Sunshine!!&ORB   作:星宇海

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お待たせしました!!!


第五節 新世代の力

 ゴゴゴッ……と、大地が揺れている。遅れて凄まじい爆発音が届く。目の前に広がる景色は日常とは遠く掛け離れたものだった。しかし太陽はいつもと同じように街を、彼女たちを、巨人を、怪獣を、宇宙人を……平等に照らし続けている。

 

 正直今日は多くの出来事が立て続けに起きすぎて、脳が処理しきれていない。でも彼を見送ったのだから、自分たちは見届ける責任がある。「理解できない」なんて言い訳に逃げてはいけない。

 

「……」

 

 再び立ち上がった彼の背中を、彼と共に戦う巨人たちの姿を……少女たちは、ただ祈るように見つめ続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

「トリニティウムブレェェェイク!」

 

 背後に現れた星の渦に照らされながら放つ袈裟と左袈裟。さらに飛び上がったオーブはプロキオに走った光の交差目掛け、輝きの絶えないオーブスラッシャーを振り下ろした。

 

「グォォォォォ!?」

 

「■■■■ーーー!!!」

 

 プロキオは爆発四散。しかし息つく暇もなくデアボリックが銃を乱射し、ミサイルを撃ち放つ。まともに防ぐこともできず爆発に包まれてしまった。しかし次の瞬間、煙を突っ切って現れたのはなんと”怪獣の腕”。

 

「EXレッドキング……ナックルッ!!」

 

 己の右腕を岩石とマグマで覆われた腕へと変換し、強力な一撃をデアボリックに浴びせたのだ。右腕を怪獣の一部に変化させ、自らの武器として使うことができるウルトラマンビクトリーの能力"ウルトランス"だ。剛腕にものを言わせた打撃や、地面を打つことでマグマを噴出させる"フレイムロード"で機械仕掛けの体を焼く。

 

「ンだよその攻撃はぁぁぁぁ!!」

 

 即座に再生したプロキオは全体重をかけて拳を打ち込んできた。

 

「……っ!? ゴモラアーマー!」

 

 上半身を水色の鎧で包み、プロキオの拳を防ぐ。エックスのようにサイバーゴモラアーマーをその身に纏ったのだ。耳を塞ぎたくなる金属音が響くが、両者ともに気にしてはいなかった。いや、「いられなかった」といった方が正しいだろう。

 

「ウォォォラァァァァァ!!」

 

 右腕の巨大なクローを振り上げる。腕をクロスして防ごうとしたプロキオだったが、その力と爪の前に呆気なく崩されてしまう。オーブがチャンスとばかりに狙いを定めれば、両腕のクローが眩く発光。ガラ空きとなった胸元へと突き出すと同時に溜め込んだエネルギーを解き放つ。

 

「ゴモラ振動波ッ!」

 

「ヌオオオッッ!?」

 

 凄まじい勢いで地面に倒れ込むプロキオの横で、デアボリックは己の武装を乱射する。

 

「……っ!? ぶねっ!」

 

 紫の光とともに纏われた鎧と、左手に輝くのは爪のついた盾。そんな盾の中心には、あらゆるものを飲み込もうとする孔が備え付けられていた。

 

「ベムスターアーマー……!」

 

 光線を吸収し数多のウルトラ戦士を苦しめてきたベムスターと同じく、左腕の盾で攻撃を吸収する。

 

「そんで……キングジョーランチャーだ!」

 

 右腕はウルトランスでキングジョーカスタムのペダニウムランチャーへと変換。銃口から鮮紅の矢となった一撃がデアボリックを貫く。さらに光線を跳ね返す”ベムスタースパウト”も奴の体を穿つ。それと同時にオーブは跳躍。

 

 デアボリックの頭上を取ったオーブは腕を天に伸ばす。黄色の光が右腕に集まれば、U字型のアームに同じ怪獣の尻尾が重なる。そして巨体を易々と囲むくらいには大きな、さながら銀河系のようなプラズマの渦を発生させた。

 

「痺れろ! トリニティウムX(クロス)………ライトニング!!」

 

 目を突き刺すような強烈な光と、耳を劈くような衝撃音がデアボリックを襲う。ギンガ、ビクトリー、エックス……3つの力をその身に宿すオーブだからこそできる技だ。デアボリックは回路系統がショートでもしたのか、先ほどまでの荒々しい行動が嘘のように収まる。

 

「オラッ!」

 

