昨日からの怒涛の情報量に殴られてます。
「行くぞ一眞!」
「はい!」
ゼロは左腕を突き出してブレスレットから眼鏡型アイテム”ウルトラゼロアイ”を取り出す。目元に装着するゼロと、カリバーを掲げた一眞。途端、光が両者を包み込みその体を超人へと変えていく。否、元の姿へと戻していく。
強烈な光が宙で爆ぜ、海上に降り立つ2大ウルトラマン。衝撃により巨大な水柱が立ち昇る。
「地上には上がらせるなよ」
「わかってます」
「オッケー、んじゃあ行くぜ!」
上陸されてしまえば街の被害は甚大なものとなるだろう。ライブだってすることが叶わなくなる。ここが異国の地であってもやることは変わらない。大切なものを守るために、構えを取った両者は走り出す。彼らが走り出したと同時に、怪獣たちも進撃を開始したのだった。
「ハアッ!」
オーブカリバーの横薙ぎがラゴラスの胸部を捉え、柄頭の衝撃が超パズズを後退させる。側面から迫ってきたラゴラスの反撃を防ぎつつ蹴りを横腹に入れ、裏拳がもう1体の顔面にヒットする。
「オォォ……ラアア!」
キングジョーカスタムとゼロがぶつかり合い、大きな衝撃が空気を揺らす。肘打ちや掌底打ちを組み合わせながら攻め立てていくゼロ。そして豪炎を纏った脚部が頭部のフレームを歪ませた。
「今だ!」
ゼロが屈み、オーブは飛び越えるようにして金色の機体に蹴りをかます。背中合わせになり、聖剣の一撃が超パズズの元でスパーク。二刀の閃光がラゴラスに走る。
「ゼロさん」
「応っ!」
オーブは両腕、片足の三点を使ってゼロを投げる。渾身の力で投げ出され突き進んでいった彼の巨体が、超パズズに覆いかぶさる。
即座にとった連携技で不安があったものの上手くいったようだ。しかし安心することはできない。馬乗りになったゼロの追撃を阻止するかの如く、キングジョーカスタムの特徴ともいえる右腕の大口径ライフル”ペダニウムランチャー”の砲撃が炸裂する。
「ンの野郎……!」
海上を転がってしまったゼロは即座に起き上がりつつ、ゼロスラッガーを投擲────
────するも、4機に分離され躱されてしまった。
「……チッ」
さらにその4機の状態でゼロを追い詰めんと、翻弄しながら砲撃を繰り返していく。的が常時動いている上に、ランチャーの連発が狙いをつけることを、近付くことを許してくれない。
「クソ……オーブ、そっちの2体は頼む!」
「はい!」
乱戦だった先までの状況が一変。
意図せずしてゼロとオーブを離したように見えるがそれは違う。戦況を鑑みて戦力の分断を図ってきたのだ。ここまで統率がとれているのは、どこかで見てるであろう亡霊魔導士の仕業に間違いない。怪獣と戦いながら、2人はレイバトスに怒りを燃やすのだった。
「■■……」
自身の攻撃が一向に当たらず、攻撃を貰うだけの現状に憤慨したのだろうか、超パズズは頭部に生えた角の形状を変化させた。まるで”∞”ともいえる形をとってから、絶え間ない雷の雨を降らせてきた。
再度カリバーで防ごうと試みる。しかし無作為に落ちてくるため場所の予想などできるはずもなかった。つまるところ1、2発を防ぐのが限界で、遂にオーブは被弾してしまう。さらにラゴラスの口から放たれた冷凍光線に左足が被弾。足が氷塊に包まれる。
「やってくれる……」
身動きが取れなくなったところに超パズズの足蹴り。宙を舞ったオーブは、巨大な水飛沫を上げながら倒れ込んでしま────
────う寸前、オリジウムソーサーを2体に向けて投擲。一瞬の隙に体制を立て直し、空へ飛び立つ。彼のいた場所には雷と冷凍光線が撃ち込まれる。
「こっちだ!」
両方とも空を見上げるが、逆光によってよく見えていないだろう。青い光線や雷が彼を叩き落とさんと放たれ始めるが、シルエットにも見えるオーブには一切当たらない。
網のような光の中で、オーブは最大の一撃をラゴラスに向けて撃ち込んだ。
「オーブスプリームカリバァァァァ!」
