初戦でウルトラマン3体と相手するセレブロさんェ……次回もウルトラ楽しみです。
日本某所。普段は人々の生活がありながらもどこか静けさが残る街。しかし、今はそれとは正反対であった。鳴り響くサイレンや人々の悲鳴で大パニックである。
その原因は逃げる人々をバックに戦闘を繰り広げているウルトラマンオーブと体が金属の巨体であった。
「オリャアアッ!!」
オーブが空中からのキックを上半身へと決めると鈍い金属音が響いた。しかしその怪獣……否、鉄人兵器は後ろに数歩下がるだけで大きなダメージには至ってない様子である。
(コイツ……)
オーブに変身している一眞は、このどうしようもない体の強固さに頭を抱えていた。この鉄人兵器が現れてから戦闘を繰り広げているわけだが、今の今まで有効な攻撃を与えられていないのだ。よくて数歩後ろに下げられるくらい。
構えを取り、睨み合う両者。
途端、鉄人は両肩に付けられた砲身からビームを発射する。その砲撃を避けるオーブだったが、なんと弾がオーブのいる方向に向かって”曲がった”のである。そのことに動きが止まり2発とも被弾してしまう。
(ホーミングってやつ……なっ!?)
見上げると、いつの間にか目の前に近付かれていたようで、その強靭な腕での攻撃を受けてしまう。しかし2度目の攻撃は何とか受け止めてホールド。そのまま頭や首にパンチやチョップを繰り出すが、やはり攻撃が効いていない。
「う~ん、やはりあの方のツテってのはいいものを持っているね」
「ええ」
遠くからこの戦いを見ているアオボシはスピカに向かって話しかける。スピカは淡々と、そして相変わらずの無表情で応答した。
そう、オーブと対峙している『無双鉄神インペラザー』は”あの方”と呼ばれている者が、その知り合いである惑星侵略連合と呼ばれる組織から譲り受けたものなのだ。
密着して攻撃を繰り出しているオーブを蹴り飛ばしたインペライザー。その衝撃でオーブは地面へと転がる。しかしオーブは起き上がらず、とある攻撃がくるのを待った。
鉄神はオーブを倒すという命令を忠実に実行するため近づいていきながら、両肩の兵器『ガンポート』からビームを発射した。
(待ってたぜ! その攻撃ッ!!)
オーブは即座に以前マガグランドキング戦で使用したミラーウォールを生成。攻撃を反射させ、その強固な体へと当てた。小規模な爆発が起こり煙が舞うが、インペライザーは止まることなく、オーブの首を掴んできたのだ。
(こ、この……だったらこのまま!)
首を掴まれ持ち上げられている中、オーブはエネルギーを貯めて腕を十字に組んだ。
(スペリオン……光線ッ!!)
至近距離で発射されたスペリオン光線は、インペライザーの”再生しかかった体”へと流れ込んでいく。
過剰量へと陥った体内のエネルギーが外へと漏れだし、大爆発を起こす。
フラフラの状態で立つオーブ。目の前には下半身だけが残されたインペライザーの残骸が残されていた。
それは今だにオーブへと近づこうと歩みを止めない。その機械故の不気味さに冷汗が流れる。
一歩……
二歩………
三歩…………
そこで謎の光に包まれて消えた下半身。再度現れるのかと警戒するがそこには道路やビル、そして空が先の方まで続いている景色しか見えなかった。
緊張が途切れるとオーブは空高く飛翔していく。
「ダメみたいね……」
戦いを見終えたスピカは言う。やはりあの連合が持ってきたものはガラクタだったのかと感じている彼女に、アオボシは笑って答えた。
「いいや、これでいいんだよスピカ。これで十分なデータはとれたようだし……インペライザーの真の恐ろしさはこんなもんじゃない……」