 そのままデアボリックへ向かっていこうとした瞬間、プロキオが飛び込んできたためオーブスラッシャーで受け止める。

 

「オイオイ、そんな面白ぇもん隠しときやがって……勿体ねぇことしてんじゃねぇぞ?」

 

「面白いだと? これはみんながくれた、みんなを守るための力……戦いを楽しむためのものじゃない……!」

 

「オマエがどう思おうと、オレにとっちゃ同じことだ」

 

「……っ!」

 

 鍔迫り合いから蹴りでプロキオを吹き飛ばし、その間に接近するデアボリックへターゲットを変える。

 

 ハイパーゼットンシザースとサイバーゼットンアーマーを右腕に重ねるようにして纏う。そして極限まで腕を引き絞り、無数に生み出した火炎弾を射出する。

 

「トリニティウムスフィア……インフェルノ!」

 

 まるで隕石群が降り注いでいるかのような衝撃と業火。だがそんなことなど構わず、舞い上がる煙幕を突っ切って衝突するオーブとプロキオ。刃と蹴りが交差し、豪快に火花を散らす。

 

「チッ……!」

 

「こんなものっ!」

 

 右腕のブラスターが鈍く光る。対するオーブも右手に持った刃で銃弾を打ち消していく。衝撃が腕を痺れさせる。銃弾の熱が腕に飛び散って痛いが、奥歯を強く噛み耐える。

 

 短剣を受け止め、刀身をさも丸鋸のように回転させて斬りつけるも、プロキオは怯むことなく短剣で応戦。両者の間には幾度となく火花が散っていく。武器では……と判断し、拳と拳がぶつかり合う。同時に放った蹴りは互いの脇腹を捉える。

 

「……グッ」

 

「……ヘッ」

 

 ダメージに声を漏らすオーブと、それでも尚笑うプロキオ。しかしその目だけは、はっきりと互いを睨んでいた。

 

「お前は……戦うことでしか意義を感じれない。争い合うことでしか、自分の存在を認識できない……」

 

「だからどうした!」

 

 再度突撃し、幾度目かの鍔迫り合い。そんな中でふと口にしたオーブへ、プロキオは己の持った刃に力を込めた。

 

「……どうしようもなく、悲しい生き方だなと思ってな!!」

 

 一見すれば只の少年。だけどその中身は戦闘欲に塗れた危険な存在。誰かの命を奪うことでしか立っていられない者だ。それが彼なりの生き方なのなら否定してはいけないというのもわかっている。わかっているからこそ、どうしようもないと受け入れるのが少し辛かった。

 

「オレはオレだ。オレが満足するまで、何度だって挑戦してやる。そしてオマエに勝って、また新しいヤツと戦う。ずっとそうしてきた。そして、これからもだ!」

 

「クッ……!!」

 

 鳩尾の衝撃で両者ともに後退しつつも、構えを解くことはない。辛いけど、倒さないといけないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ウルトランス グドン ウィップ》

 

 地底怪獣グドンのように右腕を鞭に変化させ、ファイブキングへ攻撃を仕掛けるビクトリー。さらに跳躍し、体を縦に回転。威力を増した一撃を浴びせる。怒りをむき出しにした奴は、レイキュバスの頭部と鋏が一体化した右腕を突き出した。冷気、火炎を同時に放たんと光が溢れ出る直前、ギンガが割り込んで右腕を蹴飛ばす。

 

「フッ!」

 

「ラアッ!」

 

 ビクトリーの膝蹴りが腹部へ、ギンガの手刀が首元へ。重い一撃を、鋭い一撃を同時に味わったファイブキングは悲鳴を上げながら胴体にあるコッヴの額から光弾を発射する。

 

「ファイブキング……やはり強敵だな」

 

「ああ。なら俺たちも、気合入れ直さないとな!」 

 

 ビクトリーの両足にあるクリスタルが輝きを増す。一方ギンガは全身のクリスタルが紫に発光。

 

「ビクトリウムスラッシュ!」

 

「ギンガスラッシュ!」

 

 回し蹴りの要領で矢じり型の光弾を撃ち込むビクトリー。そして頭部のクリスタルから、それを象った光刃を放つギンガ。

 

 光線技は左腕のガンQに吸収されてしまう。それを知っている為、一か所からではなくそれぞれ別の場所から、それでいてタイミングをズラして攻撃を放った。とはいっても吸収されてしまった攻撃もあるため、ダメージは微々たるものでしかない。しかしまだ終わりではない。ここからだ。