空から落ちてくる虹色の柱を前にしたラゴラスは、成す術なく爆発した。
目の前で黒い煙が消えていく。しかしそんな光景には目もくれず、超パズズは攻撃の手を緩めない。攻撃対象であるオーブは空中でナイトリキデイターへフュージョンアップ。迫る雷を相殺しながら落下していく。
「クラッシャーナイトリキデイター」
空中で巻き起こる爆発と煙を突っ切って、二刀の光剣を交差させてから振り抜いた。凄まじい音を立てながら頭部の角が切断。無論、超パズズは憤怒に満ちた目をオーブに向けて猛攻を加えてきた。だがそのどれもがオーブには当たらない。蹴りの連撃で怯ませた隙に背後へ回った彼は尻尾を掴み、ジャイアントスイングで勢いをつけてから投げ飛ばす。
「これで……終わりだ」
両手にエネルギーを集めて生成した波動弾を放つ。もろに受けた超パズズは爆発で粉々に砕けてしまった。
「いい加減にしやがれ……おわっ!?」
瞬間、キングジョーカスタムの拳に顔面を捉えられ吹き飛ばされる。足に力を入れ、なんとか転倒せずに済むものの、強烈な痛みが熱とともに伝わってくる。口元を拭い、殴り掛かるゼロ。しかしまたしても分離を駆使して躱される。縫うように背後へ移動し、ヒト型となりゼロを押し倒す。馬乗りになったキングジョーはゼロを一方的に殴りまくる。
「がああああ……」
機械特有の馬力にはさすがのゼロも抵抗できず、攻撃を受け続けることしかできない。
「ハアアアア!」
その時、遠方から突進してきたナイトリキデイター。彼の不意打ちがキングジョーを突き飛ばし、ゼロを救い出したのだった。
「大丈夫ですか、ゼロさん」
「ああ、なんとかな。こっから反撃行くぞ!」
ゼロの声と共に走り出す。すると両者の体から迸るのは真っ赤な炎。オーブはバーンマイトへ、ゼロはダイナストロングタイプとコスモスコロナモードの力を受け継いだ形態。前に進む力……”ストロングコロナゼロ”へとモードチェンジした。
「紅に……」
「燃えるぜ!」
赤と銀の体に金色のゼロスラッガーを装備したその姿で、キングジョーカスタムの胴体を打ち砕かんと拳を振るう。
彼とスイッチしたオーブも拳のラッシュで反撃の暇を与えない。
「「ハアアアアアア……」」
真っ赤に燃え盛った拳を両者が同時に打ち出せば、たちまちキングジョーは後方へ吹き飛んでいった。
このままトドメに入ろうとするが、ここで新たな乱入者が。なんと黒い影が空から追加で降り注いできたのだ。
天から降りた影は4つ。その内の2つは互いに交ざり合い、新たな肉体を形成する。
ゼットンバルタン星人
「また面倒な奴らを」
数多のウルトラ戦士を苦しめてきた怪獣と、それらを融合させた存在。このことからもレイバトスはこちらを本気で殺しに来ていることは確実だ。
ゼットンとバルタン星人を融合させた容姿を持つゼットンバルタン星人はテレポートでゼロを翻弄。背後に回り火球を放つ。しかしゼロも負けていない。長年の戦闘で培われた感覚が働き、振り返ると同時に炎を纏った拳で叩き落す。
「次から次に……!」
今度はオーブを分身で惑わす方向にシフト。囲まれた中心で立ち止まるオーブだったが、ゼロが横薙ぎに放った灼熱の熱戦が分身体を消滅させつつヤツを地に伏せさせた。
助かったところだがまだまだ攻撃は終わらない。飛び回るベムスターとバードンが2人に襲いかかる。
「バードンの嘴には気をつけろ。一発でも当たったたら毒が回るぞ!」
「……ッ!?」
ベムスターと対峙するゼロの注意を元に、体を突こうと飛翔するバードンを冷静に捌いていく。そしてカウンターで打った拳が頭部に直撃。しばらくは意識が朦朧として動くことはできまい。
「今のうちに!」
ベムスターを払いのけ、オーブと共にゼットンバルタン星人を攻めていく。
「ストビュームバースト!」
「ガルネイト……バスタァァァァ!」
巨大な火球を、ゼロの右腕から放たれた猛火が後ろから押してブースト。灼熱のインパクトに耐えきれなかった合体怪獣は灰燼と化してしまった。
