Sunshine!!&ORB   作:星宇海

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遅くなって申し訳ありません。第2節です。


第二節 囚われの人

 それはあまりに突然だったらしい。一眞たちのいる宇宙とは異なる世界。ここよりも遠く離れ、泡のように存在する宇宙の1つで起きた出来事。

 

 その世界では、地底や海底で人形の姿となって眠っていたオーパーツ”スパークドールズ”が怪獣となって復活してしまったらしい。暴れまわってしまう怪獣たちや地球を狙う侵略宇宙人に対抗するため、人類は地球防衛組織”UNVER(アンバー)”を創設した。その実働防衛チーム……通称”Xio(ジオ)”の拠点に、ある日宇宙人が侵入したのだった。そこには多くのスパークドールズが保管されており、ヤツの狙いもそれだった。スパークドールズを悪用させまいと、Xioの隊員たちは宇宙人を拘束しようと追跡した。もちろん大地とエックスもだ。

 

 しかし相手は用意周到だった。さらに別の場所で手に入れていたのであろう”怪獣爆弾”と呼ばれる爆発後に怪獣が出現するアイテムで攪乱。Xioとエックスが交戦している隙に逃げてしまったのだ。

 

 

 

 

 

「────まずい、このままじゃ……!」

 

《────大地とエックスはヤツを追え! あの怪獣は俺たちで何とかする!!》

 

「────わかった。エックス、行こう!」

 

『────ああ! みんな、任せたぞ!』

 

《────ウルティメイトゼロ ロードします》

 

 

 

 

 

「それでこの宇宙に、俺とエックスは来たんだ」

 

『そしてスパークドールズの発する微弱な電波を辿り、この洋館に辿り着いた』

 

「君たちを助けられたのはホント幸運だったよ。もう少し遅れていたら、どうなってたか」

 

 次元を渡り、スパークドールズの反応を追ってやって来たと言う大地とエックス。ここまでの経緯をじっとして聞いていた8人の反応はというと、ただ目を丸くしていた。それしかしようがない。なんせ、次元を超えてくるなんて、いつも見ているウルトラマンと怪獣の戦い以上に想像を絶する話なのだから。全部理解しろというのがそもそも無理な話だ。

 

「難しかったかな……?」

 

「別の宇宙……?」

 

「もう1つの世界……パラレルワールド!」

 

『そう思ってくれて構わない』

 

 話の規模が大きすぎたか眉を寄せて唸っている果南の横で、善子はよく触れるジャンルだからかすんなり飲み込めてる様子。すると善子の隣に座る花丸が「善子ちゃんの癖に話を遮らなかったずら~」などと言えば、善子がまた声を上げる。そんないつも通りのやり取りに大地は笑みを浮かべた。

 

「君たちはこんな状況なのに、やけに落ち着いているね」

 

『ああ。まるで慣れているかのようだ。それにさっきだって、ワタシ達の正体を知ってもさほど驚かなかった』

 

 普通、宇宙人たちに襲われた直後とあれば、恐怖で震えが止まらなくなるだろう。しかし彼女たちにはそれが見られない。さらに、大地とエックスのことだってすぐに信用してくれた。確かに信用してくれるのは嬉しいが、もっと警戒されたり、精神面を心配されたりすることだってあるかもしれないと思っていたからだ。

 

「私たちも、大地さんやエックスさんのようにウルトラマンとして戦っている人がいることを知っていますから」

 

 梨子も先ほどよりかは緊張していないのか、柔らかい雰囲気で言葉を紡いだ。ここにいるみんなが知っている青年のことを。すると大地とエックスは彼女の言葉に食いついた。「この星にもウルトラマンがいるか」と。

 

「え……はい」

 

 もう当たり前となっていることだ。逆に驚かれていることに困惑してしまう。

 

「順を追って話しましょう。ここへわたくし達が来たことへの理由にも繋がりますから」

 

 ダイヤの一声に頷くAqours。大地たちの事情を聴いたのであれば、次はこちらの事情を話すべきだろう。そうしてこの世界のウルトラマン、暁一眞、そしてこの洋館へと足を運んだ経緯を話すことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

 その頃、プロキオやガッツ星人に敗北してしまった一眞は意識を失ったまま、洋館のメインホールのような場所にある椅子に拘束されていた。

 

「……う、うぅ」

 

 未だ重たい頭をどうにか回転させながら、一眞は目を開ける。するとスイッチでも入ったかのように、即座に攻撃を受けた胸元や背中が熱く脈打ち、朧げな意識を半強制的に目覚めさせた。痛くはあるが、慣れないものでもない。それにじきに治まるだろう。