 

《ウルトランス サドラ シザース》

 

 岩石怪獣サドラの鋏を身に着け、連撃を浴びせる。その素早い攻撃に、ファイブキングのあちこちから火花が散っていく。屈んで攻撃を回避。そのまま左側面を取った彼は、左腕きっちりと挟む。自分1人ならやる意味のない行動。しかし後ろに仲間がいるなら話は別だ。

 

「今だヒカル!」

 

「オッケー。そんじゃあ、焼きを入れてやるぜ!」

 

 クリスタルが白く光る。ギンガは右腕から光剣”ギンガセイバー”を生成。そしてその剣を地面に突き刺す。すると地割れが起こり、足元から溶岩が噴出。下半身を、そしてコッヴの額を焼き尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セブンとガッツ星人の拳が混じる。激しくなる攻撃を防ぎ切ったセブンは即座に反撃に移行。しかし手から放った青い光線によって攻撃が中断。セブンは前転や側転で迫る光の塊を回避していく。煙が辺りを囲う中、両者の視線が衝突する。

 

「ここであなたに会うとは……!」

 

 ガッツ星人。今対峙しているウルトラセブンとは因縁浅からぬ関係と言ってもいいだろう。多くの同種がセブンと戦い、敗れた。この真紅の闘士に打ち勝つこと……それは最早一族の悲願にも等しい。

 

「フフフッ、あなたを這い蹲らせてあげましょう!!」

 

 数秒の睨み合いは終わりを告げる。互いに地を蹴り、眼光が尾を引く。先ほどよりも威力を増した攻撃の数々が交じり合う。

 

「フッ!」

 

 頬目掛けて飛んでいくガッツ星人の裏拳。しかしセブンはそれをブロック。さらにホールドし、足払いでバランスを崩してから投げ飛ばす。

 

「オオッ!?」

 

 強く全身を打ち悶えるのも一瞬。立ち上がったガッツ星人は正攻法で勝てないと感じたのだろう。そこらにある瓦礫を手に持って殴り掛かったのだ。

 

 上半身を執拗に殴られるセブンだったが、迫る攻撃を腕で捌き空いた腹部にタックル。鉄の塊がぶつかってきたような衝撃が広がり、ガッツ星人は体にため込んだ空気すべてを吐き出してしまう。

 

「ゴオッ……!?」

 

 尻餅をつくように倒れこみ、そこからまた二転三転してようやく停止する。

 

「こ、この……ふざけやがって!!」

 

 先ほどまでの丁寧な言葉を使っていた彼が消える。本性を現したのか、それとも頭に血が昇っているだけなのかは定かではない。しかし、目の前の巨人を倒すという怒りと殺意という……奴の本性が姿を見せたのは確かだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 首を掻き切ろうと迫る刃を避けるため、体を反る。そして流れるように片腕で体を支え、足を振り上げて二撃目の剣筋をズラす。さらにもう一発正面から蹴りを入れ、カミソリデマーガを後退させる。

 

《サイバーベムスターアーマー アクティブ》

 

 上半身に紫の鎧を纏い、左腕に盾を装備したエックス。尾から放つ雷撃を吸収しながら突進。そして盾を投擲。さながらフリスビーのように風を切って進む盾は、奴の肉体に当たる────

 

「■■■■■ッ!」

 

 直前に弾き返されてしまう。しかしエックスも想定済み。

 

『……ッ!』

 

 返ってきた盾を蹴り飛ばし、倍の威力で飛ばしたのだ。先程よりも回転と威力が増した紫の刃が肉体に食い込む。その肉体を切った音よりも、切られた悲鳴によって街が揺れた。

 

 鎧を解除したエックスは気合を入れ直すかのように地を叩き構えを取る。

 

 刹那、風を切って突貫。低位置から光を纏わせた拳を振り上げるエックスの顔を刃が掠める。しかし一撃を届けるために視線は逸らさない。一撃を届けるために動きは止めない。一方、刃を躱されたカミソリデマーガは頭部の角から光線を放った。至近距離で互いの力と力がぶつかる。途端、激しい閃光が辺りを真っ白に染め上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

「覚悟しろセブン!!」

 

 遂にセブンとガッツ星人の戦いは終盤に差し掛かる。攻撃を的確に避け、カウンターで腹部を蹴り上げ、追撃のドロップキックで吹き飛ばす。

 