「次はテメェだ! ウルトラハリケーン!!」
砲撃の雨を潜り抜け、機械仕掛けの体を高々と投げ飛ばす。名前の如く巨大な竜巻は、キングジョーカスタムと共に海水をも巻き上げる。
ハリケーンスラッシュに姿を変えたオーブも、迫るベムスターを踏み台にして空へ上がる。
「ミラクルゼロスラッガー!」
濃淡が僅かに異なる青い体へとモードチェンジしたゼロ。コスモスルナモードとダイナミラクルタイプの力を併せ持つ守り抜く力……”ルナミラクルゼロ”となり、無数に分裂したゼロスラッガーを投擲する。
強靭なボディには通用しないが、それでも弱点は確かに存在する。人が着る鎧と同じように曲げる動作が必要になってくる部分……関節部だ。
「トライデントスラッシュ!」
素早く、それでいて的確に切り裂いていく刃の群れ。そしてオーブスラッガーランスの斬撃。斬られ続けたヤツの体からは火花が散り始めた。
「光を超えて……!」
「闇を斬る!」
オーブの袈裟斬り、槍状の武器”ウルトラゼロランス”を手にしたゼロの逆袈裟斬りによってキングジョーカスタムは空中で爆発を起こすのだった。
残るは2体。着地とほぼ同時に走り出したそれは、もはや海を滑っているようだった。
「レボリウムスマッシュ!」
ベムスターに右掌を当て、衝撃波を放って吹き飛ばす。
「くっ……重い……」
バードンと対峙するオーブは嘴をランスで防ぐが、刺し込んで来ようとする力が強く、接触するギリギリの距離となってしまう。
「エメリウムスラッシュ!」
しかしそこへ通常形態へ戻ったゼロの光線が。なんと彼はゼロスラッガーを投擲、さらにそこへ命中させて反射、軌道を変えてある1点を狙い撃つというなんとも器用な芸当でオーブを援護した。
ゼロが当てたのはバードンの嘴の横にある袋。そこが毒腺であり、基部の血管を破壊する事で自身の毒が体内に逆流するというものであるからだった。血管を破壊されたバードンは苦しみ悶えながら後退していく。しかしその苦しみが怒りへのスイッチにでもなったのだろうか、叫びを上げ高熱火炎を放ってくる。オーブの元に着弾と同時に爆発。
────するのだが
つま先から頭頂部を包んでいた炎は光と共にかき消える。
火の中から現れたのは、蒼と赤の……両者の特徴を合わせたガウンを纏った戦士。2人の授かった勲章はカラータイマーとは異なった輝きを放っており、その佇まいは悠然。海上に立ち太陽に照らされている姿は、まさしく誇り高い騎士であった。
「光の誉れ、只今参上!」
右腕から光の剣を伸ばし、バードンに立ち向かっていくブレスターナイト。どの形態よりも整った動きで攻撃を捌き、刃を振るう。かと思えば力強い打撃や蹴りが、毒で蝕まれているバードンを追い詰めていった。
「一眞の奴、随分と使いこなしてんな!」
幾度目かの打撃がベムスターへクリティカルヒット。海面で倒れ悶えている。ゼロはエネルギーを貯めて光線を放とうとしたが、背後に迫る気配を感じて振り返る。
「ここまで来てようやくお出ましか」
彼の目に映るのは青と銀の体を持つ、この事態を引き起こした元凶ともいえる存在だった。
「ナイト87シュート!」
伸ばした右腕から放たれる青白い超高温度の熱線。それは虫の息となった今でもウルトラマンを殺そうと飛びかかってくるバードンに直撃。途端に肉体は大爆発を起こした。
「……ッ!?」
側面からの気配を察知し、即座に避けるとベムスターの爪が空を切り裂く。
先ほどまでゼロが相手をしていたようだが、おそらく逃げて標的を変更したのかもしれない。ならばこちらが撃破するまで。オーブは角から放たれる破壊光線”ベムスタービーム”を回避しつつ突進。右腕の光剣を構え、今度は光線を刃で受け止める。
「ぜ……りゃあぁぁぁぁぁ!」