 

 そんな己の傷よりも、自分の目の前にいる人物を見据えた一眞は確信する。またお前の仕業なのかと。

 

「ヴィルゴ……これもお前たちの作戦通りってわけか?」

 

 大切な人物を怪獣へと変貌させたり、心の通った生物を狂暴化させ、挙句の果てには役に立たないからと殺す。ストレートに攻めてくるプロキオとは異なり、ヴィルゴは精神面から突いてくる最悪な人物だ。

 

「ええ、そうね。でもまあ、あの2人がここへ来たのは予想外。けれどお陰でアナタをここに誘き寄せられたんだからこれもラッキーね」

 

「……‥俺をここに連れてきてどうするつもりだ? 見せしめに処刑でもするつもりか?」

 

「それもいいけど……アナタはワタシの計画台無しにしてくれた。だからそのお礼をしてからでも遅くはないかなって?」

 

「計画?」

 

「アンタを夢の中に閉じ込めたのに、ノコノコと出てきたのが気に入らねえって言ってんのよ!」

 

 するとヴィルゴは急に口調を荒げ、近くにあったカップを一眞に投げる。どうやら夢の中に閉じ込めたのも彼女の仕業らしい。飴を使って永遠に閉じ込めようとしていたとは……容姿に似合わない邪悪さを持つ彼女らしい。

 

「だからね、ワタシは考えたの。アンタの大事な大事な存在が目の前で死んじゃったら、どんな反応をするのかなって。アナタは見ているだけ、ただ2人が死ぬ瞬間をね」

 

 一眞の前にとある映像が映し出される。そこに映されていたのは、彼が探していた少女たち2人の姿だった。

 

「……っ、千歌! 曜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

「じゃあ君たちは、その……一眞くんという少年がウルトラマンに変身することも知っているし、協力しているってことだよね?」

 

「That's right! でも協力……かどうかは微妙なところね」

 

『成程。君たちの話で、暁一眞のことも大体把握できた。例え異なる存在でも、志すものは同じ……というわけだな』

 

 これまでのことを大地やエックスに説明してきたAqours。当初は一眞がオーブに変身するということに心底驚いていたみたいだったが、「多次元宇宙ならあり得なくはない話か」と大地は納得していた。

 

『それで? 友人である高海千歌と渡辺曜を探しに行った暁一眞を追い、君たちもここに来た……と。はあ……はっきり言って危険すぎる。一番近いところで見てきた君たちなら知っているだろ。残虐な宇宙人の本性を』

 

 事情を整理したエックスは溜息とともに、彼女たちに注意の意味でも説教まがいのことをしてしまう。確かにエックス言うことはごもっともだ。先ほども大地やエックスが助けに入らなければ、どうなっていたかは想像もしたくない。

 

「ごめんなさい……。で、でも、千歌ちゃんも曜ちゃんも、それに一眞さんもルビィたちの大事な友達なんです……!」

 

「ルビィの言う通りよ。黙って待ってるわけにもいかないでしょ」

 

「ずら!」

 

「1人で何とかするより、仲間がいた方がいいかなって。向こうだって組んでるんだから」

 

 危険なのは百も承知。しかし捕らわれているのは大事な友人であり、仲間なのだ。ただ指を咥えて見ていろ……なんて出来るはずもない。大地やエックスだって同じ状況であればそうするだろう。

 

『だが……』

 

「大丈夫だよ。今ここには、俺とエックスがいる。それに彼女たちは、そう簡単に諦める性格じゃない。そうだろ?」

 

 大地の問いに全員が力強く頷く。

 

『大地……わかった。だが危険だと判断したときは、ワタシや大地の意見に従ってもらうからな』

 

 そうして千歌達を救出しようと意気込んだわけだが、何処にいるのか全く見当がつかない。本当にここにいるのかすら確信は持てていないわけだが……。すると、大地の持つデバイス”エクスデバイザー”で何らかの反応をキャッチしたらしい。

 

「地下の方かな……スパークドールズの反応がある」

 

『それだけじゃないぞ大地。どうやら生体反応が2つ、同じ地下からだ』

 

「じゃあもしかして……」

 

 可能性は高いと、大地は静かに頷く。希望が見えてきたと一同に笑顔が見え始めるが、問題が1つあるとエックス。

 

『同じ地下でも、2つの反応は別々の場所からなんだ』

 

 おそらく2人は個々で監禁されているのではないか……というのがエックスの見解だった。なら二手に分かれて助け出せばいいとなるが、何か仕掛けられているのではないかと慎重になるエックス。