「このぉ……我が一族の宿敵……今度こそ葬り去ってやる!」」」」

 

 一族の仇と個人的な憎悪。それらが分身していき、因縁の相手ともいえる巨人を囲い込む。しかしセブンも幾度となくこの分身宇宙人と戦ってきており、これくらいは想定内だった。

 

 頭部からアイスラッガーを投擲。分身体を隅から切り裂いていき、ついに本体を捉える。

 

「何を……!?」

 

 かつては苦戦し、敗北した相手かもしれない。しかし此方にも、数々の死線を潜り抜けてきた意地というものがある。ここで簡単に負けるつもりはないとセブンは語るようにガッツ星人を見据える。片腕をL字型に曲げ、カッター状の光弾を連続発射。

 

 エネルギー光弾"ハンディショット"が足元を捉えた。起こる爆発と砂煙でガッツ星人の視界は奪われてしまう。

 

「く、目が! 目がぁぁぁぁぁ!!」

 

 セブンはアイスラッガーを手前の空中で静止させる。そして両手を握手するように組み、そのまま腕を後ろに引いてから前に突き出すと同時にハンディショットを当てて打ち出した。アイスラッガーの威力を数倍にまで高めた技"ウルトラノック戦法"だ。

 

 数倍の威力で飛翔したアイスラッガーは、見事ガッツ星人を一刀両断する。真っ二つになった身体は、倒れると同時に大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エックス!」

 

『ああ、行くぞ大地!』

 

 カミソリデマーガに突進を仕掛けるエックス。右腕、左腕と迫り来る刃を避け、時には片腕で防ぎ、胸元に1発ぶち込む。相手が怯めばここぞとばかりに攻撃の連発。拳、手刀、そして両足蹴りで吹っ飛ばす。

 

『「そこだ!』」

 

 手の先から鏃型の光弾”Xスラッシュ”を飛ばす。火花が舞い、憤怒の叫びを上げる奴を見据え、エックスは鎧を纏う。宇宙恐竜の両腕を模した腕のアーマーには金文字で「Z」と刻まれており、胸部の発光器官を模した部分は金色に輝いた。

 

《サイバーゼットンアーマー アクティブ》

 

 体全体をバリア”ゼットンシャッター”で覆い、錐揉み回転で突き進んでいく。土を舞上げ、金色の風が全体を包み込む。

 

『「ゼットン……トルネード!』」

 

 カミソリデマーガと激しい攻防が展開されるものの、奮闘虚しくエックスは上空に逸らされてしまった。

 

「アレをやるぞエックス!」

 

『ああ!』

 

「ウゥオオオオオオオ!!」

 

 上空に飛ばされたエックスは素早く鎧を解除。力を溜めた後に両腕、両足を開き、全身からX字の爆炎を解き放つ。

 

『「アタッカー……X!』」

 

 ゼットントルネードで腕の刃が傷つき、真面に受けるわけにはいかないと判断したのか、頭部からデマーガバリオンを発射。両者の中間あたりで衝突し合い、大爆発を起こす。その炎によってエックスの姿もかき消されてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

《ウルトラマンエックス パワーアップ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 途端、虹色の光が炎を消し去った。

 

 理由は当然、エックスが形態を変えたからだ。体は黒や青の割合が増え、サイバーテイストな虹色のラインが走っている。そして彼の右手には、虹色に光る剣。困難を越え、エックスと大地の繋がりがより強くなって生まれた姿。ウルトラマンエクシードXだ。

 

「『エクシードイリュージョン!」』

 

 空に佇むエクシードXは掛け声と共に赤、青、黄、緑に分身。それぞれが虹の剣"エクスラッガー"を振り下ろす。上空からの4連撃に、カミソリデマーガはなす術なく切り裂かれる。

 

『「エクシードスラァァァァッシュ!』」

 

 さらにいくつもの残像を残し、七色の斬撃を浴びせていくエクシードX。大振りに薙いだ一撃で、カミソリデマーガの胸元から横一文字に火花が噴き出す。

 

 激昂したカミソリデマーガの反撃を予測し、バク転で距離を取り通常形態に戻る。エックス達が闘っているのは、決して眼前の存在を倒すためではない。いつか共存できるその日までの────

 

『これで決めるぞ、大地!』

 

「ああ!」

 

 ユナイトが最高潮に高まったエックスは、右腕を斜め上に振り上げて更なる動作に入ろうとする。しかし、ツルギデマーガは背中にある翼状の凶器から斬撃エネルギーを乱射してきた。