不敵な笑みへと変わるアオボシがそこにはいた。
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見事ファーストライブを成功させた千歌たちは理事長の承認により正式な部活動として認められ、部室も与えられることとなった。体育館内に設けられた空き部屋がスクールアイドル部の部室だ。
しかし、なぜ理事長が自分たちの肩を持ってくれるのかが不思議で仕方ない梨子と曜。だがスクールアイドルが好きなだけ……では到底思えないのも事実だ。
そこで一眞は以前鞠莉から言われた言葉を思い出していた。
――――しっかり、彼女たちを見ていてあげて
――――私たちの時にいなかった存在だからこそ、みんなを繋ぎとめてあげてほしいの
戸惑っていて彼女のことをよく見ていなかったが、あの時の鞠莉はいつもの所謂「シャイニー!」と言った感じではなく、何か心残りがあるようだった。もしかすると何か関係が――――
「カズくんも入ろう! 部室っ!」
と考えかけたところで千歌に声をかけられ、「え?」と聞き返す。
「だから、部室に入ろう? 何か考え事してた?」
とっさに「いやなんでも」と答えてしまう一眞。ともかく、自分が見ていてあげれば何も問題は無いのだ。そう鞠莉も頼んできたのだろうし、自分もそのつもりで入ったのだから。
心弾ませながら入っていく千歌を追い、一眞も中に入る……前に部室の上に飾られたプレートに目をやる。
『スクールアイドル陪部』
一眞は(後で取り換えておくか……)と心のどこかに誓いながら部室の中へと入っていった。
「うわああ~……」
「片づけて使えって言ってたけど……」
「こりゃ酷いな……」
部室内には埃がたまり、本や段ボールが散乱していた。ずっと物置として使っていたのだろう。全員が予想以上の悲惨さに肩を落とす。
「これ全部~!?」
千歌が駄々をこねるように声を上げるが、こうなった以上仕方ないと腕をまくったり、ブレザーを脱いだりして掃除する気満々の他3人。
「言っても誰もやってくれないぞ。このままでいいって言うなら別にいいけど……」
「よくない!」
一眞の言葉に梨子は反対する。
2人の言葉を聞きながら千歌はダルそうに歩いていく。
「なんか書いてある」
千歌が見ているホワイトボードには薄い字で何行も書かれていた。それは勉強で扱ったようなものではなく
「歌詞……?」
「でもなんでここに?」
「さあな、行事か何かで使ったんじゃないか?」
「でもここに書き残したままじゃ置いとかないと思うんだけど」
曜の言葉に尚更謎が深まる歌詞……。
「それよりもこれ……」
一同は謎に放置された歌詞を見ていくが、それよりも後ろに何冊も置いてある本の方へと関心が移っていくのだった。
一眞たちがせっせと片づけをしている頃、同学校の図書室では国木田花丸が貸し出しカウンターに座って本を読んでいた。
彼女以外見当たらない物静かな空間に、ガラッとドアの開く音が聞こえ、彼女の親友がその赤いツインテールを揺らしながら入ってきたのだった。
「やっぱり部室できてた!!」
いつもより興奮した様子で黒澤ルビィは花丸に告げた。そのことに花丸も良かったねと声をかける。ルビィは早くも次のライブに心躍らせていると、またもや扉の開くの音が聞こえた。
「こんにちわ~!」
そこに入ってきたのはスクールアイドル部の面々。しかし人見知りのルビィは陰に隠れてしまう。
「花丸ちゃんと……ルビィちゃん!」
千歌は見つけられたと堂々と胸を張っているが、実際は扇風機の後ろに隠れただけでバレバレである。
(なんでだ……誰かツッコめよ……今のは褒められるほどのもんじゃないだろ……!?)
