Sunshine!!&ORB   作:星宇海

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こんなに話数が伸びるとは思わなかったんだ……。

それはそうと2人の再戦です。どうぞ!


第56話 その名のもとに

「今度は……君の命を貰うよ!」

 

「言ってろ。もうお前に、負けるつもりはねえ!!」

 

 そのぞれの想いを胸に、両者は走り出す。2人は雄叫びを上げながら激突。手に持ったその刃を振るい、刃と刃が交わりスパーク。雷のように爆ぜ、両者の腕にも痺れる感覚が伝わってくる。

 

 

 

 先の予想できない両者のバトルに、千歌たちはまっすぐな瞳で見据えていた。

 

 

 

 だが、彼らの一騎打ちを見ていたのは千歌たちだけではなかった。遠方で彼ら……否、一眞(オーブ)を見据えるセリザワ。これまでの特訓の成果を見せる時だと、ただ見つめ続けていた。あの戦いに手出しは無用。これは彼がウルトラマンとして成長する、1つの試練でもあるのだから。

 

 

 

 

 

「……?」

 

 セリザワの聴覚は、交戦の激しい音に交じりながら微かに聞こえてくる、空からの()()を捉えた。

 

「あれは……隕石……いや卵……!?」

 

 彼が見ているのは、宇宙から飛来してくる隕石……ではなく卵だったのだ。恐らく、この星に眠るエネルギーに引き寄せられているのだろう。今のところ、2つ程の卵が地球へと落下中だ。

 

「ならば、アレは……」

 

 何かを知っているセリザワ。彼は今一度オーブの方へと視線を向ける。彼ならやれる。最後まであきらめず、何度だって立ち上がる。今までの、そして今の彼の姿を見てそう信じたセリザワは、拳を握った右腕を胸の前に翳した。すると青いブレスが出現。左手に持った金色の短剣を差し込めば、ブレス型アイテム”ナイトブレス”から放たれる光に包まれていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オーブシャドウの振りかざした剣の攻撃を、オーブは跳躍と捻りで回避。背中と刃がギリギリで通過していった数秒後、地面に着地。勢いを殺さず、鞭のようにしならせた蹴りを繰り出した。

 

 しかし、放った蹴りは盾として用いたカリバーに防がれてしまった。白く光る眼と赤の双眸の視線は混じり合う。赤い目の彼は、相変わらず嗤っているかのよう。1秒も満たない時間の中で両者は後退。体勢を整えて地面を蹴った。

 

「……はあ!」

 

「ハハハ……ダアッ!」

 

 攻撃すれば、向こうから倍の反撃が。向こうから攻撃が来れば、こちらの反撃を倍で。一進一退の攻防。同じような技、同じような技術で戦っているからこそ、互いが互いの攻撃を潰し合っている。

 

 オーブは攻撃を往なし、防ぎつつ大きく後退。だがその隙を狙っていたのか、黒い巨人は突進。息つく暇もなく鍔迫り合いに持ちまれた。

 

「ほう、どうやら腕を上げたようじゃないか」

 

「お前に負けて、なんにもしないわけには……いかねえだろ!」

 

 鍔迫り合いを解除させ、胸元へ一閃。しかしオーブシャドウはその刃をバックステップで回避。そんなリーチの差を埋める槍の如く突きを、オーブはすかさずに放っていく。

 

「ぐおっ……!?」

 

 しかし腹部に打ち込まれた膝蹴りに悶え、追撃を受けてしまい二転三転と地面を転がってしまう。彼はチャンスと捉え、立ち上がらないオーブへと走り寄り跳躍。

 

「貰ったぁぁぁぁぁ!!」

 

 仰向けとなったオーブの首元へ、急降下してきたシャドウカリバーが迫る。

 

(……ここだ!)

 

 オーブが接触ギリギリで避けたせいで、シャドウカリバーが地面に深々と突き刺さってしまった。抜こうとしている間に、オーブは素手で彼に挑んでいく。拳の殴打を繰り返すも、シャドウの足払いで転倒。それでもと両足を首に絡ませたオーブは、シャドウも地面へと倒す。馬乗りになったオーブは何発もの拳を食らわせていく。

 

「……!?」

 

 背中に打ち込んだ蹴りでオーブから脱出。シャドウカリバーを手に持ち、即座に水のエレメントを解放させる。

 

「シャドウウォーターカリバー!」

 

 地面と平行になって疾走する水の刃。高速で迫るそれをバク転で回避したオーブ。すると、彼が先ほどまでいた場所が抉れた。

 

