さてさて、新作ウルトラマンの情報が公開されましたね。一体どんな物語が展開されるのか……今から非常に楽しみです。
夜の函館に降り立った巨人、その名はオーブ。ビルの光やクリスマスイルミネーションがスペシウムゼペリオンの体を照らすと同時に、対面した
冷たい風が吹きつけるも、2体は構えたまま動くことは無い。睨みを利かせ、動き出す時を狙っている。
「……」
「……」
どこかでクリスマスツリーが微かに揺れた。
微弱な音をも拾える彼らの耳には、それが開始のゴングだったのだろう。両者は全く同じタイミングで地面を蹴った。徐々に詰まっていく距離。オーブは右手の拳を、キルバは右腕に持った剣を……引き絞り、振り上げた。
「ウオオオオ……!」
「ダアアアア……!」
拳と剣が交わり、沼津から遠く離れた函館の地でウルトラマンの戦いが開始されたのだった。
「……ッ!」
迫りくる左右の剣を手刀で防ぐ。時には右腕を掴み脇腹に殴打、そして蹴りを入れる。しかしこちらが有利をとれたのも束の間。キルバの激しい攻撃にオーブは押されてしまう。
(速っ……!)
身体の紫のラインが輝く。ティガスカイタイプの力を使い回避の速度を上げたのだ。さらにバク転で後退し、スペリオンスラッシュを連続で放つ。
「フンッ!」
しかしキルバはその連弾すらも二刀の剣で撃ち落しとし、オーブへ突進。腹部目掛けた蹴りを打ち込んで彼を吹き飛ばし、ビルの上へと落とした。
「この……」
以前戦った時よりも、明らかに攻撃や動きにキレがあった。何をしようも剣を振るって向かってくる……。厄介な二振りの剣……“バルギーリング”が変形したといわれる“バルギーツインソード”を持って迫ってくる様はまさしく”攻撃は最大の防御”という言葉を思い出させてくれる。
「おいおい、もっと本気を出してくれよっ!」
そう言ってキルバは膝をつくオーブに剣を振り下ろした。
「ウアアア─────!?」
少し前。丁度戦いが開始されたころ、函館山にいるSaint SnowやAqoursの面々も、中継などでオーブの現状を把握していた。
しかし聖良や理亞には画面越しに戦うウルトラマンの存在が、どうにも信じられないようだった。目の前の少年がウルトラマンへと変化する瞬間を間近で見てしまったのだから無理もないのだが。
「みなさんはこのことを?」
聖良の問いに無言で頷く千歌。それならばさっき止めようとしたのも合点がいく。
「……勝てるの?」
隣に佇む理亞はそう問いかけてくる。今まさに戦うオーブは劣勢ではないにせよ、やや押され気味だった。彼が負けてしまえばクリスマスライブはおろか、自分たちの明日もないのかもしれない。そんな不安が立ち込めているのだろう。
「大丈夫だよ、理亞ちゃん!」
ウルトラマンは負けたりしないと、これまでも数多くの強敵と戦って勝ってきたのだからと、ルビィは励ます。ルビィの励ましにより、理亞も幾分か落ち着いてきたようだった。
「そうですね。今は信じましょう。彼を……いえ、ウルトラマンを」
~~
刃を振り下ろされてしまったオーブ。しかし幸いにも、胸から肩にかけてのプロテクターが守ってくれたおかげで重傷になることは免れた。だが守られたとは言っても、刃の激痛に耐えられるわけではない。
「ク、ウウウウ……アアア……」
苦悶の声を漏らすオーブ。それを見て刃を押し付けるキルバだったが、一瞬の隙にスペリオンスラッシュを至近距離で受けてしまい後退。
右肩を抑えながらも立ち上がったオーブは、キルバ目掛けてスペリオン光輪を何とか放つ。放たれた光輪キルバの目の前で2つに分離。左右から挟み込むようにして疾走する。
「つまらねぇ小細工だ」
キルバは動揺することなく、ノールックで光輪を斬り落とす。
「ダアアアアア────!」
そこに、正面から飛び込んできたオーブの姿。手にはスペリオン光輪を展開し、至近距離で斬りつけようというのだ。
「ウウウウ……!」
「今のはちょっとビックリしたぜ。けど、そんなんじゃオレには傷1つ付けられねぇよ!」
