ここまでお付き合いくださった方々に、心からの感謝を。
ラブライブ決勝延長戦。そして亡霊魔導士レイバトスの引き起こした企みを、ウルトラ戦士たちが阻止してから数日が経った。
戦士と怪獣がぶつかり合った街は、その後すぐさま復興していくととなった。壊れても終わりじゃない。日がまた昇るように、何度でもやり直すことが出来る。星を救った戦士とはまた違う強さを……人類は見せているようだった。
「こっちに釘打つの手伝って~」
「ペンキの量足りる~?」
「風船はこのくらいでいいかな?」
Aqoursのライブに向け、分校では生徒たちがステージの組み立てに汗を流していた。しかし汗を流せど疲れた表情を見せる者はいない。自分たちで虹の掛かった舞台を整える。未体験で未知数な事を、皆でやりたいからやる。そんな作業が楽しいからだった。
「……」
生徒ともに作業をこなす一眞。彼はその中でゼロとの別れを思い出していた。
「もう……行っちゃうんですか?」
「ああ。レイバトスは倒れ、マガタノオロチの復活も阻止できたからな。これも全部、お前と仲間の功績だ。誇っていい」
片膝を立て、ゼロは小さな一眞たちを見下ろす。
あの戦いの後、最初から何もなかったかのように東京は静かになった。時間が経過しても異変が起きることがない以上、もう心配はいらないとのこと。
レイバトスが消え、平穏が訪れた。それは即ち、ゼロとの別れを示している。
「わたしたちのライブ、もっと見てほしかったのになぁ~」
「悪いな。オレにはまだやることがある。向こうで事後処理を進めないとだしな」
千歌たち6人のライブは見ていってくれないのかと残念がっている。仕方がないとはわかっているが、残念に思っているのは一眞も一緒だ。けれどゼロの言っていることも同時に理解できてしまう。レイバトスが荒らしたらしい怪獣墓場の様子や、多くの侵略者たち。様々な問題が山積みなのだ。
「心配すんなって。お前たちのライブ、最高だったぜ。その調子でやれば次だって成功するさ」
「ほんと!」
「おう、このゼロ様が言ってるんだぜ? 安心しろって」
ウルトラマンゼロに保証してもらえるとは心強い。皆の顔に笑みが浮かぶ。一眞とてそれは同じだ。
「この宇宙は、お前に任せたぜ。暁一眞……いや、ウルトラマンオーブ!」
「はい、任せてください!」
力強く、それでいてどこか優し気な微笑みを浮かべて一眞は答える。ゼロのお陰で戦いも、そして抱える悩みも解決できた。感謝してもしきれない。
「ゼロさん、本当にありがとうございました!」
空へ昇っていく巨人に向かい、一眞は声を張り上げる。
その様子を見たゼロは左手の人差し指と小指、親指を伸ばしてポーズを取り、直後に白銀の鎧を身に纏う。
「じゃあな。またどこかで会おう」
時空の穴の中へとゼロは消えていく。けれどその激しいまでの輝きは、穴が消えるまでいつまでも煌めき続けていた。
ゼロとの別れを経て、ライブの開催日までカレンダーが捲られる。その中で怪獣やウルトラマンの話題からライブの話題だけに移行するまで、それほど時間は掛からなかった。
「このステージで歌うんだね」
完成間近となったステージを見上げる。新たな始まりにふさわしい、みんなの思いが詰まった素晴らしいステージだ。
「楽しみだね」
「緊張……しないずら」
「なんで?」
本番は明日。けれど花丸や善子の胸に迫ってくる苦しさはなかった。それどころか、梨子が言っていたように楽しみだと感じている。これまでと異なる感覚に戸惑う2人へ、ルビィは語る。
「多分、ルビィ達がちょっぴり大きくなったのかも」
数々の経験の末、自分たちは知らずのうちに成長してたということだ。
「みんな……」
手作りの虹を見上げる彼女らを準備の傍らに一眞は見つめていた。今見える彼女たちの背中は大きく、それでいて頼もしい。部活動紹介の時とえらい違いだということは、誰が見たって明らかだろう。
「先輩、何してんすか?」
「え、別になにも?」
「嘘だ~、手が止まってたよ~?」
揶揄ってくる2人は早見と松戸だ。例に漏れず彼らもステージ製作に加わっている。働いてくれるのはいいのだが、こうやって茶化してくるところはどうにかならないものかと溜息を吐いてしまう。
「手が止まるくらいですから今日は……ってかステージは任せて先輩は帰ってください!」
「……いやいや、まだやるけど?」
