Sunshine!!&ORB   作:星宇海

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おまたせしました。てかまた一週間以上経ってしまいましたね。申し訳ないです。


第62話 私たちの力

「お姉ちゃんがいなくても、別々でも……頑張ってお姉ちゃんの力無しでルビィが何か出来たら嬉しいんだって。きっと聖良さんもそうなんじゃないかな?」

 

 

 

 

 

 

「そんなの分かってる。だから、頑張ってきた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姉様がいなくても1人で出来るって、安心してって……。なのに……最後の大会だったのに……」

 

 

 

 

「じゃあ、最後にしなければいいんじゃないかな?」

 

 

 

 

「歌いませんか? 一緒に曲を! お姉ちゃんに贈る曲を作って、この光の中でもう一度……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 それが昨晩、ルビィが理亞に対して持ちかけた提案だった。姉がいなくても、妹1人で何かをなす姿を見せてあげられることが姉の幸せであり、安心させてあげられることだとは分かっている。

 

 

 

 でも、それが出来なかった。姉に自分が独り立ちした姿を見せる最後のチャンスだったのに、自分の失敗のせいでその姿を見せることができなかったと。

 

 

 

 

 

 だからルビィは提案したのだ。最後にチャンスにしなければいい。もう一度見せればいいのだと。曲を作り、光の中で姉たちに想いを共に伝えようと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

 実はこの提案は花丸たちにも共有されていた。いつ、どこで、どうやって……何も決まってはいないけれど、ルビィの頼みだ。協力しないわけがない。すぐさま協力すると申し出た花丸たちは早速、理亞と待ち合わせ場所のハンバーガショップに向かったのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

「3人も来るなんて……聞いてない」

 

 飲み物をプクプクとさせる理亞。ルビィとは協力するとは言ったが、さらに3人も追加されていたのだ。彼女がこうも不満げになってしまうのも無理はない。

 

「ああでも、花丸ちゃんもいるし……ヨハネちゃんと珠冬ちゃんも頼りになるし……」

 

 睨みを利かせた善子が視線の端にでも入ったのか、ルビィはヨハネと呼んでいた。3人が頼りになるとルビィは説得するが、理亞にとっては関係のないことだった。

 

「私、みんなでワイワイするの好きじゃないし」

 

 当たり前ではあるが、まだ壁はあるみたいだなと珠冬は苦笑する。彼女自体、理亞とは話したことも無い。すると花丸は、「それを言ったらマルもそうずら」と理亞と思うことは一緒だと伝える。ついでに善子はもっと酷かったことも……。

 

「ずら?」

 

「これは……オラの口癖というか……」

 

「オラ……?」

 

 テンパってしまい、隠していた口癖が次々に出てしまった花丸を善子がフォローする。

 

「ずら丸はこれが口癖なの。だからいつもルビィと図書室に篭ってたんだから」

 

 Aqoursの面々には既に馴染んでいて気にならないが、理亞は初めて聞いたことだろう。さらに加える形で、善子は花丸とルビィが図書室に籠っていたことも伝える。

 

「私も学校ではそうだから……」

 

 どうやら、理亞も同じらしい。彼女の隠れていた面を見れたからなのか、ルビィたちの頬が緩む。

 

「意外な共通点……だね」

 

「善子ちゃんに至っては図書館どころか学校にも来な────」

 

 その共通点が見つかったことが嬉しかったのか、花丸は善子の過去を語ろうとするも本人に止められてしまう。自分でも思い出すのが嫌なのだろう。

 

「イチイチ言わんでもええわーい! てかヨハネ!」

 

「ごめんね善子ちゃん……」

 

「だからヨハネ!」

 

 いつもの調子でやりとりを交わす3人。理亞はその姿を見て、学校でひとりぼっちだったのは自分だけではないと共感を覚えたのか、思わず笑みが零れる。この小さな共感が、彼女らの仲をぐっと縮めてくれた。

 

 

 

「私は負けない何があっても……」

 

「愛する人とあの頂に立って必ず勝利の雄叫びを挙げようぞ」

 

 その後理亞が作ってくれた詞を確認しあうルビィたち。読み終えた後の雰囲気に耐えられなかったのか、理亞は聖良が曲も詞も作っているのだと再び伝える。

 

「しっかし、捻りも何もないわよね。直接的すぎるっていうか」

 

「文句あるの?」

 

 直接的なのは善子の伝え方もそうかもしれない。だがこれが逆に”変に気を使わない雰囲気”を作ってくれているのだから有難いことだ。

 

「善子だって同じようなもんでしょ」

 