 

『「……っ!』」

 

 エックスは即座に見切って横へと跳躍。絶え間なく迫り来る斬撃エネルギーを左回転で弾き落とすと共に、予備動作を全て完了させる。それに伴ってなのか、高速で回転する全身から余分なエネルギーが放出される。

 

 そしてカミソリデマーガに照準があった一瞬、胸の前で腕をX字に組むと同時に2人は技名を叫んだ。

 

『「ザナディウム光線ッ!!』」

 

 カミソリデマーガの胸元を貫く。直後、凄まじい規模の爆発が起こるが、飛び散った小さな粒子はある一点に集まっていく。ザナディウム光線の効力によって、奴はスパークドールズへと圧縮されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺たちも負けてらんねぇな! 行くぜ、ショウ!」

 

「ああ、任せろ!」

 

 2体の巨人はそれぞれ武器を具現化する。ギンガは自身の変身アイテムであるギンガスパークが変化した槍”ギンガスパークランス”を。ビクトリーは、相棒とも呼ばれる聖獣シェパードンの上半身や背部の神秘のエネルギー結晶石ビクトリウムを模した刃が青く光る剣”シェパードンセイバー”を。

 

「■■■ー! ■、■■ーー!」

 

 ファイブキングはメルバの羽を広げ、こちらに滑空。そのまま両者とも蹴散らそうとしているのだ。頭部、そして両腕から光線をまき散らしながら迫りくる奴を見据え、ギリギリのところでそれぞれ回避。だがそれだけでは終わらず、擦れ違いざまにギンガが右側面を、ビクトリーが左側面を切り裂いた。

 

「ギンガ……!」

 

「ビクトリー……!」

 

 苦しみ悶えながらも飛翔を続けようと急上昇を始めたファイブキングへ両者は振り返り、その翼目掛け煌々と輝いた己の武器を突き出した。

 

「「アルティメイタムッ!!」

 

 刃から放たれた2つの光線は螺旋のように空へと延びていくと、見事翼を捉え激しい爆発を与える。空を駆ける手段を無くしたファイブキングは真っ逆さまに地へと墜落。しかしそれでも尚、己の本能と、ウルトラマンを倒すという命のために立ち上がる。

 

「まだまだここからだぜぇ!」

 

「オレたちの絆……見せてやる!」

 

 途端ギンガとビクトリーの身体が光り、重なり合う。2人が融合し、ギンガの姿にビクトリーの意匠が加わったような新たなウルトラマンが誕生した。その名もウルトラマン────

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ギンガビクトリー!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 悪あがきレベルの攻撃を放つファイブキングだったが、ギンガビクトリーはバリアも張らず突進。拳の激しいラッシュに、素早い足蹴りの連発。渾身の回し蹴りが頭部を捉え、奴は堪らず後退してしまう。この隙に彼らは左腕のウルトラフュージョンブレスから、力を貸してくれたウルトラマン達の技を発動させる。

 

「「ウルトラマンガイアの力よ! クァンタムストリーム!」」

 

 大地の光を借り、超高熱の光線を発射。勿論ファイブキングはガンQの目玉で吸収していく。しかし彼らはやめるどころか威力を倍増させる。極太の熱戦を吸収し続け、遂には過剰吸収で目玉が吹き飛んだ。これが彼らの狙いだったのだ。もうファイブキングには、光線を吸収する力はない。

 

「■■■■ッーー!!」

 

 左腕さえも使えなくなったファイブキングは苦痛からくる憤怒の声を上げ、レイキュバスの右腕から光線を放つ。対するギンガビクトリーも即座に、前に進み続ける光を借りる。

 

「「ウルトラマンダイナの力よ! ソルジェント光線!」」

 

 光線と光線がぶつかり合い、周りに火の手が上がる。しかし拮抗したのはほんの数秒だけ。光線を打ち消されたレイキュバスの腕も粉々に砕け散った。

 

「「ウルトラマンティガの力よ! ゼペリオン光線!」」

 

 反撃の隙は与えない。超古代の光を借り、L字に組んだ腕から白色の超高熱光線を撃ち込む。頭部が爆発し、炭のように黒くなってしまう。

 