突然、早見からの帰宅命令。一体どういう風の吹き回しか。なによりライブは明日。帰ったら準備が間に合わなくなるだろう。しかし一眞の内心を読んでいたのか、それとも予想していたのか。松戸は「大丈夫」と置いてからこんなことを口にした。
「今日は頼もしい助っ人たちが来てくれるから」
松戸の視線を追う様に振り向く。するとそこには静間の制服に身を包んだ生徒たち。中心にいるのは勿論月だった。
「月ちゃん?」
「どうしたんだ?」
月に、そして静間の生徒に対しての疑問。
だって彼らの前にいる生徒たちの数。それは協力を申し出てくれた生徒の数を余裕で越していたからだった。
「あのライブ動画を見て集まってくれたんだ。僕たちにも何かできないかって」
「だけど……」
浦の星、そしてスクールアイドル。静間から見れば学校の雰囲気を壊す存在だ。忌み嫌うとまではいかなくとも、手を貸すことは避けたいはず。
「気付いたんだ。何のために部活をやっているのか。僕たちも、父兄の人達も」
「何のため……?」
「楽しむこと。皆はスクールアイドルを心から楽しんでいた。僕たちも、本気にならなくちゃダメなんだ。そのことをAqoursや……Saint Snowが教えてくれたんだよ」
部活動に専念する理由。技術を身に着け上達し、強い相手と競い合う。それは何故か。楽しいからだ。どんなものだって好奇心から始まり、楽しいから続ける。純粋な感情が根元にある。
スクールアイドルが教えてくれた。思い出させてくれた。涙の浮かんだ瞳を向けて、月は語った。
「遠慮なんてしないで、私たちにも手伝わせて?」
ここにいる静間の生徒意思はみんな同じみたいだ。手を借してくれるのであれば、拒否することの方が失礼というもの。ならばここは────
「じゃあ、甘えちゃおうか!」
~~
ステージの作成を任せたAqoursと共に、一眞も追い出された。一応マネージャーだからと残ろうとしたのだが、男子2人に背中を押されて校門の外に。戻ろうと思えば戻れたが、そこまでやられたのであれば素直に従うべきだろう。人を頼ることも大切。これまでで学んできた事だ。
急にできた暇だが、与えられてみるとどう使うべきなのか。歩きながら頭を悩ませる千歌たち。少しだけでも練習していくのもいいが、この時間はもっと別の事に使いたい。
「そう言えば、鞠莉ちゃんたちはいつまでこっちにいられるずら?」
ふと、花丸は呟く。途端に静まり返る。イタリアでの再会からライブまで一緒だったが、今度こそお別れだ。さらにもう1人。彼女たちの隣で歩く青年である。
「カズくんはどうなの?」
一眞は自分がすべきこと、したいことを皆に伝えた時のことを思い返す。
それはゼロが帰ってすぐのこと。
「みんなに……伝えたいことがあるんだ」
千歌たちが見つめる中で、一眞は言葉を紡いだ。
「俺は多くの星や、そこで助けを求めている存在を救いたい。だからさ……ここを離れようと思うんだ」
切り出した時、話している時の顔はとてつもなく真剣だったことだろう。それもその筈だ。場合によっては、もう二度とこの地球に帰ることが出来なくなるようなことなのだから。
「そっか……」
小さく呟いた声は静かに風に溶けていく。
千歌の返答は、一眞が切り出すことを知っているようにも聞こえた。
「うん。カズくんらしいね」
次に口を開いたのは曜。ウルトラマンでもある彼が何をしたいのか、暁一眞という人物は何を思うのか。口にした答えに納得しているようだった。
「悪い。真っ先に教えるって言ってたのにな」
閉校祭前日の夜の彼女とのやり取りが巡る。しかし全員がいる中で伝えることになってしまった。一眞は申し訳なさそうに、頬を掻く。
「ううん、そんなに気にしないでよ。……でも、カズくんならできちゃう気がする」
「そうかな?」
「ええ。だって私たちを、地球を救っちゃったのよ? 同じ風にやればいいの」
曜に続き梨子も。彼女たちに言われると、底知れない勇気を貰える。ここで生まれた繋がりは消えることはないと、そう強く思わせる。
「寂しくなるずら……」
「うん……心からは消えないってわかってるけど……」
「また帰ってくるのよ……ね?」
「そりゃ帰るよ。まあ、具体的な時期とかを聞かれるとそりゃ困るけどさ?」
視線を下げ、不安げに訪ねてくる1年生の3人。一眞は返答しながら頭を撫でる。
「宇宙か。私たちとはレベルが違うね」
「簡単に会いに行ける距離……ではないですわね」
