Sunshine!!&ORB   作:星宇海

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今回でミラウェ回は終了です。短めですがどうぞ!

花丸ちゃん誕生日おめでとう!!


第57話 輝きの波

 オーブとオーブシャドウの戦いから数時間後。内浦はいつも通りの日常を取り戻していた。しかし一眞の傷に至っては美渡や志満、さらにはクラスメイトにあれこれ説明を求められて大変だったが。

 

 

 

 

 

「痛ててて……安心したら急に痛くなってきた……」

 

 その日の帰り道。千歌たちと同じように、至る所に傷を作っていた一眞は呟く。今朝までは緊迫した状況下であったため、傷の痛みなど気にしてはいられなかったのだろう。しかし、そんな彼の声がどこか嬉しそうだったのは、束の間の平和を勝ち取ることができたからなのかもしれない。

 

「いつまで笑ってんだよ2人とも……」

 

 うんざりするような表情の一眞は、隣でクスクスと笑っている2人へと目を向けた。

 

「ごめん。でも湿布だらけで……」

 

「そうそう。それに、目の周りには大きな痣まで作っちゃって……カズくんパンダみたい」

 

 一眞のその傷だらけの姿に笑いを隠せずにいる梨子と曜。まあ確かに、第三者から見れば面白い姿にはなっていることだろう。実際クラスメイトには笑われていた。痣が引くまでは鏡も見たくない……と一眞は思っていた。

 

「……ったく。言いたい放題かよ」

 

 ぶつくさ言いながらも一眞も気にしているのだろう。精神的ダメージを減らすために、眼帯をして隠した。

 

「みんなに心配をかけた罰だよ。ば・つ」

 

「なっ!? そ、それ言われるとな……ホント申し訳ないです」

 

 千歌の言葉に、一眞はばつが悪そうに答える。それは先程の戦いで一度倒れてしまい、みんなに心配をかけてしまったからだ。戦いの直後は、1年と3年も詰め寄ってきて大変だった。

 

 

 困っている一眞を見て、千歌も笑みを浮かべる。彼女だってそうは言っているが、既に許しているし、それ以上に感謝していた。

 

 

 夕日に照らされた道を歩いている4人。すると梨子が呟く。

 

「でも良かったわ。千歌ちゃんも成功して、一眞くんも帰ってきた」

 

「うん。後は……」

 

「地区予選だね」

 

 そう。今までやってきたのは地区予選で勝利し、ラブライブ決勝に進むためだ。千歌に任されているパフォーマンスが成功するようになった今、地区予選当日までに最高のコンディションへと仕上げなければならない。

 

 

 

 だが、彼女たちはやり切るだろう。目一杯足掻き、学校を救うために。

 

 

 

 

 決意を新たにして道を歩く一眞たち4人。すると、彼らのもとに、セリザワが歩いてきた。何も言わずとも、一眞とセリザワのことを察した千歌たち。彼女らは「先、行ってるね」とだけ一眞に伝え、バス停の方へと向かっていった。

 

 

「倒すことができたみたいだな。よくやった」

 

「いえ……セリザワさんと千歌たちの力があったから、俺はあいつを倒すことができたんです」

 

 謙遜している一眞を見て、セリザワの頬は緩む。そうやって「自分はまだまだ」だと言っている様に、共に地球を守ったことのある”彼”を思い出していたのだろう。

 

「それと傷は……すまなかった」

 

「別に大丈夫ですって。セリザワさんが気にすることじゃないです。ホントに」

 

 眼帯を見たセリザワがそう言ってくるが、一眞は気にしないでほしいといった旨を伝える。

 

 

 

 そんな平和な会話が続いた後、彼らに流れる空気が一変する。

 

 

 

「もう……行くんですか?」

 

 前に立つセリザワに、一眞はそう問いかけた。彼は何も言わなかったが、ウルトラマンである以上この地球に長くは滞在できないだろうと、そう一眞は思っていたのだ。

 

「ああ。オレにもやらなければいけない任務があるからな」

 

 瞬間、セリザワの体は光に包まれる。幾ばくかの閃光の後、目の前には蒼い体の巨人が膝をついて此方を見下ろしていた。

 

 そう言えば学校で聞いた話に、蒼いウルトラマンが東京で怪獣と戦っていたというものがあった。十中八九、彼のことだろう。

 

 

 

 

 

 

「そう言えば君にはまだ言っていなかったな。オレの名は、ウルトラマンヒカリ」

 

「ウルトラマンヒカリ……それが本来の名前なんですね」

 

 大幅に遅れた自己紹介を終えたヒカリは、一眞に語り始めた。

 

「オレはもともと、別の理由でこの地球に来たんだ。少し前、タイガに話を聞いてな。ここにオーブがいると」

 

「え、タイガさんからですか?」

 

 以前共闘したウルトラマンタイガから話を聞いていたと言うウルトラマンヒカリ。彼は、とあるものを届ける為にこの地球へと赴いたそうだ。しかし丁度その時、一眞とアオボシの戦いを目にしてしまい今に至るそうだ。

 

 しかしケルビムの襲来もあったことから、この事態も不幸中の幸い……と言えるのかもしれない。

 

「本来、オレはこれを授けに来たんだ。受け取ってくれ」

 

 ヒカリの手から伸びた3つの光。それはオーブリングに通されると、カードに変換された。

 

「この3枚は……」

 

 手に取った一眞が不思議に思うのも無理はなかった。なんたってウルトラ戦士が描かれていない白紙の状態だったのだ。これは以前、魔王獣を倒す前に見たフュージョンカードとよく似ている。

 

 

「それはまだ発現していない力……。言わば種子の状態だ」

 

「種子……ですか?」

 