 本来であればこれで死んでいるだろう。しかし目の前の存在は未だに身体を動かしている。それは機械的に命令を実行しているからなのか、或いは元となった怪獣たちの執念か。そのゾンビにも似たボロボロの状態で突進を仕掛けてくるが、彼らもトドメと言わんばかりにエネルギーを貯めていた。

 

 ウルトラフュージョンブレスに宿る8人のウルトラマンの力。そしてギンガとビクトリー。計10人の力を結集させた最強の必殺技を放つために。

 

「これが人間とウルトラマンの……」

 

「絆の力だ!」

 

「「ウルトラフュージョンシュート!!」」

 

 放たれた熱戦は一直線に胴体を貫く。停止したファイブキングは断末魔を上げることなく、頭から吹き飛んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「喰らえっ!」

 

 オーブスラッシャーの一太刀が、プロキオを吹き飛ばした。すると倒れ込んだ彼の隣に、デアボリックも並び立つ。

 

「復帰すんのが遅えんだよ」

 

 文句を言いつつ立ち上がれば、両者の銃口が火を吹き始める。

 

「くそっ!」

 

 弾幕を防ぐことに精一杯で動けないでいた。するとオーブと怪獣たちの間を分けるように、緑色の光線が降り注ぐ。オーブはすぐさま、その光線を放った主の名を呼んだ。

 

「セブンさん!」

 

「チッ、アイツはやられたみたいだな」

 

 セブンがオーブの隣に立つところを見て、ガッツ星人がやられたことを悟る。だが悲しむなんて状況でもないし、そもそもそんな感情など彼らには無いに等しかった。

 

「なら……」

 

 2体のウルトラマンを相手にするのは骨が折れる。なにせ1体は長年の経験がある大ベテランだ。簡単に倒せる筈もない。残りの3体も合流されると面倒だ。ならばこの状況下では2体分の力を合わせるしかあるまい。

 

「オマエには頼りたくは無かったんだが」

 

 プロキオはデアボリックの背後に回ると、背中にあるコネクタに両腕を接続。すると、奇機械怪獣の口から砲門が出現した。

 

「デアボリックキャノン……発射!!」

 

 その声とともに青白い光線がオーブたち目掛けて放たれる。街全体を振動させるほどの衝撃、音。光線が走ると、ビルや地面が飴細工のように溶けていく。

 

「がああああああ!?!!」

 

 苦悶の声をあげて地面を転がるオーブとセブン。

 

「もう1発だ。まとめて消し飛んじまえええ!!」

 

 再度砲門が青白く光り、エネルギーの塊が徐々に巨大化していく。

 

「この程度……!」

 

「消えろっ!!」

 

 2発目のデアボリックキャノンが彼らに迫る。だが立ち上がったオーブは咄嗟に虹色のバリアを張り、その攻撃を防ぐ。

 

「ううっ……! おおおっ……!! オォォっ!!!」

 

 しかしキャノンの勢いは絶大で、ジリジリと押され始めている。するとセブンがアイスラッガーを投擲し、プロキオの腕を切り裂いた。

 

 接続を失い、デアボリックキャノンは中断されてしまう。

 

「やりやがったな……!」

 

 腕を失ったとはいうものの、すぐさま再生するガピヤ星人サデスの体を使っている為、腕も即座に生えてきてしまう。「何をしても無駄だ」と口を開こうとするプロキオ。

 

 だがこれはあくまで隙を作るだけの僅かな時間稼ぎ。本筋は────

 

 

 

 

 

「次は………こっちの番だ!」

 

 

 

 

 

 前に出たオーブだったのだ。空中にVの字を描き、円で囲むと同時にエネルギーをチャージ。

 

「トリニティウムシュートォォォ!」

 

 叫びと共にオーブスラッシャーを持った右腕を突き出し、鏃型の光線を放った。

 

「ンなものッ!」

 

 プロキオとデアボリックはバリアで防ぐ。しかし想像以上の威力に押されてしまい、果てにはバリアの崩壊。2体は地面を転がる。

 

「この程度の攻撃……喰らったところで……ん?」

 

 大きな風穴の空いた胸元を再生させるプロキオ。しかし、その再生がどうもスムーズにいかない。治り、崩れ、また治る。そこから先、再生しても穴が塞がるだけ。焼け焦げている胸元はそのまま。

 

「この体も……もうガタが来てるってことか……」

 

 この姿は本来の肉体ではない。他人の体を借りて、その力を使い続ける。本来異なる体と心を無理矢理結び付け無理に稼働させれば、いつかは綻びが生まれる。そのタイミングが今だっただけだ。