そんな状況に一眞は困惑しているが、そんなことよりルビィの可愛さに釘付けの3人は気にも留めていなかった。
「あの、用は……?」
「そうそう……これ、部室にあった本だ」
花丸の言葉に目的を思い出した一眞たちは何冊も積み重ねられた本をカウンターに置く。
「図書室の本じゃないかなと思って」
花丸に確認するよう梨子がお願いする。花丸は慣れた手つきでページをめくっていき確認していく。
「多分そうです。ありがとうg……」
花丸の言葉すら遮り、千歌は2人の手を固く握る。その際にはなったのは――――
「スクールアイドル部にようこそ!」
だった。案の定後ろから苦い顔で見られていることは気にせず、千歌は勧誘する。
「結成したし、部にもなったし……悪いようにはしないよ?」
「それ、悪いようにするってことだろ?」
一眞の冷静なツッコミもスルーし千歌は2人に言う。
「2人が歌ったら絶対にキラキラする! 間違いない!!」
だがいきなりの勧誘でもあるし、迷いもあるのだろう。でも……と言葉詰まりしてしまう。
「千歌ちゃん、強引に迫ったら可哀想だよ?」
「そうよ。まだ入学したばかりの一年生なんだし……」
可愛いからついと謝罪する千歌。すると曜がそろそろ練習の時間だということを伝え、図書室を後にした。
「とまあ……結構強引なとこあるけど、言ってたのは本心だから。ごめん」
千歌たちが去ったところで再度謝罪する一眞。
「いえ……オラ……」
「……?」
「マルは気にしてないので大丈夫です」
「そっか。じゃあ練習あるから」
一眞も同様に図書室を出ていく。
先ほどと打って変わって静かになった図書室で、花丸はルビィい問いかけた。
「ルビィちゃん、やりたいんじゃないの? スクールアイドル」
「でも……」
ルビィにはその決心に踏み切れない理由があった。
ルビィの姉、黒澤ダイヤは元々、スクールアイドルが大好きだったのだ。
しかしある時を境に嫌いになってしまったと……ルビィは語る。
姉が嫌いなものは、妹である自分も嫌いにならなくてはいけない。だが……どうしてもそのようにはなれないでいるのだ。
ルビィの”好きなものに蓋をしている”姿を見た花丸は、あることを思いついたのだった。
~~
「無理よ……」
「でも……μ'sも階段上って鍛えたって……」
早朝、淡島にある神社の階段を上ることによって体力強化をしようと始めた千歌たち。だがこれがなかなかに長く、急であるために体力が持たないのだ。今は想像以上に続く階段に体力を持っていかれたため、踊り場で休憩をとっている。
「はあ……はあ……結構きついな……ってか太もも痛ぇ……」
一眞も参加しているが彼女たちよりも疲れを感じさせていない様子である。
「それにしても……一眞くん結構体力あるんだね……」
梨子の発言に「無駄に体力はあるからな……昔から」と答える一眞。昔とは言っても3年前の話だが。
「ホントだよ。記憶失う前はなにかスポーツやってたんじゃない?」
「どうだか……」
曜と話していると上から地面を蹴る音が聞こえてきたので、視線を上に向ける。するとそこにいたのは果南であった。
「果南ちゃん!?」
かなりのハイペースで下ってきた果南に曜は「上まで登ってきたの!?」と聞く。それに「日課だからね」と答えられ、言葉を失うしかなかった一同。
「千歌たちこそいきなりなんで?」
「スクールアイドルで体力付けなくっちゃって思って」
千歌の答えに関心が低いのか、それとも触れたくなかったのか、果南は軽くあしらい自分は店があるからと下に降りていった。
「息ひとつ切れてないなんて……」
「上には上がいるんだね……」
と彼女の底なしのような体力に驚かされる一同。
「やっぱり体力オバケじゃないか……」
「果南ちゃんに言っちゃうよ~」
「ああああ!! 待て待て待て!?」
つぶやきを聞いてた曜が冷やかすと、一眞は慌てて止めるように言った。
「なんであんなに慌ててるの?」
「昔何回か本人の前で言っちゃったことがあって……」
梨子が千歌に聞くと、昔なんの考えもなしに「体力オバケ」と言った一眞は果南からシカトされたり、ヘッドロック決められたりと散々なことしか起きていないのだ。
「ほ、ほら、私たちも頑張るぞ~」
