サブタイにある通り、Aqoursが故郷(日本)を飛び出します。
まずは前回の戦闘の続きからです。
2枚の白刃がギャラクトロンシャフトを切断。それに伴い、拘束されていたオーブも地面に落下する。
「な……!?」
「どういうこと……?」
乱入ともいえるその出来事に、誰もが言葉を失う。
「あっ!? 空が……!?」
誰の声だったか……なんてことは重要じゃない。そんなことよりも、上空で起こっている奇妙な現象に彼女たちは意識を向けていた。
未だ回転の衰えない刃は、青空にくっきりと開いた大きな穴へ吸いこまれていく。いや、戻っていったと表現した方がいい。そして穴の中で輝く小さな光が突進。近づいてきた青い輝きは、徐々に真っ赤な炎へと形を変える。
「ウォォォォッラア!!」
炎に包まれた右足がギャラクトロンを後方へ吹き飛ばす。頭部へ2つの刃を戻して、土煙を上げながら着地したのはオーブと同じ巨人。
彼は赤と青の体を持ち、上半身に纏った銀の鎧が太陽に反射して煌いていた。
「待たせたな」
銀の鎧は金色の光となり、腕輪となって左腕に装着。
プロテクターや額のビームランプ、悪しきものを逃がさんとする鋭い目は、以前に出会ったウルトラセブンを思い出させる。いや、オーブは既に彼を知っている。本人ではなく、カードとして……。
「あ、あなたは……ウルトラマンゼロさん!?」
「ヘヘッ……よっ。話はタイガから聞いてるぜオーブ」
オーブの胸を軽く叩くゼロ。
彼の反応や言葉から、”見た目は同じだけど中身は別人”といった事情を理解しているようだ。ゼロの言うように、一番最初に接触したウルトラマンタイガから聞いたらしい。
「っと……今はコイツを倒すことに集中だ。行くぜ!」
「はい!」
並び立った2大ウルトラマンは即座に構え、ギャラクトロンへ突進。
「ブラックホールが吹き荒れるぜ!!」
右腕から放たれる光線を掻い潜り、正に自分こそが正義だと言わんばかりの白い体に刃と拳を撃ち当てる。即座に迫ってきた反撃をオーブカリバーで防げば、その腕をゼロが蹴り飛ばす。
「……ッ!」
「オラアアアッ!」
炎の軌跡を残すまわし蹴りと、青い光の剣筋が交わる。攻撃が直撃し、右腕に展開された砲門が折れて吹き飛んでいく。
「■■■ッーー!」
右腕武装の欠損を確認すると、左腕のブレードを展開し襲い掛る。しかし”ギャラクトロンブレード”もエメラルド色の閃光に弾かれ、幾銭もの斬撃で追い込まれていく。頭部の宇宙ブーメラン”ゼロスラッガー”を両手に持ったゼロの攻撃だ。
「エメリウムスラッシュ!」
一時的に距離をとったゼロの額から青緑色の線が伸びる。バリアの展開に遅れたのか、ギャラクトロンの頭部に命中し小規模の爆発が起こる。
「行け、オーブ!」
ゼロの呼び声と共にオーブは姿を変える。
「闇を包め、光の嵐!」
上半身がウルトラマンベリアル、下半身がウルトラマンアグルのような色合いとなり、胸元にはアグルのプロテクター。そして頭部はベリアルやアグルのような鋭い瞳。特徴的な腕や脚のヒレ状のパーツや背中の背鰭のような尖ったパーツなど、どこか海洋生物を思わせてくれる姿……。ウルトラマンオーブ サンダーストリームへとフュージョンアップしたのだ。
そして手に持った棍棒と三又槍が一体化したような武器”ギガトライデント”を振るう姿は、まさしく神話世界の海神のようだった。
「ハアアアアアッ!!」
槍を振り、切っ先を突き立てる。さらに槍を支えに蹴りを繰り出す。ギャラクトロンはなす術無く、まるで大荒れの嵐のような猛攻を受け続けた。
「喰らえ!」
渾身の突き技でギャラクトロンを地面に倒れさせるも、ヤツは空へと浮かび上がる。既に中心のコアは光り輝いていることから、最大の技”ギャラクトロンスパーク”を撃ちだそうとしていることは明白だった。
「させるかよ!」
するとゼロはゼロスラッガーを合体させ、半月型の剣”ゼロツインソード”とする。そして刃にエネルギーを貯めこむと同時に飛び立つ。
「ッ……ラアアア!」
エメラルド色の軌跡を描きつつ、すれ違いざまに一閃。ギャラクトロンの腹部から火花が漏れ出した。チャンスだと見たオーブも、ギガトライデントの先端から水流状の光線を撃ちだす。
「サンダーストリームネプチューン!」
