黒澤ルビィちゃん」
「よろしく……」
挨拶する一眞。しかしルビィが花丸の背後から出てくることはない。極度の人見知りで男性も苦手なのだとか。「ダブルパンチじゃねえか」と彼女と関わる未来が無いことをさとる一眞。
「それでね、私たちライブやるんだ。花丸ちゃんたちも来てね」
その言葉にかみついたのはルビィであった。彼女は大のスクールアイドル好きらしい。これだと姉妹で正反対である。
「絶対満員にしたいんだ。だから来てね」
やさしく千歌はルビィと目線を合わせ、話しかけると彼女はビラを手に取ってくれた。こういうところは妙になれてるよな……と千歌を見て思う一眞。
「じゃあ、私たち他にも配らなきゃいけないから!」
「だから引っ張るなって……!」
何しに連れてきたんだ……と文句を言う一眞よりも、ルビィの声が千歌の耳に入った。
「あ、あのっ……グループ名はなんていうんですか!」
ルビィの問いに千歌と一眞はビラを見て、顔を見合わせる。
「「あっ……」」
「やってしまった」という表情を見せる2人。グループ名など、決めていなかったのだ。
一方、沼津にある地下駐車場に先ほどのピンク髪の少女スピカは立っていた。いつものようにダークリングを持ってはいるが、もう片方に持った「ライブのお知らせ」と書かれていた紙を見ていた。
渡してきた少年の顔を思い出し、しばらく紙を見つめていると彼女の背後に男の背中気配を感じた。
「何を見てるんだ?」
「……!? あなた……何のつもり?」
その男はスピカの肩に頭を乗せ、左耳にささやいている。
「ライブに興味があるのか? 君がそんなものに関心を持つとはね。驚きだよ」
「関心なんてない。ただ……」
「ただ?」
男は聞くがスピカは言葉に詰まる。
「僕たちの目的は、あの方のために魔王獣を復活させることだ。そのために君はダークリングを授かった……役目を忘れるなよ」
そう言ってアオボシはスピカに怪獣カードを渡した。スピカは告知の紙を投げ捨て、ダークリングへカードをリードさせる。
「さあ、悠久の時より目覚めさせろ!!」
アオボシの叫びに答えるように地面が揺れ始める。
「魔王獣の咆哮を轟かせろぉ!!」
地上でも地震が起き、地盤が崩れ始める。いくつものビルが沈み込んでいく。さらに赤い光が道のように走っていき、四方が交差する場所から光の柱が出現。光が消えると、金属の体で覆われ、三つのかぎ爪を持つ左腕にハサミのような右腕……。土の魔王獣マガグランドキングだ。
「また怪獣かよっ!」
「地震だ!?」
「曜、梨子、千歌を頼む!!」
一眞はそれだけを告げると怪獣の現れた方向へ走っていってしまった。
「一眞くん!!」
地面が揺れている中、遠ざかっていく背中を見て梨子は叫ぶ。
「梨子ちゃん、逃げよう!」
「でも一眞くんが……!?」
しかし曜は
「大丈夫……カズくんはいつもあんな調子だから」
と無理やり笑って言う。
「いつも?」
「うん。カズくん、何かあるとすぐに助けに行っちゃうんだ。まるで前もそうしてたみたいに……」
彼女も心配している。しかしそれ以前に彼を信じている。だからこそ送り出せるのだった。
一眞はマガグランドキングへと近づくとオーブリングをかざしたのだった。
《ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン》
紫の円形のエネルギーを迸らせながら、オーブは空から降り立った。
「花丸ちゃん、あれ……!」
「ウ、ウルトラマン……?」
駅前にいた花丸やルビィもオーブの姿を目にしていた。
巨大な体格を誇るマガグランドキングに、オーブは戦闘の構えで相手を見据える。
そしてオーブは先制攻撃として頭へ膝蹴り、そのままチョップを繰り出した。しかしその強固な体には効いいてないようだ。再度、頭をまわし蹴りで蹴飛ばす。
右腕のハサミをドリルのように回転させ突き刺してくるが、紫のラインが光り(スカイタイプの力)紙一でこれを躱す。さらにパンチやキックの力を底上げするために赤いラインが光る。(パワータイプの力)
だが、装甲を突破してダメージを与えることができないのだ。
(痛ってぇ~! どうなってんだコイツ……)
攻撃をよけながらも突破口を考える。すると体の中央を走る発行体から強力な衝撃波が放たれた。広範囲にわたるそれを受けて、ビルが次々に倒れていく。さらには凄まじい風や砂埃で視界が遮られる。
(この……スペリオン光線!!)
至近距離からのスペリオン光線を与えるも、それをものともしない。まさに動く要塞だ。
「どうしよう光線が効かないよ……!」
「まだ何か手はあるはず……」
「でもあんな硬い体にどうやって攻撃するのよ!?」
曜や千歌、梨子もその脅威に不安を覚える。
勝負を決めに来たのか、胸部の発光体から発射するレーザー光線を放ってきた。オーブは側転で避けると後ろのビルに着弾した。その貫通力は強力で、ビルが倒壊せずに綺麗な穴が開いてしまう程であった。ビルを確認し、驚愕するオーブに連続照射を開始したマガグランドキング。
オーブも当たらないように必死に避けていく。これでは攻撃ができずに時間切れになってしまう。残り時間が少なくなり、カラータイマーも点滅を始めた。その隙を突かれてレーザーがオーブを襲う。
焼かれるような痛みに声を上げるオーブ。無慈悲にも再度照射されたレーザーをよける。
すると
ガラス張りのビルがレーザーを反射したのだ。
(これだ……!)
マガグランドキングのレーザー光線を自分も鏡を作り上げて同じように反射させる。強力な照射力で狙いが定めづらいが、パワータイプの力を使って体に当たるようレーザーを反射させた。
「そっか、あのレーザーは自分の装甲を貫くのね!!」
梨子はオーブの行動を分析した。
マガグランドキングの体に開けられた大きな穴。ここに向かって光線を撃てばダメージが行き届く。
(コイツで……決まれぇぇぇぇぇ!!!)
最後の一押しであるスペリオン光線を体内に向けて放つ。すると体が風船のように膨張、爆発したのだった。その爆発は機械の体であること故なのか、二度も三度も起きたのだった。
静けさを取り戻したことを確認すると、オーブは空高く飛んでいったのだった。
「やっぱこれあるよな」
一眞は赤いクリスタルを見つけると、オーブリングをかざした。すると光の粒子となり、ホルダーに入っていく。
「こんどはどんな姿かな……」
そこに描かれていたのは、二つの巨大な角を持った赤き戦士であった。
「……?」
そのポーズに既視感を覚えた一眞は先日手に入れたカードも取り出した。やはりポーズが似ているのだ。
「この二つがペアってことね。機会があったら試してみるか」
同じころ、スピカもカードを手に入れていた。それは先ほど倒されたマガグランドキングのカードである。
「ありがとう……と言っておくわ」
しかし今の彼女は心ここにあらずと言った感じであった。
「カズくん、大丈夫だった?」
その後戻った一眞は千歌たちに心配された。だが本人は
「大丈夫だよ。ほら、この通り」
と無傷であることをアピールした。それを見て梨子もほっとしているようだ。
4人は穴が開いたビルたちを見つめながらも、すぐさま復興することを信じてこの日は解散となった。
これでバーンマイトにもなれる……!
そして一眞とスピカの出会い、プラス闇の仕草なるものを入れてみました。正直書いてて自分でもキモイと思いましたよ、ええ。
伏線張りが上手くなりたい。