 

「ならもう一度デアボリックキャノンを使って……」

 

 再生が不完全ならば、ここで一気にウルトラマン達を倒してしまえばいいだけのこと。その後の処理はどうとでもなる。プロキオはそう判断して背中に再度接続。デアボリックが崩壊しかけるまでエネルギーを貯める。今度はさっき以上の力で、塵一つ残さず焼き尽くす為にだ。

 

「させるか……うおっ!?」

 

 向こうも技を発動させてくれる暇は与えてくれなかった。真正面、そして頭上から迫る攻撃が絶え間なく撃ち込まれる。極最小限、それでいて連続的な攻撃で、キャノン発射までの時間を稼いでいるのだ。

 

「オーブ、ここは我々が守る。その間に君は、君の持てる力のすべてを奴にぶつけろ!」

 

「わかりました!」

 

 周りにサイバーメカニックな模様と光が浮かび上がり、オーブが振りかぶると虹色の光が後を追う。そしてオーブの頭上を起点に七色の光が集まっていく。

 

 しかしオーブよりコンマ数秒、プロキオたちの方が早かった。

 

「最強、最大のデアボリックキャノン……発射だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 体に蓄えられるエネルギーすべてを変換したデアボリックキャノン。そして備えられた武装をすべて解き放つフルバースト。それは先のデアボリックキャノンの比ではなく、光線の縦幅は簡単にウルトラマンの巨体を飲み込んでしまう。例え掠っただけでも肉体を持っていかれるだろう。実弾と光線の網……そのすべては未だ力を貯めるオーブを跡形もなく消し飛ばすためのもの。誰が見ても、オーブが負けると確信を持ててしまう程の一撃。

 

 

 

 ─────だが

 

 

 

「「ウルトラマンマックスの力よ! マクシウムカノン!」」

 

「ベータスパークブラスター!」

 

 ギンガビクトリー、そしてウルトラマンとティガの力を宿す金色の鎧”ベータスパークアーマー”を纏ったエックスが駆けつける。逆L字に組んだ腕から放つ光芒、ベータスパークソードの剣先から放つ光束でデアボリックキャノンを押し留める。さらにL字に組んだ腕から放つセブン最大の必殺技”ワイドショット”も加わる。

 

「「この攻撃は俺/オレたちが止める!」」

 

『だから一眞君……』

 

「君が倒すんだ!」

 

「今こそ絆の力を使う時だ! 行け、ウルトラマンオーブ!!」

 

 ぶつかり合う光の爆発を見る。覚悟を決め、足に……そして腕に力を入れる。自分を信じくれる彼らに応えるため。そして視線の先にいる存在を討つため。なによりも彼女たちの平和を守るために。

 

(皆さんが繋いでくれたこの一撃……無駄にはしない……!!)

 

 光は刃となり、その場で回転を始める。前方の眩い光で既に照らされていたオーブを虹色に染め上げるほどの圧倒的な光量。エネルギーの凝縮された刃の近くにいるオーブへ熱が伝わる。しかしそれはとても暖かなもの。目の前の焼き尽くすだけのものとは訳が違う。

 

 「撃てる」と直感が告げる。デアボリックキャノンの光の……その先を見据え、オーブははち切れんばかりの声とともに光輪を放った。

 

 

 

「─────トリニティウム……光ォォォォォ輪!!」

 

 

 

 皆の想いを表しているかのような虹色の刃は、限界出力で撃ち出したデアボリックキャノンと衝突。だが拮抗するどころか、まるで柔らかい豆腐でも切っているかのように裂いていく。高速回転した刃は土を舞い上げ、風を切って疾走。勢いは衰えることなく、軌道もぶれることなく一直線に突き進む。そして……遂に両者を一刀両断。

 

「ああ……クソっ……ここまでか……けどまあ、楽しかったぜ……オーブ……」

 

 最期だと言うのに、満足気に言葉を残し倒れたプロキオ。その背後で光が空を駆け抜けていく。ガピヤ星人の体のプロキオ、そしてデアボリックは共に大爆発で消滅していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~

 

 全ての戦いが終わったのは日が沈み、星々の煌めきが見え始めた頃だった。戦士たちの周りにある瓦礫の山が、先程までの激戦を物語っている。

 

「皆さん……本当にありがとうございました」

 