国内や海外とは違い、電車や船、飛行機を使って簡単に行ける場所ではない。広大すぎる宇宙を駆けようとしているのだ。いくら想いや絆は残っていくからといっても、距離を感じすぎてしまう。
「何言ってるのよ。その時は小原家でロケットを作って宇宙に行くまで!」
果南とダイヤの間に割って入る鞠莉。悲しみを塗りつぶして明るく振舞っていることなんて、すぐにわかってしまう。
「凄まじいですね……小原家……」
「It's joke!」
だけど一生のお別れではない。絶対にまた会える。そんな気持ちもどこかにあるから。繋がりは消えないとわかっているから、こうして笑みを見せることが出来ているのだと思う。
「ええ……」
たちまち起こる笑い声。やはりこうでなくては。Aqoursに湿っぽいのは似合わない。
一通り笑いあった後、千歌は手を出してきた。一眞は戸惑うことなく、その手を握り返す。スクールアイドルとマネージャー。人と異星人。人間とウルトラマン。彼女との握手に様々な意味が込められていた。
「まだ変だけどさ。また」
「ほんとに変だよ。……うん、また」
そう、別れに涙はいらない。流すときは一眞が宇宙から帰り、次に会った時だ。
「みんなの新しいスタートを見てから行こうかなって。俺も同じようなものだし」
かつての光景を振り返りつつ、一眞は答えた。新たなAqoursのスタートと同じくして彼も飛ぶ。つまり明日には地球を発つということだ。因みに志満や美渡には既に伝えてある。事実を全て事細やかに伝えたわけではないが、それでも2人は納得してくれた。本当に、いい人達に恵まれたのだと心底から言える。
「なら、カズも私たちと一緒だ」
「千歌さんたちのスタートを見届けたら、そのまま向かいますわ」
「それぞれの場所にね」
果南の声を筆頭に、それぞれ顔を見せる。
Aqoursのステージを新たな始まりとして定める。関わってきた者、駆け抜けた者だからこそ明日に定めたのだといえよう。
「じゃあその前に、みんなで行かない?」
現状、これがみんなで集まる最後の機会だからと鞠莉が提案した場所。どこへ向かうのかは正直予想がついていた。
「そう言えば、バス停無くなっちゃうんだってね」
「そりゃまあ、学校に行く生徒が使ってたところだし……」
「もう使う人いないもんね」
何度も見て、降りてきた停留所。しかし廃校になれば誰も降りる人はいない。無くなってしまうのは寂しいことだが、バス停も役目を終えたということだろう。
錆びついた金属部に触れればひんやりと冷たい。お疲れ。ゆっくり休んでくれ。長年生徒を出迎え、見送り続けた存在に労いの言葉を贈る。
「なんだか懐かしいね」
「卒業式から少ししか経ってないのに……」
「毎日通っていた道ですから」
来る日も来る日も上っていた坂道。歩を進めて目に入る景色、体に掛かる負荷。来なくなって半年が過ぎているわけでもないのに、どれも懐かしい感覚だった。
「本当、いろんなことがありましたわね」
「毎日賑やかだったな~」
「賑やかというよりはうるさい……かもだけど」
「人のこと言えないずら~」
「ずら丸たちだって相当煩ったわよ!」
「でも……楽しかった」
「ああ。俺も楽しかったよ」
オレンジ色に染まり切ったグラウンド、そして校舎。見ているだけであらゆることを思い出す。ここで過ごした楽しい記憶、嬉しい記憶、悲しい記憶、時には苛つく記憶……。でも終わってみればそれらもすべて良い出来事だったと胸を張って言える。
最後に辿り着くのは浦の星の校門前。閉校した時と同じく桜が舞い、優しい風が凪いでいた。時間帯も……ちょうど夕暮れ時だったか。
「なんで、ここに来たの?」
「さあ? 呼ばれたのかな」
「ちゃんとあって、ほっとしたずら」
強いて言うのであれば学校に呼ばれた。未だ変わらず残っている校舎を見上げると、不思議だが納得できてしまう理由である。まるで、学校から最後の別れを告げられているかのようだ。
ふいに視線を移した時、ある場所が目に留まる。
「あ……開いてる」
涙を流しながら閉めたはずの門が開いている。また入っていいと。まだまだここに居ていいと……誘っているかの如く。
けれど千歌は優しく門に触れ……
「大丈夫、無くならないよ。浦の星も、校舎も……」
静かに門を閉めていく。閉めたのは千歌だけれど、ここに居る者誰もが同じ選択をしただろう。
だって無くなることはないから。彼女と共に日々を過ごしてきた数多くの場所。グラウンドや図書室、屋上や部室。そして海、砂浜、太陽、船、空、山、街。そしてなにより────