撃墜され、地上へと落下。だがこちらの勢いは止まらない。ギガトライデントの反対側、かつてベリアルの持っていたギガバトルナイザーを彷彿とさせる面から赤い稲妻を放つ。
「サンダーストリームトリトン……!」
その様を見ていたゼロも、ゼロスラッガーをカラータイマーの両側に装着。ゼロスラッガーのエネルギーを光線に転化させ、ギャラクトロンに照射した。
「ゼロツインシュートッ!」
オーブもトドメにと、体中のエネルギーを先端の刃の部分に集約。赤と青の稲妻を纏いながら、三日月型の刃でギャラクトロンを薙ぐ。
「サンダーストリーム……ポセイドン!!」
海神の怒りの如く放たれる技の嵐の前に、ギャラクトロンはその身を爆発させるのだった。
~~
「さっきはありがとうございました」
戦闘を終え、一眞は目の前にいる青年に頭を下げる。キリっとした目つきで、見た目は彼よりちょっと年上の男性に。
「おう。だが、喜んでもいられねえぜ。アレは先兵……といったところだろうからな」
先ほどとまったく同じ声が青年から聞こえてきた。それもその筈。ゼロが人間に擬態した姿こそが目の前の男なのだから。
危機を脱し平和が訪れたものの、ゼロの表情は未だに厳しかった。
「先兵……ですか?」
ギャラクトロンだけでも脅威となるのに、それが先兵でしかないというのは信じ難い。しかしゼロは嘘を言っているようには見えない。
「ああ。この件には黒幕がいる」
そして一眞へと問う。内容は最近彼が対峙した怪獣たちの……出現の仕方だ。
「お前が最近戦った怪獣、突然現れるだろ? 地面から這い出てくることも、空から降ってくることもなく……まるで幽霊のように」
ゼロの問いに、一眞は目を丸くしながらも首を縦に振った。
「どうして……わかるんですか?」
「オレは以前、その黒幕と戦ったことがある」
彼が語るに、その名は”亡霊魔導士レイバトス”亡霊魔導士という名の通り、怪獣を蘇らすことのできる宇宙人。そして─────
「レイブラッド星人の血を受け継ぐ、レイオニクスだ」
かつて宇宙に君臨し、全知全能を自称するほどに強大な力を持った存在レイブラッド。彼は自らの遺伝子を宇宙にばら撒いた。理由は後継者を選ぶためだ。そしてその遺伝子を受け継ぐものはレイオニクスと呼ばれる。
「れいぶらっど……? れいおにくす……?」
初めての情報に一眞は理解が追い付かないようで、言葉を繰り返すのみにとどまっている。
「え~と、まあ……レイオニクスって言葉だけ覚えておけ。んでレイオニクスってのは所謂怪獣使いだ」
さすがに情報を出しすぎたかと思ったゼロは要点だけを説明する。
レイバトスは怪獣使いであり、何かを企んでいること。そのために必要になるであろうギガバトルナイザーをゼロの住む宇宙から盗み出したこと。そしてゼロはそれを阻止するため、邪気を追ってきたらここに辿りついたことを。
「それでここに……」
「ああ。アイツは何かよからぬことを考えている。おそらく、この星に関係するものだ。けどそれが何なのか……まったく見当がつかねえ」
亡霊魔導士レイバトス。この世界からすれば影もつかめない未知の存在。そんな者が何かを企んでいるとなればすぐさま動かなければいけないが……。
(レイバトスと鞠莉さんたちの捜索か……)
先の千歌と同じくどちらを選ぶべきなのかと迷う。平和を守るためであれば前者を取るのが当たり前だ。しかし、この星に生きる暁一眞としては後者の方だって大切なのだ。
「なんだかよくわからねえが、お前にもお前なりの事情があるっぽいな。なら、レイバトスの捜索はオレがやっておく。何かわかったら連絡するぜ」
「え、そんな……俺も行きます」
「馬鹿。そんな思い詰めた顔されたままじゃ、こっちも調子が狂うってもんだ。お前も仲間と何かすることがあるんだろ? 最初はそっちを片付けろ。いいな」
そう語るゼロの視線は、一眞よりもはるか遠くの方を見据えているようだ。一眞が振り返ると、こちらに走ってくる千歌たちの姿がある。それで察したのだろう。
「じゃあ、また後で会おうぜ。暁一眞」
それだけ言い残し、ゼロは去って行ってしまった。
「ありがとうございます。ゼロさん」
小さくなっていく背中に向かって、一眞はそう投げかけたのだった。
~~
しかし2人の再会は意外な場所で、それでいて案外早くに果たすことになった。
「なんで……」
「なんで……」
「「なんでお前(あなた)がいるんだよ!(いるんですか!?)」」