 セブンやエックス、ギンガ、ビクトリーに向かい頭を下げるオーブオリジン。体の節々に激痛が走り、疲労が感覚を鈍くしているが、それよりも戦いを終えたことへの安心感の方が胸中に溢れている。勿論、力を貸してくれた先輩方への感謝の気持ちも。

 

「人々の信頼と絆が、我々に1番大きな力を与えてくれる。それこそが、光の力なんだ」

 

 長年戦い続けるセブンの言葉が心に染み渡っていく。それは仲間と共に戦い、助け、助けられた多くの経験があるセブンだからこそだろう。

 

「俺たちはこの星空の下で繋がってる」

 

「別の世界、異なった存在でもな」

 

 空の下で繋がってる。異なる存在でも、異なる場所でも。それは互いに違う種族でありながらも共に生きている彼らだからこそ言えるのだろう。

 

 オーブは先程の言葉を自分に染み込ませるように、首を縦に振る。

 

「そう言えば、ギンガとビクトリーは何故ここに?」

 

 大地は問う。確かに戦いの最中で考える暇もなかったが、数多くある多次元宇宙の中でここに来るというのはただ事ではない。宇宙人を追ってだとか、オーブ(一眞)のことを知っている者から聞いただとか、それくらいの理由がなければここには来られないだろう。しかしこの2人はどちらでもない。

 

「オレたちは光に導かれたんだ」

 

「光に?」

 

「ああ。俺たちの前に現れた光を追ってきたら、この場所に来たんだ。最初はよくわからなかったが、あの姿を見て理由がわかったぜ。オーブ、あんたの使ってた力が俺たちをここに呼んだんだ」

 

「俺の使ってた力が……ですか?」

 

 オーブトリニティの姿を見て理解したというのなら、おそらくギンガとビクトリーのカードが読んだということだろう。しかし、それでも何故2人を呼んだのかまではわからないとオーブが首を傾げていると、ギンガがその理由を推測してくれた。

 

「最後まで諦めなかったお前の意思に、カードが応えてくれたんだろうな」

 

 実際のところそれが本当かどうかなんて調べる術はない。確証はない。でも、そう信じてやるべきだとギンガは笑っているように見えた。

 

「その心……忘れるなよ」

 

「……っ、はい!」

 

 ビクトリーに頷く。オーブの背中を押すような力強い表情が、ビクトリーからは見えた気がした。

 

「ああー! ちょっと待って〜!!」

 

 すると、小さくともよく響く声が聞こえてきた。オーブ達が顔を向ければ、ジュラルミンケースを抱え走ってくるAqoursの姿が。

 

「大地さんとエックスさんの探し物ーー!!」

 

 笑顔でこちらを見てくる様に、緊張の糸が解けていくのを感じる。巨人が5体もいるのに恐れずグイグイ来るというのは鈍いのか、それとも勇気があるのか……。しかしそれが如何にも彼女たちらしくもあり、そんな当たり前のものを守れたのだと実感させてくれる。

 

「ありがとう。みんなのお陰で、スパークドールズ達を取り戻すことができた」

 

 ケースは光の球体に包み込まれ、エックスの掌の上に乗る。

 

『ああ。それに君たちも、最高のユナイトだった』

 

 エックスの称賛に答えるように、そして脅威から救ってくれたことを言葉にして音に乗せるために、精一杯の声で想いを伝える

 

 

 

「─────ありがとーーー!! ウルトラマン!!!」

 

 

 

 並び立った戦士たちは、星々の輝く海へと消えていく。まるで流星のような光がいつまでも、いつまでも夜の空を彩っていた。

 




これにて2.5章はお終いです。え、終わりが唐突だって?確かにそうかもしれませんが、あまり書きすぎるのもね……。

今回の戦闘は「これやりたい」と個人的に望むオリジナル要素をたくさん入れました。「オーブトリニティは3人の力が使えるんだろ?ならいけるやろ……」とウルトランスやモンスアーマーを着けさせてもらいました。

さらにエクシードXとギンガビクトリーを登場させたのも個人的にやりたかったからです。けれどそうなってしまうとベータスパークアーマーも出したくなる欲まみれの作者……。ほんの少しだけの登場になってしまったのは反省点です。

セブンについては「力強く」ってところを意識しましたが、上手く書けているかは首を傾げてしまいますかね……でも書けて良かった。

知らぬうちに一年経ってしまいましたが、次回からはついに終盤。まだまだ付き合ってくれると嬉しいです。ではまた次回にお会いしましょう!
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