「なにを!? だからヨハネ」

 

「でもさ、これで曲のイメージはつかめた」

 

「そうずら」

 

 善子をスルーし、どんな曲にしたいのかはわかったと珠冬。まだまだこれからだとルビィも理亞を励ます。しかし……

 

「あなた達ラブライブの決勝があるんでしょ? 歌作ってる暇なんてあるの?」

 

「それは……」

 

 確かに理亞の言う通りだ。年が明ければラブライブ決勝。あまり時間が無いのもわかっている。だが今は理亞とのことに集中したい。そんな葛藤をルビィは抱いていた。

 

「確かにそうだけど、このままで”ハイ終わり”なんて事にはしたくないでしょ?」

 

「珠冬ちゃんの言う通りずら。それにルビィちゃんは、どうしても理亞ちゃんの手伝いがしたいずら」

 

「……理亞ちゃんやお姉ちゃんと話してて思ったの。私たちだけでもできるところを見せなくちゃいけないんじゃないかって。安心して卒業できないんじゃないかって」

 

 理亞の望みを叶えるとともに、これは自分にとっても必要なことなのだとルビィは口にした。

 

 そんな時、善子の携帯に……

 

「げっ、リリーだ!」

 

 梨子からの連絡のようだ。ちなみに内容は

 

────どこにいるの? もう帰る準備しなくちゃダメよ

 

 らしい。本来であれば帰る支度をしなくてはいけないのだが……

 

「今は冬休みずら」

 

 花丸は慌てた様子なく、ある考えを伝えた。

 

 

 

 

 

「ここに残る?」

 

 帰る間際、1年生組から伝えられたことに果南は思わず声をあげてしまう。

 

「理亞ちゃんものすごーく落ち込んでたずら。もう少し励ましたいずら」

 

 ここに残るための理由をなんとかでっち上げて伝える。

 

「泊る所は?」

 

「幸い、理亞のところに余裕があるみたいなので」

 

 そこまで伝えると、「この際わたくしたちも……」とダイヤが提案しかけてきたのを慌てて制する一眞。

 

「いくら何でも全員はまずいですって。ここはルビィたちに任せましょう」

 

「そう……ですわね……」

 

 ダイヤの歯切れの悪い返事の後、ルビィは彼女に駆け寄って「2、3日で必ず戻るから」と伝える。

 

「別にわたくしは構いませんけど?」

 

 そう言ってダイヤは口元のほくろを掻くのだった。そして千歌も……

 

「いいんじゃないの。1年生同士で色々と話したい事もあるだろうし」

 

 残ることを了承してくれたのだった。

 

 

 

 

 

 4人のいない帰りの飛行機の中で、ダイヤの震えた声が聞こえてくる。既にルビィたちのいる函館の地は雲の下だ。

 

「ルビィ……」

 

「何か気に入らないことでもしたんじゃないの?」

 

 何か理由があるように思えたルビィたちの動き。それをダイヤは悪い方向に考えてしまっているようだった。果南も冗談半分、真面目半分で問いかけてみる。

 

「そんなことっ!」

 

 機内での大声量に、他の乗客や客室乗務員が反応してしまう。メンバーと別れてSaint Snowの家に泊まったことから、鞠莉はとある仮説を打ち立てた。それは彼女たちで”Saint Aqours Snow”を結成するのでは? というものだった。そんなことを言われたダイヤは、またしても機内で不安を爆発させてしまう。

 

「It's joke……」

 

 鞠莉も揶揄うために言ったみたいで、ここまで本気にするとは思っていなかったのだろう。すると後ろの席から千歌は「そんなことじゃないよ」とダイヤに伝える。

 

「多分アレは……」

 

「アレは……?」

 

「言ーわない! もう少ししたらわかると思うよ」

 

 何かを察している千歌にお預けを食らったダイヤの不安の叫びが、またもや機内に響くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

「ここが理亞ちゃんの部屋?」

 

「好きに使っていいけど、勝手にあちこち……」

 

 理亞の部屋に案内された4人は、周りをぐるりと見渡していた。目の前の理亞の忠告など、耳に入っていないだろう。

 

「うわぁ……綺麗ずら」

 

 そう言って花丸が手に取ったのはスノードーム。それを見た理亞は慌てて花丸から奪い去る。「勝手に触らないで」という彼女の言葉には、何か秘めた想いがありそうだった。

 

「雪の……」

 

「……結晶?」

 

 顔を見合わせた善子と珠冬が理亞に問いかけると、彼女はスノードームを大事そうに抱えてとある思い出話をしてくれた。 

 

