激しい頭痛で目が覚めた
起きると独房のような檻の中にいた
あまり見たくはないが、同じ独房に全裸同然の変態が床で倒れていた
なぜかとても懐かしいと思う感情と深い闇のような絶望を感じている自分がいる
どうしたらいいのか分からない
ふと、変態に目を向けると腰に鍵を通していた
独房の中にいる変態がなぜ鍵を持っているのかはさておき、この薄汚い独房から出られる可能性に賭けて変態に接触を図る
変態の腰に手を伸ばしたときに気が付いた
私の手はなぜこんなに細いんだ?と
そこで、寒くもないのに背筋が凍るような感覚がした
まさか、私もこの変態のような恰好をしているのではないか?と
恐る恐る自身の体を見てみると……残念ながら予想が的中していた
全裸同然の変態が同じ格好をしている変態の腰に手を伸ばしている絵面はさすがに気が引ける
いち早くこの状況を抜け出したい一心で、変態からササっと鍵をとって檻の鍵穴に差し込んでみた
ここまでの不幸が弾けたかのような安堵に段々と落ち着きを取り戻していった
一歩、二歩と独房から出ると独房の中にいた変態と同じような姿をしているやつらが廊下に複数人いた
そして、気が付きたくはなかった
右側のかべから大きなものが一定の間隔で地面を叩いているような音が鳴り響いていることに
恐怖を押し殺して廊下を進むと、大きく壁がえぐられ壁の代わりに鉄格子のように金属が高く伸びていて右隣の音の原因を目視できた、いや、出来てしまった
それは、とても太く、とても巨大な悪魔のような形相をした怪物がそこにはいた
牢屋を抜けた私をそこいらを這いずるネズミや何かと同じものと見ているのか、一切こちらに意識を向けることはない
だが、私は心の底から恐怖した
閉じ込められた檻からでたら明らかに仲間になってくれる様子はない、巨大で悪趣味な木槌のようなものを持つ何かを意識したとたん私の中の何かが悲鳴を上げている
(怖い、無理だ、辞めよう、逃げよう、なんでこんな目に)負に染まった感情が一気に溢れてくる
あんなのが外にいるなら檻でおとなしくしていようと心が叫んでいる
だめだ!!
ここで諦めてたまるか
廊下で意識が薄れて壁を削っている変態のようにはなりたくない!!
私は意を決して廊下を進むことにした
途中にあった階段や梯子を上った先にあったのは大きく開けた中庭のような空間だった
中庭の中央あたりにはなぜか吸い込まれるように意識が誘われる剣があった
手で触れてみるとみるみるうちに火が付き、しまいには私を癒すかのようにあたり一面を暖かくしてくれた
先ほどまであった負の感情が著しく低下していくのがわかる
これは癖になってしまいそうだと悪い考えが頭をよぎる
そんな誘惑を頭から振り払い、前に佇む大きな扉に手をかけた
その瞬間、私の中の何かが(逃げろ、勝てない)と叫ぶ
先ほどの巨大な何かを目にしたときのような寒気がまた私を襲う
怖くなった
逃げるように私は火の灯った剣のような篝火に触れることで癒された
あぁ、なんて情けないんだと心の底から思う
今度こそはと私はその場を立ち上がり、扉に手をかけついに開ききった
そこには少し古びた柱が並行して並んでいる少し神秘的な空間だった
私から見て真っすぐに行ったところにはまたもや大きな扉が目につく
私は先ほどの恐怖は何だったのかと思うように拍子抜けしてしまった
地獄のような仕打ちを受けるとも知らずに
私は浮足立ったような足取りで、柱の間をゆっくりと進んでいった
その時だった、急に空が暗くなったのだ
室内にいるのに空が暗くなるのはおかしいと私も分かっている、だが、そういう他に私が言い表せる言葉がなかったのだ
突然暗くなったことに驚き、上を見上げるとなんとそこには下で見た巨大な何かがいたのだ
足がすくんだ
目が合った
あいつがニヤリと嗤った
逃げなくては
そう考えた私はすぐさま篝火のもとに逃げようとしたが、なぜか雲のような壁に阻まれたことで、逃げることが出来なかった
ズシン、ズシンと足跡を残しながら歩み寄ってくる何かを絶望した目で私は見たそして
、 、 、 、
目が覚めた
今度は篝火の前にいた
何かの間違いだと思い扉を開けるとやり直したかのように、地面には足跡がなかったのだ
恐怖した
また、あの何かと合わなければいけないのか
今度はどんな風に死ぬのか
今度も目が覚めるのか
怖くなった
だが、後ろに下がって檻に帰ってもあの何かはいるだろう
もう一度篝火に手を触れた
恐怖が緩和した
よし、今度こそと思えるだけ気力が回復した
武器が折れていても諦めなければと思ったのだ
そして、私は
いったい何度繰り返しただろう
あの何かに何回殺されただろう
潰され、蹴られ、食われるなど、様々な死に方を経験した
そして私は戦うことを辞めた
偶々みつけた通路に逃げ込むことで何とか生き延びた私の前にあったのは
あの篝火だった
もう限界だった
歩き出す勇気すらもう枯れてしまった
篝火に触れた
だが、もう何も感じない
昔感じた何もかもを忘れさせてくれる暖かい空間は、また私を地獄に落とす予兆にしか感じられなくなってしまった
もうだめだ
私はここで休憩することにする
私に気を遣わなくていい
なにせ私はもう戦えない
私の折れた剣はどこかに行ってしまったのだ
唯一手元に残っているのはいつの間にか手に持っていた矢のない弓だけだ
矢のない弓で何をしろと言うのだ
まぁ、どうせ私はもう歩けない
今更こんなこと気にしてもしょうがないか
なんだか眠くなってきたよ
こんな体でも眠くなるのだな
そして、私は意識を手放した