「────Aqoursも」
育まれた過去や時間が記憶に刻まれている限り、永遠となって残り続けていく。消え去ることはない。だから大丈夫。もう大丈夫なんだ。自分たちの傍で、一緒に歩いていく……自分たちを形作る一部なのだから。
「……帰ろう」
浦の星を背に帰路へ着く彼女たちの表情は、これまで以上に晴れやかだった。
~~
────普通星人が出会ったのは、記憶をなくした青年とスクールアイドル。輝きを探し求めながら、輝きとは何なのかを問い続けた1年。そんな中怪獣や宇宙人が襲ってきたけれど、いつも助けてくれたのはその青年だった。
────灰色の少女は石碑に手を合わす。以前自身の負の感情によって暴走させてしまったことがある。しかし、彼女自身が強く願ったことで最悪の結末を回避することが出来た。新しい出発のライブをあなたも見ててほしいと、彼女は願っていた。
────赤紫色の少女と、ダークブルーの少女は星が煌めく空を見上げる。すると風に乗って聞こえてくるからだ。たったの数日だけともにいた、白い獅子の鳴き声が。
────ファッション誌を読み始めたのは、彼女との出会いがキッカケだろう。ともに街を歩き、笑いあった異星の友人。ページを捲ると、つい似たような人物に目が留まる。本人ではないかもしれないが、それでもエールを貰った気がするからだ。
────友の墓に手を合わせる。Aqoursが好きで、友達になり、そして一緒に曲を作った。数えるほどの思い出しかないけれど、貰った勇気はそれ以上だ。だから頑張るねと、ピンク髪の少女に伝えるのだった。
────長い髪を揺らし思い耽る。小さな子たちを守ろうとした時、想像もできないような勇気が湧いてきた。今思えば無謀だったなと呆れてしまうけれど、これも思い出として大切にしまっておこう。
────いつも潜っていた海を見つめる。ずっと見守ってくれていた。青年が言っていた様に一度だけ、巨人として自分たちを守ってくれたのであれば、本当に感謝しなくてはならない。しばらくは来れなくなるけど、必ず戻ってまた潜ろうと約束を交わす。
────車を走らせる。以前のように9人ではなく1人で走らせるのはまだ寂しい。以前助けた黒服の青年を乗せたら楽しそうだなとも思ったが、彼は絶対嫌がるだろう。そこがまた面白いのだが。などと様々な思い出を胸に車を走らせた。
迎えたライブ当日。駅前には多くの人々で溢れかえっていた。これも全部、新たなAqoursの出発を見届けるためだ。
「なんだろ……?」
その中には興味をひかれた者だっている。人混みの中を進む躑躅色の髪を揺らした少女もその1人だ。
「……おっと」
「あ、すみません!!」
キョロキョロと辺りを見渡していたため、前の男性とぶつかってしまった。慌てて謝るが彼は「いいよいいよ」と軽く受け流す。
「君もAqours好きなの?」
「いいえ。よく知らなくて……」
「ふ~ん、でも一度見ればハマるかもよ~?」
しかし男性はステージを見る前に、誰かに呼ばれて消えてしまった。
喧噪の中でも、呼ばれていた男性の名前だけは聞き取れた。Aqoursが好きな男性、彼はこう呼ばれていた”沙羅”と。
ルビィの挨拶の後、今か今かとライブの開始を待っている観客たちの中にはアオボシの姿もあった。
「僕はさよならなんて言わないからな……」
一眞が今日地球を発つことは知っている。彼が以前、少女とその兄の眠る墓の前で話していた時に盗み聞きしていたからだ。
レイバトスとの闘い以来、彼とは会ってない。いや、一眞は会いに来てくれたがアオボシが追い返したと言った方が正しい。頑固なアオボシの意思を汲んだ一眞は最後にこう言い残した。「またな」と。
「何がまたな……だ」
寂しいからなのか、それともせいせいするからなのか……いずれにしろ胸に込み上げてくるものがあった。一眞の出した答えなら文句はない。精々派手にやってボロボロにでもなればいい。だけど彼がまたこの星に戻ってくるまでは……
「僕が地球を守ってやるよ」
ライブを見る彼の右手には『ビートル隊隊員募集』と書かれた紙が握られていた。
~~
耳を澄ませると、彼女たちの声が聞こえる。まだ歌っているわけでもないのに、その声は魂を震わせる。
円陣を組んだ6人は右手を重ねる。今ならわかる。重なった手は6でも、いつまでのあの3人も一緒に重ねてくれていることが。
「イチ!」
「ニ!」