丸鋸のように高速回転させるが、ツインソードに止められてしまう。さらにキルバに押し込まれてしまえば、光輪は砕け散りオーブも後退。土煙と同じように、白い雪も宙に舞った。
「これじゃ、相性悪いか……」
息を整え、オーブは再度突進。その最中に光に包まれ────
「オラァ!」
此方もオーブカリバーで斬りつける。そしてグッと腕や足腰に力を入れ、刃を押し付ける。
「面白ぇ、そのデカブツでどこまでやれるか試してやるよ」
「言ってろ!」
二刀対一刀。素早く斬りかかってくるキルバに対し、堅実に対処していくオーブ。幾度も起こる鍔迫り合い。
弾かれて後退しかける中、咄嗟にまわし蹴りを繰り出してキルバを吹き飛ばす。
(こんなにやっても活路が見いだせないってのは……なかなかに辛いな……)
未だ構えをとるキルバを見て、オーブは内心そんなことを思っていた。以前もそうだが、彼……プロキオの恐ろしさは幾らダメージを受けても止まることのないその執念だろう。恐らく彼の場合、痛みを受けるごとに闘争本能が刺激され、戦闘欲が抑えきれなくなる。さらに戦いという行為自体に一種の快感を得ていると言ってもいい。だから彼を止めるには生半可な力ではいけない。全力を持って叩き潰さなければ……。
(まったく……負のスパイラルって感じだ)
ジワリとした気持ちの悪い汗をどこかで感じ、苦笑しながらもオーブはオーブカリバーに手を掛ける。
「オーブフレイムカリバー!」
火球を撃ちだしたことを視認したキルバ。彼はツインソードで左右交互に竜巻を起こす斬撃を発生させ、火球を切り刻んだ。バルキー星人キルバの必殺技の1つ”バルキーツインサイクロン”だ。
「何……!?」
迂闊だった。相手が技を使用しないだろうと踏んでしまった自分にイラつきつつも、オーブカリバーで飛んできた斬撃の竜巻をやり過ごす。
「くっ……!」
なんとか攻撃を防ぎ切り目の前に視線を向けるも、周囲の爆発の影響で煙が辺りを覆ってしまっていた。なんとか見つけ出そうと辺りを見回していたその時─────
「死ねや!」
煙の中から飛び掛かり、両腕にエネルギーを溜めはさむように相手を一刀両断する技”バルキーダブルハング”を放たれてしまう。
ギリギリ即死のコースから外すことはできたが、そのダメージは許容量を超えおり、オーブは倒れこんでしまう。カラータイマーの点滅も既に始まっており、危険域に達していることを知らせていた。
「く、うう……直は免れたか」
「オマエ………どうして生きてる……?」
完全に息の根を止めたつもりだったのだろう。目の前にいる、宇宙人は怒りに声を震わせて問いかける。
「そんなの……俺が倒れる訳にいかないからに決まってんだろ」
「はあ?」
「俺が負けたら、あいつらのライブができねぇって言ってんだよ!」
ここまで準備してきたものを、こんな戦闘欲の塊に滅茶苦茶にしてほしくない。オーブはそう言ってのけた。
「あいつらだけの力で一歩を踏み出す大事なステージがあるんだ……負けられるか!!」
直後、立ち上がったオーブのカラータイマーから光が溢れ出る。
「みんなのステージを守るために……力を貸してください!」
インナースペースで一眞は2枚のカードに語り掛け、オーブリングへと通す。
蒼く輝く光が水飛沫のように飛び散っていく。
聡明な蒼と、海のような青。それを包む金に縁どられた黒いプロテクター。同じく胸元に輝くリベット。そしてオーブ共通である額のクリスタルは赤く輝いていた。
「ハアアア……」
風が吹きつけてくる中、オーブはゆったりとした動作で構えをとる。
「オイオイ、いままで出し惜しんでたってことかよ。ったく……また面白くなってきやがったな!!」
興奮でツインソードを振り回し、そのまま駆けてくるキルバ。そしてツインソードの刃が振るわれる直前─────
「シュアッ!」
オーブの掌底がキルバを押し返す。
そう。オーブはカウンターを放ったのだ。並みの攻撃速度ではないキルバに対応できたのは、力の源であるウルトラマン2人が優れた剣士であるからだろう。加えて……