最後には体に疲れが残っているせいでヘナヘナ~、となり締まりが悪くなってしまう千歌に苦笑する3人。だが何とか頂上にまで登りきることができたのだった。
……だったが
「zzz~」
「ね、寝てるよ……」
反動が授業に来てしまうのは避けられないことであった。
~~
「ホントッ!?」
放課後、思いもよらぬニュースが舞い込んできた。
なんと、ルビィと花丸が体験入部してくれることになったのだ。
「やった~! これでラブライブ優勝だよ、レジェンドだよ~!!」
千歌はその嬉しさのあまり空高くジャンプした後、梨子や曜と肩を組んだ。ジャンプ力結構あるんだなと一眞。
「千歌ちゃん待って、体験入部だよ?」
「え?」
この「え?」は何それ、おいしいの? というリアクションだと汲み取った梨子は体験入部がどういうことなのかを説明した。
「仮入部は”お試し”ってこと。それでいけそうだったら入るし、合わなかったら辞めるし」
「どうして?」
何故、と千歌。
「もしかして生徒会長?」
「はい、ですからルビィちゃんとここに来たのは内密で」
曜の問いかけに花丸が答え、さらに頼んでいる間にも千歌はポスターはなにやら書き連ねていた。
「できたー!」
「バカ、話聞けっての!」
「いったぁ!? カズくん何するの~!?」
「その、バカの頭にチョップしただけだが何か?」
話を聞かず、ポスターに花丸やルビィの名前を書き入れてしまい一眞に脳天チョップを食らわされる。
「もう、仕返し!」
「おっと、動きが止まって見えるぜ?」
「むう、カズくんのバーカ!」
千歌も仕返しにチョップしようとするが一眞には簡単に避けられてしまった。
「ああっ!? 一年生がいるのに……もう……」
「あはは……」
醜態をさらしていることに頭を抱えつつ、練習がスタートしていくのだった。
「とりあえず、梨子と相談して作ったのがこれ」
円内には準備運動やボイストレーニング、基礎体力作りなどが細かく区切られて配置してある。
「でも曲作りは?」
「それは別の時間にやるしかないわね……」
と時間外になってしまった事に申し訳なく答える梨子。しかし、このような具体的なレッスンスケジュールができたできただけでも大きな前進と言えよう。
だが、新たな問題が浮上した。
「練習場所はどうしようか?」
今までは浜辺などに設定していたが、これでは移動時間に部活の多くの時間を取られてしまう。なるべく学校内がいいのだが……既にほかの部活が使っているケースが多々であった。
「屋上はダメですか?」
ルビィの提案に同意していく千歌たち。まさか屋上とは盲点であった。
「もしだめなら、理事長に頼み込めばいだろ……ヘヘヘッ」
「ええ……」
一眞の権力に物言わせようとする姿には苦笑いであったが。
「ずいぶん広いんだな~」
屋上にはもちろん人は居らず、何より広々としたスペースがそこには広がっていた。
「富士山もくっきり見えるね~」
日差しがちょっと強いが、それがいいのだと千歌は言う。
「気持ちいずら~」
日差しで暖かくなった地面に寝っ転がる花丸。一方一眞は屋上から見える景色を見ていると
『オレは――――』
『すごいだろこの――――』
『よろしく、シリ――――』
ノイズがかった映像が頭の中を流れていく。それは妙に懐かしい気がして、そして何より――――
「カズくん?」
ふと誰かのかけてきた声で我に返る。
「大丈夫? ボーッとしてたみたいだけど……」
「あ、ああ大丈夫だよ。練習始めるのか?」
頷く曜を横目に背伸びする一眞。
「あのさ……」
「なに?」
彼女はジェスチャーで目の下を指さした。それが自分の顔をさしているとわかったので、すかさず手を当てる。すると奇妙なことに、一筋の涙が流れていたのだった。
「なんだ……これ?」
「潮風が目に沁みちゃったのかな? それより始めよ!」
いつもの調子で気遣ってくれる曜を見ながらも、涙のことを不思議に思う一眞だった。
練習を始めてみると、ルビィは初めてとは思えないほどにダンスをやっている。やはりスクールアイドルが好きとのことなので真似ていたことによる影響だろう。花丸もなんとかくらいついて行こうとしている中に、楽しさが含まれていたことを誰もが目にしていた。