 

「手伝おうか?」

 

 彼女たちの背後から、1人の青年が声をかけてきた。「手伝おうか」という言葉がこれほど信用ならないのは、その男の所業のせいだろう。いつもとは違う服に身を包み、アオボシはそこに立っていたのだった。

 

「あんたが?」

 

「まあ、信用ならないのはわかってはいるけど」

 

「……彼は?」

 

 大地とエックスは勿論知らない為、傍にいた梨子に尋ねる。

 

「私たちとはいろいろ複雑な関係で……」

 

 本当に複雑だしなんなら一眞との関係の方が深いような気もしてくるため、説明が難しく苦笑いする梨子。

 

 そんな後方のやり取りなどアオボシは気にせず、話を続ける。

 

「あの2人……千歌ちゃんと曜ちゃんだっけ……このままだと、彼女たちは処刑されてしまう」

 

 全員が息を呑んだ。さらっと彼の口から告げられたのは、このまま2人は死んでしまうということなのだから。理解しがたい状況に、言葉が出てこなくなるのも当然といえる。

 

「捕まったシリウスに見せつけたいんだろう。ヴィルゴが考えそうなことだ」

 

「カズもここにいるの?」

 

「ああ。だけど優先するのは2人の方だ。あいつはまだ殺されないよ」

 

 ヴィルゴと共にいた期間があるからこそ、彼女が何をしたいのか想像がつくのだろう。彼の想像……予測だと一眞はすぐには殺されない。ヴィルゴ、そして一眞にある意味での信頼を置くアオボシだからの言葉だろう。

 

「僕を信じるか?」

 

「……彼を信じましょう」

 

 しばらくの沈黙を破ったのは鞠莉。彼女の言葉に他の面々は唖然とする者もいれば、こんな男の言葉を聞けるかと問い詰める者もいる。しかし彼女は「この状況じゃ、彼の手も必要よ」と返す。

 

「……信じていいんだね?」

 

「最終的に決めるのは君たちだよ」

 

 大地の問いをかわすように、アオボシは歩き出してしまった。

 

「待って」

 

 善子の呼びかけに足を止めたアオボシは、面倒くさそうに振り返る。次に聞こえてきたのは、今までの緊迫した空気をぶち壊す一言だった。

 

「あんた……その恰好は何よ?」

 

 「今聞くことか……」と誰もが思ったが、それと同じくらい「確かに」と疑問符を浮かべてしまうアオボシの恰好。裾が燕の尾のようになった服……所謂燕尾服を着ているのだ。それはつまり屋敷の召使い……執事と言った方がいいだろうか。そんな役職を連想させる。

 

「僕……就職したんだ。……ってのは嘘、こんな洋館に忍び込むにはまず形からってね。もういいだろ、置いていくぞ」

 

 アオボシの先導で、一行は千歌たちを救出に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ、拘束(コイツ)を外せ!」

 

 暴れる一眞だったが、傷のせいなのかそれとも単純に強固なのか、あるいは両方のせいか……縛り付けられている枷を外せないでいた。目の前で映像に映し出されている2人。何もできずただ見ていろと言うのは酷というものだろう。

 

「外せと言われて馬鹿正直に外してあげる人なんていないでしょ。ワタシはね、アンタが何もできす泣き叫んで壊れていく様子が見たいの。大丈夫、2人の死体を見届けることができたらすぐに外してあげるから」

 

「ふざけんなっ! お前はどうしてそんなことを!!」

 

 怒りの感情に任せて飛ばした疑問の答えに、一眞の心は急激に怒りを鎮めることとなる。いや、思考が止まったというべきなのか。

 

「う~ん……楽しいから」

 

「……え?」

 

「楽しいからに決まってるでしょ」

 

 言葉の意味を理解できなかった。違う、理解しようにも脳が拒んでいる。誰かに悲しみを与え、苦しむ様を見るのがただ楽しいから……。そんな個人的な娯楽、精神の静寂のために、他人の何かを踏み躙るのか。

 

「そんな……」

 

 言葉が出ない。自分が呆れているのか、理解できないものに恐怖しているからなのか……ただ言葉が出ない。

 

「ワタシね、いつも他人とはどこか違うなって感じてた。他人が楽しいって感じるものが楽しいと感じない。面白いと感じるものが面白くないって。でもね、他人の矜持を踏みにじった時は違う。惨めな姿を見るときは違うの。心から楽しいって思えるし、面白くて涙が出ちゃうの!」

 