「お前の目線が、剣筋を導き出すヒントだ」
キルバの怯んだ隙を確認し、すぐさま駆け出したオーブ。勢いをつけた飛び蹴りが、キルバの腹部へ命中。着弾点から波紋のような衝撃が広がっていく。
「やってくれる……」
「……」
オーブ目掛けてツインソードで再度斬りかかるも、オーブも両腕から青い光の刃を出現させこれを受け止める。
「ナイトアグルブレード」
「同じ条件か……いいぜ、剣士勝負と行こうじゃねえか!!」
幾度目ととなる剣同士のぶつかり合い。キルバが攻めまくるように、オーブもまた攻めまくる。時に横へ薙ぎ、時にピンポイントを突く。
「クソッ……!」
いったん距離をとったキルバは、またもや技を放とうとするが
「何度も受けてたまるか!」
させまいとオーブは、額のクリスタルにエネルギーを集中。そこから光弾を連続発射した。
「クラッシャーナイトリキデイター」
「ガッ!? ハアア……」
よろけるキルバへ再度肉薄し、ナイトアグルブレードを突き出す。
「……ッ!!」
刃と刃がぶつかり、不快な金属音が周囲に響く。数秒後……パキッと音を立てて、ツインソードが崩壊した。
「な……」
ツインソードに絶対的自信を抱いていたのか、キルバはその場で狼狽えてしまう。オーブのスペリオン光輪を受け止めた時の生じた小さなキズ。ナイトリキデイターとなった時に気付いた彼は、ずっとその1点を狙っていたのだった。斬りかかる時はなるべくその傷部分に負荷がかかるように。突くときは言わずもがなその1点を。
「こ、この……。強大な力を持っているオレが……どうして……」
「お前は力あり方を知らなすぎる。ただ振るうだけが力じゃない。誰を見守り、背中を押す……そして導く。それがいつの日か、大切な人の力になる。勇気という力に」
「ふざけたことをぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
オーブは腕を水平に広げた後、右腕を天に掲げる。蒼い雷を纏わせた光球を生成。両腕からスクリュー状の波動弾を撃ちだした。
「ストライクナイト……リキデイター」
動きを止めたキルバは、その場に倒れると凄まじい轟音と共に爆発したのだった。
────Awaken the power────
それは大切な人に贈る曲。ここまでの感謝、そして1人でも大丈夫だと伝えための唄。
彼女たちの歌声は、聖夜の夜をより一層煌びやかにさせていた。それと同時に、ライブ会場のクリスマスツリーもまぶしいくらいに輝いていた。まるで想いを伝えた彼女たちを祝福するように……。
「やっぱり理亞はSaint Snowを続けないのか?」
「そうみたいです。でも、前とは少し意味が違うんですけど」
沼津へと帰る途中、一眞はルビィに尋ねた。しかし予想外の返答に、一眞は首を傾げる。
「Saint Snowは聖良さんとの思い出で、世界に1つしか無い雪の結晶だからって。だから新しいグループで、新しい雪の結晶を見つけるんだって!」
「成程……そういうことね」
聖良との思い出であるSaint Snowはこの世界に2つとない結晶の形。だから理亞は新たな結晶を探すことに決めたのだろう。形としてではなく、思い出として留めておくと。
新たな未来に向かって羽ばたき始めた妹たちのことを、姉たちは誰よりも祝福している事だろう。
こうして、冬に起こった小さな奇跡の出来事は幕を閉じるのだった。
ここで登場ナイトリキデイター。ヒカリとアグルのフュージョンはカッコ良すぎるって……。
さて解説です。ナイトリキデイターの必殺技は”クラッシャーナイトリキデイター”フュージョンファイトではそうですよね。ですがオーブ超全集には設定上、もう2つ技があるんです。その一つが今回登場した”ストライクナイトリキデイター”。今作ではナイトシュートとフォトンスクリューを合わせたようなイメージで書いています。
次回は久しぶりのあの人を出せたらいいなとか思ってます。