「チッ、オーブカリバー……!」

 

 手元に呼び出したオーブカリバーが収まる。そのまま駆けだそうとしたところで、彼は足を止めてしまった。

 

「くそ、てめぇ……」

 

「へヘヘ、ハハハ……」

 

 オーブシャドウの刃が向いていたのは、Aqoursの皆がいる方向。動けば撃つ……そう言いたいのだろう。刃を向けられている千歌たちも、迂闊には動けなかった。

 

「そうだよね? 君は彼女たちを守らなきゃいけないんだから……。まったく、甘いよ……君はッ!」

 

 

 

 シャドウカリバーから放たれた闇の刃が、無防備であるオーブの胸元に命中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

 人々で賑わている首都東京。いつも通りの生活を送ろうと闊歩する彼らの日常は……突然として崩れた。

 

 

 

 突然、街中を歩く誰かが指を指した。それは誰でもいい。しかし重要なのは何故指を指したのか、だ。周りの人々と同じように、視線を空へと向ける。なんとそれは隕石だった。周りがパニック状態となり、阿鼻叫喚の地獄となる。車や電車の走行音よりも、工事の音よりも、人々の悲鳴の方が何倍にも大きく感じられた。

 

 死にたくない。その一心で走っていく。だがその隕石は地面へと落下。衝撃や暴風で辺りは巻き込まれてしまった。しばらくすれば、その隕石は形を変えた。違う、卵から孵化しているのだ。

 

 

 

 

 卵から現れたのは、全身を覆う青いウロコに長大な尾と極端に長く鋭い爪、鉈のような巨大な一角といった、魔物を思わせる攻撃的な外観の怪獣だった。さらに特徴的なのは、般若の面から黒目だけを取り去ったような凶悪すぎる険しい顔つき。しかもそれが2体。

 

 耳を塞ぎたくなるほどの轟音で鳴く目の前の怪獣に、ただ逃げ惑う事しかできない。口から吐く火球や、モーニングスターのように刺々しい尾の先端で街を破壊していく。さらにはその長く鋭い爪も使って。躊躇なく、野性的に街を破壊していくその姿は、まさしく悪魔と言うのがふさわしいだろう。

 

 

 

 

 逃げても逃げても、あの怪獣から遠ざかった気がしなかった。追いつかれる。ビルの下敷きになる……そう思った瞬間、蒼い光が怪獣の前に降り立った。

 

 

 

 誰もが立ち止まり、その光に目を奪われる。眩い輝きが収まり、そこから姿を現したのは”蒼い体の巨人”だった。

 

 

 

 

 

 

 東京の地へと降り立ったウルトラマンヒカリは、眼前の怪獣を見据え構えた。

 

(あの卵、やはりケルビムか)

 

 隕石のように落ちてきた卵は、”宇宙凶険怪獣ケルビム”だったのだ。この怪獣は強いエネルギー波を辿って星を襲い、その星に寄生するという生態がある。今いる2体のケルビムたちも、この星のエネルギーに吸い寄せられてきたのだろう。

 

(何はともあれ、お前たちを倒す……!)

 

 

 駆け出したウルトラマンヒカリは、すかさず腹部に拳を叩きつける。爪の攻撃を掻い潜り、力を込めた右足で蹴り飛ばす。対するもう1体も腕を掴み、手刀を叩きこんだ。

 

「ハアッ!」

 

 しかし側面からは、蹴り飛ばして後退させたケルビムのモーニングスターのような尾が、さながら剛速球のように飛んでくる。バク転で躱すと、もう1体が火球を吐き出した。ヒカリは右腕のナイトブレスから出現させた光の刃”ナイトビームブレード”で切り裂いて事なきを得る。

 

(やはり、遠近と強力な攻撃手段を持っているというのは、なかなかに厄介なものだな……)

 

 近距離戦では、強力な爪と頭部に生えた巨大な一角で攻撃してくる。ならばと遠距離に離れていくと、火球と尻尾の攻撃が待っている。攻撃面では戦況や相手を選ばないオールレンジぶりを見せ、的確に使い分けてくるのがケルビムの恐ろしさだ。加えて、空から降ってくるケルビムの卵がこれだけとは限らない。恐らく宇宙空間には、これらのケルビムを放った()()が存在しているだろう。悠長に戦っている暇など、こちらにはない。

 

 そんな緊迫した状況下で2体のケルビムを視界に収めたヒカリは、金色に煌めく剣を構え直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

「ウアアアッ!?」

 