「これいっきに上ってるんですか!?」
場所は変わり淡島。因縁深き階段ダッシュである。やはりルビィや花丸もこの長く急な階段は不安なようだ。
「もちろん」
「いつも途中で休憩しちゃうんだけどね~」
胸を張るが曜の真実にえへへ~と苦し紛れの笑いを出す千歌。
「まあ、こっちもまだ始めたばっかだしな。これからだよこれから」
フォローを入れておく一眞にも「まあ一眞くんも登れてないんだけどね」と梨子が言う。
「さあ、μ's目指してー!!」
と千歌の声と共に駆け上がる。
「どうしたの?」
ルビィが脚を止めるとそれを曜が気にするが「先に行っててくださいと」お願いする。彼女は遅れてしまった花丸を待っているのだ。
「ルビィちゃん?」
「一緒に行こう」
笑顔でそう言ったルビィ。しかし花丸は彼女のその誘いを断る。当然、そのことにルビィは困惑する。
「ルビィちゃんはもっと自分の気持ちを大切にしなきゃ」
花丸がずっと彼女を見てきたからこそ言える言葉……。しかしルビィも否定したい気持ちと認めたい気持ちがせめぎ合う。姉が嫌いだから……でも自分は……
「だったら前に進まなきゃ」
まっすぐな瞳でルビィを見つめる花丸。
「さあ、行って」
――――彼女の背中を押してやるための……精一杯の笑顔
「で、でも……」
「さあ」
彼女の言葉や表情、想いに突き動かされたルビィは先を見据え、階段を駆け上がっていく。
そのひたむきに、駆けあがっていくルビィの背中を見た花丸は満足そうに登ってきた階段を下りていくのだった。
花丸が下りていくとそこには一眞が立っていた。彼は花丸に何か言いたそうにしている。
「もしかして、一眞さんは知ってたんですか?」
私の考えを見抜いていたのかと、聞かれるが首を横に振る。
「別に、ただの勘だよ勘。なんとなくそう思っただけ」
「オラはルビィちゃんが辛そうに……好きなものに蓋をしている姿を見たくなかったんです」
だから彼女は体験入部と言って彼女を誘い、背中を押してやったのかと……。
「一眞さんも早く行ってあげてください。ルビィちゃん、人見知りだけどいい子なんです。だからいつかは一眞さんとも話せるようになると思うので」
そう言って横を通り過ぎる彼女に一眞は問いかけた。どうしても聞いておきたかったのだ。
「花丸は!? もういいのか? スクールアイドル……」
「マルの……役目は終わったのでもう、本の世界に戻るんです。それで……いいんです」
その姿に何も言えず、一眞は見送ることしかできなかった。
「なんですの。こんなところに呼び出して」
花丸が下っていくと、声をかけられる。中腹あたりに設けられたベンチに座っていたのは黒澤ダイヤであった。会話から察するに、彼女も花丸に呼び出されたのだろう。
「ルビィちゃんの話を、彼女の気持ちを聞いてあげてください」
それだけ伝え終えると、彼女はダイヤのことも気に留めずに走り去ってしまう。
「そんなの……わかってる」
ポツリ、とそんな言葉をこぼしてしまう。
「お姉ちゃん!?」
しかし彼女の表情は、ルビィの声を聞くとすぐにいつもの厳しい表情へと戻ってしまった。
「これはどういうことですの?」
何故スクールアイドルをやっているのかを聞きたいのだろう。しかもルビィは無断である。
「私が「千歌さん」
ルビィに止められた千歌。そして、前へ踏み出していく。
「ルビィ……」
「ルビィね――――」
~~
「よろしくお願いします」
翌日、部室では入部届に名前を書くルビィの姿があった。自分の気持ちに嘘をつかず、姉に自分がなにをしたいのか、どうなりたいのかを恐れずに伝えた結果だ。その証拠に、彼女の表情は晴れ晴れとしている。
ある一点を除いては
「そう言えば、国木田さんは?」
梨子の言ったことに何か心残りがあるかのように反応するルビィ。
「行ってくればいい」
視線がすべて一眞へと集まる。
「行って伝えててくればいい。ルビィが背中を押されたように、今度は花丸の背中を押してやれ」
大きく目を開いたルビィ。そして次の瞬間、部室を勢いよく出ていく。
「カズくんは昨日でも花丸ちゃんを説得できたよね? でもしなかったのは……」
「俺よりルビィやみんなの方が適任だろ?」
曜の言葉に微笑んで返す一眞。