「昔、姉様と雪の日に一緒に探したの。2人でスクールアイドルになるって決めた……あの瞬間から、雪の結晶をSaint Snowのシンボルにしようって……」

 

 スノードームを棚に戻し、胸の奥から込み上げてくるものを堪えながら話を続ける。

 

「それなのに……最後のラブライブだったのに……」

 

 そんな彼女にルビィは優しく「綺麗だね」とだけ伝えると、理亞もいつもの調子を取り戻す。

 

「当たり前でしょ。姉さまが見つけてきてくれたんだから。ほら、あなたの姉より上でしょ?」

 

「……っ! そんなことないもん! お姉ちゃんはルビィが似合う服、すぐ見つけてきてくれるもん!!」

 

「そんなの姉さまだったらもーーーっと可愛いの見つけてくれる!」

 

「そんなのーーーー!!」

 

 姉自慢が激化していく光景を前にし、善子や珠冬……さらにはルビィのことを良く知る花丸まで目を丸くする。

 

「こんな強気なルビィちゃん……」

 

「初めて見た!」

 

 珠冬も無言で頷くばかりである。

 

「ホント姉の事になるとすぐムキになるんだから」

 

「それはお互い様だよ……」

 

「そうかも」

 

 ルビィの返しににこりと笑みを浮かべる理亞。

 

 同じ妹同士でも、性格は違う2人。しかしだからこそ、笑顔で認め合う間柄になっているのだと言える。

 

「皆さん……本当に戻らなくて平気なんですか?」

 

 店の制服姿の聖良に聞かれ、善子と花丸が対応する。他のメンバーに頼まれてどうしてもやらなければいけないことがあると。騙すようで申し訳ないが、真実を言うわけにもいかない。

 

「そうですか……」

 

「こちらこそ、急に押しかけて来てしまってすみません」

 

「いえいえ、うちは全然平気なんですけど。では、ご飯が出来たら呼びますね」

 

 それだけを言い残し、部屋を後にする聖良。

 

 だがそれよりも、善子の見せた対応にみんなは驚いていた。

 

「善子ちゃんが……」

 

「ちゃんと会話してる……!?」

 

「これはびっくり」

 

「ヨハネ! これは仕方なくよ。あんた達に任せておけないし。……堕天使はちゃんと世に溶け込める術を知っているのだ!」

 

「善い子の善子ちゃんだね!」

 

 最後の珠冬の言葉を受け、善子は彼女の頭へ手刀を食らわす。以前の仕返しだろうか。

 

「みんな意外な一面があるずら」

 

「隠し持っていた魔道力と言ってもらいたい!」

 

 普段から知っている仲でも、意外に知られていないような一面がそれぞれに隠されている。もしかしたら、まだ眠っているのかもしれない。

 

「でも、そうかも……」

 

「……え?」

 

「ルビィ最近思うの。お姉ちゃんや上級生から見れば頼りないように見えるかもしれないけど、隠された力が沢山あるかもしれないって」

 

 ルビィのその言葉を聞いて、花丸は閃いたらしい。「何が?」とルビィが尋ねれば、彼女はピーすサインを見せて答える。

 

「歌のテーマずら」

 

 

 

 

 

「ここを……こう。どう?」

 

「だったら……」

 

 ノートにペンを走らせ、作詞を進めていく2人。最初は5人でやっていたが、善子、花丸、珠冬は力尽きたのかベッドで眠っている。

 

「最後は……」

 

 最後の一節をノートに書き終え、全体を見直していく。

 

「……うん、すごくいい!」

 

 そうしてようやく歌詞が完成し、その喜びに声をあげる。

 

「うっさい!」

 

 なんて善子の寝言にびっくりするも、歌詞を完成させた喜びは大きいものだった。

 

 その2人の喜び様をさっきの声で起きた珠冬が見て微笑んだのは、彼女だけの秘密だ。

 

 

 

 

 

 

 

 そして残るのは、イベントへのエントリーだけだった。しかしそのエントリーの前には選考会があり、そこで相応しい内容か説明する必要がある。もしこの選考で落選してしまえば、姉たちへ曲を、想いを伝えることはできない。

 

「ルビィ、知らない人と話すの苦手……」

 

「私だって……」

 

 あまり前に出て話すようなタイプではない2人にとって、このような場で説明するというのは少々辛いものがあるだろう。

 

「姉様がいないのがこんなに不安だなんて……」

 

 隣にいてくれたはずの”姉”はいない。それだけで不安になる。今までどれだけその存在に救われてきたのか……そんなことを思ってしまう。

 