 幾度目かの斬撃が、オーブの体に放たれる。Aqoursの方へと飛ばされた攻撃を庇い、防ぎ続けているオーブ。アオボシから見れば、それはもうただの案山子に過ぎない。だがそれでもヤツは満足していただろう。目の前の彼を倒すことができるのだから。

 

「誰かを守るために戦えないなんて……皮肉だよなぁ?」

 

「言ってろよ……お前の攻撃なんてヌル過ぎる。なんも詰まってない、空っぽの攻撃だよ……」

 

「……その割には随分と痛そうなことで?」

 

 膝をつき、肩を上下させているオーブ。今の彼は、彼の放った痛みに蝕まれているのだ。体中が痺れるし、カラータイマーも点滅している。後ろからは、もうやめてと告げる声も聞こえる。自分達のせいで傷つく姿は、誰だって見たくない。当たり前の反応だ。でも、一眞は……

 

(できねえよ。そんなこと……いや、したくないんだ)

 

 守ることを辞めたくない。その一心で何とか立ち上がり、両腕を広げる。向こう側への攻撃は全て防ぐと、そう言っているかのように。

 

「そうかい。なら、その無様な姿で……終わりにしてやるよ!」

 

 

 何度目かわからないオーブシャドウの斬撃。それを受けたオーブは、地面に倒れ伏してしまった。

 

「カズくん!? ダメだよ……こんなところで……」

 

 帰ってくると、勝つと約束させて送り出したはずなのに。……そんな絶望感が彼女たちを包み込む。

 

「くだらないね。人間なんかを庇うからそうなる」

 

 語りかけるが、勿論オーブは答えない。恐らくは見せつけているのだろう。もうオーブは話さないのだと。

 

 

「……立ってぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「みんなのヒーローなのでしょう!?」

 

「Wake up! オーブ!!」

 

「リトルデーモンなら、ヨハネの言うことぐらい聞きなさい!!」

 

「もう一度立ち上がって!」

 

「マル、信じてるずら!!」

 

「今までも立ち上がってきたんでしょ! だったら……!」

 

「約束したんでしょ! こんなところで倒れて、カズはみんなとの約束を破ってもいいの!?」

 

「さっき言ってたじゃん。ウルトラマンだって!? それも、嘘だったの?」

 

「カズくん!!」

 

 

 彼女たちは口々に倒れた彼へと呼びかける。その姿を見ていたオーブシャドウは、どうしても笑いが堪えきれなかった。そんなもので、彼が再び起き上がるとは思えなかったから。そして勝ち誇った高揚感に身を委ねていたからだ。

 

「何言ってんだ。いいかお嬢さん方、()が勝ったんだ。これでやっと言えるんだ。僕こそがウルトラマンオーブだってね! フフフッ、アーーハハハハハッ!!!」

 

 そう言って勝ち誇るだけのオーブシャドウ。彼はそのまま踵を返していく。もう勝負はついたと。

 

 

 

 

 

「────ふっ、あははははは……」

 

 直後、なんと肩を震わせて笑うオーブ。その声を聞いて立ち止まるオーブシャドウはたまらず振り向いてしまう。

 

 確実に倒れたはず。なのに、なぜそこまで余裕そうなのかと……不気味で不愉快だったからだ。

 

「お前……なんもわかってねえよ……。お前がウルトラマン……? 笑わせんな……!」

 

 地面に倒れても笑い、己を悪罵するオーブを怪訝な表情で見下ろす。

 

「……ウルトラマンってのはな……誰かを救い、その姿で多くの者に希望を与える存在なんだよ……」

 

 一眞の脳裏には、幾つもの超人の姿がよぎっている。

 

「それをみんなが、俺に……教えてくれたんだ……」

 

 かつて、そして今の自分がそうだったように。

 

 

 

 

 

 ────炎の中見上げた彼の背中

 

 

 

 

 ────カードに描かれ、力を貸してくれる先輩たち

 

 

 

 

 ────共に戦い、力を授けてくれた存在

 

 

 

 

 ────俺を鍛え、そしてこの名の意味を気付かせてくれた存在

 

 

 

 

 ────そして何よりも、Aqoursのみんな

 

 

 

 

 

 数々の出会いが、一眞と言う存在に教えてくれていたのだった。

 

 

 

 ウルトラマンという名には、とてつもなく大きな責任があることを。

 

 

 

 その名には、姿には、どれだけの願いが込められているのかを。

 

 

 

 

「お前の言うように、光も闇もただの力だ。どう使おうかなんて本人の自由さ。……けど」

 

 立ち上がろうとすると、身体中から軋む音が聞こえた。

 