 一眞は理解できずにそのまま聞き返せば、ヒカリは静かに頷いて説明してくれた。

 

「そうだ。彼女たちと結んだ絆の力が最高潮に達した時……その種子は芽吹き、新たな力となってくれるだろう。いずれ来る戦いの時、それが必要になる筈だ」

 

「絆の力……。いずれ来る……戦い……」

 

 ヒカリの言葉を染み込ませるかのように、一眞は再度呟いた。今までのフュージョンカードとは何か違う雰囲気を醸し出しているその3枚。力の発現もまた異なるそれを見つめた後、一眞は何か納得するかのように頷いて、ホルダーへと収めたのだった。

 

「なんとなく……理解できました。ヒカリさん、この短い間、本当に……色々とありがとうございました。……俺、もっと強くなります。ウルトラマンとして、この星を守れるように。そして、そのいずれ来る戦いに備えるために」

 

 ヒカリを見上げながら語る一眞。その顔は以前出会ったよりも、随分と凛々しい顔付きになっていた。

 

「そうか……。ではあともう一つ。これはオレ個人からの贈り物だ」

 

 そう言って青い光がオーブリングに放たれると、先程と同じようにフュージョンカードへと変化する。そこに描かれていたのは……

 

「ヒカリさんの力……?」

 

「ああ。今の君であれば十分に使いこなせる」

 

「……本当に、本当にありがとうございます。ヒカリさんの力、使わせて貰います。この星は……俺たちが……必ず」

 

 ヒカリは再度頷いて立ち上がり、そのまま宇宙へと飛び去っていった。それを見つめる一眞の瞳には、空へ飛翔する青い光が反射していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 緑の惑星、地球を背にして飛んでいるヒカリ。すると彼は、何かに気づいたようで動きを止めた。

 

「地球は大丈夫みたいだね、ヒカリ」

 

 そうやって聞いてくるのは赤と銀の身体を持ち、左腕には炎のような形の手甲を装着している戦士だった。青く輝く菱形の水晶……カラータイマーからもわかる通り、彼もウルトラマンのようだ。ヒカリとも親し気に話している。

 

「ああ。お前のお陰で、ケルビムの被害も最小限に済んだしな。それに……」

 

 どうやらゲルビムの母体……マザーケルビムを倒したのは彼らしい。

 

 軽口を叩いていたヒカリだったが、彼は急に無言となり、背後にある地球へと目を向けていた。

 

「居るんだね。あの地球にも……」

 

 彼の行動で察した戦士は、懐かしむようにして目の前の地球を見つめる。

 

「……彼らになら、あの星を任せられる」

 

 

 地球の姿をその銀色の目に焼き付けるかのように見つめていたが、そうもしていられないとヒカリは向き直る。

 

 

「……名残惜しいが、オレたちにも任務が残っている。行くぞ────!」

 

「ああ、行こう!」

 

 

 暗い宇宙の中で、赤と蒼の眩い光がいつまでも煌めいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

 地区予選となるライブ会場で、9人の少女が華麗に舞う。

 

 一眞と珠冬は、客席で彼女たちの姿を見ていた。サイリウムを両手に持って入るが、振らずに彼女たちのステージに見入ってしまっていた。

 

 

 

 ────MIRACLE WAVE───

 

 

 

 9人のAqours、その新しいカタチ。そしてキセキの名を当を冠した楽曲だ。

 

 チアガール風の衣装に身を包んだ彼女たちはステージで踊り、輝いていた。諦めずに挑戦を続け、今の自分を超える時だと、応援するかのような歌詞。いつも目にしている海、そして波のような激しいダンス。

 

 そしてサビ直前、千歌は練習通り、ロンダートからのバク転を成功させたのだ。果南たちから始まり、千歌たちへと受け継がれていったAqoursというグループの軌跡、そして彼女たちが起こそうとしている奇跡。2つのキセキを感じさせる圧倒的なパフォーマンスを披露していった。

 

 

 

 

 客席、ステージから照らされる光と共にジャンプした彼女たちを前にして、一眞は見た気がしたのだ。彼女たちが追い求める”輝き”というものを。

 

 

 

 ライブを終えたAqoursへ、会場が震えるほどの拍手や歓声が響いてくる。

 

 

「私、Aqoursを知れてホントに良かった……」

 

 客席で見ていた珠冬は、涙を流しながら拍手をしていた。

 

「俺も、Aqoursに出会えてよかったよ」

 

 彼女と同じように、一眞もまたAqoursの姿に身と心を震わせていた。なんとも言えない、心の内から湧き上がってくる熱い感情。それが無意識のうちに、目から溢れ出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日ここで、この9人で歌えた事が本当に嬉しいよ」

 

 ステージ上で、千歌は今の気持ちをありのままに話し始めた。

 

「私達だけの輝き。それが何なのか。どんな形をしているのか」

 

 ずっと問いかけ続けてきたもの。実体のない漠然としたそれは、一体どこから現れるのか……。

 

「私たち9人が見たこと、心を動かされたこと、目指したいこと。その素直な気持ちの中に、輝きはきっとある!」

 

 それが今、ようやくわかったのだ。

 

「皆、信じてくれてありがとう!」

 

 千歌は信じているみんなへ、自分を信じてくれたことへの感謝を伝えていた。

 

 

 そうしてハイタッチを交わしていた彼女たちの視線には、客席からは見えない別の景色が広がっていることだろう。




オーブシャドウを撃破し、ヒカリ先生から新たな戦力を頂きました。この力が今後どのように作用していくのか……。

宇宙でヒカリが出会ったのは”彼”です。ヒカリが地球で戦っているときにマザーケルビムを倒していたという訳ですね。

ではまた次回で!

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