人々の賑わう声が騒がしくも心地よい。青い空がどこまでも広がり、日本とは違た石造りの街並み。街中を通る水路はまさしく水の都と言われているのも納得だ。
3年生を探しに来たAqoursや一眞、月はイタリアのヴェネツィアへと来ていた。しかしそこで一眞はなんと、レイバトスを捜索中のゼロ(人間態)と会ったのだった。
「俺は仲間とやることがあるからです。ゼロさんが言ったんですよ?」
「オレはアイツ特有の邪気を追ってきたんだ。そしたらなんだかオレと近しい気配がするもんだからよ……」
目的は違えど、数日経たずして再開してしまったのだ。気まずいというか、あんなこと言って言われて即合流だなんて恥ずかしい……という気持ちが渦巻いているのだ。
「カズくん、もう現地の人と知り合いに!?」
「早くない!?」
「ははははっ、ううん、そうじゃないよ」
異国の地にはしゃいでいた6人が集まってくる。
ここで幸い……というのはあまり良い表現とは言えないが、月は席を外している。であれば今事情を話しても問題ないだろう。
「オレは諸星────「彼はウルトラマンゼロさん」オイッ、言っちゃマズいでしょうが!? ええ、堂々とバラしてくスタイル……?」
「大丈夫ですよ。みんな俺の正体も知ってますし、ヒカリさんや大地さんとも会ってますから」
「ああ、ソユコトネ……。てっきり一眞に化けてる宇宙人かと思ったぜ」
いきなりの暴露にゼロは取り乱してしまったようだが、彼女たちもあらゆるウルトラマンと交流していることを知ると落ち着きを取り戻す。
一眞は自分で話していて、彼女たちはウルトラマンと出会いすぎなのでは……と思わなくもなかった。
「改めて、オレはウルトラマンゼロ。つっても名前だけじゃわかんねえよな……。あ~と、オーブとともにギャラクトロンを倒したのがオレだ」
「ってことです」
「あの白銀の天使があなた……ということね。クククッ……」
善子の発言に、ゼロは不思議なものを見たかのような何とも言えない表情をしていた。
「善子ちゃんのことはおいとくずら」
「えっと、ゼロさんは……何をしにここへ来たんですか?」
ルビィはゼロに向かって訪ねる。ウルトラ戦士が理由もなく、ここに来るわけがないと知っているからだ。
「ちょいと悪い宇宙人がいてな。ソイツの退治だ。なに、お前らの旅行が台無しになるほどデカいもんじゃないから安心しろ」
レイバトスは”ちょいと”に収まるほど小さな規模ではない。しかし、ゼロは彼女たちを不安にさせないために嘘を吐いたのだ。
(オレに話合わせとけ)
「そう。なんか……いろんな星で海賊行為を働いてるヤツらしいんだ」
「そ、そんなとこだ。そいつを探すためにオーブと知り合ったってわけさ」
テレパシーで言われた通り、一眞は話を合わせようと居もしない宇宙人を作り上げて話をでっち上げた。……が、ゼロの反応が「なんでそんなピンポイントを突いてくるの!?」的な反応をしたような気がして、一眞は困惑していた。
「お待たせ~って……あれ、あなたは?」
すると月が戻ってきた。自分がいない間に、知らない男が輪の中に加わっていれば気になるというもの。月は早速ゼロに尋ねる。
「ああ、オレはゼ────「この人は諸星さん!」ええっ!?」
今度はゼロだと正直に言おうとしたが、また一眞に阻まれてしまった。
偽名を使おうとしたら正体をバラされ、今度は正体を明かそうとしたら偽名でごまかされる。ゼロの取ろうとする動きは悉く合わないのだった。
「俺の知り合いなんだけど、まさかイタリアで旅行中だとは思わなくてさ~」
「そうなんだ。僕は渡辺月。よーろしくー!」
「お、おう……よろしくな」
互いに自己紹介が済んだところで、ここへ来た本来の目的(ゼロを除く)を果たすべく行動を開始した。
「ルビィちゃん、ダイヤさんとの連絡は?」
「お姉ちゃんからは何も」
ダイヤの妹であるルビィが何故彼女たちの行方を知らないのか。それは3人だけの時間を邪魔したくなかったという彼女の優しさからだった。
しかし行方不明となれば話は別だ。飛行機内でダイヤ宛てにメッセージを送ったのだが、今のところ返信はない。
「2人からも連絡はない……というか……」
「私たちも行くよって送った時に届いた写真だけなんだよね」
そう言って千歌は携帯を取り出し、送られてきた写真を見せる。