 しかし一眞は無視して立ち上がる。だからなんだと。軋むだろうがまだ動くではないか。まだ戦えるではないか……と。

 

 

 最後まで、決して諦めない。こんな奴の前で、膝を折ったままではいられない。

 

 

 そうして己を鼓舞するオーブ。

 

 

 

 

「けどそれが、誰かを傷つけていいなんて理由にはならない……!!」

 

 

「はあ?」

 

 力なんて使う奴次第で変わる。結局のところ、光も闇も、どちらも同じなのかもしれない。しかし同じだったとしても、それが無暗に振るわれていいとはならない。なっちゃいけない。

 

「お前がその力で、()()()を使って……誰かを傷つけて、それで嗤うって言うのなら……俺は……」

 

 だからこそ、このまま放っておくわけにはいかない。()()は誰かを虐げるための力ではないのだから。

 

 立ち上がり、剣を構える。誰かを傷つかせないために、守るために。そして何よりも、彼らの名前に恥じないために。

 

 

 

 

 

 

「ウルトラマンの名のもとに、お前を倒すッ!!」

 

 

 

 

 

 

「クッ……なに!?」

 

 立ちあがったオーブに困惑しながらも、もう一度袈裟斬りに刃を振るったが、それを素手で止められてしまう。

 

「なんで、お前の力は……既に……」

 

「千歌たちだって足掻いてんだ。俺だって……カッコ悪くても最後まで足掻いてやるんだよッ!!」

 

 剣から即座に詰め寄って腹部に手刀を1発。怯んだ隙に足を引っかけて投げ飛ばした。そして、足元に刺さっていたオーブカリバーを引き抜き、地面を蹴って加速。オーブシャドウに斬りかかっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

 2体のケルビムの攻撃を避てきたウルトラマンヒカリ。彼も、後ろで自分を見上げ、声を上げる人々を守るために駆けだした。

 

 ナイトビームブレードから放たれる光刃”ブレードショット”で、ケルビムの耳部に命中させる。この耳部は、ケルビムの器官の中でも重要な部位であり、ここを破壊されると極端に大きくダメージを受けてしまう最大の弱点でもあるのだ。

 

(今だ!)

 

 怯んだケルビムを視線内に確保しつつ、もう1体のケルビムへと走り出していくヒカリ。右腕を左腰に当てて走り出していく。それはまるで、抜刀のタイミングを見計らう騎士のよう。すれ違いざまの素早い胴斬りで、ケルビムの1体が沈んだ。

 

 

 そして残ったケルビムに狙いを定め、ヒカリは右腕を天に突き出す。すると蒼く光る雷がナイトブレスに収束。左手をブレスに重ねれば、幾何学的な模様が浮かぶ。そこから十字に組み放たれる光線”ナイトシュート”をケルビムへと撃ち込んだ。ケルビムは凄まじい断末魔を響かせた後、爆散していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

 飛び込んできた刃を防ぐが、明らかにおかしい。

 

 目の前の敵は疲弊し、ダメージを追っているはずだ。もう起き上がれないと確信を持っていた。なのに()()()()()()()()()()()()()()。眼前に迫ってくるオーブの絶え間ない剣舞が、受けるだけのシャドウの腕を痺れさせる。

 

 

 以前も見た一撃。防いだ一撃。

 

 

 変わりないはずなのに……だというのに、その一撃一撃が何倍も重く彼に振るわれてくるのだ。

 

 

「こ、このっ……」

 

 驚愕しながらも黒い剣を振るった。しかしそれは空を斬り、直後には強制的に彼との距離が離れた。

 

「……ッ、グ、グゥゥ……ふざけるなぁぁぁぁぁ!!」

 

 己が蹴り飛ばされたのだと脳の理解が追い付けば、急激に腹部から激痛が響いてくる。その痛みを……彼の力の変化を怒りに変え、今まで以上の凌ぎ合いに発展していく。

 

「細切れになりやがれぇぇぇぇ!!」

 

 オーブシャドウの放った幾つもの光輪が疾走。オーブを切り裂かんと迫ってくる。

 

(こんなもの……!)