 この時一眞は思っただろう。「ああ、この人物とはわかりあえない」と。彼女は根本から違う。元から狂っていた。そんな人物には何を言っても理解されない。多くの人が抱く幸せと、彼女の抱く幸せは全く別のもの。違いはあっていいことだ。だが、それが他人に牙をむいてでしか辿り着かないのであれば、話は全く別だ。

 

「だからか……」

 

「ええ。ワタシが手を組んでいるのも、行く先々で面白いものを見れるから。この星で言えば……win-winの関係ってやつかしら?」

 

「お前はアオボシの言う通りの奴だ。……頭のネジが飛んでる」

 

「……さ、あの2人を始末しなさい」

 

 地下に監禁、拘束されている千歌そして曜に向かい、処刑用と思われるコントロールされた鋸が迫っていく。一眞は「やめろ」と叫ぶが、ヴィルゴは笑みを浮かべて言い放つ「やめろと言われて馬鹿正直にやめる人なんていないでしょ」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何あれ!?」

 

「まずい、もう始めやがった!」

 

 監視の目を潜り抜け、時には大地やアオボシの協力で突き進んできた一行。ようやく千歌たち2人の姿を目にしたところで、処刑が始まってしまっていたのだ。アオボシは、即座に地を蹴った。と同時に大地に向かって一言「千歌ちゃんを頼む」と言い残す。

 

「どうなってんの、この仕組み!?」

 

「叩けば止まるんじゃないの!」

 

「そんな乱暴で止まるわけないでしょ!?」

 

「エックス!」

 

『わかった』

 

 慌てているせいなのか、脳筋的な解決方法を挙げているAqoursの横でエックスと大地、2人はコンピューターをハッキング。即座に装置を止めると同時に拘束を解いた。

 

「千歌!」

 

「千歌ちゃん!」

 

 駆け寄り、声をかけていく。すると千歌は薄っすらと目を開ける。

 

「あれ……みんな?」

 

「よかった……無事で」

 

「まったく、わたくし達に無断で出て行ったことは後でみっちりお説教ですからね」

 

 無事であることを確認し、安堵の表情を浮かべる。

 

「終わったか?」

 

 声の聞こえた方に振り向くと、曜を連れたアオボシの姿が。視認すれば、自然と足が動き出す。ここまでの心配、恐怖……そんな感情が足の回転を速める。互いの身体がぶつかり合うくらいの勢いで抱き着き、無事であることを喜ぶ。

 

「心配描けんじゃないわよ!」

 

「無事でよかったずら~!」

 

「千歌ちゃん、曜ちゃん!!」

 

「おい、まだ安心するのは早い。もう1人残ってるだろ?」

 

 油断するなと注意を促しているようにも聞こえる。しかし状況が掴めずにいる千歌と曜は「もう1人?」と聞き返す。そこで一眞が捕まっていること、大地やエックス、アオボシの協力については移動しながら説明することにした。

 

 が、その前に宇宙人たちが追ってきた。装置を止められたことを知られたのだ。ゾロゾロと向かってくる影を前にし、アオボシは一歩ほど前へ出る。

 

「ここは僕に任せてくれ。彼はおそらくメインホールにいる。大空大地さん……と、ウルトラマンエックスでしたっけ、彼女たちをお願いします」

 

「ああ。君も気を付けて」

 

『そのつもりだ』

 

 どこの誰だかはよく知らないが、これまでの行動で彼を信頼しても良い相手と判断したのだろう。大地はAqoursを連れ、反対方向から逃げていく。

 

「あの……!」

 

 しかし1人だけ……アオボシに助けられた曜だけは彼に声をかける。

 

「何してるんだ? 早くいきなよ」

 

「まだお礼言ってなかったから……助けてくれて、ありがとう」

 

「……」

 

 首だけを動かし、後方を見ればすでに曜は走り出していた。段々とその背中が小さくなる。

 

「君にありがとう……なんてね。罪悪感で押しつぶされそうだよ」

 

 どうにか捻りだしたアオボシの呟きは、大きくなる足音によって簡単にかき消されたのだった。

 

 

 

 




予想以上に進まなくてビックリしてる。

さて、エックスや大地がこの宇宙に来た理由が明らかにされましたね。そして囚われの一眞はヴィルゴさんと楽しくやってます。そして登場執事姿のアオボシ。なんでこんなとこにいるんだってのは置いといて、見事に味方ムーブをかましてくれました。また最後の彼のセリフの意味は26、27話あたりを確認してもらえれば……。

次回、戦闘に入れるのか!
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