水路を橋から撮影したものだろう。とはいっても、いったい何処で撮られたものなのかまではわからない。
「取り合えずそこまで行ってみるしかないんだけど……」
「場所がわからねえってことか?」
「そうなんです」
「なら、このヨハ────「そこ、すぐ近くだよ!」
善子の声を遮って飛んできた声。その主は月だ。そこにあるのかを知っているし、なんならここからすぐ近くというのは嬉しい情報だ。
「知ってるの?」
「月ちゃん、小さいころイタリアに住んでたから詳しいんだよ」
であれば、月の案内に従って目的地まで行った方が安全に、そして早く着くだろう。
「ガイド役だね。わからないことがあったら何でも聞いてよ。レッツヨーソロー!」
月を先頭に、写真の場所まで進み始める一行。その中で一眞はゼロへ、これまでの出来事や彼女たちのことを話すのだった。
~~
「へえ、スクールアイドルか。オレが見てきた地球じゃ、そういった文化はなかったな」
「そうなんですか?」
「ああ。まだまだいろんな可能性が多次元宇宙には存在するってことだな」
「ですね」
ゼロはあらゆる次元を行き来し、平行世界の地球に立ち寄ったことがあるという。しかし彼の見てきた地球には、学校でアイドル活動を行うという文化はどこにもなかったそうだ。
一眞もゼロからあらゆる話を聞いた。ギンガやビクトリー、エックスといった平行世界で出会ったウルトラマンの話は勿論のこと、自分ではないオーブの存在。一眞もお世話になっているウルトラマンベリアルの事。さらにはその息子ともいえる人物が、自分の運命を変えたという事。兄弟ウルトラマンは、オーブと力の発祥地が同じだということなど……壮大すぎて脳が追い付いていないというのが正直なところだった。
「どこ行っても川がある~」
一方、千歌たちは街の光景に思わず見入っていた。日本では見られる光景ではないし、街のあらゆるところに水が通っている様が幻想的だったということもある。
「街中に水路が張り巡らされてるからね。逆に車は通れないんだ」
だからここでは主にヴァポレットと呼ばれる水上バスやゴンドラで移動すると、月は話してくれた。
「国ごとに色んな姿があるんだなぁ」
途中から一眞も、街の様子に目を輝かせていた。何せ肉眼では初めて見るものばかりだからだ。
「ここだよ!」
目的地に着いたようで、皆は脚を止める。ルビィが何か怯え花丸に抱き着いている姿もあるが、これについては何も聞かない方がいいかもしれない。
「ほんとだ……」
写真を見比べれば時間帯による光の差し方などに違いはあるものの、建物の配置などは全く同じだ。撮影された場所は間違いなくここだろう。
「確かにここね」
「ここってのはわかったけどさ、次はどうするんだ?」
「そうよね……」
写真の場所まで来たが、鞠莉たちがいるわけではない。ここからどうしたものかと頭を悩ませ始めた瞬間、遠くの方に設置された公衆電話のベルが鳴りだした。
「電話……鳴ってますね」
「一眞、行って来いよ」
「ここはゼ……諸星さんが取ってきてくださいよ」
「嫌だよ。一眞が行ってこい」
そんな醜い男2人の押し付け合いを無視し、月が駆け出していく。そのまま迷いなく受話器を耳に当て、彼女が呟いたのは……。
「ボーヴォロ……」
「ぼーぼろ?」
聞き慣れない単語が聞こえ、思わずそのまま返してしまう。
「コンタリーニ・デル・ボーヴォロだって!」
それが次に指定された目的地だということを、月の笑顔が物語っていた。
お待たせしました。ウルトラマンゼロ参戦です。今回の戦闘を書いている時はいつものBGMが頭の中で鳴りっぱなしでした。
そしてサンダーストリームの登場。必殺技はフュージョンファイトと超全集に記載されていたものを使いました。想像して描くしかないということで、ベリアルが使った技……というかジードウルティメイトファイナルの技を元にして書きました。(アグル要素どことは聞いてはいけない)
そしてイタリアにてゼロと再合流。計9人で巡ることになりました。ゼロはギャグもいけるので書いてて楽しかったですね。
最後にこれは自分の我儘なんですが、ゼロを含めこれまで出したウルトラマンは一部を除き本人ですみたいなことを言ってましたが、全員平行世界の住人ということにさせてください。テレビや映画の展開と限りなく近い道筋を辿った世界の住人ということで何卒……。