 

 しかしオーブは、四方八方から迫ってくる光輪を的確に打ち落としていく。殴打や蹴り、そしてオーブカリバーで。

 

「オォォォォォォォ……!!」

 

 咄嗟に発動させたオーブウインドカリバー。その力を推進力として使用。ジェット噴射の如く勢いで肉薄。オーブシャドウを追い詰めていった。

 

「クソッ!」

 

 こちらも攻めなければ、撃ち込まなければ呑まれる……。黒き彼は、そんな思いを抱きながら剣を走らせる。

 

「ダアアアアア!!」

 

 胴を薙ぐであろう一閃。

 

 しかしそれを防ぐどころか、見切ったオーブは宙へと飛び上がって躱す。そして回転を加えた勢いで剣を振り下ろす。刃が受け止めれば、宙には火花が散り、地面は土煙を上げた。

 

 

「あ、ああああああ! 倒れろッ!!」

 

 オーブへの恐ろしさなのか、喉がはちきれんばかりの叫びと共に剣を振るう。

 

(僕が……シリウスを恐れているだって……? あり得ない! そんなこと、断じてあり得ない!! 僕の方が上だ。実際、僕はアイツを倒しているじゃないか……!)

 

 その自信のようななにかを必死に支えながら、オーブシャドウは目の前の姿に視線を集中させる。

 

 何撃も何撃も、シャドウカリバーを打ち付けた。どうやらオーブは防ぐのに手一杯のようで、なかなか反撃には出られない。

 

 

 このまま押し切れば、時機に耐えられなくなって聖剣を落とす。その時が彼の死地だ。

 

 

「……そのまま、地獄に行けッ!」

 

 やはり彼は弱い。ウルトラマンがどうとか言っていたが、ここで倒れればそれも終わりだ。

 

 不意に出た笑いを飲み込む。そして漆黒の聖剣を、彼の頭上に振り下ろした。

 

 

「……!」

 

「なっ……!?」

 

 

 だが、オーブはその重量ある一撃を受けるどころか、難なく弾き返したのだ。アオボシは自覚できていなかったようだが、焦りの中出鱈目に振るったせいで、力がうまく入っていなかったのだろう。

 

 いとも簡単に……柄を持った両腕が数刻間と同じように頭上に上がっていた。いや、もっと後ろに持っていかれている。

 

 

 刹那────オーブの迷いなき一閃が、オーブシャドウの胸部を水平に走った。

 

 

 

「が、─────あ、ああッ─────ぐ、ううッ!?」

 

 

 黒い粒子がまるで血飛沫のように胸元から噴き出しながらも、力を振り絞りオーブシャドウは彼を蹴り飛ばした。

 

 あんな訳の分からない理由で負けたくないという彼の信念が、この体を動かしているのだ。

 

 

 そして自分の剣にエネルギーを貯め、極太の光線を放った。

 

 

「シャドウスプリーム……カリバァァァァ!!」

 

「オーブスプリーム……カリバァァァァ!!」

 

 

 以前と同じ光線と光線の激突。その衝撃は以前よりも大きく、両者ともに後退りしてしまう。だが今回の衝突では、押されている人物が異なっていた。

 

 

 

 

 徐々に光線が打ち消されていくのは、オーブシャドウの方だったのだ。

 

「なんでだ……」

 

 否定しようにも、力を籠めようにも、どうやっても光線が打ち消されていく光景しか目の前にはない。それ故にオーブシャドウは問う。何故それ程の力を出せるのか……。もうそれ程の力は残っていないはずなのに。

 

 

 どうして……と。

 

 

「守りたいと思う心が……俺に限界を超えた力を与えてくれる……!」

 

 己の放っている光線がどんどん飲まれ、(オーブ)の放つ虹色の光線が目前まで迫ってきてきていた。

 

 取りこぼしたくない、抱きしめたものを零したくないと、その一心が背中を押し、身体を動かし、限界以上の力を与えてくれる。今の一眞はその想いで体を支え、光線へと変換していた。

 

「なんなんだよ……その力は!?」

 

 あまりに恐ろしくなり、アオボシは再度問い掛けてしまった。限界を超えても尚立ち上がる彼の凄まじき力……”守りたいと思う力”とはなんなのかを。

 

 

 

 

「……お前の捨てた力だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 一眞の激昂が光線の威力を増させ、どす黒い光線を一気に呑み込み疾走。直後、光の波に呑み込まれたオーブシャドウは凄まじい爆発と共に消え去ったのだった。

 

 

 




オーブシャドウ撃破。さらに別の場所ではヒカリ先生も活躍! という運びとなった第56話でした。

ケルビムの設定がZで新しく追加されたのはビックリでしたね。マザー? あれは誰かが何とかしてくれるでしょう……多分。
また2人の一騎打ちでは見た、或いは聞いたことのある台詞が出てきましたね。それも一作品ではない様子。まあ、ただ言わせたかっただけです。(言わせたいのが多すぎるんだ)

次回でミラウェ回終了となると思います。
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