 珠冬が手元に視線を移すと、どちらの手も震えていた。まるで”あの時”のよう……。

 

「でもさ、自分たちで全部やらなきゃ」

 

「すべて意味が無くなるずら」

 

「曲も自分たちで作ってきたんだよ? なら出来るよ。ルビィにも理亞にも」

 

 3人はルビィたちの手を優しく握ってあげる。

 

 彼女たちのお陰で、不思議と渦巻いていた不安は消え去っていく。

 

 

「「行こう、私たちだけで」」

 

 

 3人の友人に背中を押され、彼女らは一歩を踏み出した。

 

 中で審査を受けている2人を3人は外で見守っていた

 

「私達はスクールアイドルをやっています。今回はこのクリスマスイベントで遠くに暮らす別々のグループが手を取り合い、新たな歌を歌おうと思っています」

 

「大切な人に贈る歌を」

 

 最初の方は少し不安もあったが彼女たちは勇気を出し、しっかり伝え終えることができた。その姿を見た3人は思わず涙を流してしまった。

 

「善子ちゃん、何泣いてるずらぁ……」

 

「花丸の方が泣いてるよぉ……」

 

「ずらぁ……」

 

 その時ふと視線を右にやると、自分たちのように窓の中を見つめる者がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

結果、イベントの参加権を手にすることができた。しかし不安なのは”絶対に満員になる”と言ってしまったこと。こうも言わなければ合格にならないだろうという理亞の言い分もわからなくはないが。

 

「まあ、言っちゃったのなら現実にするまでだよ。それでね、さっき調べたらクリスマスライブに出るグループは……」

 

 珠冬の調べ見つけたのは、クリスマスライブに出るグループはラジオで告知することができるという情報。

 

 そして今がその収録だ。

 

「さあ今日は、クリスマスフェスうティバル出場者の……」

 

「Saint Aqours Snowです!」

 

「ド直球な名前ずらね」

 

「北の大地、結界と共に亡者が蘇りし鐘が────ムッ!?」

 

「善子、今はそれNGで!」

 

 善子の口を珠冬が抑えている間に、ルビィが告知を始める。

 

「クリスマスイヴにライブを行います!」

 

「よろしくず……じゃなくて、よろしくお願いするず……でもなくて、お願いしますずら! ……あ」

 

 結局、口癖を隠せないまま告知をしてしまう花丸だった。

 

「はぁ~失敗したずら……」

 

「大丈夫だよ花丸ちゃん」

 

「そうそう。気にすることなんてないよ」

 

 花丸を励ましながら、収録スタジオを後にする5人。すると前方から歩いてくる制服姿の女子2人。

 

「あの2人……」

 

「確か選考会の時にも……」

 

「どなた……?」

 

「……クラスメイト」

 

 言われてみれば、理亞と制服が一緒だった。すると理亞は、ルビィの背後へ隠れてしまう。

 

「どうして隠れるの?」

 

「だって……ほとんど話したことないし」

 

 しばし訪れる沈黙の間。

 

 それを破ったのは、ルビィの素直な一言だった。

 

「Saint Snowのライブです! 理亞ちゃん出ます!」

 

「理亞ちゃん……」

 

「私たちも行っていいの?」

 

 すると、クラスメイトの雰囲気も柔らかくなった。

 

「え、うん。それと……今更だけど、ラブライブ予選はごめんなさい」

 

 この際にと、今まで言えなかったことを口にする理亞。対してクラスメイトはこちらこそごめんと謝る。嫌われているのかと誤解し、会場へ応援に行かなかったことに。そして

 

「理亞ちゃんや聖良先輩がみんなのために頑張っていたのは知ってるよ!」

 

「Saint Snowは学校の……私たちの誇りだよ!」

 

 応援には行けなかったが、それでも2人の頑張りは知っていた。そして2人は学校や生徒たちの誇りになっていたのだ。

 

「クリスマスフェスティバル出るんでしょ? みんなも来たいって! いい?」

 

 それらを聞いた理亞には、もう涙を抑えることなどできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

 そしてイベント当日。その前にダイヤに伝えることがあると彼女を呼んだルビィ。ダイヤには”迎えに来てほしい”という名目で呼んでくれるように、鞠莉にあらかじめ頼んでおいたのだ。

 

 

 

 

 

 函館山の頂上に来るようにと言われたダイヤ。言われるがままにロープウェイに乗れば、なんとそこには聖良もいたのだった。

 