「サン!」
────始まりはいつもゼロだった。始まって、一歩一歩前に進んで、積み上げて……。でも、気付くとゼロに戻っていた。
「ヨン!」
「ゴ!」
「ロク!」
────それでも、1つ1つ積み上げてきた。なんとかなるって、きっと何とかなると信じて。それでも……現実は厳しくて。
『────ナナ!』
『────ハチ!』
『────キュウ!』
────一番叶えてたい夢は……叶えられず、またゼロに戻ったような気もしたけれど、彼女たちの中にはいろんな宝物が生まれていて。
「イチからその先へ、みんなと共に! その先の未来へ!!」
────それは、絶対消えないものだから。
「Aqoursーー!!!」
────青い鳥が、あの虹を超えて飛べたんだから。彼女たちにだって、きっとできる。
「『サンシャイン!!!!!」』
────Next SPARKLING!!────
片翼をつけた6人の少女たちは踊る。ゼロから始まるのではなく、イチからまたその先へ続いていく彼女たちの始まりの歌。
ステージで舞うのは6人だが、その背には胸の中には大切な人達が共にいる。
これまでの道を振り返り、これからの道に不安になることもあった。困難に苛まれ続けたが、それでも踏み出すことをやめなかった。例え故郷から離れても、繋いだ想いが消えることはない。大切な想いを胸に、彼女たちは虹を越え、未来へと羽ばたいていく。そして彼女たちは新たな輝きを手に入れるのだ。
「早く早く~!」
「ちょっと待って!」
さざ波の音に交じり、少女たちの笑い声が聞こえてくる。はしゃぎながら友人と談笑を交わすのは躑躅色の髪を持つ少女だった。
「ねえ、なんでここに来たの?」
「聖地だよ? せ・い・ち」
もう一方の少女はどうしてここに来たのか疑問に思っていたようだ。海を眺めながら、簡単なステップを踏む少女は屈託のない笑顔で説明した。
「この前あった沼津のライブ、見てなかったの? 私、高校生になったら絶対にスクールアイドル部に入るんだ~!!」
「また始まった」
少女はライブを見てからここ最近、「輝きたい」と口にしているのだった。
「それで、なんて名前なの?」
「うん、名前はね────」
砂浜に書かれていく文字。過去にもまさにこの場所で見つけ、輝きたいと願った少女と共に駆けていった名だ。そしてまた、彼女たちによって輝きに焦がれた少女が再度その場に刻んだのだった。
─■■年後─
とある惑星にて、少年は遠方を見据える。
山の様な巨大生物が、遅れて現れた巨人に撃退されたからだ。巨大生物は村の人達を踏み潰す恐怖の象徴として恐れられていたのに、あろうことか巨人はあっさりと倒してしまった。唖然とするしかない。
「お兄ちゃん!」
「兄さん!!」
背後から2人の兄妹が走ってくる。自分を心配してきてくれたのだろう。
「オレは大丈夫だよ。そっちは怪我無いか?」
「うん」
「兄さん、さっきの巨人は……?」
弟の問いに少年は首を振る。巨人は撃退した後、凄まじい光と共に消えてしまったのだ。
「あ~君、大丈夫だった?」
すると自分たちの兄へ、見知らぬ顔の青年が走ってきて話しかけていた。少年と少女は表情に力を入れる。
「大丈夫だよ2人とも。この人はオレを助けてくれたんだ」
長男はそのように青年のことを説明する。けれど怪しいものは怪しい。次男は思い切ってこう投げかけた。
「誰ですか、あんたは?」
警戒する次男とは反して、青年は昔から変わることのない笑みを浮かべ、口を開いた。
「ああ、2人がさっき言ってた弟と妹か。俺の名前は────」
星は輝いている。
この先に何があるのか、続いていくものはあるのか……そんなことはわからない。
けれど精一杯やり遂げたといえるその時まで、最後まで走り切れたと言えるその時まで、あらゆる想いを胸に……輝き続けよう。
前々回でモブとして出した少女が実は最後まで出てきたり、過去の話を引っ張ってきたりして詰め込みましたが……これにてSunshine!!&ORB完結となります。一眞は地球を去り、宇宙のあちこちで戦い続けることでしょう。Zと似たような感じになったけど仕方ない。
そしてアオボシも地球を守るために何かするようですが、それは皆さまのご想像にて。
最後になりますが1年6か月という間投稿し続けられたのは、好き放題やっても読んでくださった皆様のお陰です。本当にありがとうございました。
機会があればまたどこかでお会いしましょう。