右腕や足腰に力を込めたオーブは、跳躍と同時に光線を斜めにぶった切る。まるでドリルの様に突き進み、ベムスターへ袈裟斬り。しかしそこで動作が終了することはなく、腹部を経由してから右肩へ向かって振り抜く。剣の軌道が体に刻み込まれたベムスターは、残心をとるオーブの背後で倒れると同時に爆発した。
「ゼロさん!」
怪獣が消えるや否や、すぐさまゼロの元へと向かっていく。
そこで巨人が相対していたのは、見たことのない異星人。しかしオーブは直感的にこの生命体こそがレイバトスなのだと悟り、剣を構えてゼロの横に並び立つ。
「あんたが……レイバトス……!」
「そう。私こそが彷徨える怪獣の魂を操る者……」
聞こえてくる声は、どこまで行っても冷めていた。それは彼自身が死者のようでいて、聞いていて気分が悪かった。死者に近づきすぎた結果とでもいうのだろうか。
「一体、何が目的だ!」
心の底から湧いてくる恐怖を消し去るかのように、オーブは声を飛ばす。
「宇宙を支配する。かつてレイブラッド星人がそうしたように」
「そんなこと……絶対にさせるか!」
そんな返しはヤツも予想していたのだろう。不敵に笑いながら、レイバトスは話を続ける。
「そう。だからこそ貴様らは私の企みに邪魔なのだ」
するとレイバトスは両腕から光弾を放つ。爆発とともに水飛沫が挙がり、辺りは白く染まる。
咄嗟の事で両者ともに顔を伏せてしまった。再び顔を上げたころには、先ほどまで戦闘が嘘に思えるほどの静かな海へ戻っていた。
「レイバトス……絶対に止めてやる……!」
様々な感情が混ざりあい、オーブは握っている拳の力をさらに強める。
「当たり前だ。けど追跡でないのなら、今は戻るしかねえよ」
「けど……!」
「そう焦んな。あいつが逃げたのも、今は手段がないからだ。それにオレたちだって体がもたねえ。そうだろ?」
ゼロの指摘に、オーブは自分の胸元を見る。怪獣との戦いやレイバトスとの邂逅で忘れていたが、胸の光は既に赤く点滅していた。
「そうですね……戻りましょうか」
街を守ったものの、いまいちスッキリしない気分を抱えたまま2人は光となって消えていくのだった。
~~
見知らぬ土地、見知らぬ人々の前でAqoursは踊る。9人の息の合ったパフォーマンスは、不安で上手くいかなかったあの時とは大違いだ。
────Hop? Stop? Nonstop!
1人では無理だけど、みんなならば大丈夫。自由に未来を掴もうと歌っている。
とは言っても言語が異なり伝わっているかはわからない。しかし、彼女たちの踊りは、歌は、それでも人々の心を繋いでいく。ライブとは、スクールアイドルとは……そういったものなのだから。
「鞠莉」
「ママ……」
ライブが終わり、広場中に広がる歓声と拍手。夕日に照らされたスペイン広場にて、母と子は見合う。だがそこには、数日前に見た険悪な雰囲気はないように思えた。
「私がみんなと此処まで歩んできたことは、全部私の一部なの」
母と父が彼女を育てたのと同じく、Aqoursやみんなとの出会い、数多くの出来事が今の鞠莉を育てた。何一つ手放すことのできない大切なもの。
それら全てがあって、それがあるからこその────
「────今の私なの」
まっすぐと瞳を見つめ告げる娘を、彼女の友人たちを目の前にした母。彼女は何も言わずに笑い、去って行ってしまう。でもそれは、実に穏やかなものであったことは確かだ。
「どうなったの?」
「さあ?」
鞠莉でも答えは曖昧なまま。でも彼女は信じる。母が笑ったことを。
「でも、わかってくれたんだと思う」
計6体の激しい戦いでした。
ゼットンバルタン星人は土壇場で参戦を決定させましたが、バードンとベムスターは前から温めていました。あとゼットンバルタンは別名が調べてもわからなかったので、今回は表記せずに登場させました。
今回……というか今作のゼロは、基本的にサポートをするような立ち位置になっています。強すぎるというメタ的視点もそうですが、この宇宙を守るのはお前(オーブ)の役目でしょ? って意味合いもあります。
それではまた次回お会いしましょう。