確かに昨日の時点で花丸を説得できたのかもしれない。しかし、そんな出会ってすぐの人間よりも長年一緒にいるルビィや彼女に近い立場の人間の方が適任だろうと一眞は思ったのだ。
図書室。
スクールアイドルの雑誌を寂しそうに見つめ、自分はもういいからとゆっくりと本を閉じようとする花丸。
「ルビィね!」
突然、自身の横から聞き慣れた声が聞こえ顔を上げる。
「ルビィね、花丸ちゃんのこと見てた!」
無理してやっているんじゃないか、合わせているのではないか……ルビィは心の内を吐露する。
――――だが
「練習にいた時も、屋上にいた時も、みんなで話しているときも花丸ちゃん……嬉しそうだった!」
そんなことは無かった。彼女は、彼女は好きだったのだ。スクールアイドルが。それもルビィと同じくらいに……
花丸は体力がない、と自信が向いていないと訴える。
けれど、雑誌に書かれていた
「好きだった、やってみたいと思った。最初はそれでいいと思うけど?」
図書室に到着した梨子が呼びかける。
「ルビィ、スクールアイドルがやりたい! 花丸ちゃんと!!」
最初は些細なきっかけでいい。興味があったや好きだからだとか、やってみたいとか……。純粋な好奇心からで。向いてない、できるかわからないは二の次だ。
「一番大事なのはできるかどうかじゃない。やりたいかどうかだよ!」
そう言って差し伸ばされた千歌の手を、花丸はとった。自分が……スクールアイドルをやりたいから。
「じゃあいくよ」
千歌は声と共にエンターキーを押す。正式にAqoursとしてスクールアイドルのランキングに登録したのだ。画面には 『RANK 4999』 と表示される。そのスクールアイドルの多さに、圧倒される一同。
「さあ、ランニングいくずら~!」
しかし花丸はそれに怖じることなく、ランニングするために発破をかけた。
先は長く険しいこと間違いなしだが、彼女たちなら乗り越えられる。そう感じた一眞だった。
~~
彼女たちがランニングしていると、突然空から光の柱が降ってきた。
「うわ、なになに!?」
突然のことにパニックになる千歌たち。
「き、機械ずら……」
光が消えていくと、そこには鉄のロボットが佇んでいた。
「あ、あれは……」
一眞は驚嘆し、そのロボットを見つめる。それもそのはず。あれはかつて自分が倒しているのだから。
中心の三連のガトリングが鈍く輝き、起動した無双鉄神インペライザーは街を破壊していくためレーザーを発射する。響く轟音に、立ち込める煙。そして伝わる爆発の熱風。
「また怪獣!?」
「ピギィッ!?」
こちらにも伝わってくる衝撃に、うろたえる一同。そこに一眞は声を張り上げて言った。
「はやく逃げよう!」
「う、うん……!」
「そうだね……」
彼の言葉で我に返った一同は、その震えそうな足を動かしてインペライザーから逃げていく。
しかし、その巨体と人間では一歩の距離に差が生まれる。いくら逃げてもインペライザーとの距離は離れない。むしろ近付いてすらいる。それを感じ取った一眞は千歌たちから離れ、人気のない場所へと移動した。
「あれ、一眞さんは!?」
彼がいないことに気付いた花丸は辺りを見渡す。
「カズくん、また誰かを助けに……!?」
信じているとはいえ、無言でいなくなったことに憤りを覚えた千歌。
刹那――――
インペライザーと相対して土煙やO状の光を出しながら何者かが着地する。それは紫や赤、銀色の身体に金色のプロテクターを付け、胸元にはこれもサークル状の青い水晶を身に付けた戦士だ。
「来た……」
「私たちの……」
「ウルトラマン」
内浦の大地に立ったオーブはインペライザーへと構える。
インペライザーもオーブの姿を確認すると妙な機械音を上げてこちらへと向かってきた。
(今度こそ倒し切ってやる!)
オーブはジャンプし、高所からの勢いをつけたチョップをインペライザーの脳天にお見舞いする。続けざまに胸元に殴打や横蹴りを繰り出していくが、先の戦いと同じくびくともしないのだ。
オーブは攻撃を続けていくがどの攻撃も腕にガードされたり、軽々と躱されてしまう。躱されるだけならまだしも、段々とカウンターを受けていく回数が増えていく。
(このっ……!)