 どうして”ここ”なのか……疑問を持ちながらも頂上へと向かえばダイヤと聖良、2人にとって大切な妹たちが待っていた。

 

 ルビィと理亞は互いの姉に、封筒を手渡す。

 

「これは……?」

 

「クリスマス……」

 

「プレゼントです!」

 

 その文字からも、姉を想う妹の意思が伝わってくる気がした。

 

「クリスマスイブにルビィと理亞ちゃんでライブをやるの!」

 

「姉様に教わったこと全部使って、私たちで作ったステージで……」「

 

「自分たちだけの力でどこまで出来るか」

 

「見て欲しい!!」

 

「あの~……」

 

 見つめ合う中悪いのだがと言わんばかりに、聞き覚えのある声が上の方から聞こえてきた。

 

「私のリトルデーモンも見たいって!」

 

「誰がリトルデーモンよ!」

 

 上の階から姉妹たちを見つめるAqoursの姿が。まさかのサプライズに嬉しくなる。

 

「鞠莉さんが飛行機代を出してくれるってことで……」

 

「みんなでトゥギャザーだって!」

 

「あったりまえデース! こんなイベント見過ごす訳ないよー!」

 

「流石太っ腹」

 

 そこに太いのは善子ちゃんずらと言う花丸の声が聞こえ、善子はかき消すように声をあげる。そんないつもの明るいやり取りに、笑い声がこだまする。

 

「姉さま」

 

「お姉ちゃん」

 

 今まで感謝、そして精一杯の想いを込めて姉へと伝える。

 

 

「「私たちの作るライブ、見てくれますか?」」

 

 

「もちろん」

 

「喜んで」

 

 抱きしめ、彼女らの言葉を受け取ったダイヤと聖良。

 

 上で見ているAqoursも、サプライズの準備に取り掛かろうと意気込む。実は2人に内緒でこっそり計画しているものがあるのだ。

 

 街の美しい夜景をバックに、ルビィと理亞の精一杯の輝きを見せようとしたその瞬間─────

 

 

 

 

 

「ようやく見つけたぜ、オーブッ!」

 

「……!」

 

 今のタイミングで耳に入ってほしくなかった声が一眞の鼓膜を揺らす。

 

 その声の正体。それは……

 

「プロキオ……生きてたのか」

 

 緑の瞳を輝かせたレグリオス星人、プロキオ。

 

 招かれていない乱入者に、ルビィたちの間に緊張が走る。

 

「以前は随分こっ酷くやられちまったが、今回はそうはいかねえ。再戦といこうじゃねえか」

 

 ギラギラと目を輝かせるプロキオに、一眞は怒りの籠った声で返す。

 

「悪いが、今はお前に付き合っている暇はないんだ」

 

「そうかよ。いいんだぜ? オレがこの街を破壊しまくってやってもよぉ!!」

 

「く……」

 

 なぜこうも大事な時に邪魔が入るのか、一眞は思わず歯を食いしばる。その姿にクククッと笑うプロキオはとあるカードを取り出し、ダークリングにリードさせる。

 

「コイツはバルキー星人キルバって奴らしい。なんでもプラズマソウルハンターとかなんとかって話だが……まあ、オレが使うんだからどうでもいいんだけどな!」

 

 そのまま一体化し、函館後に降り立ったバルキー星人キルバ。しかしその姿はまるで鎧を着こんだ戦士の様にも見える。さらに両腕の”バルキーツインソード”が夜の街頭で不気味に輝いていた。

 

 舌打ちをし、周りが見えなくなった一眞はオーブリングを取り出した。

 

「え、ちょ、ちょっとカズくん!?」

 

「そっちがその気なら……」

 

 制止の声も聞かず走り出した一眞に聖良と理亞の視線が集中してしまう。

 

「やってやるよ!!」

 

 勢いを利用して展望台から飛び出した一眞は、オーブリングの閃光に包まれていき……

 

 

 

 

 

 

 ウルトラマンオーブへと変身を遂げ、同じく函館の大地に降り立ったのだった。

 

 




はい。という事でヴィルゴが渡したのはバスキー星人キルバでした。彼は大怪獣ラッシュに登場するバルキー星人です。見た目を検索してもらえばいいのですがめっちゃカッコイイです。
さて次回は函館篇完結と戦闘です。では!









────次回予告────
函館の地に降り立ったプロキオ。彼が乗り移ったバルキー星人キルバへ、オーブは戦いを挑む。
果たしてオーブは、クリスマスライブを守り抜けるのか……
次回Sunshine!!&ORB「聖なる刃が光る夜」

─────オーブが変わる。
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