オーブは地面を力強く蹴り、スピードと威力をブーストさせた渾身の右ストレートを振るった。
だがその攻撃も当たることは無く、逆にガラ空きになった背中にインペライザーの拳が振り下ろされる。
「グオッ!?」
巨大な轟音と共に地面に伏すオーブに、インペライザーは攻撃の手を緩めない。まるで甚振られるかのように踏みつけや、蹴りがオーブへと襲い掛かる。
だがなんとかインペライザーのバランスを崩すことによってその場を脱出。体制を整えることができた。
前回は攻撃が効かなかったものの、これほど動くことは無かった。しかし今は避けてばかりいたのが徐々にカウンターを使い始めてきたのだ。
これはまるで……
(読めてますってか……)
「どうだい……これが機械の強みってとこかな。倒されても学習し強くなる。ラーニングってのは恐ろしいよね。パターンも分析できちゃうんだからさ……」
遠目で見ているアオボシはニヤリと口角を上げた。
形勢が逆転。今度はインペライザーの猛攻を必死で躱している。あの硬い鉄拳での攻撃をもう何発も受けてはいられない。だが、インペライザーの攻撃の速度も徐々に上がっているように感じた。
瞬間、頭部のガトリング砲から発射されたビームによってオーブは後方へと吹き飛ばされる。
(しまった……遠距離もあるんだった……)
避けることに精一杯で遠距離武装のことが完全に頭から消失していたことに、一眞は自分を殴りたくなる。
オーブのその姿に千歌たちにも不安が募っていくのだった。
「これじゃオーブが……」
何度も地面へと倒れているオーブを見ていると”敗北”という未来が迫ってくるようだった。
「で、でも……ウルトラマンを信じるしか……」
そんなルビィの声が巨大な音と共に溶けていく。
(これなら……)
スペリオン光輪を腕の関節部へと投擲する。見事に命中し、右腕が地面へと落ちる。チャンスと見定め、再び接近していく。
しかし
腕は宙に浮き、最初から切断されていなかったかのように綺麗に接合したのだ。そして右腕は奇妙な音を立てて、なんと大剣『インペリアルソード』へと変貌したのだ。
「……!?」
その光景にはオーブやAqoursの全員もが驚愕した。
「そうだよ。これがインペライザーの恐ろしいところさ! 存分に楽しみな!」
アオボシはついに種明かしができたかのような喜びで声を張り上げた。
繰り出される剣撃を避けられないと感じ取ったオーブはスペリオン光輪を右手に持って受け止める。しかしその剛力から繰り出される圧は相当なもであり、スペリオン光輪が砕け散ってしまう。
(もう時間が)
迫りくる限界。しかし鉄神はこちらの都合を考慮してくるほど情があるわけではない。
宙返りで距離を取りエネルギーを貯めた。
(スペリオン光線ッ!!)
直線に放たれた熱線は肩に付けられたガンポートを吹き飛ばすことに成功。
しかし再生能力が起動し、元通りに修復されてしまった。
(なっ……!?)
「フ、フフフフッ……」
カラータイマーの点滅が始まり、なす術無しと立ち尽くすオーブ。
終わりだと宣言するかのように放たれたガトリングガンからのビーム。
――――刹那
最後もの抵抗としてミラウォールを生成し跳ね返したビームは肩の”とある装置”に直撃する。
すると突然エラーを起こしたかのように動きが止まるインペライザー。
フラフラとオーブも力尽き地に倒れる。その後光の粒子となって消えてしまった。
「チッ、侵略連合め……十分な整備をしておかなかったな」
提供元の不備に舌打ちをするアオボシ。目の前で案山子のように立ったインペライザーは光の柱によって消えた……否、”回収”されたのだった。
「カズくーん! どこにいるのー!」
「一眞さーんどこにいるずら~!?」
怪獣が去っても戻ってこないことに心配した千歌たちは一眞を探していたが、一向に見つかる気配がしないのだった。
もしかして……と最悪な場面が頭をよぎるが頭を振ってかき消す。
「千歌ちゃんっ!?」
すると遠くから梨子の気迫迫った声が聞こえた。ただ事ではないと、走って向かう千歌。
「嘘……」
「そんな……」
「せ、先輩……」
スッ……と嫌になるくらい明確に、血の気が引いていくのがわかった。
――――そこには血を流して倒れている一眞の姿があったのだ。
伏線(っぽいの)を入れてみました。一眞の記憶の一部なのかはわかりませんが、何かはあるようです。
そしてインペライザーの登場。強敵に仕上げましたよ!はやく回転しながら乱れ撃ってほしい。
あと気付いたとは思いますが、とあるOPのフレーズをちょいといじって紛れ込ませておきました。